【レビュー】多摩動物公園で試してきた”α7R V”のAI被写体認識テストレポート
AI被写体認識を行うソニー“α7R V”がショールーム展示スタートしたところで、一度タブレットを使ってAI被写体認識大喜利をしましたが、月曜日の定休日に多摩動物公園に行って、本物の動物で被写体認識を試してきました。
なんでもサーバルの赤ちゃんが今月から公開開始になっているとかで、そちらも目当てにしてお邪魔してきましたので合わせてレポートしたいと思います。
こんにちは、店員佐藤です。
久々の多摩動物公園です。本当はパンダを見に上野動物園に行きたいところなんですが上野は月曜日が定休日でうちのお店のお休みと被っているんです。火曜日に有休を取って行こうかとも思ったのですが、サーバルの赤ちゃん情報をゲットして、いそいそと多摩動物公園にお邪魔してきました。
入場料は大人ひとり600円です。
ちなみに今は入場料の事前オンライン購入ができるそうで、QRコードをかざして入場することができるようになっているそうです。久しぶりに来てみたら進化していました。
さて、サーバルの赤ちゃん公開は現在は10時半~11時半の1時間だけの限定公開になっているそうです。9時半に開園してそれまで1時間あるので、まずは腕試しで昆虫館へ。
ここには温室があって、ものすごい数のチョウチョが館内で放し飼いになっています。とても気温の低い12月ですが、まずはここで暖を取りつつ、昆虫撮影に挑戦。
さて、まずこちらは“α7 IV”を使っての昆虫撮影から。“α7 IV”には「リアルタイムトラッキング」機能が搭載されており、AFエリアでトラッキングAFを選択し、ターゲットに合わせてからAF-ONにすると、形や色、模様から被写体を推測してAF追従させてくれる機能があります。
これを使えば大体の目標物の補足、撮影が可能。
ただし、昆虫撮影で目のところにフォーカスを合わせたい、頭部にフォーカスしたいというと、リアルタイムトラッキングではちょっとアバウトになります。
そういう時はAFエリアをスポットAFに切り替えて、手動でフォーカスポイントを合わせていきます。静止してくれているチョウチョとかであれば、これでバッチリ。かなり精度の高い撮影ができるようになります。
では、ここでカメラをチェンジ。新発売の“α7R V”でAI被写体認識による昆虫AFを試してみます。
いきなりすごいですね。見えにくい角度だと羽全体を大きな四角枠で囲むのですが、判別できるときは胴体というか頭部にAFをあわせに行ってくれます。
すごい精度です。
AFエリアはトラッキングAFを使っているのですが、枠内になくても適当に被写体を見つけてくれるので、なんかもう適当にAF-ONボタンを押せばAFを探しに行ってくれる感じ。しかも頭部を基本的には追ってくれるのでめちゃくちゃラクです。
“α7 IV”のトラッキングAFがだめで上手く撮れない、とかいう話ではなく“α7R V”の方が撮影が超ラクになります。“α700”とか“α900”が出たときから思っていましたが、ハイクオリティモデルは腕がハイクオリティな方が使うためのカメラではなく、初級者さんが使うと最も威力を発揮するんじゃないかと思ってしまいます。
こうして同じようにチョウチョが重なってくるシーンも多いのですが、こういうときにAFが引っ張られないように調整することもできます。
メニューから「フォーカス」>「被写体認識」>「認識対象」>「昆虫」に入っていき、さらに「昆虫」から右に入ると下記の様に「昆虫:詳細設定」という画面に入ります。
「昆虫:詳細設定」には上記の様に認識感度の調整やトラッキングAF時の動作についての詳細も設定できます。
このように同じような模様のチョウチョがいくつも折り重なってくる場合はできるだけ、同じ被写体を追い続けてもらいたいので「トラッキング 乗り移り範囲」を狭くして「トラッキング 維持特性」を粘るにすると良いようです。
トラッキングの維持特性を「粘らない」にすると、次々と新しい被写体を見つけてはそちらに乗り移ってしまいます。粘るにすることで、なかなか乗り移らないで同じ個体を追い続けてくれるようになります。
