【レビュー】ソニー史上最高の重低音体感 ワイヤレスヘッドセット『ULT WEAR』実機レポート ULTボタンで本当に音が変わる!
ソニーから新型の重低音タイプのワイヤレスヘッドホンが発表になりました。新たにペットネーム(LinkBudsなどの型名ではない製品名の製品)として「UTL WEAR(アルトウェア)」というネーミングで登場。
しかも、今までの重低音タイプのヘッドホンとは一線を画した製品になっています。実機の様子をお伝えします。
こんにちは、店員佐藤です。
ブランド名ではありませんが「ULT POWER SOUND」というシリーズ名で今回は3製品が展開。大型ワイヤレススピーカーと、小型ポータブルワイヤレススピーカー、そしてワイヤレスヘッドセットの「ULT WEAR」の3製品がラインナップされています。
すべてのモデルで共通しているのが異次元の重低音を鳴らすハードウェアと「ULTボタン」による低音のコントロールです。
「ULT WEAR」に搭載されるULTボタンは左耳ハウジングの後ろ側にあたる部分に配置されていて、これを押すことで2段階の重低音ブーストが楽しめます。
購入時の初期設定では「ULT2」になっているので、購入して最初に鳴らしたときは低音全開状態になっていると思うのですが、ボタンを押すたびに「OFF」→「ULT1」→「ULT2」と切り替わります。
ボタンを押して切り替わる際に銅鑼(ドラ)が鳴る感じで「ドシャーン」という音が響き、その後に低音の波がやってくる感じ。なにやらソニーらしからぬ演出にも思えるんですが、これがなくても全然わかりやすすぎなほどに音質が変わります。
「ULT WEAR」はソニーのアプリ「Headphones Connect」に対応。スマートフォンアプリから各種コントロールができます。
この「ULT」ボタンの操作こそできないものの、イコライザー画面を見ると、どういうことをしているのかがわかります。
ヘッドホンの「サウンド」タブでイコライザーの項目を見ながら「ULT」ボタンを押していくと「Bass Control」が都度変わっていくのと「CLEAR BASS」が「ULT2」の時に「+10」という全開状態になっているのがわかります。
画像はイコライザー「OFF」にしていますが、どの画面ででも同様の働きをしていて「CLEAR BASS」の元の値に「+10」するというのが「ULT2」です。「Bass Control」というのはイコライザーで表示されている400kHzよりも低い周波数のコントロールをしているんですかね。
こちらはイコライザーのカスタムを呼び出して、その設定画面を見ているところです。見ての通り「ULT」ボタンで操作しているのは超低域の音だけで、その上にある周波数対についてはなにもいじっていません。
なので、中高域の音質は変わらず、低域と超低域の音だけブーストしているのが「ULT」ボタンというのがわかります。
で、いろいろ低域の音が特徴的な楽曲を中心に試聴してみるんですが、なるほどです。
2014年あたりにハイレゾ楽曲が話題になりはじめたとき、ソニーさんのエンジニアの方から話を聞いたのですが、再生する機器に応じて楽曲の作りも変わってきていて、80年代と比べると今(当時は2014年頃)の音楽では低域の扱いが違っている。昔は低音を再生出来る機器は限られていたけど、今はデジタルの発達もあって低域の音がしっかり出せるようになっていて、低域の音までちゃんと作り込んでいるという話を聞いた覚えがあります。
ということで、80年代の音ミックジャガーの入った「State of Shock」と、2014年のヒット曲「アップタウン・ファンク」を聞き比べてみるわけですが、今と比べるとベースの音が1オクターブ低いところで鳴っているんじゃないか?というくらい低域の音程がモリモリになっています。バスドラムのズンという音が昔は最低限だったところが、今はさらにその下の音をベースで鳴らしている感じ。
