【レビュー】360 Reality Audio初体験! ソニーヘッドホン&『SRS-RA5000』展示レポート
この春から本格始動したソニーの『360 Reality Audio』はもう体験されましたか? スマートフォンとヘッドホンがあればすぐに体験出来る新しい世界。
おそらく今年のソニーのオーディオの一番ホットなコンテンツになると思います。今年の年末になると現在の「ハイレゾ」と同じ様なムーブメントの始まりだったと気がつくことになると思います。
ショールームでの新型スピーカー「SRS-RA5000」の実機展示レポートを交えて「360 Reality Audio」の世界をご案内しようと思います。
今回の記事はPCではなくスマートフォンでご覧ください。スマートフォンとあとヘッドホンのご用意もお願いします。
こんにちは、店員佐藤です。
昨年のCESで発表になっていた「360 Reality Audio」ですが、その後、特になにも動きがないなーと思っていたところで、対応するスピーカーが発表になり、ここから一気に世界が広がることが見えてきました。
立体音響とかサラウンドとか、今までにもいろいろな音の3Dエフェクトがありましたが、それと何が違うのかというと単に空間に広がりを見せているとかそういうものではありません。今まで以上の精度で計算された本物立体オーディオがやってきたんです。
オーディオに興味のある方でしたら「バイノーラル録音」というのは聴いたことがあると思います。人間の耳にマイクを装着して録音し、それをヘッドホンで再生すると周りの反響などがそのまま聞こえるので立体的に聞こえるというあれです。
これは実際の反響音を録音しているわけですが、ソニーの「360 Reality Audio」ではそれらの反響する音を演算して制作。より精度の高い頭上から足下までを含む水平方向と垂直方向の全方位の音を再現しようというものです。
今回は個人個人に合わせて「耳型」までデータを取得して音響演算をしています。
その効果を簡単に体験出来るのがこちらの動画です。
これをPCのスピーカーで聴いてもなんにもおこらないのですが、手元にスマートフォンとヘッドホンを用意してヘッドホンで聴いてみてください。これは個々人の耳型には合わせてありませんが、一般的なステレオと「360 Reality Audio」の違いを聴かせてくれます。
この違いはどんなヘッドホンでもわかるかと思います。
従来のステレオヘッドホンでは左右に耳の部分から音が聞こえてきますが、360 Reality Audioだと「左の方」とか「右の方」とかの音になるはず。
頭の中にできていた音場が頭の外の音に聞こえるかと思います。
わかりやすいコンテンツがもうひとつ。
こちらは今日から配信がスタートした「YOASOBI from THE FIRST TAKE × 1000X Series」です。
こちらもヘッドホンを使うと360 Reality Audioの疑似体験ができます。
まぁ、これくらいだったら今までのフロントサラウンド技術とか使えばできるんじゃない?という風に感じる方もいらっしゃるかと思います。
これらの疑似体験コンテンツは平均的な耳の形の人向けに作られている音になります。
本物の「360 Reality Audio」はここで興味を持って先に進まれた方だけが体験出来る事になります。
本物の「360 Reality Audio」体験に必要なのはスマートフォンとソニーの対象ヘッドホンだけです。必要なアプリは無料で手に入ります。
早速、それを体験してみましょう。
まず、必要なのは「Headphones Connect」アプリです。これだけ手に入れられて対応するヘッドホンがあれば体験できます。
対応出来るヘッドホンは最近のソニーのワイヤレスヘッドホン(WF-1000XM3やWF-SP800Nなど)や、ハイレゾ対応ヘッドホンならOKです。ウォークマンA100シリーズ付属のノイズキャンセリングヘッドホンでもOKです。
対応するヘッドホンを「Headphones Connect」で接続するとアプリに「360 Reality Audio設定」という項目が表示されます。ここで「耳の形を測定」にすすみます。
耳の形の測定にはスマートフォン内蔵の内側カメラを使います。頭の形の枠が表示されるのでそこにスマートフォンの位置を合わせていき、指示に従って右を向いて左の耳を。左を向いて右の耳を撮影します。
スマートフォンが耳の形を勝手に見つけてシャッターを切ってくれるので適当に耳の位置を合わせれば良いのですが、実はここが最大のネックです。店頭でヒアリングしてみると、ここが上手くいかなくて断念してしまう人が多いみたいです。傾向としてiPhoneを使っている人がのきなみ失敗しているみたいです。
