【Tips】α7Rシリーズ搭載の『ピクセルシフトマルチ撮影』でおうち遊び

ソニーのデジタル一眼カメラ”α7R4”と“α7R3”に搭載されている「ピクセルシフトマルチ撮影」って試したコトがありますか? せっかくソニーの高画素機Rシリーズをお持ちなら使わないともったいない!と、言いたいところなんですが、私もこの機能を使ったことがありません。
センサーが1ドットずらして複数回撮影し、それを合成してさらなる高解像な写真データを生成するとのことで、三脚必須、固定された場所で動きのないもの、風もないところでしか使えない、と言われてびびっていたんですが、自宅で簡単に試せます。
どんな機能なのか今一度ご案内したいと思います。

こんにちは、店員佐藤です。
コロナウイルス感染予防のための外出自粛要請ですが、先週までは「3つの密」を避ける様にすればよいか、という流れだったので、出勤前の早朝にあちこちの桜風景を撮影して回っていたのですが、東京都の感染者急増を受けて、現在は第2波の感染増を抑えるための自粛要請になっています。
今後は本当に最低限の外出にとどめ、自分でもできる限りの感染予防に協力をしていきたいと思います。今年の桜撮影はここまで。明日から天気が良いようですが桜撮影は控えたいと思います。
ただ、室内でも楽しめる“α”の撮影方法ということで、今回は”α7R”シリーズに搭載されている「ピクセルシフトマルチ撮影」について紹介をしたいと思います。

「ピクセルシフトマルチ撮影」というのは“α7R3”から登場した機能です。4枚の写真(もしくは16枚の写真)を撮影して後から合成してより解像感の高い、色情報を全て持った画像を撮影できる機能となっています。
原理としてはソニーさんのページで詳細をご覧いただきたいのですが、ベイヤー配列と言って光学センサーは色フィルターを搭載していて、全画素が3色の情報を持って撮影しているわけではありません。通常、グリーン×2、ブルー×1、レッド×1というRGBの4つのドットを並べて、その情報から色情報を補完して画像データを作っています。
それを手振れ補正機能を流用し、1ドットずつセンサーをずらして4回撮影してすべての画素にRGBの色情報を持たせると言うことをするのが「ピクセルシフトマルチ撮影」です。

“α7R4”では4枚の撮影をするモードの他に16枚の撮影をするモードも搭載しており、16枚撮影した場合は2億4080万画素(19008×12672ドット)もの超々高解像度写真データを出力することができるとなっています。
ただ、カメラが1ドットずつずらすほどの精度で撮影するのでカメラは微動だにしてはいけなかったり、動きがあるものでもいけないし、風でカメラがちょっとでも揺らいだらダメだし、と、ものすごいハードルの高い話を耳にして「どうせ、自分でそんな精度の高い撮影をすることはないや」と、思っていたのですが、試してみると意外にも簡単で、効果もかなり高く、私みたいな素人でも違いがわかるほどでした。
今回は店内で試しているのですが、使用したレンズはこちらです。

マクロレンズの「SEL90M28G」です。
メーカー作例をみると広角レンズを使って建物を撮ったり、美術品などのアーカイブをG Masterレンズを使って撮影したり、というイメージですが、マクロレンズでもこの機能は使えます。

とりあえず身近なモノで試したのがこちら。昨日、当店blogで紹介した鬼滅の刃のウォークマンですが、こちらの液晶画面を三脚を使ってマクロ撮影しています。
まずは、どんな風に撮影するのか実験なので、これで試してみます。
もっとも簡単な撮影方法はカメラメニューから「ピクセルシフトマルチ撮影」を選んで撮影します。オフ、4枚、16枚から選べるので、それぞれで撮影をしてみます。撮影の際はブレをなくすため三脚は必須。それとカメラのブレをとにかく抑える必要があるのでBluetoothリモコン「RMT-P1BT」を使います。

最短距離で撮影したモノがこちらです。フォーカスはマニュアルで合わせています。カメラで撮影した際はまだ「ピクセルシフトマルチ撮影」の合成した写真データは出てきません。
撮影したデータをPCに取り込んで「Imaging Edge Viewew」で撮影したデータを探し、これを合成する作業を行うことで写真データが完成します。

ピクセルシフトマルチ撮影をしたデータは特にマークなどは付いていないのですが、該当する写真データを選んでおいて、「編集」>「ピクセルシフトマルチ撮影 画像を合成して調整する」を選ぶと、自動で合成作業をします。

ここで合成したデータを「Imaging Edge Edit」に移してくれるので、あとはそれを普通に現像出力して完成させます。
カメラで撮影するだけではなく、PCでの合成作業が必要で、その合成をすることができるのは今のところソニーの現像ソフト「Imaging Edge」のみとなっています。
ちなみに、撮影データは偉いことになります。
6100万画素の“α7R4”での撮影時ですがRAW撮影を非圧縮モードで行います。“α7R4”の非圧縮RAWファイルは1枚117MBです。4枚撮影の場合は1カットだけで470MBになります。16枚撮影にいたっては1カットで1.8GBにもなります。ハイレゾオーディオのアルバム1枚分に匹敵するほどのファイルサイズになります。
64GBのSDカードを用意していても35枚ほどしか撮れないって、フィルムカメラみたいになってしまいますね。

カメラ単体で撮影するほかにPC接続をして「Imaging Edge Remote」を使う方法もあります。こちらの場合はカメラ設定はすべてPCで行い、シャッターを切る動作もPCからのリモートで行えます。
撮影したデータはカメラのメモリーカードではなくPCに取り込んでしまうのでメモリーカードの容量などを気にする必要はありません。

