【これを読めば全てわかる!】グローバルシャッターとプリRECで瞬間を正確に写し撮る、フラグシップミラーレス一眼『α9 III』総まとめレビュー

世界初のグローバルシャッターを搭載した、フラグシップミラーレス一眼「α9 III」に関する当店の記事をまとめたページになります。
機能や実機の様子、実際に「α9 III」で撮影した店員による作例などをご覧いただけます。
なお、7月17日にソニーより「一部製品の出荷価格改定に関するお知らせ 」が掲載され、8月1日より全部で90製品が値上げになることが分かりました。平均価格改定率は約10%になっています。
9割近くがカメラ製品で”α9 III”も値上げ対象です。7月31日までが値上げ前の最後の駆け込み購入チャンスとになりますので、今のうちにご検討になってみて下さい。
4.新時代の幕開け! グローバルシャッターとプリRECについて
5.コンポジットRAW、レンズによる連写速度の違いとノイズ低減用撮影
■α9 IIIの機能まとめ
「α9 III」は、新開発の世界初有効約2460万画素メモリー内蔵フルサイズ積層型CMOSイメージセンサーExmor RSにグローバルシャッター方式と、最新の画像処理エンジンBIONZ XRを搭載し、最高約120コマ/秒のAF/AE追従でブラックアウトフリーの連続撮影を実現しています。
また、AIプロセッシングユニットを搭載し、「リアルタイム認識AF」で、高精度かつ多種類の被写体を認識します。120コマ/秒の高速スピード性能と高精度な被写体認識性能を掛け合わることで、捉えることが難しいとされる決定的な場面や、肉眼では捉えきれない瞬間を容易に撮影することが可能です。
さらに、「α9 III」は、最速シャッタースピード1/80000秒(連続撮影時は1/16000秒)を実現し、高速で動く被写体でも止まっているかのように忠実に描写できます。
対応するソニー製フラッシュ 「HVL-F60RM2」、「HVL-F46RM」(要アップデート)と組み合わせることで、シャッタースピード1/80000秒(F値が1.8より明るい場合のシャッタースピードは上限1/16000秒。連続撮影、動画撮影時、高分解シャッター機能使用時、レンズ未装着時はシャッタースピードは1/80000秒になりません)までの全速度でフラッシュを同調して撮影することができるので、表現の幅が広がります。
また、新たに高速連写による膨大な画像選択を効率良く行える再生画像フィルターや画像再生時でもファンクションメニューが使用可能になるなど、撮影から納品までのプロフェッショナルのワークフローを強力にサポートします。
- 世界初グローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサー搭載デジタル一眼カメラ
- 新開発の有効約2460万画素メモリー内蔵フルサイズ積層型CMOSイメージセンサー Exmor RS
- 高い処理能力を持つ画像処理エンジン BIONZ XR
- 安定した露出制御と色再現性を実現
- ブラックアウトフリー撮影
- AF/AE追随最高約120コマ/秒で狙った被写体を高速連続撮影
- 最高約120回/秒の演算による高精度なAF/AE追随
- 1/80000秒の高速シャッタースピード
- 選択できるレリーズタイムラグ
- シャッターを切る前の瞬間をさかのぼれるプリ撮影
- 連続撮影中に、一時的に連続撮影速度を変えて撮影できる連写速度ブースト
- 高度な被写体認識を可能にするAIプロセッシングユニット
- リアルタイム認識AF
- 粘り強く被写体を捉える「リアルタイムトラッキング」
- すべてのシャッタースピードでフラッシュ同調撮影が可能
- 高性能光学式5軸ボディ内手ブレ補正
- αシリーズ初、4K 120pでもクロップなしの動画撮影
- グレーディングなしでシネマのようなルックを再現する「S-Cinetone」
- グレーディングを前提とした本格的な動画撮影が可能な「S-Log3」搭載
- ダイナミックアクティブモード
- 撮影の自由度を高めるソニー独自の4軸機構の液晶モニター
- 広視野、解像、スピードの高性能電子ファインダー
- 撮影から制作までサポートするソニーのクラウドサービス(Creators’ Cloud)
■ポイントとなる機能
■世界初グローバルシャッター方式で生まれる新次元の静止画性能
新発表のフルサイズミラーレス一眼「α9 III」では新しく開発した世界初有効約2460万画素メモリー内蔵フルサイズ積層型CMOSイメージセンサーExmor RSに、「グローバルシャッター方式」を採用。
画像を撮像面の上部の画素から順に読み出す従来のローリングシャッター方式とは違い、グローバルシャッター方式のイメージセンサーでは全画素を同時に露光、読出しを行うので、高速で動く被写体をとらえる場合でも、動体の歪みが全くない見たままの撮影が可能です。