さらにサンプルで聞いたBLACKPINK(韓国のガールズグループ)とか、スゴいことになっているんですね。音楽の半分が低域で出来ているんじゃないかというほどの曲で、これは「ULT WEAR」の「ULT2」で聞かないと本来の音が聞けてないような気がする曲もありました。
今シーズン、ドラマ主題歌でもよく耳にするCreepy Nutsの楽曲なども、ふんだんに重低音が鳴っていて、痺れました。テレビで流れていたテーマ曲に楽器を足した様な音になっています。
ULTボタンの効き目も、これが良く出来ていて、昔のExtra Bassヘッドホンだと低音モリモリの音のバランスになっていましたが、ULTボタンをオフにすると、普通のヘッドホンとして鳴っていて、ULTボタンを押すごとに、なにかサブウーファーのスイッチを入れてスピーカーを追加した様な聞こえ方がします。ULT1では低域が足される感じ。ULT2ではさらにその低域の音をブーストしてウーファーの電圧をあげたんじゃないかみたいな音に変身。
なるほど、単なる低域増強ヘッドホンではないところが今までと違いますね。
ソニーのアプリ「HeadPhones Connect」には現在の音圧を表示する機能もあります。
これだけ低域の音をガンガン鳴らしているのであれば、耳にかかる音圧も相当大きくなっているんだろうな?と、測定してみたんですが、同じくらいの音圧に聞こえるところ(と、言っても低域はバリバリ増えているはずですが)で、音圧を比べて観るのですが、数値上はさほど変わらない様です。
というか、低域の音がすごすぎて、無意識に全体の音圧を下げてしまっているのか「ULT WEAR」の方が数値は低い様な印象すらあります。ULTボタンで低音ブーストしていても耳にかかる音圧はそれほど上がるものではないようです。
なお「ULT WEAR」はHeadphones Connectのセーフリスニング機能に対応しています。
「セーフリスニング機能」というのは、難聴にならないようにするためのセーフティ機能で、1週間の耳にかかる負担を音圧と時間で計測する機能。WHOにより積算音圧についての限度が示されていて、そこに達さないようにアプリ上で警告が出るようになっています。
通勤時に使っている私の場合は2~3%くらいで推移しているので特に問題はないのですが、大音量で音楽を聴いている方はこの値がグッと増えているはず。
こうした計測をしてくれるヘッドホンは「WH-1000XM5」の他にインナーイヤーの「LinkBuds S」と「WF-1000XM5」という合計3モデルしかなかったのですが「ULT WEAR」は4機種目として、セーフリスニング機能が使えるソニーヘッドホンになっています。
これはとても安心だと思います。
耳への負担は累積的に貯まっていき、一度失った聴力は戻ってこないと言われています。若いうちからこれは利用した方が良いかと思います。
珍しい機能としては「ヘッドトラッキング」にも対応しています。これはスマートフォンと連動する機能で、スマートフォン側に「ヘッドトラッキング」機能が付いていないと利用ができないのですが「ULT WEAR」はこれにも対応。
ちなみにソニーのスマートフォンでは「Xperia 1 V」と「Xperia 5 V」の2機種のみが搭載している機能になります。
ヘッドトラッキングというのは音像を仮想的に固定して、スマートフォンの画面を見ながら、右を向くと音が左から聞こえ、左を向くと音が右から聞こえる、と言う機能です。
バーチャルで音場を作って、顔の向きを変えると、仮想的な音場の向きも変わるということをしています。
360 Rearity Audioで機能が利用できるほか、YouTubeのサラウンド音声でもこれが利用できます。
見分けるのが難しくて、音声フォーマットがサラウンド記録されていないとこの機能は使えません。タイトルに「ドルビーアトモス」と説明されていても、きちんとサラウンド記録されていないコンテンツもあり、見た目にはサラウンド記録されている動画は見分けにくいのですが、「ULT WEAR」とXperia 1 Vを使って動画探しをすると、あっという間に聞き分けができます。
