『Sound Forge Pro 11』と『PS-HX500』でハイレゾ録音の波形編集
こんにちは、店員佐藤です。
ソニーのハイレゾ録音対応レコードプレーヤー「PS-HX500」を使ってのハイレゾリッピングですが、先週末からずーっとソフトウェアの使い方を調べていて、やっと満足いくハイレゾファイルの作り方がわかったので、ここで紹介したいと思います。
別売りのソフトになりますがソニー・クリエイティブ・ソフトウェアの「Sound Forge Pro 11」というオーディオ波形エディタを使った「PS-HX500」での録音ファイルの編集方法をご案内したいと思います。
☆ソースネクスト「Sound Forge Pro 11」のご案内はこちらから
まず、最初に「Sound Forge Pro 11」というソフトウェアなんですが、ホームページを見ると標準価格55,000円となっています。これだとレコードプレーヤーの「PS-HX500」と同じ価格になってしまいますが、そこはソースネクストさんです。
たまに特価販売をしており、私も1月の下旬に7,538円で購入しています。実に87%引きになるのですが、たまにこうして超特価で販売していますので狙っているとオトクに購入できると思います。
「Sound Forge」自体は2013年発売のVAIO Fit 15Aなどにもバンドルされていますが、それらには今回利用するノイズリダクション機能がついていません。今回紹介する編集方法は「Sound Forge Pro 11」でないと利用できない機能を紹介しているのでご了承ください。
さらに言うと「Sound Forge Pro 11」を購入して、本体ソフトウェアをインストールしただけでもノイズリダクション機能は使えません。
ダウンロードして解凍したフォルダの中に「プラグイン」というフォルダがあり、その中にノイズリダクションフォルダがさらに別途用意されていて、その中のプラグインソフトを別途インストールしないと使えないんです。
このノイズリダクションのソフトウェアが元々は別のソフトで、ノイズリダクション機能だけで6万円もするソフトだったんだとか。
今回は、このノイズリダクション機能が目的で使っていますので、ここまでちゃんとセッティングしてから利用を始めます。
こちらが「Sound Forge Pro 11」を起動して楽曲ファイルを読み込んだときの状態です。DSDファイルを読み込むことはできないため、PS-HX500を使ってレコードの録音をするときはDSDではなくWAVファイルで録音するのをお忘れ無く。
なお、当店の現在のハイレゾレコードプレーヤー周りのシステムは下記の様になっています。
☆当店blog 16.4.14「レコードをハイレゾで録音!『PS-HX500』開梱レポート」
PS-HX500と一緒にHDDオーディオプレーヤー「HAP-S1」を並べており、レコードのアナログ音声出力をHAP-S1で鳴らしています。
VAIOとはUSBケーブルで接続していて、VAIOで専用録音ソフト「Hi-Res Audio Recorder」を使ってハイレゾ録音してます。VAIOとHAP-S1はLANでつながっていて、VAIOで取り込んだ音楽ファイルは「HAP Trancefer」という転送ソフトを使ってHAP-S1のHDDに自動でコピーされる、という仕組みになってます。
今回はそのVAIOでの取り込みをしたあとの話になります。
「Hi-Res Audio Recorder」は非常にシンプルなソフトウェアになっており、レベル調整などもする項目はなく、ただ単にPS-HX500の音をハイレゾファイルで録音するだけ。
録音終了後に曲間を自分で決めてチャプターを打ち、楽曲情報を書き込んで保存するところまでできます。
音量レベルを調整したり、またノイズを消したりする機能はまったく搭載されていないため、レコード独特のプチプチいったり、ゴトゴトいうノイズを消したい場合は自分でなにか編集ソフトを用意する必要がある、というわけです。
☆当店blog 16.4.16「レコード vs ハイレゾ vs CD試聴対決」
前回は「Audacity」というフリーソフトを使って手動でノイズを消す、と言うことをしていました。時間と根気があれば、大好きな楽曲を自分の手で綺麗な音にしていくのは楽しい作業ではあるんですが、完全に取りきることはできません。
こんなわずかなキズがあるだけで、もうノイズは無数に入りますからね。このキズの部分の録音した波形を見てみると。。。
ま、等間隔でノイズが入るのでこういうキズは取りやすいと言えば取りやすいんですが、これを何曲もなるとなると。。。やっぱり、これはなにか自動化できる手段がないと無理だな、という結論にいたるのに録音曲1曲あれば充分。
