【これを読めば全てわかる!】見えないものさえ描ききる、高解像×AIプロセッシングユニット搭載のミラーレス一眼『α7R V』総まとめレビュー
ミラーレス一眼”α7R V”に関する当店の記事をまとめたページになります。機能や実機の様子、実際に”α7R V”で撮影した店員による作例などをご覧いただけます。
4..α7R V新機能チェック&お客様から頂いたご質問の検証
5.多摩動物公園で試す「α7R V」のAI被写体認識テスト&「α7R IV」との比較
■α7R Vの機能まとめ
”α7R V”は画像処理エンジンとは別に搭載した、AI処理に特化した新開発の『AIプロセッシングユニット』を搭載するなど、AFについては”α1”を超えるような被写体認識を実現したカメラになります。
特長をざっと書き出すと以下の通りです。
- クラス最高有効約6100万画素の35mmフルサイズイメージセンサーと最新世代の画像処理エンジン
- 従来比最大約8倍の高速処理が可能、将来を見据えた革新的な新アーキテクチャー採用
- α史上最高の解像性能
- α史上最高8.0段高性能光学式5軸ボディ内手ブレ補正
- 16枚撮影でより正確なR・G・B情報を取得、進化したピクセルシフトマルチ撮影
- 写真も動画も、カメラ単体で思い通りの表現が可能なクリエイティブルック
- 新しい鑑賞スタイル「HLG静止画モード」搭載
- 高圧縮効率ながら高画質のHEIFフォーマット対応
- 新開発AIプロセッシングユニットを搭載した次世代のAFシステム
- リアルタイム認識AFで[姿勢推定技術を用いて人物を認識][より幅広い被写体をカメラが認識]
- 粘り強く被写体を捉える「リアルタイムトラッキング」
- EV -4.0の暗いシーンでも高精度AFで被写体を捕捉
- 最高約10コマ/秒のAF/AE追随連続撮影
- フルタイムDMF機能をボディに新搭載
- ピント位置をずらして撮影するフォーカスブラケット機能
- 全画素読み出し8K 24pの圧倒的な解像度
- 画素加算なし6.2Kオーバーサンプリングによる4K記録
- 最大120pのハイフレームレート(フルHD)動画記録
- 編集の自由度を高める「16bit RAW外部出力」
- S-Cinetoneの表現力
- 業務用カメラとの親和性を高めたS-Log撮影
- 手持ち撮影を強力にサポートする高性能手ブレ補正アクティブモード
- 自在な調整ができる新開発4軸マルチアングル液晶モニター
- クラス最高解像度の広視野・高性能電子ビューファインダー
- 長時間連続録画を可能にする放熱構造
- CFexpress Type Aメモリーカードに対応したデュアルスロット
■ポイントとなる機能
”α7R”シリーズの5世代目モデルとして『α7R V』が発表になりました。先代の”α7R IV”と比較すると、BIONZ XRなどの搭載もあり、かなり大きな進化をしているのですが、その後、”α7S III”や”α1”、”α7 IV”という、新世代モデルが続々と登場し、最新UIを搭載する“α7R”シリーズとしては3年ぶりのフルモデルチェンジとなります。
”α”シリーズとして、今回のモデルで搭載した大きな進化ポイントはこちらになります。
- 次世代AFシステム「AIプロセッシングユニット」搭載
- 高解像性能を引き出すα史上最高の8段手ブレ補正効果
- 新開発4軸マルチアングル液晶モニター
他にも圧縮RAWで最大583枚の高速連続撮影を可能にする大容量バッファメモリーだったり、高解像8K24p動画撮影に対応していたり、Wi-Fi(802.11ac)2×2 MIMOに対応し、”α7R IV”比で2倍以上の高速データ転送ができたりと、大幅な進化をし遂げていますが、ひとまず3つのポイントに絞ってご案内したいと思います。
■point 1 新開発AIプロセッシングユニットを搭載した次世代のAFシステム
まずはα7R Vの説明にもある「新開発AIプロセッシングユニットを搭載による次世代のAF性能」についてですが、この威力は文章での説明よりもYouTube動画でご覧になった方がイメージがつくと思います。
たった3分の動画なのですぐに見られると思います。AIプロセッシングユニットを搭載することで、人物の姿勢を高精度に認識できるようになり、人物の瞳の認識精度が『α7R IV』比で60%向上。瞳だけではなく、人間の胴体・頭部の位置をより高精度に認識するようになりました。
こちらは製品説明の動画にある案内ですが、カメラの中の処理ではこうして人の姿勢を推定して、それで頭部、瞳の位置などを推定しているとのこと。
そのため、狙っている被写体をターゲットにするとモデルさんが向こうを向いていても頭部にAFポイントをもって行くし、手前を人が横切っても、そちらの人物に引っ張られず被写体を追うことができるそうです。
これは瞳AFが搭載されてから新モデルが登場するごとに感じるんですけど、瞳AFの精度はどんどんあがっていて、最初の頃はバストショットくらいでないと瞳を認識してくれなかったものが、全身ショットでも瞳を見つけるようになり、さらに遠く離れても見つけるようになってきています。
こちらはヘルメットをかぶったドライバーですが、人の顔などは見えないため、従来のものでは瞳AFで人物を追うことはできませんでした。しかし、最新のAFシステムでは、その姿勢から人物を検知して、ちゃんとドライバーの頭部をAFが追っています。凄いですね。
従来の人物、動物に加え、α7Rシリーズとしては新たに、鳥、昆虫、車/列車、飛行機に対応し、静止画、動画を問わず幅広い被写体を精度よく認識できます。鳥瞳AFも一部の機種には搭載がありましたが、動画を見ると鳥も瞳AFだけではなく、鳥の体を認識しているのがわかります。
動物に対する認識性能は約40%向上しているとのこと。今までにも何度かかシマリス撮影で動物瞳AFを試した事はありますが、撮影中、3~4割くらいの時間で瞳AFが発動している感じでした。これが40%向上すると5~6割くらいの時間、見つけてくれるようになるのでしょうか。
昆虫の認識もするそうで、寄ればチョウチョの頭部(胴体)、引くと羽根全体を緑のフレームで囲っているのがわかります。認識するのは「被写体全体または頭部」となっていますが昆虫は動物以上に様々なスタイルがあるので気になるところです。
車、列車、飛行機への対応もどういうところで認識してくれるものか、動画をみると、感じがわかります。列車の場合は先頭車両の正面を認識してくれるようです。
車の撮影もデモ映像にありましたが、正面を向いているときはヘッドライトを含む前面。車体を横から見ているときは車体全体を認識して追っているので、おそらく列車に関しても同様の動きをするんでしょうね。
飛行機の場合は機体全体を見つけていました。飛行機撮影だと背景というのが多くの場合、青空なので被写体認識はしやすい被写体なんですが、デモ映像ではわざわざ、こうして背景にビルがあるところで試しているところがニクいです。