私のXperia 1 IIでは一発OKで、むしろ計算がしやすいように耳のサイズが大きめに撮れるようにやり直せるくらい。
コツはスマートフォンの位置を顔の近く(30cmくらい)に寄せておいて、スマートフォンを左右に移動させるのではなく、その場で自分の首を振るようにすること。スマートフォンを固定できるように机などで肘をついて撮影すると上手くいくと思います。
上手く撮影ができたら画像をソニーのサイトに送信して、耳の形から音の反響を解析して、自分のアカウントに紐付けてくれます。そこまで出来たら作業は完成。
あとは対応するアプリを使って「360 Reality Audio」のコンテンツを楽しみます。
対応するアプリはヘッドホン試聴の場合「Artist Connection」と「Deezer」の2つのアプリになります。ここでは「Artist Connection」だけを使うのがオススメです。ユーザー登録が必要ですが無料で利用ができます。
「Deezer」の方は有料アプリになっていて月額1,480円が必要になります。試しに加入してみたのですが、まだ360 Reality Audioのコンテンツ配信はスタートしていませんでした。4月16日から配信開始になるそうです。
それまでは普通にストリーミングオーディオを配信しているだけなんですが、mora qualitasと違って「嵐」とか出てくるのでJ-POPなども幅広く扱っているみたいです。
4月16日以降はエビ中や大滝詠一などのアルバムをヘッドホン対応の「360 Reality Audio」コンテンツとして配信する予定になっています。
最初の1ヶ月は無料で、無料期間に退会すれば課金されないそうです。4月16日の360 Reality Audioコンテンツ配信後に利用をはじめるのがお得です。
「Headphones Connect」アプリに続き「Artist Connection」アプリをインストールしたら下記のリンクから「Artist Connection」のコンテンツを開きます。
スマートフォンでしたらソニーのホームページのQRコードからリンクに飛ぶことができます。ウォークマンだとQRコードを読めないのでこちらのリンクからジャンプしてください。(※ソニー側でウォークマンにはアプリのプレイリストを公開していないようで、現時点ではスマートフォンXperiaでしかYOASOBIの楽曲が利用できません。)
これで、先ほど疑似体験コンテンツで試したYOASOBIのファーストテイクの360 Reality Audioの本物バージョンが楽しめる様になります。
「Artist Connection」アプリをインストールしただけだと、このコンテンツには行き着かず、「Headphones Connect」アプリ、「Artist Connection」アプリのセットアップと「YOASOBIのファーストテイク」を順番に辿らないと、ここには到着できないみたいです。
この方法で聞くと自分の耳型から解析された360オーディオが楽しめます。
「Artist Connection」アプリの中にはこの他にも別の「Studio」と呼ばれるプレイリストがに10曲以上のサンプル曲が用意されていて、クラシックやジャズミュージックなども試せます。
なんか、すごいんですよね。普通のステレオ感が強い音とかではなく、楽器の中に入ってしまった音場とか、自分がドラマーになったときの聞こえ方とかが楽しめます。しかもその音が超リアル。これは初体験です。
ストリーミングウォークマンA100でも「360 Reality Audio」は楽しめます。付属ヘッドホンも良い音を鳴らしてくれるので有線で聞くならウォークマンを使いたいところですが、ウォークマンにはカメラが搭載されていません。
ですが、これをソニーさんは力づくで実現してしまっています。
ストリーミングウォークマンの場合は「Artist Connection」アプリで一度、ソニーのユーザー登録をしておき、スマートフォンで耳型測定専用アプリ「360 Spatial Sound Personalizer」を使って耳型からの解析データだけを作らせます。その後、ウォークマンの「Artist Connection」アプリのアカウントに解析データを移すことで、ウォークマンでも耳型測定ができるようにしてくれています。
こんなややこしい仕組みを用意してまでウォークマンでも「360 Reality Audio」を聞けるようにするというところにソニーの本気度が見られます。
スマートフォン、ウォークマンで「360 Reality Audio」体験をすると、これはもう興味が湧きまくること請け合い。
スゴいコンテンツがこれから登場してきます。
