【レビュー】超軽量&AF高速化の秘密を探る『SEL70200GM2』ショールーム実機レポート
29%の軽量化と、最高4倍のAF速度を実現した『SEL70200GM2』が22日よりソニーショールーム/ソニーストア銀座にて先行展示をスタートしました。当店でも取材させてきていただき、その超軽量化されたレンズの軽さ、AF高速化の秘密を探って参りました。
生まれ変わった「SEL70200GM2」の秘密をレポートします。
こんにちは、店員佐藤です。
当店では22日より店頭フェアを開催している関係で1日遅れでの取材になってしまったんですが、ソニーショールーム/ソニーストア銀座で先行展示がスタートしている「SEL70200GM2」の実機を拝見させてもらってきました。
展示はI型の「SEL70200GM」と並べての比較展示になっており、向かって左に「SEL70200GM」、右にII型の「SEL70200GM2」という並びになっています。
ほぼ同じサイズのレンズなのですが、見分けがつくようにI型のほうにだけでかでかとレンズフードに「SEL70200GM」というシールが貼られており、スタイリストさんの気遣いが感じられます。
また、今回も撮影データの持ち帰りが可能なんですが、最初からテスト撮影用に入っているデータカードを取り出して入れておけるように、こんなお皿も置いてあります。
試用が終わってから自分のデータカードを取り出すのを忘れてしまうのをこれで防げます。(当店でも取材時にはメモリーカードケースをわざとテーブルの上に置いておいて、それでメモリーの取り外しなどを最後にチェックする癖をつけていますので)
せっかくなのでI型とII型を並べて撮影させてもらっています。写真左がSEL70200GM2で、写真右がSEL70200GMになります。レンズ先端にフォーカスリングがあるのですが、これの幅がやや狭まっているのがII型で、フードをみると花形になっているのがI型、円形フードになっているのがII型というので区別がつきます。
29%の軽量化を実現したII型ですが、実際に重量を実測。SEL70200GM2だけ盗難防止ワイヤーがついている状態になりますが、それほど重量のあるものではないので、10g前後の誤差があるくらいと考えられます。全域F4のSEL70200Gも同じ条件で計測した結果がこちら。
レンズのみ | +三脚座 | +フード | +キャップ | |
SEL70200GM2 | 1052g | 1129g | 1237g | 1258g |
SEL70200GM | 1468g | 1546g | 1642g | 1663g |
SEL70200G | 841g | 945g | 1018g | 1037g |
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いやー、測るまでもなく持ってみればすぐにわかる軽さ。「これって中身はプラスチックレンズとか使っているのか!?」という驚異的な軽さになっていて、こうして数値で比べてみると、F4通しで使えるベイビーGレンズ「SEL70200G」に近い重量だというのがわかります。
SEL70200GM2の三脚座を外せば、ほぼSEL70200Gと同じ重量で、イメージするのは「SEL70200G」の軽さですよ、と言えます。
特に女性の方で重量に耐えられず、SEL70200GMではなくSEL70200Gをお使いになっていた方にしたら、SEL70200Gからの乗り換えを検討できる軽さになっていると思います。
なるほど、実機を触ってみるとファインダーをのぞく前に、この軽さに感動しまくりますね。
重心が手前側に移動しているのもポイントで「SEL400F28GM」などもあのサイズと重さにもかかわらず、取り回しがしやすいのは手前側に重心を持ってきているからで「SEL70200GM2」も同様の取り回しのしやすがあります。(写真左がII型、写真右がI型、II型は三脚座でレンズ単体の時に自立することができます)
レンズに手を添えず、カメラのグリップを握っただけで持ち歩くのも楽々です。なるほど、こういうレンズの進化の仕方もあるんですね。
その軽さの秘密「その1」がこちら。
まずはレンズ構成です。レンズの枚数が6枚減っていて、特に赤い囲みの部分のレンズが軽量化にかなり効いているそうです。単にレンズを少なくするだけだと描写力は大丈夫なの?となりますが、真ん中にあるED非球面レンズが大きな役割を果たしており、これにより新開発のレンズ構成が可能になっているそうです。
