マラソンに使うスポーツイヤホン『WF-SP800N』の話
冬になってマラソンシーズンたけなわになっていますが、今回はそのマラソンに使うスポーツイヤホンの話です。ソニーの現在のヘッドホンラインナップでは「WF-SP800N」というモデルがあるんですが、これの対抗馬で他メーカーのヘッドホンをいくつか試してみたので、その比較レポートをお届けしたいと思います。
ソニー製品のレビューというよりは、個人的な感想のかたまりみたいなblogエントリーなんですがスポーツ向けのイヤホンを検討している方の参考になると幸いです。
こんにちは、店員佐藤です。
3月6日に開催される予定の「東京マラソン2021」に出場します。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、東京マラソンは2020年のコロナウイルス感染拡大のニュースが始まった際に真っ先に一般ランナーの出走が中止になった大型イベントです。
3万人以上のランナーが一気に都内を駆け抜けるビッグスポーツイベントで、エリートランナーだけでの開催になってしまったのは仕方がないところ。そのときの出場予定だったランナーさんは2021年と2022年の2回に分けて出場権を振り分けているんですが、翌年春の開催はできず2021年秋に史上初めて秋シーズンの東京マラソンが開催される予定だったモノが第5波の到来で延期になりました。延期されて2022年春に開催予定の東京マラソン2022が開催できなくなり2022年大会は中止になっています。今回の2022年春開催の東京マラソンは「東京マラソン2021」ということになります。
2020年出場予定だったランナーさんからすると3回の延期を経て今回の出場になります。私は2021年秋開催時点で海外招待枠の宿泊付きプランの出走権利が売りに出されたところで申し込みをして、滑り込みで出走できることになりました。抽選確率からいって10年に一度当たるかどうか、という大会ですが6年ぶりの出走になります。
なお、私はタイムを競うようなすごいやる気のあるランナーではありません。苦しいのもつらいのもいやなただ完走を目指すだけの激遅ランナーです。身体検査でいろいろ数値がやばくなってきて急に健康に目覚めて走り出したのが8年前で、のんびりとジョギングを楽しんでいます。今回も42.195kmを走る「フルマラソン」ではなく「フルジョギング」で参加します。
「ランニングってつらいでしょ?」と、よく言われますが、タイムを狙わなければ、7時間かけて42kmを移動する早足ウォーキング的なものとも言えます。さすがに全部歩くとゴールは難しいんですが42km÷7時間=時速6km程度なので、半分走って半分歩けばゴールできてしまいます。走る際も息が切れるほど速く走る必要は無く、息が切れない程度のスピードでゆっくり「走る」コツを身につければ、だれでも完走が可能。
私たちは子どもの頃から全力で走る方法しか習っていませんでしたが、ゆっくり長時間走る方法というのをマラソンで知りました。
そして走っているときの楽しみのひとつが音楽です。音楽を聴きながらのジョギングはつらさをほぼ全部吹き飛ばしてくれるほど。エアロビクスなど、音楽に合わせて体を動かすスポーツがありますが、何がそんなに楽しいのか分からなかったんですが、音楽に合わせて歩調を合わせて走ることの気持ちよさはかなりのモノです。
ソニーさんからも切れ目無くスポーツ向けのヘッドホンというのはラインナップされていて、登場するモデルの試用機をお借りする度にジョギングで使わせてもらってきました。
制限タイムギリギリでの完走を狙うギリギリランナーには、音楽ともうひとつ、マラソン専用アプリを使ったタイム計測なども音声で受けるのでかなり重要。東京マラソンの完走を狙う場合は最長7時間のスタミナ性能も必要になり長時間使えるワイヤレスヘッドホンという観点でも結構ハードルが高いモデル選びをすることになります。
現在のモデルラインナップでは2020年6月に発売された「WF-SP800N」があります。こちらはスタミナ性能が9時間あり防水仕様にもなっているスポーツイヤホンです。
ノイズキャンセリング機能 & 外音取り込み機能も使える非常に都合の良いモデルで、今回の東京マラソン2021では「WF-SP800N」をお供にして42.195kmに挑戦しようと考えています。
せっかくの東京マラソンなんだし、環境音まで楽しんだ方がよいのでは?というところですが、上記のレビュー記事でもお伝えしているとおり、外音取り込みを全開にしておけば、かなり外の音も聴けます。
左右独立完全ワイヤレスなので、いざとなったらポケットにしまってしまえば邪魔にならないというのもポイント。
普段使っているワイヤレスイヤホンの最上位モデル「WF-1000XM4」はジョギング、マラソンには使えないの?というところですが、見ての通り「イヤーハンガー」というサポートするアームがついていません。
