【レビュー】ソニーのレンズ技術の集大成『SEL50F12GM』ショールーム展示実機レポート
一体、今年はどうなってるんでしょう!? ふり返って見るとこの半年でボディが5台も出ていて、先週末に35mm単焦点G Masterレンズが発売になったと思ったら、すぐさま“α”初の開放F値 1.2の『SEL50F12GM』が登場! 猛烈な“α”新製品ラッシュが続いていますが、どうやら、今回の50mm F1.2レンズにその答えがあったようです。
このレンズが一番ソニーが発売したかったレンズに違いありません。G Masterレンズの技術のすべてを注ぎ込んだ最新レンズが本日よりソニーショールーム/ソニーストア銀座にて展示公開になっています。早速、お邪魔させてもらってきました。
こんにちは、店員佐藤です。
Eマウントレンズとして記念すべき60本目のレンズ。G Masterレンズとしては13本目になるのですが、なんと、今年はG Masterレンズ登場から5周年でもあります。2016年2月の登場からもう5年も経つんですね。
気がつけばSEL2470GMとSEL85F14GMの5年ワイド保証が切れる時期になってしまいました。
5年前からふり返って見るとG Masterレンズが登場した1年後に秒60回測距を行うモンスターカメラ”α9”が登場し、3年後には6000万画素を超える“α7R4”が登場しています。
G Masterレンズが登場した当時は、どうしてこんな高品質なレンズが発売されたんだろう?という疑問もあったのですが、その後のロードマップで考えてみると、G Masterレンズ登場以降のレンズで“α9”の秒20コマ連写が可能になっていたり、今思えば“α7R4”の6100万画素、そして、本日発売になった“α1”の5010万画素に必要な解像度を実現したものが「G Master」レンズだったんですね。
そして5年の間に市場も大きく変化していて、キヤノンさん、ニコンさんからもフルサイズセンサー搭載のミラーレスモデルが登場し、新機種の開発がついにミラーレスをメインに舵を切っています。
追う立場だったソニーが、今やミラーレスカメラでは終われる立場に入れ替わっています。後からの開発によりソニーのEマウントよりも大口径のマウントを採用するなど差異をつけてきていますが、その答えになるのが、今回のG Masterレンズ「SEL50F12GM」なんだと思います。
ソニーから登場した「SEL50F12GM」で3社のフルサイズミラーレスの50mm F1.2レンズが揃ったことになり、これで勝負!というところですね。
ちなみに、簡単に比較出来るMTF曲線が各社ホームページに掲載されているので、その縮尺を合わせて並べてみるとこんな感じ。すでに多くの方が自分でグラフを並べてらっしゃると思いますが、比較するとソニーの「SEL50F12GM」がもっとも高解像なレンズになっています。レンズ中央だけではなく周辺部まで全域にわたってリードしているのがわかります。
ちなみにサイズもソニー製とキヤノン製は全長108mmと同等、ニコン製は150mmと大型レンズになっています。重量はソニー:キヤノン:ニコンで778g:950g:1090gとソニーG Masterレンズが飛び抜けて軽量なレンズになっています。
解像度だけではなくボケのスムーズさ、AFスピードなども他社レンズを凌ぐべく徹底マークして開発された「SEL50F12GM」が登場し、今後のカメラ雑誌などで誌面対決企画などが繰り広げられると思いますが、どんな比較がされるのか楽しみなレンズです。
さて、ここでは今日から展示がスタートした「SEL50F12GM」のソニーショールーム/ソニーストア銀座での展示状況のレポートをお届けします。
展示されている「SEL50F12GM」は新発売の最新ボディ”α1”に装着されて展示されていました。その脇には交換して比較ができるようPlanner SEL50F14Zが並べられていて、さすが「わかってるねー」という展示になっています。
新製品の「SEL50F12GM」(写真左)と、カールツァイス「SEL50F14Z」(写真右)を並べたところです。重量は2本とも同じ778gで、長さも108mmで一緒。レンズ径だけが87mm vs 83.5mmになり、G Masterレンズが数ミリ太い、ということになります。
開放F値の違いは1/2段でF1.2とF1.4になります。たった0.2の数字の違いですが、この付近の絞り値0.2の違いは非常に大きく、有効口径では約17%、口径の表面積では約36%もの違いになります。
レンズの違いで比較するとこれに厚みが重なるので、光学性能を優先するとサイズは大きく重くなり、AF速度は妥協せざるを得ず、他社レンズ2本はそうして大型化、AF速度の妥協をしたレンズで開発をしています。
ソニー「SEL50F12GM」ではXAレンズ3枚を含む最新の光学設計により画面全域で高い解像性能を実現。極めて浅い被写界深度でも高速で精緻なAF駆動、機動性を妨げない小型軽量設計でレンズを完成させています。
その特徴は前面の凹レンズからも見られます。
ちょっと珍しい凹レンズは内面反射を抑える役目があると言われていますが、採用の目的は2枚目にある大きなXAレンズの性能を引き出すためとのこと。「SEL50F12GM」は超高度非球面のXAレンズを3枚も搭載しています。これにより小型軽量ボディでも高画素イメージセンサーの能力を最大限に活かせる高解像度を実現しています。
非球面レンズを利用するとレンズを小型設計できるのと引き換えに輪線ボケというタマネギの断面の様にモヤモヤした模様が点光源で出やすいデメリットがあるのですが、超高度非球面XAレンズでは研磨精度を飛躍的に向上させており輪線ボケが出にくく作られています。
上記の写真は私が“α1”+SEL50F12GMを使ってショールームで撮影してきたカットになりますが、ショールームのLED照明などでは輪線ボケが出たカットは1枚も確認できませんでした。
なお、気にされる方も多い口径食ですが、これもSEL50F12GMは出にくい作りになっています。
形をみていただくとおわかりの通りF2.0まで絞るとほぼ円形になっています。他社製レンズと同じ条件での比較をしないと「出にくい」という説明ができないのですが、F2.0での比較をすると若干ソニー「SEL50F12GM」が有利になると聞いています。
