【レビュー】ZXシリーズ10周年記念モデル!? 新型ハイレゾウォークマン『NW-ZX707』実機レポート
3年ぶりのモデルチェンジをしたウォークマンのZXシリーズですが、今回はまたすごいことになっています。ディスプレイの大型化に加えて、フラッグシップモデルWM1シリーズと同じ大容量固体高分子コンデンサー、FTCAP3などをバランス出力に搭載。
バランス出力だけ見たらWM1シリーズとほぼ同等というスーパーウォークマンZX707が発表になりました。詳細をレポートしたいと思います。
こんにちは、店員佐藤です。
こちらの写真のモデルはご存じでしょうか? 10年前の2013年12月に発売された「NW-ZX1」です。本体価格は税別で7万円ちょっとというモデルだったのですが、当時は「ウォークマンで7万円もするの!?」という衝撃が走った価格でした。
ソニーの社内にウォークマンの背面を開けて、大容量コンデンサーを付け替えたり改造して使っている社員がいる、という噂があり、それを聞きつけた上司が「おまえの好きな様にウォークマンを作ってみろ」から始まったのがNW-ZX1だったと聞いています。
デジタルアンプと大容量コンデンサー、そしてアルミボディを採用したNW-ZX1の登場から10年経った、このタイミングで登場するのが新型の「NW-ZX707」ということになります。当時から担当していたのが佐藤宏朗氏で、行くところまで行ってしまったというか、その後、WM1シリーズに発展したり、もはやウォークマンとは呼べなくなってしまった「DMP-Z1」というモンスタープレーヤーまで登場させてしまっていますが「音楽を外に持ち出す、できるだけ高音質で」という最初の思いが集結しているのは、やはりZXシリーズになるのかもしれません。
特に冠はついていませんが型番に「707」というキリの良い数字が入っていたり、ZXシリーズ登場から10年という節目に発売されるのが今回の「NW-ZX707」というモデルになります。
こちらが前後のモデルを並べてみたところで左から「NW-WM1AM2」「NW-ZX707」「NW-ZX507」になります。ディスプレイサイズが5インチサイズになったこともあり、サイズ的にはZXシリーズというよりはWM1シリーズに近いモデルになりますが、実は中身もすごいことになっています。
昨年2月に発表されたウォークマンの最高峰モデル「WM1」シリーズで搭載された大容量固体高分子コンデンサーをなんとZXシリーズに搭載。WM1のために開発されたFTCAP3も搭載しているのですが、ZX707ではバランス出力側にだけ搭載しています。
これもあって、ZX707はボディに厚みが出そうなモノですがWM1と比べると薄型設計になっています。
写真左がZX707の基板で、写真右はWM1の基板になります。一見、同じような並びに見えますがパーツをZX707は片面に集中配置していて、WM1は両面を使っている違いがあります。
基板を裏にするとこんな感じ、写真左のZX707のものは背の低いチップのみの実装になっています。
水晶発振器のクロックは2種類搭載しているのはZX2からになっています。44.1kHzと48kHzの2種類を搭載しており、これで88.2K、176kと、96k、192kを鳴らし分けます。2.8MHzのDSDでは44.1kHzのクロックを使うそうです。ZX1では48kHzしか搭載をしていなかったとかで、これでより高精度な駆動がするようになっています。
金色の枠で囲まれている部分はデジタルブロックで、枠の外に出ているのはアナログ信号を生成するアナログブロックに分かれています。
この金色の枠の部分を無酸素銅の切削ブロックでシールドすることでデジタルブロックとアナログブロックを分断。ノイズの発生を最低限にすることでS/N感の向上を行っています。
アルミ切削シャーシの加工の様子を7段階で見せてくれるのがこちらの写真です。アルミの塊から切削してZX707のシャーシに加工されていくの順番にわかります。溝がたくさん切られているように見えますが、表面は平らに加工されていて、切削された跡が見えているだけになります。切削されたシャーシに穴が開けられて、細かく過程を経て製品になっていきます。
最後は塗装されて形になっていますが、なるほど、これだけの手間がかかるわけです。ソニーストア価格:99,000円もやむなしです。
アルミ切削シャーシを使うことで低インピーダンス化と高剛性を実現。