(1)α9 III (2)ローリングシャッター方式イメージセンサー
さらに、グローバルシャッター方式のイメージセンサーは、すべての画素を同時に露光するため、1枚の画像内でちらつきが発生することはありません。フレーム間でのちらつきを発生することはありますが、このちらつきを減らす際は、アンチフリッカー撮影または高周波フリッカーフリー撮影(可変シャッター)機能を使用できます。
■毎秒最大120回のAF/AEトラッキング計算
新規に開発したグローバルシャッター方式イメージセンサーの高速信号処理とBIONZ XRとの組み合わせにより実現した、α9 IIの6倍もの最高約120コマ/秒という新次元の連続撮影性能で、取り逃すことのできない一瞬をとらえます。
また、α9 IIより2倍多い最高約120回/秒のAF/AE演算を実現し、複雑な動きで緩急のある被写体でも高い精度でAF追従し続け、急激な変化に対してもAEが即時対応します。
連続撮影中も絶え間なく測距することで精度の高い追従性を維持し続けることが出来ます。
「α9 III」ではイメージセンサーの撮像画面のほぼ全域(約95.6%)に759点の選択可能な位相差測距点を高密度に配置。最高約120回/秒の演算によるAF追随の仕組みと、本機に合わせてチューニングされたAFアルゴリズムにより、速度変化に緩急のある被写体や、フレーミングが難しい被写体に対しての追随安定性と精度がさらに向上しました。
さらに、高密度な像面位相差AFやAIプロセッシングユニットを搭載し、「リアルタイム認識AF」で高精度に被写体を認識します。加えて、8.0段の光学式5軸ボディ内手ブレ補正を備え、高品位な画像描写が可能です。
■シームレスなブラックアウトフリー撮影
ブラックアウトフリー撮影では、静止画撮影時にシャッターを切ることによりファインダー像が消失するブラックアウトがなくなります。
「α9 III」ではブラックアウトなしで最高120コマ/秒のAF/AE追随連写という新次元のスピード性能を実現。
さらにAIプロセッシングユニットにより、被写体認識の精度が向上するだけでなく、動物や昆虫、乗り物など、より幅広い被写体を高精度に認識します。
被写体の動きが高速かつ不規則なスポーツ撮影に加え、被写体の表情の変化を一瞬でも見逃したくないポートレート撮影など、様々なプロの現場において、これまでにない肉眼の見え方に近い撮影体験を提供します。
■1/80000秒の高速シャッタースピード&シャッターを切る前の瞬間を遡れるプリ撮影
シャッタースピードに関しては、グローバルシャッター方式のイメージセンサーを搭載することで、メカシャッターレス化を実現。従来メカシャッター方式がもつ制約から解放され、静止画の単写撮影時ではシャッタースピード最速1/80000秒に到達。高速で動く動体でも止まっているかの様に一瞬を捉えた表現ができます。
「HVL-F60RM2」「HVL-F46RM」など対応するソニー製フラッシュを装着した際は、シャッタースピード1/80000秒(連続撮影時は1/16000秒)までの全速でフラッシュを同調して撮影することが可能です。
これまでは、フラッシュの同調速度以上の速いスピードでシャッターを切ると、光量が急激に低下していましたが、全速フラッシュ同調機能により、高速のシャッタースピードでフラッシュを用いた明るい撮影ができます。
さらにシャッターボタンを半押ししながら被写体を捉えた後に全押しすると、半押ししていた最大1秒前までの連写画像を記録することができるプリ撮影機能を搭載。
例えば、鳥の撮影の時、飛び立つ瞬間に全押しが間に合わなくても、シャッターボタンを押す前に遡って撮影されます。
また、全てのファイル形式/画像サイズでクロップされることなく、AF/AE追従最高120コマ/秒の連続撮影がされるので、高画質のまま、多くの瞬間を遡って記録できます。
■コンポジットRAW撮影でノイズを低減
コンポジットRAW撮影では、複数の画像(4、8、16、または32、選択可能)を撮影し、ソニーのコンピューターアプリケーションソフトウェアImaging Edge Desktopを使用して合成することで、非常に低ノイズのフル解像度の画像を作成できます。これにより、野生動物の高速シャッター撮影や暗い場所でのポートレート撮影が可能となり、ISO感度を高く設定しても低ノイズで高画質を実現します。
また、低感度での撮影では、手持ち撮影時の手ブレを利用して、合成RAWで偽色やジャギーを抑えた画像を作成できます。
■優れたファインダー仕様と性能
電子ビューファインダーは、XGA OLEDを採用。約944万ドットの有機ELファインダーは『α7R V』 と同等の輝度、倍率約0.90倍と高い視認性を実現します。高さ25mmのアイポイントを実現する最新の構造独自の光学設計により、ファインダー画像を見回すときに気が散る可能性のある収差が最小限に抑えられています。
ファインダーとモニターのラグタイムも短縮され、特に連続撮影時に安定したフレーミングが可能になりました。ファインダーのフレームレートは、標準(60fps)、高(120fps)、またはそれ以上(240fps)に設定できます。
240fpsの設定により、動く被写体を撮影する際のモーションブラーを最小限に抑えた非常に滑らかなファインダー画像を提供し、パンやチルト時のモーションブラーを大幅に低減します。
■新しいフロントカスタムボタン
ボディの正面にはカスタムボタンが配置され、、グリップを保持しながらより速く、より簡単に操作できます。

