【レビュー】“α1”で使うメモリーカード『CFexpress type A』の話
昨年10月に発売された次世代メモリーカード「CFexpress type A」カードについて、そういえばまだ当店blogでは紹介記事を書いていませんでした。
サイズはSDカードよりもやや小さいサイズで転送速度は従来のSDカードの倍以上を実現するメモリーカードです。“α7S3”で初採用になり、フラッグシップモデル“α1”でも利用ができる新しいメモリーカードなんですが、実際の書込スピードなどを試してみましたのでレポートしたいと思います。
“α1”購入をきっかけに「CFexpress type A」カードの購入を検討中の方もいらっしゃると思います。参考にしていただけると幸いです。
こんにちは、店員佐藤です。
新製品の「CFexpress type A」カードなんですが、すごい高いんですよね。マイクロSDカードでウォークマンに使う512GBのカードなんて、今や1万円もしないくらいなのに「CFexpress type A」カードだと160GBで46,000円です。
5010万画素の“α1”で使うなら256GBくらいのSDカードを4~5枚用意したいところなのに、最大容量の160GBを2枚買うと、それだけでほぼ10万円です。ちょっと時間が経てば安くなっていくでしょうし、購入をちょっと迷うのはとてもわかります。
その価値が本当にあるのか、転送速度などを実際に調べてみたいと思います。
用意したのは80GBカードを2枚です。感覚的には従来からメインで使っている64GBのSDカードよりもちょっと容量が大きいカードで、これをデュアルで使うコト想定で用意しました。当店で店頭展示をしている“α7S3”と、展示予定の“α1”で撮影体験をしていただくために用意をしています。
「CFexpress type A」のサイズはSDカードをやや小さくしたサイズです。文字は小さいですが記載されている最大転送速度はSDカードとは桁違いで倍以上のスピードが出るとなっています。
実際にこんなスピードが出る物なのかどうかをまずはテストしてみました。
転送速度のテストは、同時発売になっていた「CFexpress type A」対応のCFexpress Type A / SDカードリーダー 『MRW-G2』をVAIOのUSB type C端子に接続してベンチマークソフトのCrystalDiskMarkを使っています。
使用するUSB type C端子は10Gbpsのスピードで動作するとなっています。メモリーカードの転送速度は読み書きで800MB/sと700MB/sと記述されています。この10Gbpsの速度で間に合うのかな?というところですが、これ、単位が違っていますよね。片方は「bps」で片方は「MB/s」となっています。これは1秒間に何ビット転送できるのかと、1秒間に何バイト転送できるのか単位が違っています。この場合、計算は1バイト=8ビットなので、bpsで記載されているものは8で割ると単位が揃います。
10Gbpsは1250MB/sになります。最大800MB/sのメモリーカードの転送速度を測るのであればこれで足りているわけです。
データの読み書きを各カードで計測した物が下記の表になります。黒文字は記載されているカタログ数値で赤文字が実際にベンチマークソフトで出た数値です。
実物はありませんが、他カメラメーカーさんで採用されているCFexpress type BカードやXQDカードの転送速度のカタログ数値も参考までに掲載しました。SDカードはソニーToughシリーズの「SF-G」と「SF-M」の両方を用意しました。
読み出し | 書き込み | |
CFexpress type A | 800MB/s 821MB/s |
700MB/s 671MB/s |
SF-Gシリーズ | 300MB/s 288MB/s |
299MB/s 221MB/s |
SF-Mシリーズ | 277MB/s 275MB/s |
150MB/s 157MB/s |
CFexpress type B | 1700MB/s | 1480MB/s |
XQDカード | 440MB/s | 400MB/s |
普段は箱やカードに記載されている数値としての意識しかないんですが、実際にこうして計測してみるとほぼそれに近い数値が出てくるとちょっと感動します。(実際にそうでないと困るんですが)