「乗り移り範囲」というのは画面内で被写体を見つける範囲のことで「狭い」にしておくと、現在追っている個体から離れているモノは無視してくれて、近いときにだけ乗り移りをする、という設定になります。
こうした細かい設定をすることで、より精度の高いAI被写体認識が利用できるようになる、というわけです。
α7R V+SEL70200GM2 F2.8 1/500 ISO200 焦点距離200mm
こちらはキャプチャー画面ではなく実際に撮影したデータを現像したものになります。今回はソニーの純正現像ソフト「Imaging Edge Edit」で現像しています。初めてRAW現像をする方にオススメのソフトで、αを操作するのに近い感覚で後から画質調整ができます。
好評のクリエイティブルックなども使えます。
頭部を拡大したところがこちらになります。
昆虫AFの場合は瞳AFが発動しているわけではないので、これはたまたま複眼のところにフォーカスがあっていたカットを選択しました。
6100万画素の解像度はハンパではありません。
続いてはサーバルの子ども3頭公開イベントです。
10月22日に誕生した赤ちゃんサーバルが12月8日から一般公開になり、現在は10時30分から11時30分の1時間だけが公開時間となっています。
新型コロナ感染拡大の防止策として、現在は約20名で観覧して、2分で退場、列の次の人たちが入場して2分観覧して交代、というのを公開時間内で繰り返しています。
平日の月曜日だったのですが、それでもたくさんの方が来場されていて50~60人くらいの方が順番で入れ替わっていました。
皆さん、写真目的ということのようで入場するとサーバルが見えるところへ移動してシャッターを切り始めます。
私も10時30分~11時30分まで列に入れてもらって撮影させてもらってきましたが6回くらいの撮影チャンスがあったかと思います。2分間の入れ替え制というのはなかなか良い感じで、時間によってはサーバルの赤ちゃん達が奥に引っ込んでしまっていることがあるんですが、次の回には表まで来てくれている、というのを繰り返しているので、結構、公平性がある感じです。
サーバルの子どもは3頭いるんですが、まとまって3頭が見えたのは一瞬だけ。
私の場所取りが下手っぴというのもあるのか、子ども達のお尻ばかり見ていた気がします。見えるところ、見えるところへ移動して撮影していましたが、場所を決めて、やってくるのを待っていた方が良かったのかなー。
保護色に近い体なので認識率は低め。こういうときは「認識感度」を高いにするべきだったんですが、焦っていて設定をするのを忘れていました。夢中で子ども達を追いかけています。
しかし、α7R VのAI認識はほんとにすごいですね。被写体がこのサイズまで小さくでも瞳AFが効いています。
動画撮影の際も同様にAI被写体認識をしてくれます。動画の場合も被写体認識の精度を微調整できるので設定を追い込むとより安定した動画が撮れるようになると思うのですが、なんせ、制限時間が1回2分なので、そういうときはもうぶっつけ本番になります。
AI被写体認識のおかげでラクになんでも撮れるようになる~、と、思っていたのですが、やはりそれなりに使いこなしのコツを学習する余地がありそうです。
α7R V+SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/500 ISO1250 焦点距離400mm
今回のサーバルの子どものベストショットです。歩いているところを連写撮影できたんですが、どれも全部瞳にバッチリAFが来ていたので、脚の形だけで選ぶことができました。
動物の子どもは毎日大きくなっていってしまいますので、小さな姿を撮影したい方はお早めにどうぞ。
さて、お向かいにはライオンゾーンがあるんですが、コロナ禍にリニューアル工事していたライオンバスが復活していました。1回500円で人を乗せてライオンゾーンを巡回しています。
AI認識で車AFにしたら、ちゃんとライオンバスも認識していました。(というか、これはライオンバスではなくてシマウマバスの様なw)
2倍テレコンを装着して目一杯の望遠にしてもこの画角ですが、この距離でも動物の体および瞳AFは発動します。
