【レビュー】プロ仕様イヤホン『IER-M9』『IER-M7』ショールーム実機展示レポート
9月5日にプレスリリースがあったソニーの「スタジオモニター」用に開発した新製品のイヤホン「IER-M9」と「IER-M7」がプレス翌日よりソニーショールーム/ソニーストア銀座にて展示されています。
当店も展示初日に取材でお邪魔していたのですが、同時発表になったウォークマンA50やWH-1000XM3よりも大人気だったのがこちらのインナーイヤーヘッドホン「IER-M9」と「IER-M7」でした、初日の取材は迷惑がかかりそうでしたので諦めて1週間経ったところでお邪魔してきたのですが、まだ今日も混み合っている状況。
複数の試聴製品がありましたので今日は試させていただいてきましたが、これ、ものすごい音がします。インナーイヤーヘッドホンでこういう音を聴いたことはありません。すごい製品が登場しました。
こんにちは、店員佐藤です。
今回のインナーイヤーヘッドホン「IER-M9」と「IER-M7」ですが音もすごいんですが、価格もすごいことになっています。[IER-M9」が約13万円で「IER-M7」が約7.5万円という税別価格設定です。ちょっと前までは1万円のインナーイヤーヘッドホンと言えば高級品でしたが13万円ですよ!
ちょっと最初から懐かしい話をしてしまうんですが、私が最初に体験した高額ヘッドホンというとQUARIA製品で発売された「MDR-EXQ1」です。2006年にソニースタイルでの販売が終了していますが当時の価格で21,000円はだいぶ自分でも頑張って購入した記憶があります。
真鍮製の本体はどっしりとした重量感があり、一生モノのインナーイヤホンと思っていたのですが、その後、もっと高額なイヤホンがドンドンでてくるわけです。今回はついに13万円ですからね。
「IER-M9」「IER-M7」はアーティストがステージで必要とする音質、遮音性、装着性を実現したプロ使用のイヤホンでアーティストやミュージシャンがステージ上で演奏時に装着したり、PAエンジニアがステージ音響を確認したりするためのモニタータイプのイヤホンとなっています。
スタジオ用のイヤホンとして思い出されるのが「MDR-EX800ST」という一般には販売されていないイヤホンです。世代的には「MDR-EX1000」と同時に発売されたモデルなんですが、こちらは業務用イヤホンとしてソニーミュージックでのみ販売されており、一般向けには発売されていないものになります。
スタジオミュージシャンからのリクエストに応えて作られたモデルと聞いていますが、まさにこれが2018年に蘇ったのが「IER-M9/M7」なのかも。
当時も言われていましたが通常のヘッドホンは「響き」などを加えて音をやや盛った感じでチューニングするんですが、スタジオモニターの場合はそうした飾りのない音を作るのが目的で一般のリスナーが聴くと物足りなく感じるかもしれませんが、制作現場で聴いている音、私たちも聴いてみたいですよね。
販売価格に圧倒されて「今回はいいや」と、いう方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは聴いてみないと!ということで、店頭展示しているウォークマンやイヤホン、ケーブルを持ってソニーショールーム/ソニーストア銀座へお邪魔させていただいてきました。
「IER-M9」から聴かせていただくんですが、いやー、これはすごい! これはインナーイヤーヘッドホンの音ではありません。MDR-1AとかMDR-Z7、MDR-Z1Rに近い聞こえ方をします。
インナーイヤーヘッドホンでこんな音がするのは初めて。
バランスド・アーマチュアドライバーを使ったイヤホンはこれまでいくつものモデルがありましたが、それらと大きく凌駕するモデルになっています。BAドライバーを使うと1つで鳴らせる帯域が狭く複数のドライバーを使ってもつながりを持たせるのが難しい印象だったんですが、そういうのを微塵も感じさせません。
超パーフェクトなイヤホンだと思います。
あー、そう、こういう音がするんだ。へー。とか言いながらいつまでも音を聴き続けたくなってしまいますが、そうそう、これは取材だったんでした。スタイリストさんがパッケージや付属品などをたくさん出してくださったので、そちらの紹介からしていきたいと思います。