そんなヘッドホンでの「360 Reality Audio」を体験したあとで、ソニーショールーム/ソニーストア銀座へ出かけると、今なら新製品の「SRS-RA5000」と「SRS-RA3000」が体験出来るというわけです。
こちらが新設された「360 Reality Audio」の体験コーナーです。
中央に「SRS-RA5000」が鎮座していて、左右に「SRS-RA3000」のカラーバリエーションが設置されています。
6.1chスピーカーの「SRS-RA5000」のそのすごさはこの上向きスピーカー3発です。まるでシェーバーを10倍サイズで作った様なすごいデザインのスピーカーシステムになっていますが、これが部屋を音で満たす仕組み。
展示ブースをよく見ると天井がわざわざ作られており、ここで上向きスピーカーの音を反響させて実際の部屋に近い音響環境を作っています。
こちらは「SRS-RA3000」ですが、比較しやすいように2chオーディオと360 Reality Audioの聴き比べがボタン操作だけで切り替えられるように用意されています。
聞き比べてみるとその違いは歴然。水平方向に広がる2chステレオに対して、360 Reality Audioでは音に上下方向の高さまでついてくる感じです。
これは映画「ボヘミアン・ラプソディ」をドルビーアトモスの5.1.2ch環境で体験したときと同じ感覚。水平方向に音が包まれるだけではなく頭上の音が出てきて「これぞ、ドルビーアトモス!」という体験をしたことがありますが、それのオーディオ版です。
ちなみに私が取材にお邪魔させていただいたとき、たまたまですがソニーマーケティングの音の神様、川崎氏も体験にお見えになっていて、これも偶然ですがソニーさんの製品担当の方も同席されていて、いろいろなお話しを聞かせていただきました。
川崎氏も360 Reality Audioについては絶賛。
ピュアオーディオの世界では2chの音場にしっかりと音像定位されたものを聴く、というスタイルになりますが、360 Reality Audioでは音の定位感よりも、音の広がりを重視した聴き方になります。これがピュアオーディオを知り尽くした方にはどうかな?という危惧があったようですが、この上方向の音の広がりがすごい。部屋のどこにいても良い音が楽しめると言うことに注目されていました。
ソニーの音響製品はこれをきっかけにまた面白いコトになりそうです。
なお、こちらのスピーカー製品で聴く「360 reality audio」のコンテンツは先ほどの「Artist Connection」と「Deezer」ではなく「amazon music HD」での配信となります。
「360 reality audio」は楽曲を都度、エンコードする必要があるそうでヘッドホン用のエンコードと、スピーカー再生用のエンコードが別々になるようです。
「SRS-RA5000」と「SRS-RA3000」で「360 reality audio」のを楽しむのであれば「amazon music HD」の契約も必要になりますのでご注意を。
ちなみに「360 reality audio」ですが、これからのソニーのオーディオ製品には続々と搭載されるとのこと。テレビ用のオーディオスピーカー「サウンドバー」製品はもちろん、次世代のAVアンプなどにも搭載されてくるし、そういえば、日曜日に展示されていた「VISION-S」でも説明されていました。
車内で音楽を楽しむときに360 Reality Audioが対応しているというのも、早速発表になっています。
なるほど、車の中のような密閉された空間だと、音の鳴らし方も違ってきそう。
SRS-RA5000やSRS-RA3000の様に1カ所のスピーカーで部屋の音を360度満たす、というのではなく、サウンドバーやAVアンプによるリアル5.1.2chなどになると、物理歴なスピーカーで音場を囲んで聴かせることになります。
その時の360 Reality Audioの威力は絶大なものになりそうです。
蛇足ではありますが、こちらはSpotifyで配信されているオーディオドラマで「夜に駆ける」です。こちらも「360 Reality Audio」の技術を使って収録されて配信されています。
あいにく「Headphones Connect」の対応アプリではないので、耳型測定した本気の360オーディオでは聴けないのですが、一般的な聞こえ方の疑似360オーディオ体験のレベルで楽しめます。
こうしたコンテンツもいずれは「Headphones Connect」対応アプリになっていくと良いですね。
ソニーの立体オーディオドラマ『夜に駆ける』はどう作られた? 制作秘話を聞く(マイナビニュース) – Yahoo!ニュース