「α9 III」では連続撮影スピードブースト機能も搭載され、秒60コマ連写を120コマ連写に、まさにブーストして連写するということが出来るのですが、たとえば、フロントボタンに連続速度射撃ブースト機能を割り当てれば、いざという時に即座に速度ブーストできるようにするといったことが可能です。
■4軸マルチアングル液晶モニター
α9 IIIでは4軸マルチアングルモニターを搭載し、垂直・水平を問わず自由な角度調整が可能です。最大98°上向きに、最大40°下向きに、最大180°横に振ることができます。
タッチセンサー式3.2型液晶モニターは、210万ドットの解像度で、屋外での撮影に最適化されており、広い色域と十分な明るさでクリアな見やすさを実現しています。
■CFexpress Type A対応メディアスロット×2
α9 IIIのメディアスロットはCFexpress Type Aカードに対応。最大120fpsの高速連続静止画撮影に最適です。
進化しつづけるカメラの静止画・動画の膨大なデータ処理においても、カメラのバッファーをいち早く開放し、快適な撮影を実現します。
■. プロに応える操作性・信頼性
電源OFF時にはシャッターを閉じる機能を搭載。レンズ交換時にイメージセンサーをほこりや粒子から保護します。
グリップの形状は、人間工学に基づいた設計で、望遠レンズ装着時や長時間の使用時でも撮影者の負担にならないよう、手のひらで包み込むように握りやすいグリップを備えています。
また、横位置撮影時と同様の操作性とホールド性を実現する縦位置グリップ『VG-C5(別売り)』を装着することで、長時間の撮影を快適にサポートします。グリップとシャッターボタンまわりは、本体と共通のデザインを取り入れることで、カメラと共通の操作性で違和感無く撮影が可能です。
■α9 III 実機の様子

「α9 III」は世界初の「グローバルシャッター」搭載モデルです。ソニーの”α”初機能も満載で、個人的にもとても楽しみにしていたモデルです。

同梱品は上記の通りです。
バッテリーはおなじみ大容量Zバッテリーで充電器「BC-QZ1」も一緒になっています。

”α7 IV”や”α7C II”などのモデルでは本体内充電が前提になっているため、充電器は別売りになるのですが、”α9 III”では同梱されています。予備バッテリーはないので、それは別途購入する必要ありです。
とくにプリREC機能を使うとバッテリー消費はものすごく激しくなるようです。
初代”α9″の時はエアレースを1日撮影してもバッテリーが残り、1万枚以上の撮影ができていましたが、今回は動物撮影で2時間あまり3000枚ちょっとでバッテリーを1本使い果たしています。

ケーブルホルダーガイドはご覧の様に取り付けて使用します。LANケーブル、HDMIケーブル、USBケーブルなどを接続したままで使ってもケーブルの接続に干渉が出ないようにしてくれます。
ボディには1000BASE-Tの有線LAN端子があるのと、フラッシュシンクロ端子、HDMI端子などが見られます。

”α9 III”にはシャッターでの連写中に、機能割り当てされたスピードブーストボタンを押すと、押している間だけ連写スピードが変更される「連写速度ブースト」という機能が搭載されましたが、デフォルトでは新たに新設されたレンズ交換ボタンの上にある「C5」ボタンがそれにあたり、撮影中に右手中指で操作をします。
縦位置グリップを装着している際も、縦位置グリップにC5ボタンが用意されていて、どちらのボタンを使ってもスピードブーストができるようになっています。