そこで登場するのが「Sound Forge Pro 11」なんです。
録音した楽曲を読み込んだら、まず最初にやるのがこれ。「ツール」の中にある「クリックとクラックルの除去」というツールです。
解説レポートを読むと「Sound Forge Pro 10」までは、クラックルノイズの消去はできないという話があったので、この機能が搭載されたのは「Sound Forge Pro 11」からになるのかもしれません。
細かい調整項目は私も意味がわからないのですが、プリセットがいくつか用意されています。
これでキズの多い盤なのか、それとも新品でそれほどノイズは多くないということでノイズリダクションをかけるのかを選びます。
プリセットを選んだらOKボタンを押すことで1分かからずに1曲分のノイズ除去ができます。
波形を比べてみるとご覧の通り。音質の変化もなく見事にプチプチいうノイズを消してくれます。超便利です。これだけのために「Sound Forge Pro 11」があっても良いくらいなんですが、本領発揮はここからです。
さらに「ツール」から「ノイズ除去」を選びます。これが「Sound Forge Pro 11」のノイズリダクションの一番スゴいところ。
無音部分を選んで、そこをノイズとして指定しておくと、そのノイズを全体から引いてくれます。エアコンのうなる音がずーっと入っているようなスピーチの音声も、これを使うことで音質を変えずに無音のところでのスピーチ音声にすることができる、という使い方をするんですが、ここではレコードの盤を回しているときに鳴るゴトゴトいう音を消してしまおう、ということをします。
まずは曲が始まる前の無音部分をドラッグして選択しておきます。
この状態で「ツール」>「ノイズ除去」を選択。
そして「ノイズプリント」というタブに移り「ノイズプリントのキャプチャ」にチェックを入れて「プレビュー」ボタンを押します。
これで無音部分にあるノイズ成分をご覧の通りキャプチャします。
そうしたら、今度は全般タブに移って、ウインドウの適当なところを右クリックして「すべてのデータを選択」をクリック。
音声ファイル全体を選択されていることを確認したら「OK」ボタンです。
これで楽曲ファイル全体から冒頭のゴトゴトしたノイズを全部削除してくれて、しかも全体の音質に変化は起こらないんです。すごいソフトウェアなんです。これ。
さらに、これがちょっと気になるんですが、PS-HX500で録音するファイルですが音圧が弱いんです。レコードによっては音圧が高い場合もあって、たとえば12インチシングルなどで45回転で贅沢に30cmの盤を1曲で使っていたりすると高い音圧だったりするんですが、LP盤はたいてい上記の様なレベルをめいっぱいは使っていない状態になります。
ウォークマンに取り込んで曲を聴いてみても、PS-HX500で取り込んだ楽曲だけはボリューム全開にしないと聴けない、とかそういう状況になります。
そこで行うのが「ノーマライズ」という作業になります。
「プロセス」の中にある「ノーマライズ」を使います。
これもプリセットでいくつも用意があります。音楽用に使うのであれば「RMSを-16dBにノーマライズ(ミュージック)」というのか「最大ピーク値」あたりを使うのが良さそうです。
ピークレベルというのは曲の最大音量の部分を見つけて、それが0dBという最大音量になるように調整してくれるプリセット。RMSというのはどうやら聴感上の音量をいうみたいで、その平均値を-16dBという単位にするように調整してくれるみたいです。
実際に、この二つのプリセットを使ってノーマライズした結果がこちらです。
↑これは最大ピーク値が0dBになるようにしたもの。
↑こちらはRMSが-16dBになるようにプリセットしたもの。
比較して見るとRMSで調整した方が聴感上のボリュームも多めに聞こえます。ただピークは0dBを超えていることになるのでピーク部分を犠牲にして全体のゲインを上げているということになります。
聞き比べて見ると、アナログレコードならではの柔らかい音を聴くのであれば最大ピーク値を0dBにした方で、RMSで合わせるとやや音が硬くなりCDに近いイメージになる感じがします。
ちなみにこれはイーグルスのホテル・カリフォルニアで試しています。ダウンロード購入したハイレゾ楽曲を読み込んで、その波形を見てみると。。。
↑これがダウンロード購入したハイレゾ楽曲です。
そう、販売されているプロが編集したハイレゾ楽曲はもっとゲインを上げてしまっているんです。アナログレコードとハイレゾ楽曲ファイルの聞こえ方の違いもこういうところにあるのか、と、なんとなく納得。
聴いた感じのボリューム感でも販売されている楽曲の方が音圧は高く聞こえます。