メモリー内蔵積層型CMOS搭載の”α1”と、AIプロセッシングユニット搭載の”α7R V”で、どちらの方がAF精度が高いのか気になるところです。(飛行機の様に予想できる動きの場合は”α7R V”に分がありそうですね)
なお、最強無敵カメラの”α7R V”ですが、コントラストAFの測距ポイントは25点と激減しています。”α7R IV”や”α1”がコントラスト検出方式では425点での検出をしているので、かなりの減少になります。
像面位相差AFは”α7R IV”と比較すると567点→693点と増加しているので、これもAIプロセッシングユニットのおかげで位相差AFをピンポイントで使う方が有利、とかがあるのかもしれません。
■point 2 α史上最高 8.0段高性能光学式5軸ボディ内手ブレ補正
手振れ補正ユニットは”α”史上最高の8段の補正効果を実現。ボディ内光学式5軸手ブレ補正ユニットおよび手ブレ補正アルゴリズムの進化によるものとなっています。
撮影感度を上げたくない室内や夜景撮影などのスローシャッターでの手持ち撮影に効果を発揮します。また電源オン直後や構図変化時の補正レスポンスがさらに向上するなど、使い勝手も向上しているとのこと。
なお、この8段の手振れ補正効果を実現する組み合わせはSEL50F12GMを使い長時間ノイズリダクションをオフにしているときとなっています。レンズによって効果は異なりますが、開放F値F1.2のレンズで8段補正となると、かなりの効果が期待できそうです。 (ちなみに”α7R IV”や”α1”の5.5段の測定はカールツァイス「SEL50F14Z」で行われているので、レンズの手振れ補正向上の効果もあるかもしれませんね)
■point 3 自在な調整ができる新開発4軸マルチアングル液晶モニター
新開発の4軸マルチアングル液晶モニターの搭載も大きなトピックです。こちらもソニー”α”では初搭載です。”α99”シリーズに3軸チルト液晶というのがあって手前に引き出したり、バリアングルができて縦位置撮影でも使えるものがありましたが、さらに1軸加えて4軸のマルチアングル液晶になりました。
チルト液晶として手前に引き上げるのと、引き下げるので2軸。バリアングルで開くことで3軸、開いた液晶が回転できるので4軸となります。
上の写真の左をみると分かると思いますが、チルトで手前に引き出して、そこからバリアングルで開いているのがわかります。この状態で液晶が回転できます。こうして引き出して回転することでボディの左サイドにあるケーブル類に引っかからずに液晶モニターを回転させられるのがわかるでしょうか?
見やすさだけではなく、ケーブル接続をしているときの使いやすさも考えられた仕様になっているようです。
また、液晶パネルは3.0型→3.2型へ若干サイズが大きくなっていて、従来の”α7”シリーズとは異なる画面サイズになっています。モニター保護ガラスも新製品の「PCK-LG3」が必要になりますのでご注意ください。
■そのほかの注目ポイントまとめ
6100万画素という高解像センサーを搭載しているのも魅力ですが「そんなに画素数はいらないよ」という方もいらっしゃるかと思います。”α1”の時に、よく言われました。そういう方は6100万画素を使わなければ良いんです。
”α7R V”ではRAW撮影の際の画素数を減らして撮影ができるのと、ちょっとした工夫がされていてLサイズ、Mサイズ、Sサイズの画素数が、フルサイズとAPS-Cサイズで合わせられています。望遠撮影をすることが多い方は超望遠での撮影時にAPS-Cに切り替えて撮影されることもあるかと思いますが、そのときに画像サイズMで設定をしておくと、フルサイズで26M、APS-Cで26Mと、画素サイズが合うように作られています。これはたまたまではなく、プロからの要望があって搭載している機能なんだとか。
これだとフルサイズ撮影とAPS-Cでの撮影時に画像サイズがバラバラにならずにすべて同じサイズで処理、管理ができます。地味に好評な機能が”α1”から搭載されているんですが、これも”α7R V”に搭載されました。
1000枚以上の連写持続性能というのも「そのほか特長」にくくられています。”α1”よりも撮影可能枚数が多いのですが、”α1”は連写速度が秒30コマと桁違いなので一概に枚数だけでは比較ができませんが、8倍の高速演算が可能になったBIONZ XRと大容量バッファのおかげで、6100万画素という高画素機にもかかわらず、相当な連続撮影が可能になっています。
”α7S III”から搭載されたHEIFフォーマットでの撮影や、”α9 II”から搭載されているフリッカーレス撮影、高分解シャッター機能、さらにBluetoothによるスマートフォンの連携機能などは最新の”α7 IV”譲りの機能が搭載されているものと思われます。
比較表には記載がありませんが、モード切替についてはα7 IV同様にメゾネットタイプの二層モードダイヤルになっています。通常のモードダイヤルのように写真のPASMに加えて動画、メモリーモードではなく、下段で静止画、動画、S&Qを切替、上段でPASMを切り替えます。
写真撮影から動画撮影に移る際に、PASMをいじらずにモード切替ができて、スロー撮影の際も動画から簡単に移れます。α7 IV同様に各設定を個別に記憶させることができれば最強ハイブリッドカメラとして使えることになります。
「最近のソニー”α”は動画機能にばかり力が入っている」と、言われがちですが、”α7 IV”からは単に動画機能の充実ではなく、写真も動画もそれぞれ本気の機能アップが行なわれるようになってきました。
ここまでAFが進化すると撮影者はもうやることが無いんじゃないか!?と思ってしまうほど。今までフォーカスに気を取られていたリソースを、このカメラなら構図や光、露出、タイミングに集中することができるようになります。作品の精度はより高く、さらに研ぎ澄まされた表現を可能にするカメラになっています。
■α7R V 実機の様子
ソニーストアの展示では2台の“α7R V”が展示されていて、比較用に“α7R IV”も隣にあります。液晶タブレットも展示されていて、ここに“α7R V”の紹介動画と一緒に、いろいろな被写体の動画が流れています。これを“α7R V”でAF追従させるとファインダーに被写体の認識枠が出るので、AFの疑似体験ができる、という感じです。
装着されているのはSEL24105GとSEL70200GM2なんですが、これ、普通のレンズではありません。
手ぶれ補正のボディ&レンズ協調制御ができるファームウェアアップデートが行われたレンズで、この2本だけレンズ協調制御で動作する“α7R V”の動作確認ができるようになっています。
レンズ協調制御についてですが、“α7R V”の最高8段の手ぶれ補正効果というのはボディ内手ぶれ補正だけで実現しています。レンズとの協調制御をするとさらに良くなるとか、これがないと8段の手ぶれ補正効果が得られない、といったものではありません。