こうしたウォークマンやメモリーオーディオの関係筋の方々とお話をすると、電気が通ることで振動はかならず起こるわけで、通電させていなくてもこれらのパーツが与える音の影響はかなり大きいという結論になります。WM1シリーズもシャーシ素材の違いだけでWM1AM2とWM1ZM2であれだけの音の違いが出るということで納得してしまいました。
リアカバーもアルミ素材が使われています。ウォークマンの裏面はほぼ平らになっているように見えますが、内部パーツは頭部だけ高さのあるパーツが集中しています。なので、ここだけ背面フラップも厚みを抑えて設計し、デザイン的に分厚くなったように見えない工夫をしているとのこと。
ですが、この段差こそが高音質パーツの証、というわけです。
写真左はNW-WM1AM2、写真右は新発売のNW-ZX707です。
ディスプレイサイズが5インチサイズで共通化されたため、NW-ZX707がかなり大型化された感じになりますが、薄さは片面集中実装のおかげでやや薄めになっています。
FTCAP3の搭載もZX707ではバランス出力のみとなっているため、こうしたところで小型化&コストダウンがはかられています。
WM1AM2がソニーストア価格:176,000円(税込)に対して、ZX707は99,000円(税込)です。
両機種とも4.4mmバランス標準端子と3.5mmステレオミニ端子の2つの出力を搭載していますが、どうせ使うのは4.4mmバランス標準端子だけ、という方が多いのでは? そういった意味ではバランス標準出力だけに高音質パーツを集中させているNW-ZX707はかなりお買い得なモデルになるかと思います。
WM1の低価格モデル的なデザインにはなっていなくて、端子回りのパーツもアルミ切削で金メッキしたものを用意するなど、高級感満点。ハイエンドオーディオ機器としての風格も兼ね備えています。
4.4mmバランス標準プラグが登場したのは2016年発売の初代WM1シリーズやヘッドホンアンプTA-ZH1ESの時から。ZXシリーズでの採用があったのは2017年10月発売のNW-ZX300からとなります。
ちなみにこの2つの端子に同時にヘッドホンを挿しても二人同時に音楽が楽しめる、ということはありません。同時接続した際は4.4mmバランス標準出力が優先されるようになっています。
あらためて、ZX707(写真左)とZX507(写真右)の比較です。5インチと3.5インチのディスプレイサイズの違いがありますが、解像度は1280×720ドットで同じです。
背面のデザインもご覧の様な違いになります。なお、USB type Cでの充電、データ転送を行うのですが、サイドにあったZX507に対して、新型ZX707は底面に移動しています。
こちらは純正のレザーケースです。1枚革を使っていて、歴代ウォークマンのレザーケースの中で一番かっこいいかも。
レザーのハンドストラップも付属します。
ボディサイドにあるハードウェアスイッチには、それに相当するボタンの刻印がされていて、これがまるでケースそのものにボタンが仕込まれているんじゃないかというほどの操作感の良さがあります。
これはケース内側から見たところですが、それぞれのボタンのところに突起が仕込まれていて、これがNW-ZX707本体のボタンを上手く押し込んでいる様です。
本革なので、これはミンクオイルなどを塗り込んであげると、すごく良い感じに仕上がりそうです。レビュー用の借り物なので「ミンクオイル」の塗り込みはしていませんが、これ、店頭展示機にはすぐに塗り込んであげたいと思います。
フラップの可動部分は良い感じで折り目がついていますが、まず、ここに真っ先に塗り込んであげてしわが出ないようにしてあげたいです。
さて、ZX707と先代のZX507との違いをピックアップして紹介したいと思います。まずは見た目通りですがディスプレイサイズが大きく違っていて大型の5インチディスプレイを搭載したのは大きな違いだと思います。
ミュージックプレーヤーとして小型サイズの方が持ち運びが楽、というのはありますが、これだけ大きな画面であればミュージックビデオを見ながらの音楽鑑賞がより楽しめるようになります。
ZX707ではストリーミングサービスの音声再生でもイコライザーやDSEE Ultimateなどの高音質化機能が利用できます。それとOS12を採用しているのでBluetooth接続時でもハイレゾ音源の伝送などが可能になっています。