このあたりは正解はおそらくなくて、自分の好みで設定するところなんでしょうね。ウォークマンに入れて手軽に聴くのであればRMSを使ってもうちょっとレベルを上げても良いのかもしれません。
レコードの音を、アナログレコードっぽく聴きたいと言うことであればピークレベル値を0dBにする方が個人的には良い感じがします。(ボリュームを1曲1曲変えながら聴く感じにはなりますが)
ここまでやったら後は最終作業です。フェードを曲の頭と最後に一瞬だけかけておきます。
これで再生が始まったときに「プチッ」という音がしなくなります。どんなにノイズを消しても再生の頭のところで音がしてしまうことがあるので、これも忘れなく行い、最後はWAVではなくFLACファイルで書き出して作業終了です。
(※これらの編集方法、手順は当店が独学で見つけた方法になります。メーカーさんからの協力や資料提供はありません。もしも間違った部分や理解が誤っている部分がありましたらご指摘いただけると助かります。より良い調整方法などもあると思いますので参考程度にしてご利用いただければ幸いです。)
今日はこの方法で新品で買ってきたレコード、サザンの「葡萄」をハイレゾファイルとして取り込みました。CD音源の楽曲もあるので、これで最高音質のレコードとCDの聞き比べができます。
聞き比べてみると。。。正直、CDの方が音のバランスは良いんです。PS-HX500の方がやや低音が弱めで全体のバランスもきっとCDの方が聞きやすくできているんだろうなぁ、という感じ。
ですが、アナログレコードのこの情報量の多さはとてもCDではおいつきません。サザンのアルバムは現時点でメーカーからハイレゾ楽曲の配信がないわけですが、最高音質でサザンのアルバムの音を楽しみたい、というと、この方法しかないな、とい感じ。
音のバランスがどうこういうのは再生機のイコライザーで多少調整すれば良いし、バランスよりも音楽の持っている情報量の多さを楽しむなら、これはやはりすごいな、と、正直に思います。手放しでアナログレコード最高!とは言えないんですが、レコードの音の良さには私も今回はメロメロです。
ちなみに、これはCD音源の楽曲をスペクトラム表示しているところです。CDとはいえ、サンプリング周波数の半分の周波数ギリギリのところまで情報を入れているんですね。
ですが、新品のレコードで取り込んだ音を解析すると。。。
最初にかけた一発目の音だと、なんと40kHzまで音が鳴っているんですね。すごいな。レコード。
もちろん、こんな高周波の音を40代後半私の耳で聞き分けられるはずもないんですが、量子化ビットレート無限大のアナログレコードの情報量というのがこういう差で耳に入ってくるんでしょうね。
安いレコードを買い集めてそれで手軽に80年代前半の音を楽しんでいましたが、新品レコードの音もこれで堪能させていただきました。
日曜日にたくさん買ってきたレコードですが、松任谷由実の「SURF & SNOW」もその1枚です。300円で買ってきたレコードなんですが、これは非常に状態がよくキズもないしだいぶ良い音でハイレゾ録音ができました。
ご存じの通り、このアルバムは映画「私をスキーに連れてって」で使われている曲が入っています。当時、ドライブの時にBGMに使っていた方も多いと思います。私もスキニー行くときに最初にかける曲は絶対に「サーフ天国、スキー天国」だったし。
これが当時を超える音で聴けるんです。当時の音というのはカセットでしたが、あのときはノイズとの戦いだったんですよね。いかにノイズを小さくするか、ということで高いメタルテープを使ったりドルビーノイズリダクションを使ったり。それが今はこうしてPCのソフトウェアの力を借りて、簡単にノイズレスにすることができるんです。
こういう文明の利器というか、ハイテクの恩恵はしっかりと利用しないと♪
☆ソニー商品情報「月刊 大人のソニー 春・オトハジメ」はこちらから
ソニーさんのコンテンツでも今日公開になったコンテンツは、こうしたハイレゾレコードプレーヤーをはじめとする、ソニーの最新の音環境の特集になっています。こうして良い音を集めることができるようになってくると、次はどういう環境でこの音を鳴らそうか、ってことになっていきますねー。
以上、今日の当店のハイレゾレポートでした。
これらの取り込んだ音は当店店頭でも体感ができるようにご案内をしています。ご興味ある方は是非、店頭までお越しください。
ソースネクストで販売中の「Sound Forge Pro 11」が特価販売になったときは別途、当店blogにてお知らせをしたいと思います。
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☆当店blog 16.4.18「レコード屋さん巡りの旅」
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