イヤーハンガーのあるなしは、かなり音にも影響していて、これの有無で地面に足が着地したときの衝撃音が変わってきます。私も実機で比べてみてわかったんですが、イヤーハンガーのおかげで着地音がだいぶ軽減されます。
スタミナ的にもWF-1000XM4だと7時間はもたないですしね。
なお、外音取り込みの性能で言えばWF-1000XM4の方が数段上。WF-SP800Nは外音の取り込み音量がやや抑えめに感じます。使い比べてみるとわかりますが、風切り音もWF-SP800Nの方が少ないので、そういう対策をした結果が外音取り込みの音量に関係しているのかも。
ということで「WF-SP800N」の一択になりそうな、ソニーのワイヤレスイヤホン事情なんですが、今回は他メーカーさんのヘッドホンも試してみました。生産の終わっているモデルもあるんですが、こんな製品もあるんだなー、ということで年末にポチって、いろいろなヘッドホンを使い比べています。
WF-SP800Nの他に、コーチング機能を搭載したJVCの「HA-ET870BV」と、AfterShokzの「OPEN MOVE」という骨伝導ヘッドホンです。
ご来店のお客さんから「骨伝導ヘッドホンって知ってる?使ったことある?」というご質問を何度かいただいているのですが、どんな使い勝手なのか私も個人的にとても興味がある製品。ソニーからは骨伝導ヘッドホンの発売はありませんが、どんなものなのか興味本位で買ってみました。
まずはJVCの「HA-ET870BV」から。こちらはすでに生産終了していて、amazonで在庫処分的な価格で販売されています。定価は13,000円ほどだったようですが、現時点で2,000円ちょっとで買えます。
ランニングに使うと走っているときの癖とかを指摘してくれる「フォームコーチング機能」というのを搭載しているそうです。非常に面白そう。
ヘッドホンはワイヤーで左右がつながったワイヤレスヘッドホンで、スマートフォンとBluetooth通信をさせて使います。
コーチング機能はスマートフォンのアプリで提供されていて「Runspect」というアプリを利用します。ヘッドホンに仕込まれているであろうセンサーを使ってランニングしているときの上下動、ストライド、ステップ幅(左右の足の間隔)、衝撃度などをすべて測定し、走行中にアドバイスを音声でしてくれるのと、走行後にはランニングフォームの分析をしてくれます。
頭の角度なども測定されていて下を見ていると「頭を上げて前をみてください」とコーチングされたり、登り坂などで左右の足の幅が広がってしまうと「ステップ幅が広がっています、気をつけてください」などのアドバイスが流れてきます。
下り坂では衝撃度が増えてしまったり、仕方がない部分もあるんですが、それでもペースが一定になるように走ることでグラフがキレイになっていくのを見る、という楽しみがあります。
頭の角度の上下はイヤホンの角度によるものなので、常に同じ装着角度にしていれば、あまり指摘されることはないのですが、ま、そういう独特の使い方テクニックは必要になります。
ですが、これだけで走っている間のすべての記録が取れていて、あとから振り返ることができるのってすごいですね。こういうアプリは今までありませんでした。ペースとかスプリット、高低差を見せてくれるアプリはありましたが、こんなに細かいデータが取れるのは初めてです。
左右対称性では右よりも左の方が強いそうで、左足に負担がかかっているようにみえるんですが、心当たりもあります。右膝の調子が悪くてあまり力が入りません。2.5%以内の差であれば問題はないとなっているので、それをオーバーしないように意識して走ろうと思います。
これだけできて3,000円しないというのはすごくお得な感じがするんですが、これらの記録は、そうそう変化があるわけではなく、一度測ると、次からもほぼ同じ数値しか出てきません。一度使ったら良いかな?(^_-) とも思えます。
ユニークだったのはこちらの「低遮音イヤーピース」です。外音取り込みとかノイズキャンセリングの機能は搭載していないのですが、イヤーピースにこうして5本の溝をつけることで遮音性を低めて、インナータイプのイヤーピースながら、外音が取り込める作りになっています。割と外の音が聞こえます。
なるほど、これはアイデアですね。
なお、このイヤホンの欠点ですが、装着安定度がかなり低いです。コントロール部がぶら下がっている右イヤホンが私の場合、ポロポロと外れてしまい、大げさではなく1分に一度位の頻度で外れてしまいます。
ソニーのイヤホンと相性が良いとか、JVCと相性が悪いとかディスる気持ちは全然ないのですが、磁石のN極同士みたいなハズレ方をします。仕方がなくマスク代わりに装着しているラグの内側に入れて落っこちないようにして走っているんですが、これで装着安定度が良かったら超お買い得だったのになー。でも、2,300円で買えたのでラッキーです。
たまに使って走行フォームのチェックに使おうと思います。