首を振って音場がずれなければそれはダメ。音場にズレが感じられれば、それはサラウンドコンテンツ。というくらい、ガッツリ違いが出ます。
これを体験出来るのは「Xperia 1 V」もしくは「Xperia 5 V」他に他社製スマートフォンでヘッドトラッキング対応をうたっているモデルがあればそのモデルをお持ちの方しか試せません。珍しい機能なので「ULT WEAR」を手に入れたら是非試してみていただきたいところです。
「ULT WEAR」購入時に比較検討するヘッドホンというと、上位機種の「WH-1000XM5」になるのですが、価格がそもそもかなり違います。「WH-1000XM5」が59,400円にたいして「ULT WEAR」は市場想定売価が33,000円のモデルです。ほぼ半額です。
外観だけ比較すると、写真左が「ULT WEAR」で写真右が「WH-1000XM5」です。昨年開催されたWBCでは大谷翔平選手が使っていたことで大きな話題になっていたのですが、今年、ドジャースの韓国戦で見かけられたときは他社製のヘッドホンになっていたようで、少しガッカリ。ですが。1000億円プレーヤーと同じ音質が楽しめるヘッドホンでもあります。
第5世代になって外観が大きく変わっていて、逆に「ULT WEAR」は前世代の「WH-1000XM4」的なデザインを踏襲しているとも言えます。
こちらは専用キャリングケースに収納したところ。折りたたみ機能がなくなってしまった「WH-1000XM5」に比べると、折りたたみ機能が健在の「ULT WEAR」はより小さく収納ができます。
わずかな差ではありますが、旅行カバンに入れるときとか、わりと体積を必要とするので、これはありがたいかも。
キャリングケースへの収納方法ですが、ちゃんと設計図?が書かれていますので、慣れるまでこれを見ながら折りたためば大丈夫です。
仕様を比較して見ます。
ULT WEAR | WH-1000XM5 | |
ソニーストア価格 | 33,000円 | 59,400円 |
発売日 | 2024.4.26 | 2022.5.24 |
ドライバーユニット | 40mm ドーム型 | 30mm ドーム型 |
再生周波数帯域 | 5Hz – 20,000Hz | 4Hz – 40,000Hz |
インピーダンス (有線接続) |
314 Ω (POWER ON時) 32 Ω(POWER OFF時) |
48 Ω (POWER ON時) 16 Ω(POWER OFF時) |
折り畳み | 〇 | × |
質量(g) | 約 255 g | 250g |
DSEE | 〇 | DSEE Extream |
電池持続時間 (連続音声再生時間) |
最大30時間(NC ON時) 最大50時間(NC OFF時) |
最大30時間(NC ON時) 最大40時間(NC OFF時) |
タッチコントロール | 〇 | 〇 |
ボイスアシスタント (Siri/Google App) |
〇 | 〇 |
ノイズキャンセリング | 〇 | 〇 |
外音コントロール | 〇 | 〇 |
ULTボタン | 〇 | × |
Headphones Connect | 〇 | 〇 |
行動認識 | 〇 | 〇 |
クイックアテンション | 〇 | 〇 |
マルチペアリング | 〇(SBC/AAC) | 〇(LDAC対応) |
ヘッドトラッキング対応 (Android対応モデル) |
〇 | 〇 |
伝送帯域(A2DP) | 20 Hz – 20,000 Hz (44.1KHz sampling) |
20 Hz – 20,000 Hz (44.1KHz sampling) 20Hz-40,000Hz (LDAC 990kbps 96kHz sampling) |
.