レンズの解像力を示すMTF曲線を比較したときもワイド端の70mm、テレ端の200mm時にそれぞれ解放でレンズ周辺の落ち込みを防いでいるのと、周辺部も素直な落ち込みになっていて、変わった形のカーブにはなっていません。
これだと周辺部まで解像度の高い描写が可能で、それで上記の様な作例が用意されるんですね。風景撮影にも、この軽さのレンズなら持ち歩きたくなります。
そして、軽量化の秘密「その2」がこちら。
フォーカシングモーターが新世代のものに一気に入れ替わりました。見るからに軽量化されたのがわかる違いになっています。
I型では前方にリングドライブSSMという回転系のモーターが使われていて、後ろ側に2つのリニアモーターを搭載していました。大口径F2.8の重いフォーカスレンズを駆動するための重装備になっていました。
II型ではSEL400F28GMで登場したXDリニアモーターを4基搭載。後ろ側で2つのレンズ群を動かしていて、これを強力な直線動作のモーターで駆動しています。
リングドライブと違ってレンズを回転させることなく、前後に直線で動かせるため慣性も少なく静粛でスムーズなAFを可能にしています。
これが軽量化&最大4倍の高速AFを実現している秘密になります。
さらに秘密「その3」としてレンズ内のフレームにマグネシウム素材を使うことでも大幅な軽量化を行っており、これらの積み重ねがあって「29%」という猛烈な軽量化を実現しています。
特に前方の軽量化が大きく、取り回しの向上にレンズ構成、フォーカシングモーターの配置などが貢献しているのがわかります。
さて、外観の違いも見ていきたいと思います。
写真左がII型、写真右がI型で、II型には絞りリングが新設され、その分、フォーカスリング(前方側の黒い部分)の幅が狭められているのがわかります。
そして先端に装着されているフードの形状も変わりました。
II型では円形フードを採用。I型は花形フードでした。
花形フードの方が先端が長くなっていますが、これは主に70mmのワイド端での遮光に効き目があるとのこと。200mmのテレ端では違いはほとんど出ないそうです。
それよりはこうしてレンズを下向きにしてカメラを置いたり、レンズ交換時にもフード側を下向きに置くことが多いと思います。そうした際には花形フードよりも円形フードの方が安定して置けるというのは見た目にもわかります。
あとは形状が複雑な花形フードの方が、どこかに接触してしまったときに破損する可能性が高そう。いろいろな事情から形状を変更してきたものと推測できます。
フードの形状を見ると壁がII型の方が肉厚になっていて、スライド窓を見てもより頑丈に作られているのがわかります。
あ、ちなみにこの窓が何のためについているかというと、偏光フィルターを使っているときのフィルター回転用の窓です。
ほとんどの方がご存じだとは思いますが、偏光フィルターは空をより青く写したり、ガラスなどの写りこみを軽減するためのフィルターです。
フィルターの先端が回転できる仕組みになっていて、ファインダーなどで映像を確認しながら、反射光が一番少なくなるところをフィルターを回転させて探す、ということをします。
その回転作業の際に長いレンズフードがついていると指が届かないため、窓が用意されていて、ここからフィルターの回転に指を入れる、というわけです。
偏光フィルターを使っていないときは窓は閉めておくのが正解です。水面の反射なども抑えられるので、ウォータースポーツの撮影のときにも利用すると良いかと思います。
なお、このレンズフードですがI型とII型では形状が変わっていて、お互いに交換して装着することはできません。II型にI型のフードをつけるとロックが出来なくなっていてI型にII型フードをつけようとすると、そもそもはまらないようになっています。
流用できませんのでご注意を。
三脚座は同じ形状になっていてこちらは交換して装着することができます。
ここは写りには関係のない部分なので共通化されているんですね。
機能面を紹介していきたいと思います。レンズの左側面にスイッチ類が集中配置されていて、目新しいものもいくつか見つけられます。
まずは一番したにある「IRIS LOCK」ですが、こちらは絞りのロックスイッチになります。単純に絞り値をロックするためのものではなく、操作が自動で「オート」に切り替わらないためのものになります。
新設された「絞りリング」ですが「A」の位置にするとカメラ側のダイヤルで操作ができるようになり、それ以外の部分は指定の絞り値で撮影ができる状態になります。