背面液晶は3.2型の3:2モニターになりました。”α7R V”同様に”α9 III”も4軸マルチアングルを採用しています。RECボタンはファインダーの右脇に移動していて、シャッターボタン脇には「C1」が復活しています。
Vlog撮影をターゲットにしたカメラはシャッターボタン脇の天面にRECボタンを配置しますが、”α9 III”は写真撮影を重視したモデルになっており、そうした設計思想の現れがこういうところにあります。

シャッターボタン周りは新デザインで、C1とC2ボタンの操作がよりわかりやすくできる感じになっています。

こちらは写真右上が”α9 III”で写真左下が初代”α9″です。あれれ、こんなに”α9″って小さかったっけ?という感じがしますが、グリップ周りはかなりデザインが変わってきていますね。

ということで、”α9 III”ボディの初期設定を行うのですが、その前にスマートフォンを用意して「Creators’ App」をインストールしてカメラのそばで待機させます。

今時の”α”は初回の電源投入で地域設定をして時刻を合わせて、というのをカメラ本体で行うのでは無く、スマートフォンと連動させて時刻と地域設定を行い、カメラの初期設定までもスマートフォンで行います。
手動でも設定できますが、スマートフォンを使った方が圧倒的に正確で楽になるのでオススメです。
■新時代の幕開け! グローバルシャッターとプリRECについて

“α9 III”の威力を試すべく、レンズにSEL100400GMを装着して、いつもお世話になっている「りすの家」へ行ってみました。シマリスがジャンプしている瞬間の撮影にチャレンジです。

“α9 III”には「プリ撮影」という機能が搭載されています。事前に設定した時間分、シャッターを切った時間よりさかのぼって記録してくれるという機能です。

0.005秒から1秒まで、さかのぼる時間が設定できるのと、プリ撮影をするボタンを振り分けることができます。スタートトリガーを選択すると、どのボタンでプリRECするか指定可能。

選べるのはシャッターボタン半押しのときと、「AF-ON」というボディ背面にある親指AFのボタンです。デフォルトでは両方でプリRECすることになっていますが、今回は背面のAF動作アサインボタン「AF-ON」のときだけに設定しました。
こうしておくことでプリRECが必要なく、静止しているときの写真はシャッターボタンだけで撮影し、動きを待っているときはAF-ONボタンでAFを作動させることで、動き出したあとにシャッターを切ってもプリRECで救い出してもらおう、という作戦です。

移動には新幹線を利用すます。せっかくなので「グローバルシャッター」の威力をここでテストしてみました。
上野~大宮間は騒音対策もあって、高速走行はしていません。せいぜい120km/hくらいのスピードだとは思うのですが、それで対向列車が来たときに窓からシャッターを切ってみます。

“α7C”+SEL24F28G F2.8 1/8000 ISO800 電子シャッター
まずは”α7C”の電子シャッターから。ローリングシャッター歪みといって、センサーの信号を順次読み出ししている従来のカメラで電子シャッターを使うと、こうした歪みが出ます。画面上から下に向かって読み出しているため、右方向に超高速で移動する対向列車の窓はこの様に歪んでしまいます。

“α7C”+SEL24F28G F2.8 1/4000 ISO500 メカシャッター
メカシャッターを使うと、機械式のシャッターが高速移動して光を読ませるため電子シャッターほど目立ちはしませんが、原理的に歪みが消せるモノではないので、ご覧の通り、ある程度の歪みは出ます。

“α9″+SEL2470Z F4 1/8000 ISO1250 電子シャッター
初代”α9″のメカシャッターです。このカメラはメモリー内蔵の積層センサーを搭載しており、ローリングシャッター方式ではありますが、メカシャッターとほぼ同等の歪みしか出ないとのことでした。
確かに歪みは少なくなっていますが、それでもローリングシャッター歪みが出ない、というわけではありません。

“α9″+SEL2470Z F4 1/8000 ISO2000 メカシャッター
念のため、こちらは”α9″のメカシャッターです。ピントがずれてしまっているのですが、歪みの大きさは電子シャッターとさほど大きく違いはなく、”α9″の電子シャッターの優秀さがわかる写真になりました。
そして、いよいよ、新型”α9 III”のテストですが、ビックリするような写真が撮れます。

“α9 III”+SEL24F14GM F1.4 1/16000 ISO500 電子シャッター
こちらが”α9 III”の写真です。
連続撮影時の最高スピード1/16000秒というシャッタースピードもスゴいんですが、歪みがまったくありません。目立たないとか、歪んでいないように見えるとかいうレベルではなくローリングシャッター歪みはまったくありません。
シャッタースピードは単写であれば1/80000まで上げられるんですけど、それは那須塩原駅あたりまで行って200km/h以上で走行する新幹線同士のすれ違いとかでないと違いが出ないかも。
この写真でも対向速度で240km/hくらいはあると思うんですけどビタ止まりです。個人が特定できないようなカットを選んでいますが、カットによっては、普通に停車している対向列車の写真を撮っているくらいの写りで撮れてしまっているものもあります。