6100万画素あるので多少のトリミングもできます。
ライオンバスが復活してライオンたちも元気になっているような。オスの「ガオーッ」という声を4~5回聞くことができました。
では、ここから園内をAI被写体認識大喜利で一回りしてみたいと思います。
まずはキリンから。遠目にお食事中のキリンですが、この状態で瞳を見つけてくれているようです。ちゃんと瞳の位置にマークが来ていないのはご愛敬。撮影時に多少ずれたりはしているんですがマークの位置がずれているだけでAFはちゃんと瞳を探しにいってくれています。
横向きの体ですが、キリンの体はちょっと特殊なシルエットになるので認識率が低めかも。
アフリカゾウです。こちらは頭部の認識が得意みたいで、遠くからでも全身をフレーミングすると頭部に大きな四角が表示されます。
そのままズームしても瞳にAFは映らなくて、大きな枠のままで顔全体を認識しているようです。
なるほど、瞳を見つけられないときは頭部の表示にして顔にAFが来るように頑張ってくれてはいるようです。
移動してゾウの正面から狙うと両目がフレームに入ります。ここまで来ると瞳AFに乗り移ります。
動きが遅いので自分でスポットAFで目に合わせることもできますが、よりラクに撮影することがα7R Vならできるみたいです。
α7R V+SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/320 ISO500 焦点距離304mm
ゾウの瞳AFで撮影したカットです。拡大するとまつげまでちゃんとフォーカスされているのがわかります。
フラミンゴは「鳥AF」で認識されました。かなり脚が長く、立っているときも1本脚で丸まっている特異な姿の鳥になりますが、丸まっているところもちゃんと体として認識しています。
データベースにちゃんとフラミンゴも登録されているみたいですね。
丸めたタオルの様にしか見えないモルモットもちゃんと瞳AFが来ます。不思議、不思議。
クマの像がありました。こちらにもカメラを向けてみたのですが、ちゃんと瞳の位置を見つけてくれています。
色とかではなくシルエットで判断しているんですね。
ツキノワグマです。全身真っ黒ですが、これは正確に瞳AFが発動していました。これはもう、なんでもいけそう。
α7R Vは、従来の動物瞳AFでは難しかった「猿」でもバシバシAFがきます。AFが来すぎて、なにか似た様は岩とかで体認識をしてしまうこともあるのですが、そういうときは「認識感度」を低い方にすると正確にAI認識が働くようになります。
認識感度を高くするばかりではなく、ご認識が多いときはこうして低い方に設定を変更するということが可能。
猿山もたくさんの固体がいるので、ここは乗り移り範囲を狭くして、維持特性を粘る方向にして使います。
これでもう最強無敵状態。今まで苦労していたお猿さんの撮影が超完璧になりました。人物瞳AFなみに効きの良い状態で使えます。
参考までに↑こちらは“α7 IV”です。“α7 IV”ではだめだ、猿は撮れない!ということはなく、被写体としては認識してくれているので大体、猿の顔にフォーカスは来ています。
“α7R V”だとより完璧というか、安心感の高い撮影ができます。
α7R V+SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/320 ISO500 焦点距離400mm
うおー、こうなったら、猿の撮影をもっと挑戦してみたいかも。ついに地獄谷に行くときが来たかもしれません。
すごく難しいサイも頭部の認識までならなんとか。たまに瞳AFも発動するんですが耳のところにいってしまったり迷う感じはあります。認識感度を調整するともう少し精度があがるかも。
猿同様に難しかったオランウータンも瞳AFがバリバリきます。これはもう苦手とか言うことはなく、超得意被写体になったかも。
オランウータンの赤ちゃんでも大丈夫。まー、今までも人間に近いのになんでAFがいかないんだろう、という感じだったのですが、人間と動物が一緒に映ったときの優先度が付けられなかったから、とかいいうのがあるんですかね?