この「A」と最大絞り「F22」の間を不意に切り替わらないように用意されたスイッチで、「A」の位置で「IRIS LOCK」を入れると、絞りリングは動かなくなります。
「22」よりも右の方に行っているときに「IRIS LOCK」を入れると、F2.8~F22の間で自由に操作ができます。
単なる絞り固定のためのスイッチではなく、レンズ側とボディ側での絞り操作を固定するためのスイッチになっています。こういうスイッチはαレンズでは初めての搭載になるかと思います。
「FULL TIME DMF」というスイッチも見慣れません。
これはAF-Cにしているときもフォーカスリングを操作すると一時的にマニュアルフォーカスに切り替えて操作できるスイッチになります。
フルタイムDMFをオンにして操作するとこんなことができます。
AF-Cで手前に雑多な障害物があると、そちらにフォーカスが引っ張られてしまいます。
このときにAFを働かせたままの状態でフォーカスリングをぐるっと回すと。。。
こうして、その奥にある被写体へフォーカスを強制的に持って行くことができます。
実はI型もこの機能が搭載されているんですが、ハードの機構的な問題でフルタイムDMFが使えるレンズになっていました。
ただ、フルタイムDMFのままで使うと、不意にフォーカスリングに触ってしまったときにいつでもフォーカスがずれてしまう、という問題もあり、おそらく、それが不満としてフィードバックされることがあったんでしょうね。
今回は「FULL TIME DMF」のスイッチ搭載により「フルタイムDMFがオフにできる」というのが新しいポイントになります。これをオフにしておくと、不意にフォーカスリングを触ってしまってもフォーカスがずれないで使えるようになります。
スイッチはなんでもオンにしておけば良いわけではなく、操作について自分にあったものを選択する必要があるわけです。
手ぶれ補正機構に「モード3」が搭載されました。
モード1から3にすると手ぶれ補正の効きが強力になる、というものではなく、1は通常の手ぶれ補正。2は流し撮り用となっています。そして新設の「モード3」はなにかというと、ファインダーの見え方をより自然にするものなんだそうです。
モード1で使っていると、たまに切り替わりのタイミングでファインダー像がガクッと動くことがあるらしく、それが起こらないようにファインダー像が自然に近いように見やすくするためのモードで、これもプロカメラマンからのリクエストをフィードバックして搭載しているそうです。
動きの激しい被写体を追っているときにファインダー像が見やすくなることがあるそうです。モード1と使い比べてみると違いがわかるかもしれません。
モード3が搭載されているのは「SEL400F28GM」「SEL600F40GM」「SEL200600G」の3本だけ。SEL70200GM2は4本目のモード3搭載レンズになります。
ちなみにモード2の流し撮りモードですが、これを腕の下手っぴな私みたいなのが使うと、波打つような流し撮りの光跡がビシッと1本の直線になるというすごい効果があります。ですが腕の立つ方が使うと、かえって使わない方が歩留まりが上がる、ということもあるそうです。流し撮りに慣れていて自分で直線的な動かし方をできる方は手ぶれ補正機能は使わない方がよい、ということもあるそうですので、これも使う方の腕次第で切り替えて使うものになります。
最短撮影距離もI型より短くなりました。ワイド端70mmで0.4m、テレ端200mmで0.82mになりI型の200mm-0.96mよりも14cm近づけます。
最大撮影倍率は0.3倍でI型の0.25倍からの進化でより被写体を大きく写すことができるようになりました。
ショールームでの造花撮影ですが、このぼけのグラデーションはしびれますね。フォーカス面から徐々にぼけが大きくなっていく様は、抜群です。
純正レンズならではのメリットとしてはテレコンバーターレンズが使えるということもメリットの一つになります。
SEL70200GM2もテレコンが使えるので2倍テレコンで400mmをF5.6で利用することが可能。
テレコンバーターレンズはレンズの中央部分を拡大して使うものになります。絞り値が2倍(もしくは1.4倍)になるのはテレコンのレンズが暗くしているのではなく、単に撮像される画角が面積で4倍(もしくは約2倍)狭まってしまうから。
虫眼鏡で拡大してレンズを覗いているような形になるので、装着するレンズの解像度そのものが高くないと使えないため、こうした解像度の高いズームレンズでだけ使えるアクセサリーとなっています。