“α7C”+SEL24F28G F2.8 1/8000 ISO250 電子シャッター
対向列車で無くても、通常のローリングシャッター方式の電子シャッターだと、こうした歪みは出ていると思います。近くのものは上下に大きな被写体になるため歪みが出やすいんですが、なにかすごい勢いですっ飛んでいる感があります。

“α9 III”+SEL24F14GM F1.4 1/16000 ISO250 電子シャッター
“α9 III”だとまったく歪みが出ないので、静止しているのか動いているのかもわかりません。車窓撮影での写真がもう今までとは全く違ったものになります。

これは別日にリニアモーターカーを撮影した時の写真ですが、上から下へ順次読み出しをしているローリングシャッターでは映像の上下で読み出しのタイミングがずれてしまうため移動している方向から見ると後ろ倒しになっている様な映像になります。
上の図は左に進行しているので右に倒れた感じになっています。

こちらは進行方向は右になっているときの撮影映像です。”α7 IV”の映像も自然に見えてしまうんですが、本来は”α9 III”の様に見えるのが普通。
505km/hで走るリニアモーターカーだと差が出やすいです。

こちらは”α7 IV”の電子シャッターで撮影したカットです。シャッタースピードは最高速の1/8000秒で、サイレントシャッターを使うとこれだけの歪みがでます。
積層CMOSセンサーを搭載した”α9″や”α9 II”、”α1″であれば、歪みはもっと少なくなりますが、一般的なデジタル一眼カメラの電子シャッターでのローリング歪みはこれくらい。

そしてこちらは”α7 IV”のメカシャッターで撮影したものです。メカシャッターもローリングシャッター幕を使っているので、かなり軽減されていますが、歪みがあります。
それとシャッタースピード1/8000という超高速シャッターですが、これでも被写体ブレが出ていてリニアのロゴがぶれているのがわかります。
こちらは”α9 III”のグローバルシャッター撮影です。シャッタースピードは連写時の最高速である1/16000秒で撮影しています。ローリング歪みはまったくありません。
ロゴもバッチリ映し止められています。そして1/8000秒と1/16000秒では全然写りに違いがでます。

これは連写1/16000秒で撮影したモノを一部拡大したところです。こうして見るとロゴはバッチリ映っているんですが、その隣の扉?のところがややぶれているというか、描写が甘くなっているように見えます。

1枚撮影の場合はシャッタースピードは1/80000秒まで上げられます。1/80000秒での撮影ってどんなときに使うんだろう?と、思っていましたが、やっと差が出るシチュエーションを発見。1/80000で撮影したこちらは扉の部分までしっかりと止まって見えています。

大宮駅で宇都宮線に乗り換えて土呂駅から徒歩10分で、おなじみ「りすの家」にやってきました。

プリRECの威力は抜群でメジロが飛び立つ瞬間などもバシバシ撮れます。

シマリスのジャンプ写真もいつもは1日頑張って1枚撮れるかどうかレベルなんですが、こういったものが1枚だけでは無く、何枚も撮れています。

“α9 III”+SEL100400GM F5.6 1/1000 ISO800 秒120コマ連写 プリREC0.4秒
実際、どんな撮影になっているのかご諸王開始ます。
たとえば、こちらですが、メジロのテイクオフの瞬間です。この一瞬後に飛び立つんですが、シャッターを切ったときはまったく間に合っていません。
設定は秒120コマの最高速撮影で、このときはプリ撮影設定を0.4秒にしていました。ということは約48枚のプリ撮影をしていることになります。

こちらはプリ撮影が始まった瞬間から30枚を並べたところなんですが、その4枚目にこの写真があります。
なので、ここに映っている30枚はすべてシャッターを切る前のカットになるわけです。シャッターを切ったのは飛び立ったはるか後なので、自分の実力では全く撮ることができなかったカットということになります。

“α9 III”+SEL100400GM F5.6 1/1000 ISO320 秒120コマ連写 プリREC0.3秒
こちらもふり返ってみます。テイクオフの瞬間はこちら。

“α9 III”+SEL100400GM F5.6 1/1000 ISO320 秒120コマ連写 プリREC0.3秒
ベストショットこちら。手前に大きな木があったみたいでずっと暗いところを飛んでいるんですが、ここで光があたっています。