こちらが「IER-M9」「IER-M7」のパッケージになります。大きな箱を開くと中からはイヤーピースと、4.4mm標準プラグと3.5mmステレオミニの2種類のケーブル、キャリングケースなどが登場します。
こちらはイヤーピースです。芯とスカートの部分で異素材を使っているハイブリッドイヤーピースがLL~SSまで7種類。スカート部分にシリコンが充填されているトリプルコンフォートイヤーピースが6種類付属。トリプルコンフォートイヤーピースは従来L、M、Sの3サイズしかなかったかと思うのですが、ML、MS、SSという新しいサイズのものが揃っています。
今までのヘッドホンではビニール袋にこれらが詰められているだけだったのですが、こうしてパッケージにズラッとならんでいると、最初のサイズ合わせがとても楽しくなりそうです。
キャリングケースも今までにない新しいデザインのものとなっています。写真左がIER-M7のもので写真右がIER-M9のものです。色が違っているのは光の反射のせいで、質はSONYロゴのデザインが違っています。IER-M7(写真左)のものは彫り込みで凹になっているのですが、IER-M9(写真右)のSONYロゴは凸で突起したものになっているんです。
言われないと気づかない様なちょっとした違いになります。
中にはホルダーがあり、ヘッドホンケーブルをクルクルクルっと丸めてホルダーの輪っかに入れて、あとは左右のイヤホンを所定のホールにはめることでホルダーに収納します。
そのホルダーをキャリングケースの中に入れて持ち歩く、というわけです。ヘッドホンケーブルを断線させてしまう原因のひとつがウォークマン本体に巻き付けたりして角に当たる部分に力が加わって断線ししまう、ということが多そうですが、これならケーブルのどこにも負担がかかりませんので断線はしにくいと思います。
ちなみにケーブルもM9とM7では違っています。写真左のケーブルの色が濃い方が「IER-M7」のものでやや明るい色に見えるのが「IER-M9」のものになります。
ケーブル自体は同じモノなんですがプラグの端子が違っていて「IER-M9」のケーブル(写真右)は非磁性体めっきプラグを採用しているそうです。
イヤホン本体の違いもみていきたいと思います。ピカピカに黒光りしているのは「IER-M7」(写真左)で、艶のないマットなキャビネットの方が「IER-M9」(写真右)になります。
IER-M7には4つのBAドライバーが内蔵されておりIER-M9には5つのBAドライバーが内蔵されています。ソニーから初めてBAドライバーを搭載したモデルとして「XBA-4SL」というモデルがあり、かなり大きなキャビネットに見えましたがIER-M9もM7もあそこまで大きくは見えません。
デザインの力なんですかね。
搭載されているBAドライバーですが、M7ではフルレンジ×2+ウーファー+トゥイーターの4基、M9ではスーパートゥイーターを加えた5基のドライバーを内蔵しています。
説明カットによると金メッキされた端子のドライバーがひとつありますが、これがスーパートゥイーターになります。伝導性をこれで向上しています。
バランスド・アーマチュアドライバーのメリットはダイナミックドライバーと違って振動板がユニットの中に入っているため負圧を抜いたりする必要がなく、密閉した空間で音が出せること。
ハウジングを見ても圧を抜くための通気口などはなく、外界と通じているのは音抜け孔だけになっています。これにより密閉性が高まり遮音性も高いヘッドホンにすることができるわけです。
ノイズキャンセリング機能などがなくても、これだけでかなり遮音性があがります。バランスド・アーマチュアヘッドホンは登場時から私も大好きで気に入って使わせてもらっていますが、こうした遮音性も大きな魅力のひとつです。
音抜け孔が金メッキされているIER-M7(写真左)の方が音質が良さそうに見えますが、音抜け孔までマグネシウムハウジングになっているIER-M9の方が剛性的にも高いはずです。
超軽量金属であるマグネシウムをハウジングに使うことで、剛性も高まっており破損にも強くなっています。価格が倍近く変わる両モデルですが、こうして耐久性も考えられているのがIER-M9ということになるかもしれません。
ということで「IER-M9」「IER-M7」との比較用に「XBA-N3」や「XBA-300」も持ってきて聞き比べをするのですが、まー、音の傾向が大きく違うというか、こんなにはっきりとした音が聞こえるの!? という感想です。