対応するレンズは現時点で「SEL24105G」「SEL70200GM2」「SEL100400GM」「SEL200600G」の4本だけです。(今後、対象レンズが増えるかどうかは不明)
これらのレンズを使うと静止画の際にはシャッター半押しでフレーミングしているときにレンズ内手ぶれ補正を利用し、シャッターを切った瞬間に、強力なボディ内手ぶれ補正8段効果が発揮されます。
実際に試してみると、シャッターを半押しにしていないときはリニアにファインダー像が見られるんですが、シャッター半押しにすると「ヌメッ」とした動きになります。
シャッターを切った瞬間だけ「手ぶれ補正効果8段」が動作するので、ファインダーを見ながらその手ぶれ補正の効果を体感する、という感じではないみたいです。
こうしたフレーミングを助けてくれる機能はSEL24105GとかSEL70200GM2よりも、超望遠のSEL100400GMやSEL200600Gの方が体感しやすいでしょうね。
そして4軸マルチアングル液晶モニターも試してきました。こんな風にグニャグニャにして液晶モニターを引き出すことができるんですが、チルト液晶、もしくはバリアングル液晶のどちらかの2軸だけを使って撮影する、どちらも利用できるというのが利点になるかと思います。
ボディ側面にあるHDMIケーブルやUSBケーブルで給電しながらの撮影をする際は、この4軸マルチアングルがかなり助かります。チルト液晶で手前にモニターを引き出しておいて、そこからバリアングルを使ったときにケーブルに干渉せずに好きな角度にすることができます。
地面に近いところで撮影するローアングル、ローポジション撮影の際も好きな角度にできるのは大きいのではないかと思います。
写真撮影ではあまりこういうことはしないと思いますが、動画撮影の際は操作パネルと画像確認のための外部モニターを足して撮影することが多いと思いますので、そういう際にも便利に使えそうですね。
4軸になたぶん、ボディが分厚くなっているんじゃないの?と思いましたが、確かに液晶パネル自体はバリアングル液晶のためのパネルが足されるので厚くなっているんですけど、それが出っ張っているわけではないので違和感はありません。
従来モデルの“α7R IV”と特に違いは感じられず、左側にヒンジがあるのでデザインがちょっと違うな、というくらいです。
ちなみに、こちらが“α7R IV”と並べたところです。左が“α7R IV”で、右が“α7R V”です。特に使い勝手で気になるような差はないかと思います。
こちらがメインメニューとして新たに追加された画面です。メニュー項目の2番目のところに位置していて、これを表示させておくと、タッチでそれぞれの項目を設定できるようになります。仕組みとしてはCinema Lineカメラ「FX30」で採用されたものと同じ仕組みなんですが、表示される項目は変わっています。
ちなみにこれは静止画撮影時のメインメニューになります。
上記の画面からホワイトバランスをタップするとこうした設定画面に移ります。
さて、細かい話になりますが、大容量メモリーカードを使う事になる“α7R V”ならではの便利機能ですが、フォーマットメニューに「クイックフォーマット」と「フルフォーマット」の二つが用意されています。
こちらがそのフォーマットの実行画面ですが、ここでゴミ箱ボタンを押すとフルフォーマットになります。
640GBや320GBのCFexpress type Aカードが使えるようになりましたが、こうした機能を搭載することで、撮影者の時間を極力奪わないようにしているんですね。
HEIFフォーマットでの撮影機能では4:2:2 10bitでの撮影が可能。RAWで撮るほどではないけど、できるだけ綺麗な写真データで残したい、というときに、HEIFを使っておくとX.FINEよりも高画質なデータで、しかもファイルサイズを小さくして撮ることができます。
撮影したHEIFデータですがソニーのImaging Edge DesktopでJPEGファイルに変換することができます。
ちなみに撮影したデータですが、圧縮RAWで63MB、HEIFだと7MB、撮影してきたHEIFをJPEG変換でもっとも高画質に書き出すと32MBというファイルサイズでした。
次世代画像ファイルと言われているHIEFは、RAWで撮影すると6100万画素もあるからデータが大きくなりすぎて…という時にRAWの代わりに利用されると良いかもしれませんね。
その、RAWの話ですが、“α7R V”では圧縮RAWと、非圧縮RAWと、可逆圧縮できるロスレスRAW(3サイズあり)の記録が選べます。実際にどれくらいのファイルサイズになるのかテスト撮影してきて、画像サイズを比較したのがこちらです。
圧縮RAW | 63MB | |
非圧縮RAW | 123MB | |
ロスレス圧縮 Lサイズ | 68MB | |
ロスレス圧縮 Lサイズ | 66MB | |
ロスレス圧縮 Mサイズ | 41MB | |
ロスレス圧縮 Sサイズ | 32MB |
.
ロスレス圧縮は絵柄によって圧縮率が変わってきて50%~80%くらいのサイズになります。6100万画素機ならではの、気になるポイントですね。
続いて「ブラックアウトフリーで連写できますか?」というお問い合わせですが、ブラックアウトフリーを実現しているのはメモリー内蔵の積層CMOSセンサーを搭載している“α9”シリーズと“α1”シリーズのみとなります。
“α7R V”ではブラックアウトフリーでの連写撮影はできませんでした。
こんな感じでブラックアウトします。
連写撮影スピードも“α1”では秒30コマを実現しているので、スポーツなどで動きの速いものを連写で撮影する必要がある、というケースでは“α1”のAF性能に分があるかと思います。
ドライブモードの変更ついでに「ブラケット設定」の項目があったので、こちらも機能を確認してきました。
ブラケット設定の中に「フォーカスブラケット設定」という“α”シリーズの新機能が搭載されています。
これは、模型撮影などで被写界深度が浅くなっている際に、フォーカスを順に送って手前から奥へ、少しずつフォーカスをずらして撮影し、あとで編集ソフトで合成してすべてにフォーカスがあっている写真を合成する、という機能になります。
フォトショップで編集ができるそうです。(ソニーのImaging Edgeでは不可)
そして、こちらは1ピクセルずつセンサーをずらして撮影する「ピクセルシフトマルチ撮影」です。三脚固定して美術品や建築物などのアーカイブ撮影に使うものになります。16枚撮影を合成するとなんと2億画素相当の絵作りができるという化け物みたいな機能なんですが、我々一般人がこれを使ってもあまり表示をする機会がないんですよね。
ただ、今のVlog全盛期だと、大きな写真を1枚撮っておいて、どんどんズームインして、なにか一部を拡大表示する、なんていう演出をするときに使えるかな? とか、店頭セミナーの時に話をしていました。