大人気のユキヒョウですが、こちらも認識率が高いですねー。遠目に見ているだけで、しかも逆光状態なのに、シルエットを見つけて瞳AF発動してくれています。
岩と岩の間を一瞬だけすり抜ける、というシーンでも一瞬で瞳を見つけてくれています。
シーンによっては被写体の認識をするまでワンテンポかかることがあるんですが(昆虫とかでそう感じます)、こういう四つん這いで動く犬とか猫スタイルの動物は、瞬間的に認識してくれるみたいです。
認識が早い!
ユキヒョウが降りてきて、なにやら木の幹をかじったりなめたりしています。なにか美味しい味がするんでしょうか? 間近でカメラを構えるチャンスだったのですが、このサイズになると、もうマグネットでくっついているかのように瞳AFが張り付きまくりです。
α7R V+SEL70200GM2+SEL20TC F5.6 1/320 ISO5000 焦点距離400mm
めちゃくちゃ怖い写真が撮れました。
“α7R V”も良いんですがSEL70200GM2も最高! 現在、SEL70200GM2の納期は約2ヶ月目安くらいです。
お隣のレッサーパンダまで来ました。こちらは遮蔽物が多めで、どうもそちらの遮蔽物に引っ張られる感じがします。手前に茂みがあるときに奥へ行ってしまって見失うことも多いみたいです。
被写体が認識しにくいというわけではないのですが、ここはん認識感度を高くしてみます。
トラッキングは粘る、乗り移り範囲は狭い、これが動物園撮影での基本かも!?
うん、これで撮影をするとレッサーパンダの追従性が上がった感じがします。なんでもかんでも“α7R V”まかせではなく、こうした微調整、必要ですね。
ワラビーも瞳AFがバッチリ。ちなみにこれはお腹を舐めていたときに外れた一瞬なんですが、お腹のところに見える小さい丸いチュコッとした何かが見えるんですが、多分、これはワラビーの赤ちゃんかなー。お腹になにかいるみたいです。
コアラです。駆け込みセーフというか、この一瞬後に眠りに入ってしまったのでラストチャンスで瞳AFを試せました。
寝入ってからも体認識はしてくれていました。コアラもバッチリです。
最後は来年の干支になるウサギです。ウサギの目の前に金網があり、こういうときは金網に引っ張られてしまうことが多く、被写体認識感度や粘る設定をいじってもあまり変わりがありませんでした。
それよりもSEL70200GM2についているDMF機能が秀逸で、フォーカスが外れたと思ったらすぐにフォーカスリングを回すことで瞳AF発動!にして使っていました。
SEL70200GM2と“α7R V”があれば、もう無敵です。(あと2倍テレコンも)
あと、最後に感じたのは、ちゃんと測っていませんがバッテリーの減りは早いかも。今回はあまりシャッターは切らずにAF動作の様子をキャプチャー撮影していただけなので、撮影枚数が多いとか少ないではなく、動作させて使っていられる時間が結構短いかも、という感じ。“α1”なみのバッテリー消費の速さかもしれません。
“α1”もそうですがAF性能が良いカメラはバッテリー消費も大きいんでしょうね。予備バッテリーの用意は“α7R V”の場合は1本は必要かも。
以上、多摩動物公園での“α7R V”の試用レポートでした。
画像キャプチャーは動画で行っていて、実際のAF動作の様子も紹介しようと思ってYouTube動画での解説ムービーも作ってみました。
明日、12月16日22時からプレミア公開をしますので、そちらも是非、お付き合いください。
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シミズ
2022年12月16日 @ PM 8:24
昔、顔を見て名前がわかるくらいユキヒョウばかり撮ってた時代もありましたw
その時は、まだペンタックスやキャノンを使ってて、目にピント合わせるのけっこう苦労しました。
今は動物も瞳AF…
かなり精度も良さそうですし、いい時代になりましたね〜
tecstaff
2022年12月17日 @ PM 6:56
コメントありがとうございます。
この日も一団で撮影されている方々がいらして、ここぞというシーンをずっとお待ちになっていたようでした。
動物瞳AFは以前から搭載がありましたが、その安定性というか追従感が劇的にアップした感じがします。
これで今後発売される動物図鑑の写真の質がさらにアップすることも期待できそうです。w