連写した全カットがこちらです。シャッターを切った瞬間は緑のマークのところです。そこからさかのぼること40枚の写真がプリRECされていて、12枚目にテイクオフ、25枚目にベストショットがあって、45枚目に私のシャッター押しのタイミングがあったということになります。
取り込んだ写真データにはシャッターを押した瞬間というのは記録されていないのですが、カメラ本体でのプレビューの際にはどこでシャッターを切ったのかがマークで残っていますので、それでわかります。
私もわざとシャッタータイミングを遅らせているわけではなく、AF-ONを押してフォーカスを合わせ続けていて「あ、飛んだ!」という瞬間にシャッターボタンを押した気ではいるんです。

“α9 III”+SEL100400GM F5.6 1/1000 ISO3200 秒30コマ連写 プリREC0.3秒
こちらのシマリスジャンプも振り返ってみます。
左足が木にかかっているので、あともうちょい!な写真ではあるんですが、そこは秒30コマ設定だったからかも。初めて使うので勘所がよくわからなかったんですが、こうした野生動物撮影ではシャッタースピードはもっと速くしても良いかも。そして秒60コマ設定くらいが良いかも。

秒30コマでのプレREC0.3秒なので、プリ撮影されるのは10枚前後になります。この場合は気づくのが遅くて動き出しはもっと速かったみたいで、プリRECでも走っている途中からのシーンになってしまっています。
それでも私がシャッターを切っているのは、シマリスが走ってきて、ほぼ止まる瞬間あたりなので、ジャンプシーンが撮れたのはまさに奇跡です。

ただ、全部のカットでフォーカスがビタッときているか、というとそうではなく外しているケースもまだあって、それはAI被写体認識の設定をもう少し煮詰めないといけないのかな、という感じはありました。
今回は動物&鳥AFモードにして、動物認識だけ認識率を「5」に上げて使っています。他に速度変化へのAF追従を「敏感」に出来たり、トラッキング維持特性を調整したりと、いじるところはたくさんあるので、これらを調整して自分だけのカメラに育て上げていく、ということは必要。
“α9 III”さえあれば、もう完璧!ということにはならないので、また別次元の工夫が必要になるカメラ、とも言えます。

ちなみにバッテリー消費はものすごい激しく、プリ撮影機能を使うと、AF動作中はつねに撮影し続けている状態になる感じなんでしょう。動物の動き出しまで1分くらい待っていたりしていて、そういう使い方をしていると2時間ほどでバッテリー1本を使い果たしてしまう、ということもあるようです。
なお、撮影枚数は4000枚近く撮れているので、撮影枚数を考えるとそんなものか、とも言えるかと思います。
しかし、そんなことを差し引いても、今までとはまるで別次元の撮影ができるカメラでもあります。
今日以降、動物撮影の他にもスポーツ撮影などで、今まで撮れなかったものが続々と撮影されることと思います。”α9 III”のおかげで写真の世界は変わってくるでしょうね。
■コンポジットRAW、レンズによる連写速度の違いとノイズ低減用撮影

”α9 III”で120コマ/秒対応するレンズの他、30コマ/秒、20コマ/秒、15コマ/秒のレンズについても掲載があります。
早速店頭でいくつかのレンズで試してみました。正式に120コマ対応している「SEL70200GM2」と「SEL24F28G」や、秒20コマ対応となっている「SEL85F14GM」、そして対応表に記載がありませんがマウントアダプター「LA-EA5」を使っての「SAL85F14Z」をテスト。

こうして時計の撮影を行い、秒針が1秒動く間に何枚の撮影ができているかを計測しています。

その結果がこちらです。最高速での秒120コマですが、かなり近いところまで撮れています。シャッタースピードは1/640にしてJPEG FINEでテストをしています。条件的には秒120コマのスピードが出るように設定していて、それで上記の様になります。
アップデート対応前の「SEL100400GM」は約80~90コマ/秒くらいのスピードが出ています。非対応だからといって極端に連写速度が遅いわけではないようです。
意外なのがLA-EA5で秒20コマまでスピードが出ています。お客様がお持ち込みになったシグマの100-400mmでは秒15コマまでしか撮影ができていなかったので、LA-EA5の方が優秀、と言えそうです。

そして「ノイズ低減用撮影」機能もテストしてみました。
これは高ISO感度撮影時に複数枚の撮影を行い、あとから「Imaging Edge Desktop」アプリを使って複数枚のRAWファイルを合成してノイズ低減を図る、というものです。
カメラ内では処理ができず、一度、PCに取り込んで編集作業をする必要がありますが、RAWファイルの合成からRAWファイルが出力できて、そこからRAW現像をすることができる、というのが特徴です。

