【レビュー】4K HDRモニター&5Gストリーミング『Xperia PRO』発売前ショールーム実機レポート
本日よりソニーショールーム/ソニーストア銀座にて展示がスタートしたプロフェッショナル向け5G対応SIMフリースマートフォン『Xperia PRO』の実機を取材させていただいてきました。
α7S3と接続してのモニターディスプレイとしての使い勝手のチェックだけですが、実機の様子をレポートさせていただきます。これ、単にαのアクセサリーとして欲しくなってしまうかも。
こんにちは、店員佐藤です。
明日から新型ミラーレス一眼カメラ“α1”の先行展示が始まるので、明日の今頃は熱気むんむんになっていると思うのですが、それよりも一足早く「Xperia PRO」の展示がスタートしましたので取材させていただいてきました。
展示場所は4Fのカメラフロアでカメラ展示に一番近い場所で展示されていて、まるでαアクセサリーみたいな展示になっているんですが、一応、ここはスマートフォンコーナーになっています。
今日は午後からの取材だったのですが、見学に来られる方はチラホラ程度。単品展示とカメラとのセット展示と2台の用意があったので、今日のところは特に混みあうこともなく見学させてもらえました。
こちらがカメラとのセット展示です。カメラ本体もXperia PROもリグで武装されて展示されていますが、これらのリグはあくまで「イメージ」で装着しているだけだそうです。
メーカーとしてこれらのアクセサリーの使用を推奨、保証しているものではないそうです。ただ、使い方の一例として参考になりますね。
Xperia PROのリグはともかく、α本体のリグとしてこれで保護しておくとカメラ本体へのダメージがかなり軽減されそうです。
さて、そのセットアップされたα7S3とのセット展示はあとから見させていただくとして、まずは「Xperia PRO」本体の展示から見学していきます。
写真左が「Xperia PRO」で、写真右は私の「Xperia 1 II」です。Xperia 1 IIには純正ケースを装着しているんですが、ケース装着状態のXperia 1 IIの大きさとほぼ同じくらいのサイズにXperia PROはなります。
Xperia 1 IIのカバーを取った(写真右)ところでの比較です。こうするとXperia PROは上下左右奥行きすべてが皮1枚厚くなった印象になります。
画面サイズは6.5インチでXperia 1 IIもXperia PROも同サイズです。機能面でもそうですがベースはXperia 1 IIで、それをアーマードした感じになります。
アプリケーションで目新しいのは、今日の時点では「Network Visualizer」と「パフォーマンス持続モード」と「外部モニター」です。
現時点ではXperia PROもAndroid OS 10になっていて「Cinema Pro」や「Photo Pro」などもXperia 1 IIと同じバージョンのものが入っていました。この後、Xperia 1 IIはAndroid OS 11にバージョンアップする予定があり、それにより「Cinema Pro」や「Photo Pro」の機能追加と、スクリーンレコーダー機能がOSに追加されることになっています。
おそらくXperia PROも同じようなバージョンアップをするんでしょうけど、今のところは何のアナウンスもありません。
まずは「Network Visualizer」の様子を試してみようと思うのですが、展示しているXperia PROにはSIMカードがなにも入っていない状態になっています。これだと「Network Visualizer」は動作しないので、断って、自分が持っているドコモの5G回線契約のSIMカードを入れさせてもらいました。
「Network Visualizer」を起動すると、その時につながっている回線が表示されます。ソニーショールーム/ソニーストア銀座ではあいにく5G回線での接続ができず、4G LTEでの接続になるのですが、ご覧の通り、4G LTEでの接続の時も画面下部のアップロード、ダウンロードのスループットは表示されるようになっています。
5Gのミリ波の接続の時は上部の信号の受信方向の表示も機能するようになります。目で見て、電波強度がわかるようになっています。
なぜ、この様なアプリが用意されているのかというと、Xperia PROを使ってストリーミングでの伝送を考えてのこと。
周波数帯 | 指向性 | 使用用途 | |
4G LTE | 700MHz~2.5GHz | 電波が届きやすい | どこでもつながりやすい |
5G sub6 | 3.7GHz~4.5GHz | 電波が届きやすい | |
5G ミリ波 | 27GHz~29GHz | 電波が届きづらい | スタジアムなどホットスポット イベント利用など |
これはちょっと電波の伝わり方の話からしないといけないのですが、昨年春からサービスが始まった5G通信では周波数の違いにより「sub6」というのと「ミリ波」というのと大きく分けて2つの周波数帯を使っています。
周波数が低いと、その特性は「音」に近くなり伝送速度は遅くなるものの回り込んで電波を届けることができるためつながりやすくなります。周波数が高いと「光」の特性に近くなり障害物があると電波がつながりなくくなります。その代わり通信速度が速く大量のデータを伝送することが可能。
周波数の低いAMラジオは受信エリアが広いのですが低音質。周波数の高いFMラジオは高音質というのに似ています。