PCでのスピード計測の場合は書込速度よりも、撮影したデータの取り込みに使うコトがほとんどなので読み出し速度が重視されます。カードリーダー「MRW-G2」を使わずに”α”本体をUSB type Cで接続して読み出したときのスピードはどれくらい違うモノなのかを試してみたのがこちらです。(まだは発売前の“α1”では計測できないので店頭展示している”α7S3”で試しました。)
読み出し速度計測 | MRW-G2 | “α7S3” |
CFexpress type A | 821MB/s | 352MB/s |
SF-Gシリーズ | 288MB/s | 210MB/s |
SF-Mシリーズ | 275MB/s | 191MB/s |
読み書きのスピードは表示されている数値通りのスピードアップをするのですが、読み出しについてはカードリーダーをちゃんと用意した方が倍以上のスピードで読み出せることがこれでわかるかと思います。逆にSDカードを使っている場合はカードリーダーを使わなくても”α”本体を使うコトで、そこそこの高速読み出しができることもわかりました。
書込速度についてはカタログには記載がありませんが最低書込速度というのも存在していて、動画撮影時のビットレートはそれを上回らないと書き込みができない、という制約もあります。これは主に動画の記録フォーマットでの制約になるのですが、“α1”や“α7S3”そしてプロフェッショナル向け動画カメラ『FX6』ではCFexpress type Aカードを利用しているときのみ設定が可能な撮影モードがあります。
【α1】
4K 記録 スロー&クイックモード XAVC S-I記録 フレームレート120 fpsの設定
FHD 記録スロー&クイックモード XAVC S-I記録 フレームレート240fpsの設定
【α7S III】
4K 記録 スロー&クイックモード XAVC S-I記録 フレームレート120 fpsの設定
FHD 記録スロー&クイックモード XAVC S-I記録 フレームレート240fpsの設定
静止画:非圧縮RAW形式で1,000枚以上の高速連写
【FX6】
QFHD 記録 スロー&クイックモード XAVC-I Class300 フレームレート100fps、120fps設定
FHD 記録 スロー&クイックモード XAVC-I Class100 フレームレート150fps、180fps、200fps、240fps設定
“α7S3”の発売時にご案内しましたがXAVCのIntraによる撮影は編集耐性の強いフォーマットで、あまり一般の方が利用するフォーマットではまだないと思います。ただ、こうして高速メディアが普及していって、編集に使うPC環境がより高速化されていくと、こうしたフォーマットも当たり前になっていくのかもしれないですね。
※“α”で扱える新しい動画フォーマットの詳細は↑こちらのレポート記事にて紹介しています
そして、こういうのは本来、製品版の実機がやってきたところでテストをするものなんですが、ソニーショールーム/ソニーストア銀座で特別展示されている”α1”での連続撮影テストもさせてもらってきました。
気になるのがCFexpress type Aカードと、SDカード(ToughのSF-G)での連写枚数、書き込み時間の違いになるかと思います。
今回は正確を期すため? すべて動画撮影をしてきて、あとから連写枚数と書き込み時間を計測しました。“α1”の仕様表に掲載されているカタログ数値はCFexpress type Aカードを使ったものと思われますが、SDカードのSF-Gシリーズでの書き込み枚数も掲載します。
ちなみにメーカーの公表値と大幅に枚数が違っていますが、これは展示機と言うことで製品版とは仕様が一部違っている可能性もあります。(私が計測している連写枚数はシャッター音が途切れるまでの計測にしており、もしかするとシャッター音は途切れていてもカメラの記録としては連写は続いているのかもしれません。)参考までにご覧ください。
メーカー公表値 | CFexpress type A | SF-G | |
JPEG FINE | 400 | 143 +3.5sec | 140 +3.6sec |
JPEG X-FINE | 182 | 154 +4.5sec | 149 +6.5sec |
圧縮RAW | 238 | 145 +8.7sec | 148 +25.4sec |
ロスレスRAW | 96 | 95 +5.8sec | 75 +14.7sec |
非圧縮RAW | 82 | 82 +10.2sec | 63 +21.8sec |
非圧縮RAW+ JPEG FINE 1枚に書き込み |
78 | 75 +10.8sec | 50 +20.5sec |