スタミナ性能はコーチング機能いりで6時間、コーチング機能オフで7時間なので、ギリギリ、東京マラソン完走に使えそうです。
続いては骨伝導ヘッドホンの「OPEN MOVE」です。amazonで9,999円でした。骨伝導ヘッドホンは大体2万円前後するみたいなんですが、これは多数製品をラインナップしている「AFTER SHOKZ」というメーカーの廉価モデルの最新版、という位置づけの様です。コストパフォーマンスが高そうなので、音質的にも上位モデル並みで、充電はUSB type C端子を使えるということで、長く使えるかな?と思って購入しています。
「骨伝導ヘッドホン」というのは名前だけは聞いてて、鼓膜を使わないで骨で聞くので耳を塞がない、音がしっかりと聞こえる、音漏れなどがない、というイメージだったんですが、使ってみたら大分違っていました。
装着するのはこんな感じ。頭のサイズが大きい人はここまで届かないけど、頭が小さい人だとこめかみあたりまで前に出て行きそう、というサイズ感。
で、音を鳴らしてみると、この先っぽが振動して音を伝えてくるんですが、骨伝導ではあるんですが、あくまで音として認識するのは鼓膜で、装着部が鼓膜(耳の穴)に近ければ近いほど、音が聞こえる、という感じ。
さらに音質はかなり悪いです。ラジオの音並、と言っても伝わる人はある程度の年齢以上の人になってしまいますかね。(今はradicoなどのおかげでAMラジオもFMラジオ並の音質だし) 高域の音も低域の音も鳴らず、人の声あたりの周波数の音だけが鳴っている感じ。これは音楽を楽しむ、というものではないみたいですね。
なお、音量もあまり大きくはなく、これを通勤で使おうとすると相当な音量にあげて使う必要があります。で、音量を上げると骨が共鳴して、盛大に音漏れします。あと、耳の穴が震えるので耳がかゆくなります。w 外音が大きいときは耳栓をすることで骨伝導がよく聞こえるようになるらしいんですが、それではそもそもオープンイヤーにしている意味がなくなってしまうという。。。
左右の音が骨を伝わって両方から聞こえてしまうためステレオ感が減衰する感じもします。方向性がやや甘くなる、というのもありそうです。左右から挟み込む様なスタイルなので人によっては圧迫感があり長時間使うのは厳しいかな?というのもありそうです。
なるほど、ちょっと微妙なものだったんですね。
ただ、ひとつだけすごく良いことがあって、走っているときの衝撃音がまったくしません。低減されているとかではなくゼロです。これは気持ち良く、静かな公園で音質にこだわらずにBGMを鳴らしながらジョギングする、というのには良いかも。
通勤などに使わず、ランニング専用、また自宅でのテレワーク利用に使うのはよいかと思います。
バッテリー駆動時間は約6時間とのことなので、東京マラソンの完走を目指すギリギリランナーにはちょっと厳しいんですが。(^_-)
ということで、やっぱり頼りになりそうなのはソニーのWF-SP800Nになりそうです。JVCのヘッドホンのおかげで右耳の装着安定性が低い感じに気がつき、WF-SP800Nもどこか外れやすい感じがしてきたので、サイズを合わせ直して、これで本番に備えたいと思います。
なお、スマートフォンは買ったばかりの「Xperia PRO-I」を持って行きます。今回の東京マラソンでは給水はあるのですが途中でのエネルギー補給がないそうなので、エネルギーチャージするものを自分で持って行く必要があります。ランニング用のリュックがあるので、そこに給食類を入れていくので、そこにスマートフォンも入れます。ちょっと重たいモデルですが問題なし。
プレイリストも先週末に作りました。
ストリーミングサービスにもマラソンミュージックとか用意がありますが、7時間かけて走る東京マラソンです。7時間分のプレイリストを自分で作ってみました。この日のために東京マラソンの公式ミュージックアルバムを4枚、買い集めていてこれを中心に作っています。
最後の1時間はお気に入りの曲を続けて、気分は24時間テレビのチャリチーマラソンのノリになっています。
さぁ「もう一度、東京がひとつになる日。」がやってくることを願って、トレーニングに励みたいと思います。
3月6日までにコロナウイルス感染が収まっていますように。
ワイヤレス ノイズキャンイヤホン WF-SP800N |
ソニーストア価格: 24,000円+税 |
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発売日 | 2020年6月27日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
延長保証 | 5年ワイド:3,000円+税 3年ワイド/5年ベーシック:2,000円+税 3年ベーシック:無償 |
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