NEX-5でオールドレンズ その6 エルマー50mm F3.5編
ソニーデジタル一眼「NEX-5」でオールドレンズを使おう企画の第6話です。今回は別のオールドレンズを装着した話です。今度は「ライカ エルマー50mm F3.5」というレンズを装着してみました。
私のNEX-5の本命レンズです。
写真左がエルマーレンズ、右がズミクロンレンズ。「エルマー」とか「ズミクロン」ってなんだ?というところですが、これはどうやら開放F値によってライカの方で名前をつけているそうです。
設計されたのはエルマー50mm F3.5が1925年、ズミクロン50mm F2が1953年だそうで、またさらに古いレンズになります。3群4枚のエルマーはその作りも単純化されていて、これまたオールドな感じの写真が撮れそう。
都合により、先にズミクロンレンズで試していましたが、本当はそのスタイルからも、私はこのエルマーレンズをつけたくて、今回のオールドレンズ企画を始めていたんです。やっと、その念願のレンズがやってきた、というところ。
両方ともライカLマウントでスクリュー式。無限遠フォーカスロックを持ってくるっと回すとこれでアダプターを装着したNEX-5にレンズの付け替えができます。
オークションで安価に手に入れていますので、実物を手に入れるまで様子がわからないのがもどかしいんですが、今回の予想外はこの無限遠のロック機構のところ。すり減ってしまっているようで、ロックが甘く、簡単にするっとロックが外れてしまうんです。
それ以外のところはズミクロンレンズよりもずいぶん程度がよさそう。フォーカスリングはさらになめらかに動いてくれます。
話によると4~7万円くらいが普通の相場なんだそうですが、オークションでは2万円ちょっとでこれらのレンズが手に入れられます。一か八かではないんですが、確実に程度の良いものが欲しいなら中古カメラ屋さんで選んだ方がよいんでしょうね。
どういうのが「程度の良いモノ」なのかわからないので、私はこうしてオークションで当たり外れをみさせてもらっているんですが、この2本でなんとなくわかった気がします。
エルマーレンズの絞りはレンズ先端のこんなところにありました。このレンズ外周のポッチに爪をひっかけてクリッと回して絞りを調整。
絞りもレンズの奥の方ではなく、こんな手前にあるんですね。
このエルマーも沈胴レンズ。胴体部分が沈み込んで、持ち運びの時には小さく。撮影時には延ばして使う、ということをします。NEX-5の様にフランジバックが極端に短いカメラではレンズをしまったときにセンサーに当たる恐れがある、と聞いて、装着前にチェックをするんですが、うわ、これは確かに当たりそう。
でもAPS-Cサイズでくりぬかれている段差があって、それよりもレンズ筒の直径が大きいので、その段差に当たって、イメージャーにはぶつからない様になっているみたいです。
実際に試して見ると、レンズは全部沈み込まなくて、やや浮いている感じ。これが中で段差のところに当たってくれているおかげ。
よし、これなら沈胴レンズを沈ませても大丈夫そうです。
ということで、1925年設計のエルマー50mm F3.5レンズをNEX-5に装着した図がこちら。
すんごい、かっちょいい。。。
レンズをのばしてみると、こんなスタイルになります。そうそう、こんな格好で使いたかったんです。純正のボディケース(ブラウン)に合わせて、シルバーボディと、クラシカルなライカエルマー。。。これで持ち歩いて見たかったんですよ。
ボディケースを外すとこんな感じです。実機を見て思ったんですが、これはブラックボディに合わせても良さそうですよね。というか、ボディケースですがブラウンだとあまりにもクラシカルになりすぎている感じもするので、ブラックのボディケースに合わせた方が良かったかなぁ。
ちょっとボディケースのブラウンって、必要以上にクラシカルな雰囲気にしてくれているんですよねぇ。今度、ブラックボディのNEX-5をお持ちのお客さんが来たら、試しに装着してもらおうと思います。
などと、思いながら室内で試し撮りをします。
撮影方法はズミクロンと一緒です。レンズ先端の絞りを自分で調整して、根本側にあるフォーカスリングを回してピント調整をマニュアルで行います。
ここでも絞りは開放のF3.5に調整。マニュアルの数値刻みですが、このエルマーはフィートではなくてメートル表記になっていました。
NEX-5の液晶モニターを見ながらフォーカスを合わせるんですが、明らかにこちらのエルマーの方がピントの山がつかみやすいですね。ズミクロンではピントが合っていると思えるゾーンがちょっと広くて本当に合っているのかどうか、やや心配な感じだったんですが、エルマーだともっと鋭角な山になっている感じでどこにフォーカスが合っているのかわかりやすい。
普通にソニーAマウントの50mm単焦点レンズを使っている様な感覚です。開放F値はエルマーレンズの方が大きいのに不思議です。3群4枚の単純なレンズ構成がこうしてくれるんでしょうか?