非圧縮RAW+ JPEG FINE 2枚に振り分け |
71 +10.2sec |
※赤文字は連写終了時からバッファを書き込み終了するまでの時間です。
連写枚数はバッファが一杯になるまでの時間なのでCFexpress type AカードもSF-Gも大差は無いのですが、連写終了からバッファを書き終わるまでの時間についてはかなり開きがあります。
それと、JPEGでの書き込み枚数がメーカー公表値とかなり開きがあるんですが、これ、ちょっとわからないんですよ。数秒に一度連写が落ちる瞬間があるので、そこで連写終了としているのですが、それくらいの頻度でコマオチしている様に見えるものの、ほぼ切れ目のない連写はずーっと続くんです。音が途切れているだけで、もしかしたら連写は続いているのかも。
それだとするとCFexpress type Aカードの連続撮影は書き込み時間がかなり短くなっていますし、かなり頻度の高い連写ができるかも。
他社製カメラではCFexpress type Aカードではなく type Bカードを採用しているモデルもあるのですが、ソニーではSDカード2枚差しとCFexpressの2枚差しができる仕様にこだわったと聞いています。
これもプロカメラマンへの配慮なんだと思いますが、デュアルスロットで同時記録を使う場合、プロはほとんどの方がバックアップ目的になるようで、その際にCFexpress type BカードとSDカードを使うとSDカードへの書き込みの遅さが足を引っ張ってしまう可能性があるとのこと。
CFexpress type Aカードの2枚差し、SF-Gカードの2枚差しなら、同じスピードでの書き込みができるのでバックアップのための記録が2枚同時に終わります。
なお、4240万画素の“α7R3”の連写枚数ってJPEGで76枚でした。5010万画素の“α1”ではそれが400枚になっているってすごくないですか? “α7R3”は最高秒10コマで、“α1”は秒30コマです。新搭載のBIONZ XRは処理速度が8倍になっているという話ですが、こうしたJPEGファイルの圧縮演算なども相当な高速化をしているみたいです。
この高速演算をイカすには、やはりCFexpress type Aカードを使わないともったいないかもしれないですね。
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シミズ
2023年11月22日 @ PM 5:39
いよいよCFexpress type Aの導入を考えるか…ということで、この記事をみつけて読んでました。
RAWだとファイルサイズが大きいから、CFexpress type Aの方が圧倒的にバッファクリアがはやい。jpegのみだと、jpegに変換処理がボトルネックになってて、書き込みはSDとあまり差がつかない。そのため、連写速度、コマ数もあまり差がつかない。
という認識であってますでしょうか?
uhs-Ⅱが出てきた時も同じような感じだったと思いますが、jpegファイルへの処理ってけっこう大変な作業なんですね…
tecstaff
2023年11月22日 @ PM 5:55
ちゃんと測っていませんが”α7R V”だともっと差が出るように感じます。
データが大きいと、もっと差が出る感じでSDカードは全体に時間がかかるようになるかもしれません。
CFexpress Type Aカードについては当店でボディ本体をお買い上げいただいた方に
特別なご案内ができるかもしれないので、ご購入の際にご相談ください♪
けんたろ
2023年11月29日 @ AM 1:20
興味深い記事をありがとうございます。
気になっているのですが、RAWとJPEGの振り分け記録をする場合、RAWを記録するスロット1のみCFexpress使用という運用でもSDカードの記録スピードが足を引っ張ることはないと認識してよいのでしょうか?
記事を拝見する限り、SDのJPEG連射枚数>CFexpressのRAW連射枚数なので、SDカードが足を引っ張ることはさそうですが…
tecstaff
2023年11月29日 @ AM 11:37
お問い合わせありがとうございます。
最新モデルの”α7R V”で試したところスロット2にSDカード(SF-G)とCFexpress Type Aカードを使った時では連写枚数が異なっていました。CFexpress Type Aカードの方が連写枚数は増えます。どうやら振り分け記録をしている時は同時に書き込みを行う様でJPWG X.FINEで記録するとSDカードの書き込みの遅さに引っ張られるようです。