ピクセルシフトマルチ撮影は、電子シャッターで行います。撮影間隔を最短にすると、オートHDR撮影みたいに自動で4枚の写真が撮られて、あとでその4枚のRAWデータをImaging Edgeで合成してデータを完成させる、という流れです。
その仕組み上、被写体に動きがあるとぶれてしまい合成に失敗するところなんですが、新機能として動きがある部分を自動で検出して補正することができるようになったというので、わざと撮影中に手を入れたりして動きを加えて撮影してみました。
こちらが撮影してきた4枚の写真データです。1枚だけ手が入っているのと、実は背景にある紅葉もエアコンの風で揺れています。
これをImaging Edgeでの合成時にブレ抑制のオプションを入れることで補正をしてくれます。対応するのは“α1”と“α7R V”の2機種だけとなっています。
↑こちらはブレ補正を使わずに合成したものになります。わかりにくいんですが、左上の方に手の影が出ているのとモミジが揺れていてブレブレになっています。
↑こちらはブレ補正を入れたものです。手の影がなく、モミジも揺れていません。それと液晶パネルの画像も像の重なりがあったものが取れています。
手持ちで撮影が出来るようになった、とかではありませんが、一部の動きを補正できるので、これで風景撮影などでも使えるようになりました。波の動きがあるとか木々の風の揺れがあるシーンでも、精細な風景写真が撮れるようになりますね。
さて、ここからはお待ちかねの被写体認識大喜利です。上記の様な機材を持ち込んでAF機能を試させてもらいました。“α7R V”のAF動作はXperia PROを使ってキャプチャーしています。
被写体はXperia Z4 Tabletに動画や写真データを入れています。基本的に自分で撮った写真データが多いのですが、一部、α cafeに掲載されている写真も使わせてもらっています。特に昆虫の写真は持っていなかったので、こういうのは助かります。
まずはα7R Vの被写体認識機能を確認。フォーカス設定のメニューの中に「AF時の被写体認識」という項目があります。以前は写真はOKだけど、動画はだめ、とかいう制約も一部有ったんですが、今はメニューを見ると写真も動画も同条件で使えるようになっていますね。
ここで認識対象をみてみます。
今までは「人物」「動物」「鳥」という区分でしたが、その項目が増えていろいろな被写体を指定して使うことになります。ただ「動物/鳥」と一緒になっているのと「動物」と「鳥」が分かれているものとあります。
「動物/鳥」の項目を開いてみました。優先設定が「オート」になっています。
認識優先で動物を優先するか、鳥を優先するかが選べるようになっています。動物も鳥も撮るというシーンは多そうですし、そのときに切り替えをしないでも両方追えるように設定を作ってくれているようです。
同様に「車/列車」もひとくくりになっているのですが、こちらはそうした優先項目などはなかったので「動物/鳥」だけ特別扱いをされているみたいです。
さらに「認識部位」というのもあって、瞳だけや、体だけでも良い、といったものを動物と鳥と別々に設定することなどもできます。
かなり階層の深いところの設定になっていますが、動物写真家の方にはこれは撮影テーマによって設定を小分けにできる涙ものの機能になりそうな気がします。
そして、これらの被写体の切り替えですがデフォルトではメニュー階層の深いところに入ってしまっているのでカスタムキー設定でわかりやすいところにもってきてみたいと思います。
今回はC3ボタンに被写体の切り替えを設定します。
被写体認識で「認識対象切替」にしておくと、ボタンを押すごとに被写体を次々と切り替えることができます。
「俺は動物と鳥には興味は無いぜ! 乗り物だけでいくんだ!」という方は動物、鳥、昆虫、人物の項目を落とすことで、車/列車と飛行機だけにして使うこともできます。
これでカスタム設定ができました。
今は「動物/鳥」の設定になっています。先に認識した被写体の方にフレームがいくみたいです。
ここで認識対象を鳥にすると、鳥の方に強制的にAFが移ります。
ヤマガラなんて、瞳の位置が見るからにわかりにくそうなものですが、ちゃんと瞳を捉えるところがさすが。
新製品α7R VのAIによる被写体認識の様子は動画でもご紹介しています。10:09ごろからご覧いただくと動体に対してAFの挙動がお分かりいただけると思います。
こちらは顔選択の機能です。最大8人までの顔認識を行うことができ、選択可能な際はフォーカスの合っている人のところにオレンジのアンダーラインが表示されます。その状態の時に、マルチセレクターで顔を選ぶことができます。
当店の担当セールスさんだった藤田さんから畑中さんに枠が移動しました。
この機能は特になんの設定をする必要もなく顔認識が働いていたらデフォルトで使えるみたいです。ウェディングフォトなどで花嫁さんを撮る!というシチュエーションではなくてはならない機能ですね。
骨格などをみて人物の頭部、瞳を認識するとのことでしたが、こちらの模型でも帝国軍の方々の頭部をしっかり捉えられています。
人物選択でダースベーダーを選ぶこともできました。
これならいつ、帝国軍の公式カメラマンに抜擢されてもα7R Vがあれば大丈夫です。
最後に「BULBタイマー」機能をテストです。これはシャッタースピードを設定せず、自分でレリーズを押している時間だけシャッターが開いている、というもの。花火撮影とか夜景の光跡を撮るときとかに使います。
シャッタースピード優先のSモードだと30秒までしか選べません。
マニュアルモードのMモードにすると30秒の上にBULBという表示がでて、これでBULB撮影ができるようになります。
メニューから露出の項目に入るとここにBULBタイマー設定というのがでてきます。
これで2秒から900秒の間で設定ができます。今までだとプログラム機能付きのリモコンとかを用意しないといけませんでしたが、それすらも必要なくなりますね。
最後の最後に手持ち1.3秒で適当に撮影したショットがこちらです。
こちらは6100万画素からの100%サイズ切り出しです。
手ぶれ補正8段、すごいことになっているかも。手持ち1.3秒で、肘をついていたりそういうのなしで、本当にフリーハンドで撮っていてこれです。
ソニーαの手振れ補正はハンディカムの空間光学手ぶれ補正みたいに常時補正してくれていて手持ちでブラブラさせても補正をしてくれるというものではなく、シャッターを切った瞬間にだけ補正してくれる機能。6100万画素の高解像度を活かしてくれる補正をしてくれています。(すみません、今回は時間がなくて動画の手振れ補正は試していません。でも動画で8段分の手振れ補正とはなっていないので、そちらの効き目も気になるところですね。)
高感度耐性とか言っている場合ではなく、これが新しいαの力になるかも!