Xperia PROでは5Gの「ミリ波」に対応していて電波の直進性は悪いもののより高速でのアップロード、ダウンロードが可能になっています。ただ障害物には弱いため、「Network Visualizer」を使って、Xperia PROのボディの4方向に搭載されているミリ波のアンテナのどれを使っているのかが視覚的にわかるように表示を出しているわけです。
カズレーサーさんはWi-Fiを可視化してギャグにしていましたが、Xperia PROでは5Gのミリ波を可視化して、電波の強い方向などが見えるようにしている、というわけです。
5Gのミリ波どころかsub6ですら、まだ都内でもなかなかアクセスできない現状ではあまり意味がないんですが、イベント会場などでミリ波アンテナを中継用に立てて、そこでライブストリーミング伝送をすることができる、というのがXperia PROの特徴です。
普通に一般的な使い方をするときはこうしてYouTubeを見ながら「Network Visualizer」でLTEのスループットをモニターできる、というくらいの使い方になるかと思います。それでたまに「5G」の表示が出たら「あ、ここで5G通信ができるんだ」というのがわかるって感じでしょうか。
5G通信専用のアプリだと思っていたのですが4G LTEでもモニターできるというのは意外でした。
続いては「外部モニター」アプリです。
これはスマートフォンとして世界で初めて搭載したHDMIマイクロ端子からの映像入力をXperia PROのディスプレイに画面表示させるアプリです。録画機能などは搭載していなくて、あくまでもディスプレイにHDMI入力された映像を映し出すだけのアプリになります。
映像機器との接続は本体にあるHDMIマイクロ端子で行います。
本体の下部センターにHDMIマイクロ端子がカバー付きで用意されていて、データ伝送&充電に使うUSB type C端子はやや左側に寄ったところに位置します。
クレードル充電器を使われる方はちょっと注意が必要ですね。
ここにミラーレス一眼カメラ“α7S3”からのHDMI出力をそのままケーブルで接続すれば映像が映る、という仕組みです。
α7S3は通常サイズのHDMI端子を装備しているのでHDMI端子とHDMIマイクロ端子のケーブルを用意すれば接続できるのですが、α7S3以外のモデルでHDMIマイクロ端子を装備しているカメラの場合はHDMIマイクロ端子が両端についているケーブルが必要になります。今まで、そういう用途で使うケーブルってなかったと思うのでケーブル探しに苦労しそうですね。
で、最初に試してみるのですが、α7S3からの4K HDRの信号が、ちゃんと4K HDRで表示されるのかということなんですが、できました。
α7S3のピクチャープロファイルを操作して「PP10」のハイブリッドログガンマに設定すると。。。
ちゃんとXperia PRO側が4K HDR(HLG)の入力だと認識してHDR表示をしてくれています。画面を一度だけタップすると入力フォーマットが表示されるのですが、ここに4K/60P/HDRという表示になりました。
4K HDR信号をちゃんと4K HDR信号として表示してくれています。
ちなみにPP7~PP9のS-Logフォーマットの場合はどうなるか試してみると、この時は「BT.709」として表示されるのでSDR信号として扱っているようです。
α側に搭載されたモニターで正しい色、露出でモニターできるように「ガンマ表示アシスト」機能が搭載されていますが、それとは違っていて、PP10は本物のHDR表示にしてくれて、S-Logのガンマ表示アシストには対応をしていない、というものになります。
ガンマ表示アシストとは違い、本当のHDR表示でモニターできるのってすごいですね。
表示されている映像はピンチズームができます。もともと4K解像度で表示されているモニターですが、細部のフォーカスチェックなどもこれでできます。
ピンチズームしなくても画面のダブルタップで任意の倍率で拡大をすることもできます。デフォルトでは2倍表示になっているので拡大したい場所をダブルタップすると200%表示が一瞬でできます。
画面の左下には全体像が表示されていて、その中のどのあたりをクリップしているのかがわかるようにモニターされていて、ここで拡大位置を操作することが可能。
こちらは外部モニターアプリの設定項目です。
α7S3からのHDR信号(HLG)は自動で認識してくれていましたが、正しく認識されない場合は、色空間とHLGかHDR10かのHDR表示の指定もできます。
また、フレームラインや方眼、三分割のグリッドライン表示の変更もできます。
録画機能は搭載されていませんが、これを後日アップデートで実装されるであろうスクリーンレコーダー機能を使うことで動画の録画もできるようになりそうですね。
YouTubeなどへのストリーミングの際に、YouTubeアプリ本体には「外部モニター」アプリとの連携機能は搭載されていないのですが「Stream Yard」や「Stream Labs」などのアプリを使うと動画のストリーミングがXperia PRO単体でできるようになるそうです。
それと、入力されるHDMIからの映像信号ですが著作権保護された信号には対応していません。BDレコーダーからの出力を接続してもHDMIモニターとしては利用できないそうですのでご注意ください。