ちなみに、こうした「360 Reality Audio」ですが、日本のミュージックアーティストにも体験してもらっていて、360オーディオ向けの配信をしてみたいというアーティストさんは複数いらっしゃるそうです。
ストリーミングサービスは海外のサイトが中心ですけどコンテンツ自体はJ-POPもこれから続々と増えてくると思いますとのことでした。もう、これは楽しみで仕方がありません。ハイレゾオーディオの始まりの時と同じ予感です。
ということでソニーの「360 Reality Audio」の世界の一端が見え始めました。
お手元のスマートフォンとヘッドホンでまずはお試しになってみてはいかがでしょうか? 無料で試せますので、まずは耳型測定からどうぞ。
360 Reality Audio対応 ワイヤレススピーカー SRS-RA5000 |
ソニーストア価格: 66,000円税込 |
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発売日 | 2021年4月16日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
延長保証 | 5年ワイド:6,600円(税込) 3年ワイド/5年ベーシック:3,300円(税込) 3年ベーシック:無償 |
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ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3% |
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10%オフクーポン(併用不可)プレゼント中 テックスタッフ店頭ご利用特典のご案内 |
360 Reality Audio対応 ワイヤレススピーカー SRS-RA3000 |
ソニーストア価格: 36,300 円税込 |
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発売日 | 2021年4月16日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
延長保証 | 5年ワイド:4,400円(税込) 3年ワイド/5年ベーシック:2,200円(税込) 3年ベーシック:無償 |
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ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3% |
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テックスタッフ 店頭入特典 |
10%オフクーポン(併用不可)プレゼント中 テックスタッフ店頭ご利用特典のご案内 |
バトルホーク
2021年4月6日 @ AM 10:16
「360 Reality Audio」、店員佐藤さんの書き込みを見て興味を持ち試してみました。
「Headphones Connect」の「耳の形を測定」のところで、私もはまりました。10回くらいやり直して、まずは顔の正面をスマホ画面の枠に合わせてからゆっくり左を向くとうまくいくと判りました。
ウォークマンA110でも設定してみましたが、こちらはもっと手順が多くて大変ですね。
で、肝心のYOASOBI「群青」 / THE FIRST TAKEの360 Reality Audio Ver.が、リンクを開くとArtist Connectionで「データが存在しません」と出て聞けません。(苦笑)
360 Reality Audioのすごさは他のデモ音源を聞いて十分に堪能できましたが、もう少し簡単に聞けるようにならないと一般の方への普及には時間がかかるかも?
tecstaff
2021年4月6日 @ PM 6:02
こんにちは、いつも当店blogをご愛読いただきありがとうございます。
今回の360 Reality Audioは感動も大きいのですが、障壁もちょっと高くて、デモ音源の効果でどこまでお客様がお付き合いくださるかにかかっているような気がします。(^_-)
Aritist Connectionがデモアプリとしてはちょっとなじみにくいというか、そもそも日本人アーティストが最初に掲載されていないですしね。リンクをたどってもウォークマンで再生ができないのがこちらでも確認できました。すみませんでした。なにかしら制限をかけているようですね。
4月16日以降は正式サービスがスタートするので、もう少し再生しやすくなるかと思います。まずは「Deezer」の無料1ヶ月間サービスをお試しになってみてください。