液晶ポリマーフィルム振動板を使ったヘッドホンを初めて聞いたときも共鳴している周波数がない感じで素直な本当の音が聞こえた気がしましたが「IER-M9」と「IER-M7」も同様に全部の音をちゃんと鳴らしきっている印象。別次元です。
BAドライバーとダイナミックドライバーのハイブリッドスタイルの「XBA-N3」は確かに響きを加えている盛った感じの音質で特に低域の音がモコっと盛り上がっているようになります。写真には映っていませんが「XBA-Z5」もそれに通ずる印象で、よりフラットな音になっていますが、やはり響きを加えた感じになっています。
BAドライバーを3つ搭載した「XBA-300」はよりモニターっぽいというか、ドンがなくシャリが強めのヘッドホンでハイレゾ音源を聴くのにはわかりやすい音作りなんですけど、かなり作られた音の感じがします。
これらとは全然違う音の作りです。なるほど、これが13万円と7.5万円の音ですか。
ついでにヘッドホンケーブルの音の違いも試してみます。イヤホンに「IER-M9」を固定しておいて、IER-M9とXBA-N3BPとXBA-300の付属ケーブルと、キンバーケーブルの「MUC-M12SB1」の4タイプで聞き比べをします。
こうしたケーブルを替えて音の違いが本当にわかるのか、と言われると、私の場合はちょっと微妙だったりしたんですが、今回ははっきりと違いがわかります。
イヤホンの質がここまで高いとケーブルの違いによる音質の変化も聞き分けられますね。イヤホンの鳴りもビックリでしたが、ケーブルの音の違いがわかるのも超ビックリです。
音質的にやはり良かったのはキンバーケーブルの「MUC-M12SB1」で、これだけ猛烈に音の抜けが良いというか、スカッと音が通ってくる感じがします。
XBA-N3BPとXBA-300の付属ヘッドホンは抜けが悪くちょっと詰まった感じがします。IER-M9付属のケーブルについては、これも抜けが良くキンバーケーブルに近い聞こえ方がします。それを考えるとIER-M9のケーブルもかなり良い物を使っているのがわかりました。
えー、ホントに!? こういうのをはっきりと聞き分けられるヘッドホンって今までなかったので、二重に感激してしまいました。
確かにスタジオモニターとして、低域の音がやや物足りなく感じるかもしれませんが、鳴りが悪いわけでもなんでもなく、音の立ち上がりも良いし輪郭もはっきりしているし、イコライザーで調整して好みの音にすれば良いだけの話に思えます。
ちなみにIER-M9とIER-M7の音質の差なんですが、これは私にはちょっと微妙。インピーダンスがIER-M7の方が高い(24Ωです。M9は20Ωです)ので、ボリュームをそのままで聴き比べてしまうとIER-M9の方が鳴りが良いように聞こえてしまうんですが、音圧が同じくらいに聞こえるようにボリュームを調整すると、その違いはわずかに聞こえます。
私の耳ではIER-M7でも良いのかな!?とか、都合の良いように思えてしまいます。スタイリストさんに話を聞くと、M9とM7の音を聞き分けられる方が多く、やはりM9の方が豊かな音がする、という方が多いそうです。
BAユニットがひとつ多いのと、マグネシウムハウジングによる筐体の堅牢性の高さなどにもお金がかかっていそうなので、音質面の違いをコストパフォーマンスで考えるとIER-M7の方もお得なものになっているのかも。
2モデルの違いをまとめると下記の通りとなります。
■『IER-M9』、『IER-M7』比較表
IER-M9 | IER-M7 | |
ストア価格 | 129,880円 |
74,880円
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発売日 | 2018.10.6 | 2018.10.6 |
形式 | 密閉ペンタ・バランスド・アーマチュア | 密閉クアッド・バランスド・アーマチュア |
ドライバーユニット | Penta Balanced Armature | quad Balanced Armature |
感度 | 103dB/mW | 103dB/mW |
再生周波数帯域 | 5Hz- 40,000Hz | 5Hz- 40,000Hz |
インピーダンス | 20Ω(1kHzにて) | 24Ω(1kHzにて) |
最大入力 | 100mW(IEC) | 100mW(IEC) |