PCを使う場合はその場ですぐに合成写真を確認することができます。美術品のアーカイブなどでまとめて大量にピクセルシフトマルチ撮影をする際は、PCを使った方が効率はかなりよくなるかと思います。

「Imaging Edge Viewer」を使って見比べてみると、なるほど、簡単に違いがわかります。Viewerには2枚の画像を並べて比較する機能が搭載されています。画面の一番右上にあるアイコンで2つ並んでいる画面のアイコンを選ぶと合成前の写真と合成跡の写真が観られるのですが、その違いは一目稜線。

こうして見比べてみるとピクセル毎にならぶRGBのセルがくっきりはっきり見えるし、色の彩度も違ってきます。(↑これは4枚合成と16枚合成を比較しています。)

こちらは1枚撮影と16枚撮影の比較です。かなり画像を小さくしてしまっているので見分けにくいと思いますが、これをフルHD解像度のPCディスプレイで見るとはっきりくっきり違いがわかります。
撮影時にエアコンと空気清浄機を止めて撮影していますが、特に床などの防振対策などはしていません。普通に三脚を立てて撮っているだけですが、このレベルでピクセルシフトマルチ撮影ってできるものなんですね。
なんだ、簡単、簡単。
16枚合成の時の合成にかかる時間が10分近くあるので、ホイホイと使える感じではありませんが、そんなに神経質にならなくても1ドットずつのピクセルシフト撮影ってできるものですね。

続けて別のモノでテストしてみます。wena wristなどでたびたび登場しますが、私が20代の時に購入したタグホイヤーの自動巻きの腕時計があります。これも撮ってみます。
針を止めなくてはいけないのですがリューズを引いたら秒針が止まってくれたので、それで撮影をしています。

この程度では違いはわからないのですが、さらに拡大して100%ピクセル等倍などにすると違いが出てきます。

20年以上、中を開いたことはないのですが、こうして拡大して観てみると針には微妙に傷がついていたりするんですね。このギズの解像度がかなり違って見えます。
Flickrにオリジナル画像を掲載しました。
↑こちらが1枚だけで撮影した画像です。
こちらが4枚のピクセルシフトマルチで撮影した画像です。ダウンロードして拡大してご覧いただくと細部の表現がかなり違って見えると思います。
あれですね。星雲や天の川を撮影した時に天体ソフトを使って解像度を上げる合成をしますが、それに近い感覚かも。
【追記】
違いがわかりにくいというお声があるようなので部分拡大したモノを掲載します。左がノーマル撮影で右がピクセルシフトマルチ撮影です。それぞれ等倍で切り出しています。画像をくりっくしていただくとドットパーピクセルでご覧になれます。
蛍光パーツの縁取りのところのキラキラの解像度が違うのがおわかりいただけると思います。


こうした細部のところで違いがでるのですが画像全体を見たところでは人間の目では差を見つけにくいと思います。

近所のスーパーへ行ってキウイを買ってきました。ナイフで切って断面を撮影したモノがこちら。

これは4枚合成(写真左)と16枚合成(写真右)の比較です。16枚合成をすると解像度が4倍にあがるので、同じ倍率で拡大するとご覧の様な違いになってしまいます。
まーこれも情報量が増える、増える。
これも部屋の中で普通に撮影していますが、ピクセルシフトがずれてしまって、いまく合成ができていない、という感じはまったくありません。
ピクセルシフトマルチ撮影入門で、まず最初にマクロレンズを用意して、身近なものを拡大撮影してみると面白いかも。現像に時間もかかるので、これで1日仕事になりそうです。

ちなみに先週、房総半島で撮影してきた星景撮影ですが、実はこのときにもピクセルシフトマルチ撮影を試しています。このときはシャッタースピードが5秒くらい開いているので、ピクセルシフトの撮影間隔がやや長めになるのですが、それがそのまま影響しました。

灯台の部分がぶれていることはないのですが、肝心の星が動いてしまいました。なるほど4点の光になってしまいました。このときは20mm F1.8の広角レンズを使っているんですが、やはり被写体が動いてしまうとダメですね。やるならポータブル赤道儀などを使う必要があるかも。
星などを撮るわけではない、日中の風景撮影であれば、極端に風が強いとかでなければピクセルシフトマルチ撮影はいけるかもしれないですね。
ご自宅の中で試すことができる「ピクセルシフトマルチ撮影」です。大事にしているアンティークな小物やバイク、クルマなどの乗り物、ジュエリーなどを、この機会にしっかりとアーカイブ撮影してみる、というのはいかがでしょうか?
必要なのは三脚とリモコンとマクロレンズと、そして“α7R4”もしくは“α7R3”です。
★ソニー“α7R4”「ピクセルシフトマルチ撮影」のご案内はこちらから
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ソニーストア価格: 399,000円+税 |
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| 発売日 | 2019年9月6日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
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ソニーストア価格: 329,880円+税 |
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| 発売日 | 2017年11月25日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
| 延長保証 | 5年ワイド:37,000円+税 3年ワイド/5年ベーシック:19,000円+税 3年ベーシック:無償 |
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| ソニーストア 購入特典 |
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| デジタル一眼カメラα マクロレンズ SEL90M28G |
ソニーストア価格: 134,880円+税 |
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| 発売日 | 2015年6月26日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
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5年ワイド:14,000円+税 3年ワイド/5年ベーシック:7,000円+税 3年ベーシック:無償 |
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ソニーストア価格: 6,750円+税 |
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| 発売日 | 2019年5月 | メーカー商品 情報ページこちら |
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