撮影枚数は4枚から32枚まで選択が4段階でできます。シャッタースピードは1/30より遅くすることができないので、星景撮影用のオプションではなく高感度ISOでの撮影時に使う機能なんでしょうね。

ISO:25600でやや暗めのところでシャッタースピードを速くして撮影てみました。

1枚のRAWファイルを現像して拡大したところです。ISO25600まで上げると、さすがにざらついた写真になるのですが・・・

こちらは32枚撮影して、あとから「ノイズ低減用撮影」の処理を行ったものです。ものすごい効果があります。

動きのある場合はどうなるか、というのも試してみました。これはミニ四駆を走行させているシーンです。タイヤは全力で回っているのですが、グローバルシャッターのおかげで歪みもなくホイールはビシッと撮れているんですが、32枚の連続撮影では、さすがにホイールは回転してそれぞれのカットで違う確度になって撮影されています。
ですが、合成作業を行うとご覧のとおり、ブレもなく1枚の撮影しかしていない風になります。ある程度の動きには対応するみたいです。
■『α9 III』『α1』『α9II』『α9』比較表
| α9III | α1 | α9II | α9 | |
| 販売価格 | 880,000円 | 935,000円 | 654,500円 | 493,768円 (販売終了) |
| 発売日 | 2024年1月 | 2021年3月 | 2019年11月 | 2017年5月 |
| 有効画素数 | 2460万画素 | 5010万画素 | 2420万画素 | 2420万画素 |
| 映像エンジン | BIONZ XR | BIONZ XR | BIONZ X | BIONZ X |
| AIプロセッシング | 搭載 | × | × | × |
| ピクチャープロファイル | PP1-PP11 | PP1-PP11 | × | × |
| LA-EA5完全対応 | 不明 | 〇 | × | × |
| フリッカーレス撮影 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
| EVF | 0.64型 | 0.64型 | 0.5型 | 0.5型 |
| EVFドット数 | 943万 | 943万 | 368万 | 368万 |
| EVF倍率 | 0.9倍 | 0.9倍 | 0.78倍 | 0.78倍 |
| EVFフレームレート | 60/120/240 | 60/120/240 | 60/120 | 60/120 |
| 液晶モニター | 3.2型209万 | 3.0型 144万 | 3.0型 144万 | 3.0型 144万 |
| 角度調整 | 4軸マルチ | チルト | チルト | チルト |
| シャッター形式 | グローバル シャッター |
ローリング シャッター |
ローリング シャッター |
ローリング シャッター |
| メカシャッター速度 | × | ~1/8000 | ~1/8000 | ~1/8000 |
| 電子シャッター速度 | ~1/80000 | ~1/32000 | ~1/32000 | ~1/32000 |
| 手振れ補正 | 5軸8段 | 5軸5.5段 | 5軸5.5段 | 5軸5.0段 |
| 連続撮影速度(電子) | 秒120コマ | 秒30コマ | 秒20コマ | 秒20コマ |
| 連続撮影速度(メカ) | × | 秒10コマ | 秒10コマ | 秒5コマ |
| Wi-Fi | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 4 |
| Wi-Fi 5GHz | 〇 | 〇 | 〇 | × |
| デジタルオーディオ インターフェースシュー |
〇 | 〇 | 〇 | × |
| 有線LAN | 〇 | 〇 | 〇 | × |
| ファインダー使用時撮影可能枚数 | 約410枚 | 約430枚 | 約500枚 | 約480枚 |
| メモリーカード | SD or CF ×2 | SD or CF ×2 | SD×2 | SD×2 |
| 撮影時本体質量 | 703g | 737g | 678g | 673g |
・
上記は”α1″や”α9II”などとの比較表です。
世代の違いもあるんですが、”α1″を画素数以外では超えてしまっていますよね。グローバルシャッターの威力がありすぎて、これはラインナップが今後どうなるものなのか気になるところです。
■店員が実際に撮影したα9 III作例

“α9 III”+SEL70200GM2 F2.8 1/16000秒 ISO6400 焦点距離200mm

“α9 III”+SEL70200GM2 F2.8 1/4000秒 ISO2500 焦点距離70mm
☆YouTube「α9 IIIで撮った『320km/h走行の東北新幹線』」
☆当店blog 2024.2.8「【レビュー】やっぱスゲーな!”α9 III” 世界初のグローバルシャッターで撮る『320km/h走行の東北新幹線』」


