“α9″でRAW撮影する方にオススメ UHS-II対応SDカード『SF-G』の話
5月に発売になったデジタル一眼カメラ”α9″で、初めてUHS-IIカードに搭載スロットが対応。やっぱり、UHS-II対応カードに書き込みをすると速いんですか!?というお問い合わせを発売前にいただいていて、製品が出荷されたらすぐに試そうと思っていたのですが、ソニーの最速カード「SF-G」シリーズが”α9″の発売と同時に品薄になってしまい、カードが手元に無いためながらく試すことができずにいました。
やっとカードが店頭に入荷しましたので、実際に試してみたいと思います。
こんにちは、店員佐藤です。
デジタル一眼カメラ”α”をお使いの方でしたら、SDカードは単なる「SDカード」ではなく、容量によって規格が細かく分かれていることなどをご存じだと思います。正式には単なる「SDカード」は2GBまでの容量のもので2GBを超えて32GBまでのものを「SDHCカード」と記載します。32GBを超えたカードをSDXCカードとしていて、さらに端子の違い、転送速度の違いによってUHS-IやUHS-II、スピードクラスなどが細かく規定されています。
ちょっと前までのソニーのデジタル一眼カメラ”α”、サイバーショットであれば容量だけ気にしていれば、どのカードを使ってもあまり違いはなかったのですが、4K動画撮影ができる機種が登場したところから「使えるカード」が選ばれるようになってきました。
4K動画の撮影時には60Mbps、100Mbpsというビットレートの高い書き込みを行うことになり、それで転送速度の条件が出てきたわけです。今はファームウェアのアップデートがあって32GBや16GBのSDHCカードでも4K録画ができるようになりましたが、当初は64GB以上のSDXCカードでないと4K録画ができない時期もあったんです。
型名 | 容量 |
ストア価格 (税抜) |
読み出し 速度 |
書き込み 速度 |
UHS スピード クラス |
SF-G |
128GB 64GB 32GB |
14,880円~ | 300MB/s | 299MB/s | UHS-II |
SF-M |
128GB 64GB 32GB |
11,880円~ | 260MB/s | 100MB/s | UHS-II |
SF-UY2 |
256GB 128GB 64GB 32GB 16GB 8GB |
2,180円~ | 70MB/s | – | UHS-I |
SF-UX2 |
128GB 64GB 32GB |
7,680円~ | 94MB/s | 60MB/s | UHS-I |
そしてソニーのデジタル一眼カメラでは新たにUHS-II対応になり、さらに高速での書き込みを可能にしました。
従来は「SF-M」シリーズというUHS-IIカードがあり読み出しが260MB/s、書き込みが100MB/sというカードもあったのですが、これは読み出しだけ速くて書き込みは従来のカードとそれほど変わらないモデル。UHS-II対応のカメラがなかったので、PCでの読み出しの時にだけ高速化を狙ったカードで、当店でも1枚だけこれを持っていました。
今は販売が終了していますがVAIO Z CanvasのSDスロットがUHS-II対応になっていて、そこで高速読み出しができた、というわけです。
なお、UHS-IIとUHS-Iでは端子が違います。
写真の左2枚はUHS-IIカードで、右の1枚がUHS-Iのカードになります。カードスロットがUHS-I専用のものであれば、端子の外側の9個の接点を使って通信を行うのですが、UHS-II対応スロットではその奥にある小さな8つの端子を使って通信を行います。
これによりUHS-I専用スロットとの互換性を保ちつつ、UHS-II対応スロットでの高速転送を実現している、というわけです。
“α7R2″や”α7S2″の場合、ソフトウェアのアップグレードでUHS-II対応になるとかいうことはなく、あくまでもスロットのハードウェアの問題ということになります。
デジタル一眼カメラ”α9″はデュアルスロットを装備しており、下側にあるスロット1がUHS-II対応のSDXCカードスロットになってます。上側にあるスロット2はUHS-I対応のSDXCスロットとメモリースティックDuoにも対応するデュアルスロットになっています。
UHS-IIカードを用意できたら高速書き込みをするならUHS-II対応のスロット1を使わないと!というところですが、それに加えて、”α9″では同時書き込みをすることもできます。
記録モードで「標準」を選択するとスロット1もしくはスロット2のカードにすべて書き込みを行いますが、振り分け記録で「JPEG/RAW」を指定すると、データの大きいRAWデータをUHS-II対応スロットに、データの小さなJPEGデータは書き込みが遅いUHS-I専用スロットのカードに同時で書き込みをすると、さらに書き込みスピードがアップするんじゃないか?というわけです。
これを実際に実験してみたかったんです。
なお「記録メディア選択」なんですが「振り分け記録(JPEG/RAW)」に指定した場合、記録メディアとしてはスロット2を選んでおく必要があります。JPEGのデータをどちらに書き込むのか、を指定する形になっているので、ここでスロット1を選択してしまうとRAWデータをUHS-Iのスロットに書き込むことになってしまいます。
実験はすべて手動でおこなっています。スマートフォンのストップウォッチ機能を使って手動計測。”α9″のAF-S(レリーズ優先)の高速連写に設定して、レンスはSEL2470GMにしてます。撮影モードはシャッタースピード1/125に設定しました。