マウント径が小さいのはあまり関係ないというか、レンズ設計で性能を凌ぐことができるようです。
絞り羽根は「SEL50F12GM」では11枚を採用。開放絞りからF2.0まで点光源のボケを円形に保てる仕様になっています。キヤノン製が10枚、ニコン製が9枚となっており、F1.6から多角形のボケになるとのこと。
絞りバネの枚数が多いと1枚1枚の絞りバネを小さく設計できるメリットもあり、それによりレンズ径と小さくする事もできるそうです。こうした点でも徹底してレンズの小型軽量化が図られているのがG Masterレンズとなります。
付属の同梱品はこちらになります。G Master用のレンズキャリングケースはSEL85F14GMなどと同じサイズのものになります。SEL24F14GMなどの超小型ケースではありませんでした。
レンズフードは花形ではなく筒型です。このスタイルの方がレンズを置くときに安定しているメリットがあります。
G Masterレンズに多く採用されているロックボタンも見えます。
レンズフードを装着したところがこちらです。
レンズは元々こうしてレンズフードを装着した状態で撮影する事を前提に設計されています。レンズフードを装着することにより、これが前玉のガードになり直接触ってしまうことも防げるし、なにか障害物にあたったときの緩衝材にもなります。
是非、毎回ちゃんと装着して撮影したいところです。
レンズ左側面にはAFとMFの切替スイッチ、そしてフォーカスホールドボタンがあります。
SEL135F18GM同様、レンズ天面にもフォーカスホールドボタンが装備されていて縦位置での撮影時にも使いやすい配慮があります。
絞りリングの始まりの値は「1.2」という見慣れない数字になっているのが誇らしいですね。
絞りリングはカチカチとした感触があるのですが、CLICKスイッチでそれを消すこともできます。
動画撮影時にはオフにして使うコトで絞りの操作音が入らなくなります。
そしてレンズ底面ですが、絞りリングが直接床につかないようにガードがあります。これは全部の“α”レンズについているものではないのですが、レンズ径がちょうど、ボディーの底面と同じ高さになるようなレンズについています。
なにげない配慮がこんなところに隠れています。
「SEL50F12GM」は最終仕様の設計になっているようで、撮影データの持ち帰りが可能になっていました。
ということでショールームにて試し撮りをさせてもらってきたカットを数点紹介します。
口径食の説明で使ったカットです。背景のボケがすごいことになってます。まるでSTFレンズみたいにジワジワとボケます。
ボケのグラデーションにもこだわった設計になっているとかで、F1.2なので被写界深度が浅くフォーカスが合っているように見えるゾーンは少ないんですが、そこからのボケは段々と大きくなるようになっています。
Planner SEL50F14Zでの撮影です。三脚が使えずに手持ちで大体の位置を合わせて撮っているだけなので完全に同じ状態ではありませんが比較撮影してみました。
こちらがSEL50F12GMです。より被写界深度の浅いカットが撮れました。
ソニーショールーム/ソニーストア銀座には一足早く桜と菜の花が咲いています。今ならそれらで撮影が可能。来週には都内で同じ景色が楽しめそうですね。
せっかく“α1”を使えたので鳥瞳AFを使って撮影しました。最短撮影距離0.4mです。
やや離れたところもF1.2で撮影するとこの立体感です。
778gの大口径レンズとはなっていますが、持った感じはSEL24F14GMやSEL35F14GMなどのコンパクトG Masterレンズと同じ感覚で重量感は感じません。
今回はテスト撮影と言うことで絞り開放のF1.2でしか撮影をしていませんが、絞りリングが搭載されていますので電源を入れながら目的の絞り値にすっと回してスナップ撮影をすることが可能。
“α”シリーズ搭載のトラッキングAFと合わせて使うと小気味良く「スッ」「スッ」とAFが合っていくので気持ち良くシャッターが切れるレンズです。
これもスナップ撮影で街歩きに持ち歩いてみたいレンズですね。
ソニーストアでは2021年3月23日(火) 10時より予約販売が開始します。出荷になるのは4月23日ですので1ヶ月先になります。
価格は使用想定価格として税込みで28万円を予定しているとなっています。従来はメーカー希望小売価格が表示され、ブランドレンズの場合は1割引きでソニーストアで販売されていましたが、今回はオープン価格となっています。税込み価格で28万円がストレートなソニーストア価格になる可能性があります。
先行展示については3月19日(金)より、各ソニーストア直営店舗で行われるのでお手に取ってお試しください。
なお、当店は予約開始日の3月23日火曜日は朝9時30分からの特別営業を行っています。
出勤前に予約オーダーをご希望の方は是非ご利用ください。「SEL50F12GM」の魅力を解説する「SEL50F12GM」ミニセミナーを店員佐藤がお店番をしている際は随時開催しています。
★α universe「FE 50mm F1.2 GM 開発者インタビュー」はこちらから
50mm単焦点レンズ SEL50F12GM |
市場推価格: 279,400円 税込 |
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発売日 | 2021年4月23日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
長期保証 サービス |
5年ワイド:28,600円(税込) 3年ワイド/5年ベーシック:14,300円(税込) 3年ベーシック:無償 |
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ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ |
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テックスタッフ 店頭入特典 |
10%オフクーポン(併用不可)プレゼント中 テックスタッフ店頭ご利用特典のご案内 |
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