PlayStation 4との接続の場合ですがHDCP出力を無効にすることでゲーム映像は映し出すことができるかと思います。映像作品などはHDCPでの著作権保護が必要になるので映し出せないはずです。
遅延については“α”の映像を見る限りは私には感じられませんでしたが、ゲーム映像の場合はどうなるか、ちょっと未知数です。
なお、当店で持ち込んだHDMI→HDMIマイクロ端子ケーブルなんですが、これで自前の“α7S3”とXperia PROをつないでみたところ、ケーブルが対応をしていないみたいで映像が出力されませんでした。
そういえば4K ブラビアと、4K対応BDレコーダーとの接続の際も18Gbps対応のプレミアムハイスピードケーブルを用意しないと映像や音声が途切れるという問題がありましたが、ここで伝送されているのはまさに4K/60Pの18Gbpsの映像信号でした。
ちゃんとプレミアムハイスピードケーブル相当のHDMIケーブルを選んで使わないと映像がでないことになります。
ショールームで用意しているケーブルはATOMOS社製のHDMIマイクロケーブルなんだそうです。ほかのケーブルで試したらやはり映像が出ないケースがあったそうですが、このケーブルなら映像伝送ができるとのこと。
繰り返しになりますがメーカー推奨でもメーカーの動作保証品でもありませんが、参考までに。
ショールームでは提案展示ということでリグを組んで展示をしていますが、ここまで凝ったことをしなくても、アクセサリーシューにスマートフォンフォルダを装着したもので利用することもできます。
こちらはマンフロットのスマートフォンホルダーと、ソニーのアクションカム用アクセサリーで作ったアクセサリシューに装着できるセットです。
こんな感じで“α”に装着することもできます。
お手軽な4K HDRモニターとして使うことができます。
最後に「パフォーマンス持続モード」というアプリの話ですが、これはスタミナ持続時間を延ばすためのアプリではありません。逆です。本体が熱を持ってしまったときの動作制限を解除するための機能です。
外部入力を使っているときだけ利用ができるモードで、本体温度が上昇してもそのまま動作させることができるモード切替になります。
今はあまりいませんが「熱暴走でカメラが止まった」と勘違いをした話をたまに耳にします。本当に熱暴走をしていたらカメラは止まらずに壊れてしまうので、ある程度、熱を持ってしまったら自動で動作を停止する防止装置が働くようになっています。
もっと正確に言うとカメラが壊れてしまう温度よりも低いところに撮影している人間の手をやけどさせてしまう恐れがあるので、そういう温度で止まるように設計されているのですが、それを開放する機能が「パフォーマンス持続モード」でした。
ホルダーに固定するなど手で持たないで使うようにするときのモードです。こういうのも搭載されているんですね。
ということで、今回はXperia 1 IIには搭載されていない機能を中心にご案内させていただきました。数値でのXperia 1 IIとの違いについては昨日のblogエントリーで紹介をしていますので、そちらでご確認いただければ幸いです。
対応周波数なども海外で使われるケースを想定しているようでXperia 1 IIよりも対応バンドは増えています。
HDMI入力によるモニター機能と、5G ミリ波でのストリーミング伝送などの機能で武装したXperia 1 IIという内容になっているのがお分かりいただけたかと思います。
おサイフケータイ機能などは搭載されていませんので、普通に使うスマートフォンとしては「Xperia PRO」は向いてはいないと思います。
αシリーズの正確なモニターディスプレイとして必要な方が検討いただくモデルかと思います。
なお、Xperia 1 IIも間もなくOS 11へのバージョンアップがあり外部モニター機能が搭載されます。
現時点でも正しく接続をして、アプリを使うことで“α”のモニターとしてその気になれば使えます。写真は私のXperia 1 IIをα7S3のモニターとして使っているシーンです。
ただ、Xperia 1 IIにはHDMI入力がありませんので、UVC規格対応のビデオキャプチャーを使う必要があります。これを挟んでαからのHDMI出力をUSB type C端子に接続してアプリ「USB Camera」を使うことで、モニター利用ができます。
解像度はビデオキャプチャによってしまうのですが、私が使っている2,000円未満のビデオキャプチャーでも4K/30pまでの映像は出せました。
ただ、Xperia PROとは違いHDR信号には対応しないため、HDR信号をSDRのままで表示することになります。このあたりの話はまたOS 11へのバージョンアップがあったあとで詳しく紹介したいと思います。
以上、「Xperia PRO」のショールーム展示レポートでした。公表はありませんが、おそらくXperia 1 IIの本体ソフトウェアのバージョンアップと前後してXperia PROもバージョンアップすると思いますので(私の勝手な予想です)、その際に「外部モニター」アプリの映像をスクリーンレコーディングできるのか、などを試してきたいと思います。
“α7S3”と、3月発売の“α1”ではHEIFフォーマットでのHDR静止画撮影なども可能です。より正確なモニターが必要な方は一考されてみてはいかがでしょうか?
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