シャッターボタンを押し始めたところから連写が止まったところまでの時間を計測。さらにカードへのデータ書き込みが終わるまでの時間も計っています。バッファがいっぱいになるまでの時間といっぱいになったバッファをすべて書き出すまでの時間がこれでわかります。
テストはスロット1とスロット2、スロット1+スロット2でのJPEG+圧縮RAWデータの書き込みをテスト。ついでなのでJPEG FINEのそれぞれの書き込みテストもしました。
使用 スロット |
使用カード | 書き込み フォーマット |
連写時間 | 連写枚数 | 書込時間 |
SLOT1 | SF-UX2 | JPEG Fine |
約18.3秒
|
367枚 | 約88秒 |
SLOT2 | SF-UX2 | JPEG Fine | 約18.6秒 | 366枚 | 約88秒 |
SLOT1 | SF-M | JPEG Fine | 約18.4秒 | 365枚 | 約88秒 |
SLOT1 | SF-G | JPEG Fine | 約18.5秒 | 365枚 | 約88秒 |
SLOT1 | SF-UX2 | JPEG+ 圧縮RAW |
約11.5秒 | 223枚 | 約128秒 |
SLOT1 | SF-M | JPEG+ 圧縮RAW |
約11.5秒 | 227枚 | 約84秒 |
SLOT1 | SF-G | JPEG+ 圧縮RAW |
約11.9秒 | 232枚 |
約68秒
|
SLOT1+2 | SF-UX2 SF-G |
JPEG+ 圧縮RAW |
約11.8秒 | 231枚 | 約60秒 |
SLOT2+1 | SF-UX2 SF-G |
JPEG+ 圧縮RAW |
約11.5秒 | 226枚 | 約105秒 |
実際に測ってみて初めて気がついたんですが、JPEGで撮影するときはUHS-IIカードもUHS-Iのカードでも書き込みのスピードに差は出ないんです。計測時間の秒数のコンマ以下は誤差だと思ってみていただくと、連写してバッファがいっぱいになるまでの時間は全部一緒。JPEGで撮っているのか、JPEG+RAWで撮っているのかで、連写できる枚数が決まる感じです。
UHS-Iカードを使ってスロット1とスロット2を比較しても明確な差はなかったのでスロット1でしか実験をしませんでしたが、SF-Gカードを使っても特に書き込みが速くなることはないんです。JPEGデータの場合は書き込みスピードよりも演算によるJPEGデータの生成の方がボトルネックになっているみたいです。
差が出るのはRAWデータの書き込みのときでこちらはかなりのスピードアップが期待できます。最大書き込みスピード60MB/sのUHS-Iカード「SF-UX2」と、100MB/sのUHS-IIカード「SF-M」を比較しても128秒vs84秒でしっかりと差があるし、299MB/sの「SF-G」を使うとさらに高速な68秒になります。SF-UX2と比較するとほぼ半分くらいの時間で書き込みを行っています。
スロット1とスロット2の同時書き込みだと60秒になるので、さらに高速な書き込みができるのですが2枚に振り分けることでさらに倍、とかいう大幅な違いは出ない模様。これはJPEG生成の演算時間がボトルネックになっているのかもしれません。
スロット1のUHS-IIにJPEGデータ、スロット2のUHS-IカードにRAWデータを書き込む実験もしましたが、この場合はかえって書き込み時間が大幅に遅くなることがわかりました。
なるほど、お客様からのお問い合わせにお応えするための実験でしたが、大変勉強になりました。
JPEG撮影の時は「SF-G」カードを使っても特にスピードアップの恩恵はなく、高速書き込みに効果があるのはRAW撮影のときになる、ということで今後はご案内したいと思います。
「SF-G」カードは32GB(14,880円)と64GB(24,880円)、128GB(48,880円)のカードがラインナップされています。α9の発売直後は全部のカードが品薄になってしまっていたのですが、現在は128GBのカードのみが入荷次第出荷ステータスになっています。
スポーツ撮影などでカードの交換ができないケースでは大容量カードの方がよいのですが、通常の撮影なら64GBのカードにして小分けにして使う様にした方がリスク分散できて良いかもしれません。
“α9″でRAWデータでの撮影をされる方にオススメします。
SDXC/SDHC UHS-II メモリーカード SF-Gシリーズ |
ソニーストア価格: 14,880円+税~ |
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発売日 | 2017年4月24日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
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☆当店blog 17.5.31「UHS-II対応書き込み最高299MB/sの『SF-G128』がソニーストアに入荷」
☆当店blog 17.4.5「UHS-II対応のメモリーカード『SF-Gシリーズ』先行予約販売開始!」
デジタル一眼カメラ 『α9』ボディ ILCE-9 |
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発売日 | 2017年5月26日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
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