【レビュー】SIMフリースマホ『Xperia』で使った各社通信エリアの実値計測レポート
8月末で料金無料だった楽天モバイルの1G以下通信ですが、私も8月31日に解約をしました。正式運用が始まったのが2020年4月だったので2年ちょっとお世話になりましたが、その間にあちこち出かけるたびに基地局の記録や、通信可能エリアのログを記録してきました。
ソニー製品の話からは今回も脱線しますが、実際に、楽天モバイルの通信エリアがどんなことになっていたのか、私の生活圏内だけの話ですが実機で検証していますので紹介したいと思います。
こんにちは、店員佐藤です。
ソニーストアのSIMフリースマートフォンが登場したのが2020年8月でした。楽天モバイルが正式サービスを開始したのが2020年4月で、さらにキャリア各社が2980円の料金プランを始めたのは2021年春です。コロナ禍の中ではありましたが、携帯電話の通信プランについては激動の時代を迎えていて、そんな中にソニーストアがSIMフリースマートフォンの自社販売に踏み出したのは、結果的に大英断だったように思えます。
この2年あまりの激動の格安通信プランの登場と、ソニーストアのSIMフリースマートフォンのフラッグシップモデルの登場を表にしてまとめてみました。
2018年8月 | 菅官房長官「携帯料金を4割下げる余地がある」発言 |
2019年10月 | 楽天モバイル 先行サービス開始 |
2020年4月 | 楽天モバイル 正式サービス開始 契約から1年間無料 |
2020年8月 | ソニーストア SIMフリースマートフォン Xperia 1 II発表 |
2020年9月 | 楽天モバイル5Gサービス開始 |
2020年11月 | ソニーストア 5G通信対応 Xperia 1 II 出荷開始 |
2020年12月 | 大手キャリア 格安料金新プラン発表 |
2021年3月 | 大手キャリア 格安料金新プラン サービス開始 |
2021年4月 | 楽天モバイル 1GB以下 月額通信料0円プラン開始 |
2021年7月 | LINEMO 月額990円のミニプラン開始 |
2021年7月 | 東京●●●●●●2020開催 |
2021年9月 | povo 2.0 月額0円プランがスタート |
2021年11月 | ソニーストア W望遠レンズ搭載 Xperia 1 III 出荷開始 |
2021年12月 | ソニーストア 1型センサー搭載 Xperia PRO-I 出荷開始 |
2022年5月 | 楽天モバイル 月額0円プラン廃止を発表 |
2021年7月 | LINEMO 月額990円ミニプランの実質半年無料を発表 |
2022年8月 | 楽天モバイル 月額0円プラン廃止(実質0円は10月まで) |
ソニーショップ店員としてとにかく記憶に残っているのは2020年11月発売の「Xperia 1 II」の発売でした。確かその年の年間ヒット商品で数量的にもナンバーワンを記録するほどのセールスを記録しており、桁違いの売れ行きだったんです。
こうしてふり返って見ると大手キャリアの通信プランが月額2000円台に揃ってくるぞ、という話で盛り上がっている背景があったのと、契約から1年間無料という楽天モバイルのインパクトがあり、ソニーストアのSIMフリーモデルでは2枚のSIMカードを挿して同時に使えるデュアルSIM仕様に注目が集まっていたことがあると思います。
私もそうでしたが、まだ、ahamoが登場する前はドコモの「ギガホライト」などで毎月の通信量を気にしながら使っている時代。月末までこのペースだとギガが足りなくて料金プランがステップアップしてしまうなー、というときに楽天モバイルに切り替えて乗り切る、ということが出来ていました。
また、楽天モバイルは専用アプリを使うことで通話料完全無料で利用することが可能。ahamoのサービスに切り替えた後も、データ通信はahamo、通話は楽天モバイル、という使い方ができました。
昨年末に1型センサー搭載、Vlog撮影のための「Videography Pro」アプリが搭載されたXperia PRO-Iが登場してからは、もう無敵状態だったんですが、楽天モバイルが5月に0円プランの廃止を発表し、またまた市場の流れが大きく変わろうとしています。
当初、サービスエリアが広がるまで、契約から1年間だけ無料にして、あとは月額2,980円で使えますよ、というサービスだった楽天モバイルが、大手キャリアの低価格プランの登場で条件を合わせることができなくなり、急遽、1GB以下の通信は0円というプランを発表し、ユーザーのつなぎ止めをしていたように思えます。かけたハシゴを外された形で、それは大変だったでしょうね。
ただ、そこからは楽天さんが全社一丸になってエリア拡大に全力投球し一気にエリアを広げていく様は私も観ていました。これで月額2,980円で通信し放題です、とすれば他社にはないセールスポイントになるかと思います。
ということで、楽天モバイルの0円プラン最終月になる8月だったんですが、夏休みを利用して出来る限りあちこち出かけて電波計測をしてきました。最新の楽天モバイルの通信エリアですが、実際にどこまで広がっているのか自分で、身の回りだけになりますが検証。
利用しているのは2つのアプリです。
一つはフランスの会社が提供しているアプリなんですが「nPerf」というアプリになります。