■α7R V 新機能チェック&お客様から頂いたご質問の検証
まず最初はスマートフォンとのBluetooth接続の話なんですが「α7 IV」から「FX30」「α7R V」の3機種が劇的に進化しています。
「α7R VとスマートフォンをBluetooth接続したけど、すごく良くなってた」というお話がありましたが、まさに私もそう思います。α1やα7Cまでのモデルと違って、α7 IVからは常時接続みたいな形になっていて、初期設定でαとスマートフォンをペアリングしておくと、次からは瞬時に接続できる感じです。
カメラの切り替え画面でも「ILCE-7RM5」「ILCE-7M4」「ILME-FX30」の3機種だけは別扱いのメニューになっていて、これらのモデルと、それ以外のモデルで登録方法も違っています。大きな世代チェンジがα7 IVで行われています。
こちらはカメラの設定画面になりますが、スマートフォン接続の項目に「電源OFF中の接続」という項目があり、これを「入」にしておくと、カメラの電源がオフになっていてもスマートフォンからカメラの中の画像ファイルにアクセスすることができます。
その証拠画像?がこちら。カメラの電源ボタンはOFFになっているのですが、そこにスマートフォンからアクセスが出来ています。この状態でスマートフォンとカメラがBluetooth通信で接続されていて、ここから「見る・取り込む」の操作が可能。
カメラバッグにカメラが入ったままの状態で、移動中にスマートフォンでカメラ内の撮影済み写真をチェックすること、画像ファイルをスマートフォンにコピーすることができます。
細かい話をさせていただくと、プレビュー中に画像削除するときなんですが、削除ボタン2通しで削除する、という機能もついています。
デフォルトでは削除ボタンを押すと確認画面が出て「OK」を選択しないといけないのですが「再生」>「削除」>「削除確認画面」>「2度押しで削除」を有効にすると、この画面が出ます。これもすごい便利です。
「フリッカーレスTvスキャン」という新機能の搭載もあります。これは“α7R V”で初搭載になった機能です。
“α7R IV”にもフリッカーレス機能は搭載されていたと思うのですが、“α7R IV”に搭載されているフリッカーレス機能は蛍光灯による100Hz、120Hzのフリッカーのみに対応したもの。
LED光源に対応するための高周波フリッカーレス機能は“α9 II”からの搭載になっています。(“α1”と“α7 IV”にも搭載)
「高分解シャッター」という機能がそれで、この機能を利用するとシャッタースピードが整数倍ではなく、もっと細かいスピードで設定ができるようになり、それを手動で操作してフリッカーのでないシャッタースピードを見つけて撮影する、ということをしています。
動画の場合のフリッカーはご存じの方も多いと思いますが、画面が明滅してチラチラするあれです。静止画の場合の高周波フリッカーというのは縞模様が出る現象で、プロジェクターの映像を電子シャッターで撮影したときなどに縞模様が出る現象のことです。
なかなか言葉では伝わらないと思うので、動画で実際の操作をご案内してみました。
プロジェクターは身の回りにないもので、LEDライト光源の灯りでテストしましたが、“α7R V”では自動でフリッカーレスになるシャッタースピードを見つけてくれます。
使い方と原理がわからないとこうした機能は、なかなか利用ができないと思うのですが、“α7R V”をお使いで室内での撮影時に覚えておくといつか役に立つ日がくるかもしれません。
“α7R V”を発売日に購入されて早速撮影を楽しまれているお客様から、Bluetoothリモコンの接続安定性が悪い、というお話をいただきました。
これは“α7R V”に限らず、今までお使いだった“α7C”でも安定しないとのお話。Bluetoothでつながることはつながるんだけれど、安定して使えないのでシャッターを切ろうと思ったときにシャッターが切れない、などストレスがあるとのこと。
これは“α7R V”というよりはBluetoothリモコン側に問題があるように思えて、当店の店頭展示機で試したのですが、確かに何か接続性が悪いのは感じました。
実は以前、同様のことがありリモコンをソニーさんに修理に出したことがあるのですが、結果は「電池の電圧不足」でした。amazonで安く売っているのでまとめ買いしたものを使っていたのですが、どうやら製品の質にばらつきがあるみたいで「変えたばかりの電池」でも電圧が足りなくて動作が安定しない、ということがあるようです。
いくつか試してみて正常に動作する電池があったので、それを今は使っています。「有名なお店で買ったから大丈夫」ではなく、新品でも電池の電圧を疑った方が良いかもしれません。(リモコンの不具合の可能性もありますので、全部のケースで電池の電圧のせい、とは言えないのですが、購入したときに付属電池ではちゃんと動作していたのに電池を替えたらおかしくなった、という場合は電池を疑った方が良いかもしれません)
先月、ご来店になったお客様から教えていただいた、動画撮影時の「フレキシブル露出」も“α7R V”で利用ができます。通常は「P/A/S/Mモード」になっている露出制御方式ですが「フレキシブル露出」モードにすることにより、静止画と動画でシャッタースピードやISO感度、絞りなどを別々に制御することができるようになります。
動画モードにしてから「撮影」>「撮影モード」>「露出制御方式」で設定変更ができます。これは一度使ったらもう手放せません。
操作方法にはちょっとコツが必要なので、上記リンクの記事でご覧いただくとご理解いただけると思います。“α7R V”で動画撮影もするのであれば、この機能も絶対使いこなした方がおトクです。
先週の金曜日に配信した“α7R V”の開梱レポート動画で紹介した「フォーカスブラケット」撮影。こちらも「凄い!」という声をいただいていました。その後、ちょっと気になることがあったので試してみたのですが、手持ち撮影でも利用ができました。
完全なフリーハンドではなく机に肘をついて、それなりにブレがないように気をつけての撮影ではありますが、手持ちで100枚のブラケット撮影をしてフォトショップで合成したところ、上手く合成ができました。
「フォーカスブラケット」撮影は手前から奥へ向かって少しずつフォーカス位置をずらしながら撮影する機能です。マクロレンズなどを使って、小さな模型などを撮影すると被写界深度が浅くなり、いくら絞ってもすべてにピントが合わない様な写りになってしまうのですが、この機能を使って撮影後に合成加工することですべてにフォーカスが合っているように見える写真撮影ができます。
合成するのにはAdobe Photoshopが必要になります。私は1週間の無料試用期間を使って試してみたのですが、やり方がわかれば簡単に合成ができます。
手持ちで若干の位置ブレがありながらも上手い感じで合成をしてくれました。ある意味、ピクセルシフトマルチ撮影よりもすごいかもしれません。これも手ぶれ補正8段の効果だったりして。
予告されていた「手ぶれ補正性能を向上」させるためのレンズのソフトウェアアップデートですが、こちらも試してみました。
レンズのアップデートをすると、手ぶれ補正効果8段がさらに向上する、というわけではなく、プレビュー中の画面のブレをレンズ手ぶれ補正で抑えてくれるようになります。
ボディ内手ぶれ補正の8段の効果は写真撮影時にシャッターを切ったときだけ作動します。なので「これ本当に手ぶれ補正8段なの?」とカメラをぶんぶん振り回してもその効果はわからないと思います。
それよりもこうしたテストをするとデジタル一眼カメラの手ぶれ補正量というのはそれほど大きくはなく、ハンディカムの空間光学手ぶれ補正とは違うことがわかります。補正量は静止画撮影の時にそれほど必要はないので補正幅が少なく、それよりも補正の質を高めることをしているんでしょうね。
なお、こちらの動画ですが、フォーカスオンにするとレンズ手ぶれ補正が効きます。フォーカス枠が緑に点灯しているときがAF-ONにしているところ。白枠になっているときはAFをハズしているところで手ぶれ補正が効いていない状態になります。
動画モードに切り替えると「手ぶれ補正アクティブ」が作動するので、このときはスタンバイ状態でも手ぶれ補正が効きます。静止画モードと動画モードで手ぶれ補正の働きが違っている様子がこれでご覧いただけると思います。
“α7R V”の連写性能でカタログ数値では秒10コマ撮影できるはずが実際には8枚しか撮れない、という相談もいただいていました。これは“α9”系のスピード一眼をお使いの方だったら「なんだ、そんな話?」というところかもしれませんが、高画素モデルの「Rシリーズ」をご使用の方は、あまり知る機会がないのかもしれません。
“α7R V”で、連写の最高スピードを出すには「HI」の上にある「HI+」というのを使います。「HI+」が秒10コマ、「HI」が秒8コマ、「MID」が秒5コマ、「LO」が秒3コマになります。
なんで「HI+」が特別扱いになっているかというと、これだけ「アフタービュー」になっているからなんです。原理まではわからないのですが秒8コマまでは「ライブビュー」になっていて、撮影データの処理前の映像を表示してくれていて、秒10コマの「HI+」だけは撮影データの処理後の映像が映る仕組みになっています。
そのため、流し撮りなどで被写体を追ってフレーミングを移動させながらの連続撮影の場合、ライブビューであれば普通に被写体を追いかけることができるところが、アフタービューだとこれが上手く追えなくなります。自分の腕が下手になったような感じがしてしまうんですが、秒8コマまでのライブビューを使えば違和感なく撮影ができると思います。
こちらは、先週末に試してきたシマリス撮影です。連写撮影はしてきませんでしたが、追いかけ続けることになるので、こういうときは「HI」までのライブビューで撮影した方が間違いがありません。
しかし、AIによる被写体認識、すごかったです。“α1”の4~5倍くらいの認識率で瞳を見つけてくれているかも。“α1”でシマリスを3~4割は見つけてくれている感じでしたが“α7R V”は8割くらい見つけてくれているかも。
こちらは月曜日に大宮駅で試してきた鉄道撮影です。
大宮駅に到着する新幹線なのでスピードは落としているし、一定速度でこちらに向かってくるだけなのでカメラとしてはAFが追いやすい被写体だとは思うんですが、列車認識、すごいです!