せっかくのZX707のデジタルアンプS-Masterですので、それを利用しないのはもったいないのですが、手軽なミュージックビデオプレーヤーとしての利用ができるのは大きいと思います。
さらに、これはウォークマンの機能と言うよりはAndroid OSの機能になりますが、VAIOやXperiaの様に「いたわり充電」機能が使えます。
ご存じの通り、今時のバッテリーは100%充電することでダメージを受けて電池の耐久寿命が短くなるので、長時間利用をする必要がない、普段の通学通勤時などには100%にならないように充電して使うことで、バッテリーのダメージを減らすことができます。
WM1シリーズもOS11搭載のおかげで利用ができていたのですが、これがZX707でも使えます。
そして「DSDリマスタリング」機能がZX707にも搭載されました。
これはFLACフォーマットなどのPCM信号を、スーパーオーディオCDで採用されていたDSD信号に変換する機能。ベストル記録によるアナログに近い音声信号にリアルタイム変換して鳴らすことができます。
ヘッドホンアンプの「TA-ZH1ES」にしか付いていなかった機能が、なんとウォークマンZX707にも搭載されました。20年ほど前のVAIOにもDSDリマスタリング機能は搭載されていましたが、そのときは演奏時間の4~5倍の時間をかけてレンダリングしてDSD再生していたものです。それがリアルタイムに再生しながら変換できて、しかもこんなポケットサイズで持ち歩けて。。。
見れば見るほど、NW-ZX707は究極のウォークマンになるんじゃないかという気がしてなりません。
今回もいろいろ手持ちの楽曲を含めて試聴させてもらいましたが、一番感動したのがこちら。1975年発表のシュガーベイブの「ソングス」です。昨年夏にBS日テレで秀ちゃん、松本明子さん、飯島直子さんの「DAISUKI 2022」が放送されました。20年前の番組スタイルそのままでBGMも当時のまま。恥ずかしながらシュガーベイブに山下達郎さんがいらっしゃるのとか初めて知りました。
夏にmoraからダウンロード購入して気持ちをあげたいときに聴いて楽しんでいたのですが、これがウォークマンA100シリーズとWM1シリーズでは聞こえ方がかなり違って感じられます。
ウォークマンA100シリーズや、ワイヤレスヘッドホンWF-1000XM4などでは、75年当時の音というか、わりとコンパクトにまとまった音に聞こえていたんですが、ハイエンドモデルのNW-WM1AM2、WM1ZM2で聴くと、中央にまとまっていた音がグッと浮いてきて、それぞれの楽器の音が分離して聞こえる感じがします。広がりのある音になり、大げさに言うとモノラルの音がステレオになるくらいの違いを感じられるんですが、NW-ZX707も同様にWM1M2シリーズと同じ音に聞こえました。
これがバランス接続の威力なんだなー、とか思っていたんですけどZX707でその音が同じように楽しめるというのは、やはりコストパフォーマンスの高さを感じます。ウォークマンA100シリーズを個人的にも愛用していますが、これはZXシリーズにステップアップする良いきっかけになるモデルかもしれません。
さて、ここからはちょっと趣向がかわりますが、音楽ダウンロードサイト「mora」での楽曲購入の手順などを紹介してみたいと思います。
amazon music unlimitedなどでハイレゾ楽曲のストリーミング配信が手軽に利用できるようになった昨今ですが、自分の推しの曲、アルバム、ヘビロテするお気に入りのナンバーは、やはりハイレゾフォーマットで購入してダウンロードして思う存分聞きたい、持ち歩きたい!と思います。
以前であればPCでオンライン購入してライブラリーをPCのHDDの中に作って、それをウォークマンに転送して聞く、というスタイルでしたが、今はAndroid OSを内蔵しているのでWi-Fi環境があれば、ウォークマン本体だけでダウンロード購入ができます。
ウォークマンのホーム画面に「mora」のアイコンが用意されているので、そこからmoraにアクセスするのですが、2022年4月にGoogle Playの規約が変更になり、Androidアプリ内でのWEB決済に規制がかかるようになりました。