こちらは全世界展開をしているんですが、各国の通信キャリアの電波状況をデータベースにしていて、スピードテストが出来るのと、通信速度のマップを見られる機能があります。データはすべてユーザーさんの検証によるもので、このアプリを使っているユーザーさん同士でマップを作って行く、ということをしています。
速度マップはこんな感じ。これはうちの近所の8月12日時点での記録になるんですが、左から「ドコモ」「KDDI」「楽天モバイル」のマップになります。オレンジ、赤が4G通信で、紫が5G通信のエリアです。電波は5Gだけど、大本は4Gを利用している「なんちゃって5G」の場合は4G通信と判断されてしまため、本当に5G通信をしているエリアだけが記録に残ります。
「アクティブマッピング」という機能があり、それをオンにしてユーザーがスマートフォンを持って移動すると記録を付けて行ってくれます。
河川敷などにまだ空白部分があり、これらは電波が飛んでいないところ、ではなく「まだ、誰も計測をしていないところ」になるので、こうしたスペースを狙って、自転車でサイクリングをしてきました。
こちらが最新のnPerfを使った通信エリアマップです。まだ、全面的に塗りつぶすところまでは行っていませんが、河川敷の周りの通信エリアがどうなっているのかだいぶ増えてきました。
ちなみにこのときはロードバイクのサドルバックにスマートフォンを3台入れてサイクリングしています。同時にahamoとpovoと楽天モバイルの計測をしてきました。当初は面で展開するドコモと、点で展開するKDDIの5Gエリアだったんですが、すでにかんりのエリアで5G通信ができるようになってきています。
ドコモなんて、河川敷まで5G通信ができるようになってきていますね。
そして、こちらは8月20日時点での新橋の近くにある「浜離宮」の様子です。コロナウイルス感染拡大があり、都立公園はしばらくの間、休園をしていたこともあり、楽天モバイルをもって電測しにいくことがながらくできなかったんです。
都内では珍しく、nPerfユーザーがまだ足を踏み入れていない、未開の地になっていました。ここがどんなことになっているのか、当店の夏休み明けに、ちょっと早めに出勤してグルッと一周、散歩してきました。
こちらが、そのあとの様子。最新の浜離宮の様子です。こうして比較してみるとKDDIの新橋周辺の5Gエリアが急拡大しているのがわかります。メイン回線はahamoで使っているので気がつきませんでしたが、今はpovo 2.0で使った方が都内だと通信速度が速いのかも。
楽天モバイルも地図を比較して見ると築地市場駅のあたりに5Gエリアが増えているみたいです。
ちなみに、楽天モバイルでは通信エリアのマップをホームページで公開していて、そちらのエリアをみると新橋地区はすでにほぼ全面的な5G通信対応エリア、ということになっています。
こちらも記録が取ってあるので比較してみると、図の左から「4月4日更新」のマップ、「9月1日更新」のマップ。そして最新の実際の通信速度マップです。表示エリアをできるだけ同じようにしているんですが、4月4日時点のエリアマップに今は近づいてきているかな?という感じ。
9月1日更新のマップになるのは、このあと半年後、という見方をしておくとよいのかも。
こちらの楽天モバイルの5Gエリアマップを見ながら、5Gの通信基地局を探しにいったりしているんですけど、これがなかなか見つかりません。5G通信ができるようになる予定のマップ、という見方をするのが正しいようです。
こちらの「nPerf」は無料でどなたでも利用ができます。自分で気になるエリアがあったら、気になるキャリアを選択してマップをひらくことである程度の目安がみられます。
特に機能制限もないので(広告表示があるくらい)是非、お使いになってみてください。
そして、もうひとつのアプリは「Network Signal」というアプリです。こちらはnPerfとは違って、クラウドでのデータベース共有などの機能はなく、ローカルに自分のスマートフォンにだけ記録が残るタイプの計測アプリです。
使っているキャリアの基地局を地図に残していきます。デュアルSIM仕様のソニーストアのXperiaの場合は、SIM1に入れているキャリアの通信だけしか記録が残らないので、記録を取りたいSIMは1番に挿して使います。
電波の強さは関係なく、通信をしている基地局の位置だけを記録。楽天モバイルの場合、自社回線のみでローミングしているauの基地局は記録を残しません。
ということで、最新データで関東一円を表示したものがこちらになります。これをみると福島や、伊豆半島に基地局が全然ないように見えますが、私がそこに行っていないだけの話です。ドコモ、KDDIのマップだとほぼ全国に基地局がちらばっているので、ドコモ、KDDIのマップでマークがついているのに、楽天モバイルだけ、マークがない、というところは、楽天モバイルの基地局がまだないところ、となります。
これで観ると矢印のついている上の方が途切れていますね。
ここは、この夏に行ってきた日光白根山のあたりです。日光から中禅寺湖に登っていって、奥日光を抜けて尾瀬の方へ向かって行き、沼田に抜けていったんですが、このあたりのエリアには楽天モバイルの基地局はまだ出来ていない、ということになります。