α9 III+SEL70200G2+SEL14TC F5.6 1/2000 ISO3200 焦点距離98mm トリミング

α9 III+SEL70200G2+SEL14TC F5.6 1/2000 ISO1000 焦点距離280mm トリミング

α9 III+SEL70200G2 F5.0 1/1600 ISO250 焦点距離200mm トリミング
☆当店blog 2024.3.11「【シマリスジャンプ10連発】”α9 III”で撮る シマリスの120fps & プリ撮影の世界 やっぱりこのカメラは神です」
■お得な購入方法
My Sony ID ご登録でカメラ・レンズが10%OFF
ソニーストアではMy Sony IDを新規登録すると、AV商品が10%OFFになるクーポンが自動的に登録したIDにプレゼントされます。さらにMy Sony IDをお持ちの方には年2回ソニーストアの割引率クーポンをプレゼント。ぜひMy Sony IDをご登録下さい。
ワイド保証

メーカー直販のソニーストアでは強力な保証サービスを用意して販売をしています。
通常のメーカー保証1年が3年ベーシック保証という3年に延長されたものになっているのが初期状態で、さらに有料でソニーストアの保証をアップグレードすることが可能。
5年ベーシックは通常1年のメーカー保証を5年にするものなんですが、アップグレードして3年ワイド保証と5年ワイド保証を付けると落下破損や水没などの事故の際も全額保証をしてくれます。言うなれば動産保険の様な保証サービスになっています。
残価設定クレジット
返却時の買取予定価格を残価額として、その金額を差し引いた代金を24カ月の分割で支払いできる「残価設定クレジット」。最終回にあたる25カ月目のお支払方法は、買取りか返却か、お客様のご要望に応じて選択できます。
対象モデル:カメラ本体、レンズ※一部対象外の商品があります。
7月31日までの期間限定!「分割60回払い金利手数料0%キャンペーン」
そして、SONYでは7月31日までの期間限定で「分割60回払い金利手数料0%キャンペーン」を行なっており、”α9 III”も対象モデルになっています。
現金で一括で払っても5年後まで分割で払っても総支払額は同じ! 購入したかった高額ボディ、高額レンズを購入するチャンスです。

ソニーストアサイトが更新されて対象になる38製品の支払額の例が掲載されているのですが、これ、AV商品10%オフクーポン適用前の定価からの計算になるので実際の支払額はここから10%ほど安くなります。
”α9 III”の場合は月額14,600円→13,200円まで月々の支払額を抑える音が出来ます。さすが60回分割払いです。威力は絶大。なお、60回までの分割手数料が0%になるので36回払いや48回払いでも0%金利が適用されます。

★ソニーマーケティング「一部製品の出荷価格改定に関するお知らせ 」
なお、7月17日にソニーより「一部製品の出荷価格改定に関するお知らせ 」が掲載され、8月1日より90製品が値上げになることが予告されています。平均価格改定率は約10%になっています。
9割近くがカメラ製品で”α9 III”も値上げ対象であることがわかっています。
7月31日までが値上げ前の最後の駆け込み購入チャンスと言って間違いはないでしょう!
■テックスタッフ店頭購入特典のご案内

ソニーストアを初めてご利用になるお客様は保証についての割引クーポンをなにもお持ちでないと思うのですが、当店の店頭からAV商品の購入にソニーストアをご利用いただければ、3年ワイド保証、もしくは5年ベーシック保証を半額にするクーポンをプレゼントできます。(5年ワイド保証、“α”レンズやPlayStation製品など一部対象外製品があります)
3年ワイド保証、5年ベーシック保証の加入料は通常商品価格の5%程度に設定されているのですが、その保証アップグレード料金を当店では半額にすることができます。
αレンズは対象外になりますが、その分、αあんしんプログラムでカバーできるようご案内します。ソニーストアのご利用が初めて、という方にはたくさんのお得がありますので是非ご相談ください。
東京、新橋にある当店テックスタッフでは、店頭にてソニー製品のご購入相談を頂いた方へ様々な特典をご用意しております。“α7 IV”のボディを店頭にてお買い上げの方には店頭ご利用特典がございますので、ぜひご利用下さい。詳細は上記リンクにて。
時期によって特典内容も変わってきますので、ぜひお得にお買い求め下さい♪
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| デジタル一眼カメラ ILCE-9M3 |
ソニーストア価格: 880,000 円 |
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| 発売日 | 2024年1月26日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
| 延長保証 | 5年ワイド:88,000円 3年ワイド/5年ベーシック:44,000円 3年ベーシック:無償 |
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| ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ |
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| テックスタッフ 店頭ご利用特典 |
10%オフクーポン(併用不可)プレゼント中 ☆テックスタッフ店頭ご利用特典 |
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