従来であれば、こういうシーンは「リアルタイムトラッキング」を使って、被写体をマークしてそれからカメラにAF認識を任せて撮影することになります。被写体をロックしてくれて、調子が良いときはそのままロックオンした被写体を撮影し続けることができるんですが、たまに「あれれ?そっちじゃないんだけど」という誤った被写体追従をはじめてしまい、肝心なときの信頼性がもう一歩、という感じがありました。
ですが、“α7R V”では100%です。動画でキャプチャー画像をみていただければわかると思うんですが、列車の先頭を捕まえたら、あとはもう全然離さないというか、誤った認識をしないので、これなら安心してカメラに被写体追従を完全に任せることができます。写真撮影のプロパイロットみたいな感じです。
こうなるとAFは完全に“α”に任せられるので、フレーミングや露出、シャッターチャンスに集中できるようになります。
本当にAFが合っているのかな?と、撮影前は疑ってかかっていたのですが、帰ってきてからPCで確認すると、どれも全部ちゃんとガチピンで撮れています。
スピードでは“α1”の方が上、という話は聞いていましたが、こうした一般的な撮影であれば私には“α7R V”の方が撮影しやすく思えます。リニアモーターカーの500km走行でフォーカスが追えるのか、とか試してみたくなってきますね。
このとき撮影してきた写真データのAFポイントなどを“α7R V”の再生画面でご案内するのと、撮影時に画面をキャプチャーしてきたので、こちらで“α7R V”のAF動画の様子がご覧いただけると思います。
Xperia PRO-Iを使ってHDMI接続で画面キャプチャーをするとファインダーが使えないため、腰でカメラを構えています。そのため、シマリス撮影時にはかなり画面が大ブレするので大画面で見る方はご注意ください。酔うかもしれません。
しかし、このシマリスのロックオンした様子や、新幹線の捉え方とか、カメラとして理想のAF追従をしてくれていませんか!? これで6100万画素でバッチリ高画素撮影ができるんです。
■多摩動物公園で試す「α7R V」のAI被写体認識テスト&「α7R IV」との比較
多摩動物公園に行って、本物の動物で被写体認識を試してきました。9時半に開園してそれまで1時間あるので、まずは腕試しで昆虫館へ。
ここには温室があって、ものすごい数のチョウチョが館内で放し飼いになっています。とても気温の低い12月ですが、まずはここで暖を取りつつ、昆虫撮影に挑戦です。
さて、まずこちらは“α7 IV”を使っての昆虫撮影から。“α7 IV”には「リアルタイムトラッキング」機能が搭載されており、AFエリアでトラッキングAFを選択し、ターゲットに合わせてからAF-ONにすると、形や色、模様から被写体を推測してAF追従させてくれる機能があります。
これを使えば大体の目標物の補足、撮影が可能。
ただし、昆虫撮影で目のところにフォーカスを合わせたい、頭部にフォーカスしたいというと、リアルタイムトラッキングではちょっとアバウトになります。
そういう時はAFエリアをスポットAFに切り替えて、手動でフォーカスポイントを合わせていきます。静止してくれているチョウチョとかであれば、これでバッチリ。かなり精度の高い撮影ができるようになります。
ここでカメラをチェンジ。新発売の“α7R V”でAI被写体認識による昆虫AFを試してみます。
いきなりすごいですね。見えにくい角度だと羽全体を大きな四角枠で囲むのですが、判別できるときは胴体というか頭部にAFをあわせに行ってくれます。すごい精度です。
AFエリアはトラッキングAFを使っているのですが、枠内になくても適当に被写体を見つけてくれるので、なんかもう適当にAF-ONボタンを押せばAFを探しに行ってくれる感じ。
“α7 IV”のトラッキングAFがだめで上手く撮れないといった話ではなく、“α7R V”の方が撮影がかなり楽になります。“α700”とか“α900”が出たときから思っていましたが、ハイクオリティモデルは初級者さんが使うと最も威力を発揮するんじゃないかと思ってしまいます。
こうして同じようにチョウチョが重なってくるシーンも多いのですが、こういうときにAFが引っ張られないように調整することもできます。
メニューから「フォーカス」>「被写体認識」>「認識対象」>「昆虫」に入っていき、さらに「昆虫」から右に入ると下記の様に「昆虫:詳細設定」という画面に入ります。
「昆虫:詳細設定」には上記の様に認識感度の調整やトラッキングAF時の動作についての詳細も設定できます。
このように同じような模様のチョウチョがいくつも折り重なってくる場合はできるだけ、同じ被写体を追い続けてもらいたいので「トラッキング 乗り移り範囲」を狭くして「トラッキング 維持特性」を粘るにすると良いようです。
トラッキングの維持特性を「粘らない」にすると、次々と新しい被写体を見つけてはそちらに乗り移ってしまいます。粘るにすることで、なかなか乗り移らないで同じ個体を追い続けてくれるようになります。
「乗り移り範囲」というのは画面内で被写体を見つける範囲のことで「狭い」にしておくと、現在追っている個体から離れているモノは無視してくれて、近いときにだけ乗り移りをする、という設定になります。
こうした細かい設定をすることで、より精度の高いAI被写体認識が利用できるようになる、というわけです。
α7R V+SEL70200GM2 F2.8 1/500 ISO200 焦点距離200mm
こちらはキャプチャー画面ではなく実際に撮影したデータを現像したものになります。今回はソニーの純正現像ソフト「Imaging Edge Edit」で現像しています。初めてRAW現像をする方にオススメのソフトで、αを操作するのに近い感覚で後から画質調整ができます。
好評のクリエイティブルックなども使えます。
頭部を拡大したところがこちらになります。
昆虫AFの場合は瞳AFが発動しているわけではないので、これはたまたま複眼のところにフォーカスがあっていたカットを選択しました。
6100万画素の解像度はハンパではありません。
お次は動物に移ります。こちらはサーバルの赤ちゃんですが、保護色に近い体なので認識率は低め。こういうときは「認識感度」を高いにするべきだったんですが、焦っていて設定をするのを忘れていました。夢中で子ども達を追いかけています。
しかし、α7R VのAI認識はほんとにすごいですね。被写体がこのサイズまで小さくでも瞳AFが効いています。
α7R V+SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/500 ISO1250 焦点距離400mm
今回のサーバルの子どものベストショットです。歩いているところを連写撮影できたんですが、どれも全部瞳にバッチリAFが来ていたので、脚の形だけで選ぶことができました。
こちらはキリンです。目にお食事中のキリンですが、この状態で瞳を見つけてくれているようです。ちゃんと瞳の位置にマークが来ていないのはご愛敬。撮影時に多少ずれたりはしているんですがマークの位置がずれているだけでAFはちゃんと瞳を探しにいってくれています。
横向きの体ですが、キリンの体はちょっと特殊なシルエットになるので認識率が低めかも。
アフリカゾウです。こちらは頭部の認識が得意みたいで、遠くからでも全身をフレーミングすると頭部に大きな四角が表示されます。
そのままズームしても瞳にAFは映らなくて、大きな枠のままで顔全体を認識しているようです。
なるほど、瞳を見つけられないときは頭部の表示にして顔にAFが来るように頑張ってくれてはいるようです。
移動してゾウの正面から狙うと両目がフレームに入ります。ここまで来ると瞳AFに乗り移ります。