行ったことがある方はおわかりになると思いますが、この辺りは完全に山間部で10kmくらい、なにも建物がないようなエリアです。これは仕方がないですね。
逆にそういう所をのぞくと、まだ正式サービスから2年ちょっとしか経っていないのに、驚異的なエリアの広がり方をしています。
こちらは先日行ってきた房総半島の旅の様子。車移動だったのでクルマで移動しながら電測していました。あちこち切れ目があるんですが、これはアプリの不具合で記録ができていなかったところです。房総半島も沿岸沿いはほぼ全部、楽天モバイルの基地局が配備されています。山の中に入っていくと弱いんですが、そういうところは電車も通っていないところですからね。
外房線、内房線に乗って電車旅をしているときは楽天モバイルも自社回線での通信ができそう。2,980円での通信し放題プランの使い勝手が良さそうです。
nPerfでも記録を取ってあったので比較して見ます。上が房総半島の旅へ行く前の様子。下が現在の様子です。
楽天モバイルの線はあいにく海沿いにつながりませんでしたが、外房の鴨川までのラインは楽天モバイルの基地局で通信ができた、ということになっています。KDDIも今まで計測されていなかっただけでつながるんですが、さすがにまだこの辺りは5G通信はできないようです。
こちらは7月と8月に行ってきた富士山周辺の基地局の様子です。電波を受け取った基地局の位置情報をそのまま記録しているだけなので、基地局に誤った位置情報があるとへんてこりんなところにマークが残ってしまうことがあるんですが、これを見ると、楽天モバイルも富士山に基地局があるみたいです。
ちなみに河口湖周辺も基地局は普通にあるんですが、富士五湖周りで西湖や精進湖に行くと途端に基地局がなくなります。山の中は特殊なところでなければダメってことみたいですが、必要最低限のところを狙って設置している感じはします。
同じ所をnPerfで見てみると、こんな感じです。
現地で通信テストはしていないんですが、なんと、富士宮口から登山した7月のときに、山頂までの登山ルートで楽天モバイルが自社回線で通信をしているのがわかりました。
富士山の皮脂側の移動をしたのは2021年で、東側が2022年に計測しています。2022年に驚異的なエリア拡大をしているみたいなので、今、富士山の西側(見延あたり)に行くと、もっと電波が通じている可能性があります。
こちらはNetwork Signalアプリのデータベースを定期的にバックアップしてあり、楽天モバイルのデータを呼び出して時系列で並べたものです。
楽天モバイルがサービス開始した直後の2020年10月ごろは23区内だけしか自社回線での通信ができず(auローミングで全国的な通信は可能)、大宮でもチラホラしかなかった自社回線基地局が2021年5月には一気にそれ以外の市街地に広がっていき、2022年夏時点では人の住んでいるエリアではほぼ全域まで基地局が増えている様子がわかります。
通信速度についても私が通勤している京浜東北線の南浦和~新橋区間では、ahamoよりもやや反応が悪いくらいで、YouTubeやamazon musicの視聴を続ける分には特にトラブルなし。(というか、ドコモが赤羽周辺の電波が弱く、ahamoの方が途切れることが多いです)
なので、月々0円にこだわらず、月額990円とかにもこだわらず、2,980円でデータ通信使い放題という他にはないプランがあるので、これを利用するなら、そのまま楽天モバイルをメインキャリアとして使い続けるのもありかと思います。
私の場合はメイン回線を「ahamo」にしつつ、サブ回線で「povo 2.0」を現在は利用中です。
「povo 2.0」は月額0円で回線の保持ができるので、デュアルSIMのサブ回線にしておくのには、今後はもっとも便利。今年、ありましたが大規模な通信障害などがあったときは別キャリアの回線を持っておくと便利。
また、機器レビューなどでVAIOやスマートフォンXperiaなどの試用機を使う時に、2枚目のSIMがあると便利なんです。0円で半年保有しておいて半年に一度、300円ちょっとプランを契約するだけで回線を保有することができます。
それと、もうひとつ注目なのがソフトバンク系列の「LINEMO」です。こちらは半年間ですが月額990円のミニプランを契約するとPayPayでポイントバックしてくれる「実質」0円が利用できます。さらに、5分以内の通話がかけ放題という1,100円のプランを1年間無料で利用させてもらえるとのこと。
期間限定で半年だけですが、通話料無料のサブ回線をひとつ持つことができます。試しに私も楽天モバイルの終了と入れ替わりで申し込みをしてみました。
「Network Signal」での基地局取得はもうしません(大手キャリアは全国にすでに展開しているので)が、nPerfでの電波記録がこれでソフトバンク回線のものが出来るようになるので、半年後、ソフトバンクの新橋エリアでの通信エリアがちょっと増えて見えるかも。w
以上、店員佐藤の夏休み自由研究の発表でした。地域によって得手、不得手がありますので,ソニーストアのデュアルSIM仕様のXperiaをお使いの方は、是非、参考にどうぞ。
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