レンズ構成がかわり解像度がよりアップしている「SEL70200GM2」ならテレコンバーターレンズも安心して使えます。
SEL100400GMとSEL70200GM+2倍テレコンとどっちが使い勝手が良いか、という論争もありましたが、70mmやF2.8が使い分けできること、そしてこの軽量化を考えるとSEEL70200GM2+テレコンという使い方に今後は軍配があがるかも♪
あいにく時間がなくて動画作例などは撮ってこられなかったのですが、試し撮りしたところではAFの静音性、スピードともにSEL135F18GMを思わせる仕上がりかと思います。
α1やα9IIなどの最上位モデルとの組み合わせだけではなく、α7IIIや、α7Cとの組み合わせで使ってもメリットはかなりありそうです。
なんせ軽いのでα6400などのAPS-Cカメラと組み合わせてもバランスが取れそう。これはかなりの争奪戦になる予感しかしません。(というか、効いている初回出荷本数の目安を聞くと今回もかなりの激戦になるとしか思えません。)
α7 IVの噂も聞いていたので、SEL70200GM2と人気が二分すればなんとかなるのかな?と、思っていたのですが、α7 IVが海外で12月発売で、日本ではまだ調整段階となると、これは一極集中になりそう、というのも怖いところです。
以上、ショールーム展示の実機レポートでした。
ソニーストアでの予約販売開始は10月26日10時からの予定となっています。
もともとソニーストアをご利用の方はソニーストア予約一択だと思いますが、初めてソニーストアで購入される方は「αあんしんプログラム」という会員プログラムがあるので、こちらの入会準備を今のうちにしておくことをおすすめします。
「αあんしんプログラム」はソニーストアの有料会員サービスで、ソニーストアでのレンズ購入時、カメラボディのメンテナンス、有料セミナー受講の際に割引サービスなどを受けられます。
レンズの優待販売については「3年ワイド保証」や「5年ベーシック保証」が無料になるほか、「5年ワイド保証」も半額で利用ができるなど、レンズの購入額の5%程度の優待が受けられる、もっとも魅力的な優待内容になっています。
「ワイド保証」というのは通常のメーカー保証に加えて、落下、水没などの破損時にも無料で修理サービスが受けられるというもので、通常の量販店などの保証と違い、修理上限額や回数上限などがなく、何度でもサービスを受けられるものとなっています。(全損で交換対応になるとそこでワイド保証は終了します)
非常に強力な保証サービスとなっていて、ソニーストアでソニー製品を購入される方のほとんどが、このサービス加入を目的とされています。
その保証料が3年なら無料、5年も半額で加入できるのが「αあんしんプログラム」です。ソニーストアでのレンズ予約購入時に申し込みができますので、是非、こちらもご検討ください。
保証サービスを使うかどうかで損得を考えるよりも「保険に入っているから今回の旅行にも持っていこうかな」と活動の範囲を広げてくれるのがワイド保証です。
「SEL70200GM2」で人生の新しい冒険に出てみましょう!
【2023年2月1日に価格改定されました】
G Master 望遠ズームレンズ SEL70200GM2 |
ソニーストア価格: 363,000円 税込 |
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発売日 | 2021年11月26日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
長期保証 サービス |
5年ワイド:33,000円 3年ワイド/5年ベーシック:16,500円 3年ベーシック:無償 |
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ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ |
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テックスタッフ 店頭入特典 |
実機を当店店頭にて展示しています テックスタッフ店頭ご利用特典のご案内 |
当店店頭では10月26日(火)は朝9時30分より特別営業。オータムフェアの店頭特典をご利用の上、ご予約ができます。
火曜日に店頭までお越しになれる方は是非ご利用ください。
10月26日予約開始当日も当店blogにてソニーストア最新情報をお届けします。当店ホームページのチェックもどうぞ!