コード長 | ヘッドホンケーブル ・約1.2m ・銀コートOFC線 ・イヤーハンガー ・非磁性体金メッキL型ステレオミニプラグバランス接続ケーブル ・約1.2m ・銀コートOFC線 ・イヤーハンガー ・非磁性体金メッキL型バランス標準プラグ |
ヘッドホンケーブル ・約1.2m ・銀コートOFC線 ・イヤーハンガー ・金メッキL型ステレオミニプラグバランス接続ケーブル ・約1.2m ・銀コートOFC線 ・イヤーハンガー ・金メッキL型バランス標準プラグ |
重量 | 11g | 9g |
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これらの違いで価格が倍ほどの差になります。耐久性を重視するプロの現場ではM9、一般のオーディオユーザーにはM7がオススメ、というのでも良いのかも。
いろいろ個人的な感想をお伝えさせていただきましたが、実際にこれは音を聴いてからでないとオーダーはできないですよね。2016年秋に発売になったNW-WM1ZとNW-WM1Aを思い出しました。
この2台の音を聴き比べて、違いがわかってしまうとNW-WM1Zを買わざるを得なくなってしまうんですよね。(^_-) 今回も覚悟をもってご試聴ください。(現時点ではソニーショールーム/ソニーストア銀座などでないと試聴はできません。)
ソニーストアではでメーカー直販ならではの長期保証サービス「3年ワイド保証」をご用意して販売しています。
高額ヘッドホンになりますが残価設定クレジットの設定もあります。IER-M9も手が届きそうな価格で購入できますので、こちらも是非ご検討ください。
残価設定クレジットをAV商品10%オフクーポンを使って計算するとIER-M9は月々4,200円、IER-M7は月々2,400円のお支払いになる計算です。
ふーん、ミュージックアルバム1枚分くらいの価格でこれが使えてしまうんですねー♪
☆ソニープレスリリース 「新開発のプロセッサーで業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現ハイレゾ相当の高音質も楽しめる『WH-1000XM3』などヘッドホン4機種発売」
ステレオヘッドホン IER-M9 |
ソニーストア価格: 129,880円+税 |
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発売日 | 2018年10月7日 |
メーカー商品情報ページこちら | ||
延長保証 | 5年ワイド:13,000円 3年ワイド/5年ベーシック:7,000円 3年ベーシック:無償 |
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ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ 24回分割払手数料0%キャンペーン(~1/15) 残価設定クレジット 分割払手数料0%キャンペーン 期間限定!下取り増額キャンペーン(~1/15) |
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テックスタッフ 店頭入特典 |
10%オフクーポン(併用不可)プレゼント中 |
ステレオヘッドホン IER-M7 |
ソニーストア価格: 74,880円+税 |
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発売日 | 2018年10月7日 |
メーカー商品情報ページこちら | ||
延長保証 | 5年ワイド:8,000円 3年ワイド/5年ベーシック:4,000円 3年ベーシック:無償 |
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ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ 24回分割払手数料0%キャンペーン(~1/15) 残価設定クレジット 分割払手数料0%キャンペーン 期間限定!下取り増額キャンペーン(~1/15) |
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テックスタッフ 店頭入特典 |
10%オフクーポン(併用不可)プレゼント中 |
☆ソニーストア「残価設定クレジット(オーディオ製品)」のご案内はこちらから