ドライバーユニットについては低域を鳴らすためか、ULT WEARの方が大口径ドライバーを搭載しています。
WH-1000XM5は20,000Hz以上も鳴らせるハイレゾ対応のモデルになっていますが、ULT WEARは再生帯域や伝送帯域については20,000Hzまでとなっています。
MP3などの圧縮音源を補正するDSEE機能もULT WEARは音楽CD並みのところまでの補正で、WH-1000XM5はハイレゾ領域までの補正になっています。
音質に性格分けの違いはあるものの、機能面ではほぼ同じ。タッチセンサーを搭載していたり、ノイズキャンセリング、外音取り込みなどの基本的な機能はほぼ同じと言って良いくらいです。
注意点としてはドライバーユニットの抵抗値がかなり大きいのでバッテリー切れの際にプレーヤー側からの出力だけで鳴らそうとするとULT WEARは314Ωもあるので、それなりに大出力のプレーヤーが必要になります。ウォークマンなどでもハイゲインで鳴らす必要がありそうです。
一部、機能面で差があることはあって、例えば2台同時接続は2モデルとも対応しているのですが、WH-1000XM5はLDAC接続で2台同時接続が可能。ULT WEARは2台同時接続にしているとLDACが使えずAAC以下のコーデックに切り替わります。
あくまでも全体の音質にこだわる「WH-1000XM5」と「ULT WEAR」の違いがこういうところにあります。
この差が差額に出るわけですが、さすが「WH-1000XM5」のこだわりと捉えるか、この差額だったら「ULT WEAR」の方がおトクじゃん!と、捉えるかはユーザーさん次第ということになるかと思います。
ヘッドセットとして通話機能も搭載しています。左側ハウジングに通話用のマイクがあるのですがノイズキャンセリングのための取り込みマイクも活用して口元へむかって直線上になるようにマイクを配置。これにより指向性をもたせた音声の収音ができます。ソニー”α”のアクセサリーでカプセルマイクを直接に並べて集音するショットガンマイクがあるのですが、それと同じ様な理屈で指向性をもたせているものと思われます。
自宅が線路沿いのマンションなのでベランダで通話比較をしてみました。ノイズの発生源としてはかなり大きなものになるので条件が悪すぎるんですが、インナーイヤータイプのヘッドセットと比べるとかなり収音性能は良いかと思います。
ただ、フラッグシップモデルの「WH-1000XM5」と比べると、やはり差があり、ノイズキャンセリングマイクの性能については価格が倍近くするだけあってこうした性能もそれなりにあるものという感じでした。
これら「ULTボタン」の効果や、ビームフォーミングを使った収音の様子はなかなか言葉ではお伝えするのが難しいので、今回はYouTube動画でもご案内をしています。
少し長めの動画になりますがご覧いただければ幸いです。
改めて新発売の「ULT WEAR」のソニーオーバーヘッドタイプのヘッドホン製品のラインナップを比較してみます。
ハイレゾ | 重低音 | スタンダード | |||
WH-1000XM5 | WH-1000XM4 | ULT WEAR | WH-CH720N | WH-CH520 | |
ストア価格 | 59,400円 | 48,400円 | 33,000円 | 22,000円 | 7,700円 |
発売日 | 2022.5.27 | 2020.9.4 | 2024.4 | 2023.3.3 | 2023.3.3 |
ノイキャン性能 | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★ | × |
ハイレゾ対応 | 〇 | 〇 | × | × | × |
重低音 | × | × | ULTボタン | × | × |
スタミナ | ノイキャン30h | ノイキャン30h | ノイキャン30h | ノイキャン35h | 50h |
対応コーデック | SBC/AAC/LDAC | SBC/AAC/LDAC | SBC/AAC/LDAC | SBC/AAC | SBC/AAC |
質量 | 250g | 254g | 255g | 192g | 147g |
.
ULTボタンの搭載や、LDACコーデックの対応があるなど、音質面でも「ULT WEAR」はかなりコストパフォーマンスの良いモデルだと思います。
当店でも、このモデルは店頭展示予定です。小さなお店なので全部展示することはできず、お客様に感動していただける製品だけにセレクトして展示しているつもりなんですが、これは是非、店頭で体感して感動してお買い上げいただきたいモデル。
オススメです♪
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ワイヤレスノイズキャンセリング ステレオヘッドセット WH-ULT900N ULT WEAR |
ソニーストア価格: 33,000円 税込 |
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発売日 | 2024年4月26日 |
メーカー商品情報ページこちら | ||
延長保証 | 5年ワイド:3,300円 3年ワイド/5年ベーシック:2,200円 3年ベーシック:無償 |
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ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ 24回払いまで分割払手数料【0%】 |
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テックスタッフ 店頭入特典 |
発売後、当店店頭にて実機展示予定 テックスタッフ店頭ご利用特典のご案内 |
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