動きが遅いので自分でスポットAFで目に合わせることもできますが、α7R Vならより楽に撮影することができるみたいです。
α7R V+SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/320 ISO500 焦点距離304mm
ゾウの瞳AFで撮影したカットです。拡大するとまつげまでちゃんとフォーカスされているのがわかります。
フラミンゴは「鳥AF」で認識されました。かなり脚が長く、立っているときも1本脚で丸まっている特異な姿の鳥になりますが、丸まっているところもちゃんと体として認識しています。
データベースにちゃんとフラミンゴも登録されているみたいですね。
丸めたタオルの様にしか見えないモルモットもちゃんと瞳AFが来ます。不思議、不思議。
ツキノワグマです。全身真っ黒ですが、これは正確に瞳AFが発動していました。これはもう、なんでもいけそう。
α7R Vは、従来の動物瞳AFでは難しかった「猿」でもバシバシAFがきます。AFが来すぎて、なにか似た様は岩とかで体認識をしてしまうこともあるのですが、そういうときは「認識感度」を低い方にすると正確にAI認識が働くようになります。
認識感度を高くするばかりではなく、ご認識が多いときはこうして低い方に設定を変更するということが可能。
猿山もたくさんの固体がいるので、ここは乗り移り範囲を狭くして、維持特性を粘る方向にして使います。
これでもう無敵状態。今まで苦労していたお猿さんの撮影が完璧になりました。人物瞳AFなみに効きの良い状態で使えます。
参考までに上記の写真は“α7 IV”です。“α7 IV”ではだめだ、猿は撮れない!ということはなく、被写体としては認識してくれているので大体、猿の顔にフォーカスは来ています。
“α7R V”だとより安心感の高い撮影ができます。
大人気のユキヒョウですが、こちらも認識率が高いですね。遠目に見ているだけで、しかも逆光状態なのに、シルエットを見つけて瞳AF発動してくれています。
岩と岩の間を一瞬だけすり抜ける、というシーンでも一瞬で瞳を見つけてくれます。
シーンによっては被写体の認識をするまでワンテンポかかることがあるんですが(昆虫とかでそう感じます)、こういう四つん這いで動く犬とか猫スタイルの動物は、瞬間的に認識してくれるみたいです。
ユキヒョウが降りてきて、なにやら木の幹をかじったりなめたりしています。間近でカメラを構えるチャンスだったのですが、このサイズになると、もうマグネットでくっついているかのように瞳AFが張り付きます。
α7R V+SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/320 ISO5000 焦点距離400mm
とても迫力のある写真が撮れました。
“α7R V”も良いんですがSEL70200GM2も最高! 現在、SEL70200GM2の納期は約2ヶ月目安くらいです。
画像キャプチャーは動画で行っていて、実際のAF動作の様子も紹介しようと思ってYouTube動画での解説ムービーも作ってみました。
最後に感じたのは、ちゃんと測っていませんがバッテリーの減りは早いかも。今回はあまりシャッターは切らずにAF動作の様子をキャプチャー撮影していただけなので、撮影枚数が多いとか少ないではなく、動作させて使っていられる時間が結構短いかも、という感じ。“α1”なみのバッテリー消費の速さかもしれません。
“α1”もそうですがAF性能が良いカメラはバッテリー消費も大きいんでしょうね。予備バッテリーの用意は“α7R V”の場合は1本は必要かも。
■「α7R IV」「α7R V」「α1」比較表
α7R V | α7R IV | α1 | |
ソニーストア価格 | 555,500円 | 438,900円 | 935,000円 |
発売日 | 2022.11.25 | 2019.9.6 | 2021.3.19 |
画素数 | 6100万画素 | 6100万画素 | 5010万画素 |
HEIF撮影 | ○ | × | ○ |
ピクチャーエフェクト | × | ○ | × |
クリエイティブルック | ○ | × クリエイティブエフェクト |
○ |
ピクチャープロファイル | PP1-11 S-Cinetone搭載 |
PP1-10 | PP1-11 S-Cinetone搭載 |
動画記録方式 | XAVC S XAVC HS |
XAVC S XAVC HS AVCHD |
XAVC S XAVC HS |
XAVC HS 8K記録 | 24P 4:2:0 10bit | × | 30P 4:2:2 10bit |
XAVC HS 4K記録 | 60P | × | 120P |
XAVC S 4K記録 4:2:2 10bit | 60P | × | 120P |
XAVC S 4K記録 4:2:0 8bit | 60P | 30P | 120P |
記録スロット | SD/CFexpress Type A | SD | SD/CFexpress Type A |
フォーカス測距点 | 位相差検出:693点 コントラスト:25点 |
位相差検出:567点 コントラスト:425点 |
位相差検出:759点 コントラスト:425点 |
検出輝度範囲 | EV -4~20 | EV -3~20 | EV -4~20 |
ファインダー形式 | 0.64型 943万ドット | 0.5型 576万ドット | 0.64型 943万ドット |
ファインダー倍率 | 0.9倍 | 0.78倍 | 0.9倍 |
ファインダーフレームレート | 60/120fps | 60/120fps | 60/120/240fps |
液晶モニター形式 | 3.2型 209万ドット | 3.0型 236万ドット | 3.0型 144万ドット |
角度調整機能 | 4軸マルチアングル | 2軸チルト | 2軸チルト |
シャッター速度範囲 | 1/8000~30秒 | 1/8000~30秒 | 1/32000~30秒 |
手振れ補正 | 8.0段 SEL50F12GM装着時 |
5.5段 SEL50F14Z装着時 |
5.5段 SEL50F14Z装着時 |
ピクセルシフトマルチ撮影 | ○ | ○ | ○ |
α7R V | α7R IV | α1 | |
連続撮影速度 | 最高10コマ/秒 | 最高10コマ/秒 | 最高30コマ/秒 |
連写可能枚数 JPEG L XFINE |
1000枚以上 | 68枚 | 182枚 |
RAW | 583枚 | 68枚 | 238枚 |
RAW(非圧縮)+JPEG | 88枚 | 30枚 | 78枚 |
NFC対応 | × | ○ | ○ |
Bluetooth | Ver.5.0 | Ver.4.2 | Ver.5.0 |
リモートコントロール | Bluetooth | 赤外線リモコン /Bluetooth |
赤外線リモコン /Bluetooth |
LAN端子 | × (USB-LAN対応) |
× | 1000BASE-T |
レンズ補正機能 | 周辺光量、倍率色収差、 歪曲収差、 ブリージング (動画) |
周辺光量、倍率色収差、 歪曲収差 |
周辺光量、倍率色収差、 歪曲収差 |
静止画撮影可能枚数 ファインダー使用時 (液晶モニター使用時) |
約440枚 (約530枚) |
約530枚 (約660枚) |
約430枚 (約530枚) |
実動画撮影時間 ファインダー使用時 (液晶モニター使用時) |
約145分 (約150分) |
約160分 (約170分) |
約145分 (約150分) |
質量 バッテリー、メモリー含む |
約723g | 約665g | 約737g |
.