現在はmoraアプリは購入した楽曲のダウンロード機能のみとなっていて、moraサイトでの楽曲購入にはWEBブラウザを利用することになっています。
とはいえ、moraアプリから案内があるので、moraアプリを起動して、そこからWEBサイトに行けば迷うことなく購入できます。
まずはアプリを最新版にアップデート。
アプリを起動してmoraアカウントでログインすると「購入履歴」の画面が表示されます。左上のメニューボタンから「moraをホーム画面に追加」を選ぶと、ホーム画面にmoraサイトへのショートカットアイコンが配置されます。
それを使って、ブラウザからmoraサイトにアクセスして購入楽曲の検索、購入を行います。
ここでは虫眼鏡ボタンから「King Gnu」を検索してみました。NHKのワールドカップサッカーテーマ曲「Stardom」が見つかったので、これを買ってみたいと思います。
550円という表示の横にカートボタンがあるので、カートに入れます。
その後はカートの中を確認して「購入手続きへ」から支払手続きを移動して決済したら終わりです。
支払方法にはクレジットカードの他、Amazon Payなどが用意されています。普段利用しているamazonアカウントで手続きすれば、amazonでの支払方法で簡単に購入が可能。
あとは最初に使ったmoraアプリで楽曲ダウンロードを行えば、ウォークマンに購入楽曲のデータが転送されてきます。
楽曲転送が終わっても、W.アプリから楽曲が見つからない、というときはW.アプリの設定から「データベース更新」を行うと楽曲表示されるようになるかと思います。
あ、ちなみにZX707でも楽曲の再生時間がカウントされるようになっていますね。再生時間がステレオミニで350時間、バランス標準で200時間になっていました。
新発売のZX707は、バランス標準だけ見ればWM1並の高音質パーツを搭載していて半分WM1みたいなモデルになっています。
A300シリーズもステレオミニ端子でグランド分離出力ができるようになっているので、ある意味、バランス出力の様な聞き方ができるようになり、ZXシリーズみたいな機種になったとも言えます。
それぞれ、音質は全モデルと比べるとクリアで高音質が楽しめるようにパワーアップされています。従来モデルからの乗り換えを検討されてもよいかと思います。
ウォークマンZXシリーズ NW-ZX707 |
ソニーストア価格: 104,500 円 税込 |
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発売日 | 2023年1月27日 | メーカー商品情報 ページはこちら |
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延長保証 | 3年ワイド:11,000円 3年ワイド/5年ベーシック:5,500円 3年ベーシック:無償 |
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ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ 24回分割払手数料0%キャンペーン |
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テックスタッフ 店頭ご利用特典 |
10%オフクーポン(併用不可)プレゼント中 テックスタッフ店頭ご利用特典 |
ZX707専用 レザーケース CKL-NWZX700 |
ソニーストア価格: 9,680円 税込 |
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発売日 | 2023年1月27日 | 商品情報ページはこちら | ||
ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ |
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★ソニー Future『これまで意識していなかった音まで想像以上のクリアさで聴こえる』
★開発者インタビュー『長時間再生、ストリーミング対応、大画面をスリムボディに凝縮 フラッグシップの高音質技術を継承したウォークマン『NW-ZX707』』
※当店YouTubeチャンネルでも新型ウォークマンZX707を動画で紹介しています