上記は”α1”や先代モデル”α7R IV”と比較した表です。特に”α1”と比較してしまうと市場推定価格の560,000円が安く感じてしまいます。
とはいえ、”α1”には積層CMOSを使ったメモリー内蔵センサーのおかげで秒30コマの高速連写やブラックアウトフリーでの撮影ができるなどのメリットもあります。連写が必要なスポーツ撮影など動体にはスピードの”α1”で、あらゆるシーンでの高画素撮影が”α7R”という位置づけになるかと思います。
ちなみに6100万画素という高解像センサーを搭載しますが、この画素数はデータ量も破壊的で、なんせRAW撮影をすると1枚で60MBほどのサイズになります。非圧縮RAWで撮影しようモノなら1枚で120MBものファイルサイズになるため、消費するメモリーカードの容量もすごいことになってきます。
ですが、ご安心ください。今月、新製品でCFexpress type Aカードの新製品が発売されていて待望の640GBと320GBモデルが発売になっています。
従来のSDカードの4倍程度の書き込みスピードを実現する次世代メモリーカードですが、α7R Vはデュアルスロットをダブルで搭載しており、これを2枚差しにして利用可能。今までは80GBと160GBのカードしかありませんでしたが、今月以降は640GBの2枚差しでの利用ができます。
ちなみに価格もそれなりになっていて、11月11日発売の640GBカードは187,000円となっています。2枚ですと374,000円というとんでもない価格になってしまうのですが、それでも160GBカードを16枚持ち歩くよりは管理も楽になるかと思います。
こちらのメモリーカードの用意もα7R Vの購入と一緒に検討いただければ幸いです。
■店員が実際に撮影したα7R V作例
“α7R V”+ SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/1000 ISO2000 焦点距離400mm
“α7R V”+ SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/1000 ISO10000 焦点距離278mm
“α7R V”+ SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/800 ISO400 焦点距離400mm
☆当店blog 2022.11.30「【レビュー】デジタル一眼カメラ”α7R V”特別体験会&週末試用レポート」
α7R V+SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/320 ISO500 焦点距離400mm
☆当店blog 2022.12.15「【レビュー】多摩動物公園で試してきた”α7R V”のAI被写体認識テストレポート」
■お得な購入方法
My Sony ID ご登録でカメラ・レンズが10%OFF
ソニーストアではMy Sony IDを新規登録すると、AV商品が10%OFFになるクーポンが自動的に登録したIDにプレゼントされます。さらにMy Sony IDをお持ちの方には年2回ソニーストアの割引率クーポンをプレゼント。ぜひMy Sony IDをご登録下さい。
ワイド保証
メーカー直販のソニーストアでは強力な保証サービスを用意して販売をしています。
通常のメーカー保証1年が3年ベーシック保証という3年に延長されたものになっているのが初期状態で、さらに有料でソニーストアの保証をアップグレードすることが可能。
5年ベーシックは通常1年のメーカー保証を5年にするものなんですが、アップグレードして3年ワイド保証と5年ワイド保証を付けると落下破損や水没などの事故の際も全額保証をしてくれます。言うなれば動産保険の様な保証サービスになっています。
残価設定クレジット
返却時の買取予定価格を残価額として、その金額を差し引いた代金を24カ月の分割で支払いできる「残価設定クレジット」。最終回にあたる25カ月目のお支払方法は、買取りか返却か、お客様のご要望に応じて選択できます。
対象モデル:カメラ本体、レンズ※一部対象外の商品があります。
■テックスタッフ店頭購入特典のご案内
ソニーストアを初めてご利用になるお客様は保証についての割引クーポンをなにもお持ちでないと思うのですが、当店の店頭からAV商品の購入にソニーストアをご利用いただければ、3年ワイド保証、もしくは5年ベーシック保証を半額にするクーポンをプレゼントできます。(5年ワイド保証、“α”レンズやPlayStation製品など一部対象外製品があります)
3年ワイド保証、5年ベーシック保証の加入料は通常商品価格の5%程度に設定されているのですが、その保証アップグレード料金を当店では半額にすることができます。
αレンズは対象外になりますが、その分、αあんしんプログラムでカバーできるようご案内します。ソニーストアのご利用が初めて、という方にはたくさんのお得がありますので是非ご相談ください。
東京、新橋にある当店テックスタッフでは、店頭にてソニー製品のご購入相談を頂いた方へ様々な特典をご用意しております。“α7 IV”のボディを店頭にてお買い上げの方には店頭ご利用特典がございますので、ぜひご利用下さい。詳細は上記リンクにて。
時期によって特典内容も変わってきますので、ぜひお得にお買い求め下さい♪
デジタル一眼カメラ α7R V ILCE-7RM5 |
ソニーストア価格: 555,500円 税込 |
|||
発売日 | 2022年11月25日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
延長保証 | 5年ワイド:56,100円(税込) 3年ワイド/5年ベーシック:28,600円(税込) 3年ベーシック:無償 |
|||
ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ |
|||
テックスタッフ 店頭ご利用特典 |
10%オフクーポン(併用不可)プレゼント中 ウインターフェア特典あり ご成約記念品プレゼント ☆テックスタッフ店頭ご利用特典 |
.
☆ソニーストアの提携カード「Sony Bank Wallet」のご案内はこちらから