では、室内で数枚、シャッターを切ってみます。
最短撮影距離は1mなので、ブツ撮りとかには向きません。机の上に置いてあるズミクロン、雑誌類を最短距離で撮影してこれくらいの構図になります。
さすがオールドレンズ。こういう制約は仕方がないというか、今、現行モデルで販売されているαレンズってなんて使いやすいんだろうと思える瞬間です。
なお、本日ご来店のお客様から質問があったんですが、エルマー、ズミクロンの最短撮影距離1mというのは、NEX-5でアダプターを使って撮影することにより生まれる不具合ではなくて、元々、レンズの設計上、そういう最短撮影距離になっている、とい
うことです。
1925年の85年前に設計されたときからエルマーの最短撮影距離は1mなんです。
これもフォーカスを最短にしておいて、カメラを前後してピントを合わせた一枚。液晶表示の見た目でここだ!と、位置を決めておいて「MFアシスト」という液晶画面の7倍拡大機能を使ってフォーカスが合っているのかをチェックするんですが、NEX-5のすごいことに、これがほぼ合っているんです。
92万画素の高精細液晶モニターの搭載のおかげもありますが、α550ではここまでシャープな像は見られませんでした。ミラーレス機と言うことで撮像センサーを使ってモニターしていると、ここまでフォーカスが合っているかどうかをきっちり見られるんですね。
オールドレンズをNEX-5で使うことのメリットはフランジバックの短さ、35mmフルサイズにより近いAPS-Cサイズのセンサーの2点と言っていましたが、是非、3点目にこの液晶モニターでのマニュアルフォーカスの使いやすさも加えさせてください。
これはすごいや。
当店の窓からの景色です。以前は新宿通りが目の前だったですが、今は北側の部屋で目の前にこんなものすごい電柱があるんです。↑上の写真はエルマーレンズで撮影したモノ。
↓下の写真はズミクロンで撮影したモノなんですが、だいぶ写りが違いますね。ズミクロンの方はかなり白っぽい写真になってしまっています。これはおそらくレンズ内部での反射の問題なので、専用のレンズフードがくると、改善されると思います。それ以外の違いでは背景のボケに差がありますね。これが開放F値のF3.5とF2.0の違いになります。
だいぶリサイズしてしまっているので、あまりレンズの特性が伝わっていないかと思いますが、これをPCディスプレイで拡大して見ていると感動するんですよ。
今まで、古い写真っぽく仕上げる、ということをしたりすることがあったりしましたが、これらのオールドレンズを使うとそういうエフェクトを使うことなく、本当に古い写真が撮れてしまうんです。
たいしたカメラを使っていたわけではないんですが、そういえば子供の頃に見ていた写真ってこんな写真ばっかりだったような気がします。それと比べると、最新のカメラを使って自分で撮ってきたモノって、どこか作られたような、なんか大げさに綺麗になっているような気がしていたんですが、こういう古いレンズを使うことで、その差が歴然。そうか、カメラが進化したというのもあるんですが、レンズも最近になってかなり高性能なものになっていたんだな、と、思い知ることができました。
きっと、プロのカメラマンさんとかで何年もやっている方は、仕事をしながらこういう差を味わってきているんでしょうねぇ。なんか、うらやましいなぁ。
ということで、モノクロ撮影しないとオールドな雰囲気の写真って撮れないんじゃないの?とか思っていたんですが、私みたいな写真のド素人でも、その違いは簡単に味わうことができました。
56年前のレンズと、今回のエルマーは60年以上前のレンズになるので、現代のレンズと比べると差がありすぎるとも言えるかもしれませんが、こんなタイムスリップ感覚を味わえるのがオールドレンズの魅力。
私の実家は埼玉県にあるんですが、小学生の時に引っ越しをしています。以前は世田谷に住んでいたんです。小学校を卒業してからその町には行っていないのでずいぶん変わった町になってしまっているはずなんですけど、そんなところに行って、これで昔の面影を探してひとつひとつ、丁寧に撮ってきてみたいです。
自分にしか、その写真の意味はわからないと思うんですけど、いつか、やってみたいと思います。(その前にαレンズ3本を含めて撮り比べ大会をしなくちゃ。)
これらのオールドレンズの試用ですが、東京・四谷の当店で行っています。当店を経由してソニースタイルでNEXをご購入くださったお客様、これからソニースタイルでNEXを購入予定のお客様は是非ご来店くださいませ。
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☆当店blog 10.6.28「NEX-5でオールドレンズ その5 Eマウントアダプター開梱編」
☆当店blog 10.6.25「NEX-5でオールドレンズ その4 Aマウントアダプター編」
☆当店blog 10.6.23「NEX-5でオールドレンズ その3 ズミクロンレンズ紹介編」
☆当店blog 10.6.22「NEX-5でオールドレンズ そ
の2 ライカ図鑑購入編」
☆当店blog 10.6.21「NEX-5でオールドレンズ その1 新企画発表」
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☆当店blog 10.3.4「ミニ『PMA2010』展をはじめました」
☆当店blog 10.1.15「VAIOのガラスコーティングサービスをさらにグレードアップ」
ねこっち
2010年6月29日 @ PM 10:56
本命到着おめでとうございます。
値段の差は状態以外にも結構要素がありますので、そんなに気にしなくてもいいと思いますよ。
エルマー5cmF3.5&NEXシルバーだと、ライカA型みたいなスーパークラシックカメラみたいになりますね。ないしは、コンパスというコンパクトの珍品みたいな感じですね。沈胴もどうやらホロゴンみたいな珍品じゃないと当たらないようで一安心です。
ソニーもツァイスレンズ出してるので、エルマーと同じ3群4枚のテッサーをEマウントで出してほしいですね。
NEXは液晶が良いのでライブビューでのピンが合わせやすいですね。たしかに、オールドレンズ向きです。
近頃、NEX-5+外付マイクで動画を撮ってみましたが、非常に臨場感のある音声が撮れてました。エルマーやズミクロンを使って動画を撮って佐藤さんが編集したら、いい動画になるでしょうね~。
iguchan
2010年6月29日 @ PM 11:10
う~ん、かっこいい。。。
ビッタリ、ハマってます♪
店員佐藤
2010年6月30日 @ AM 2:20
♪ねこっちさん、こんばんわ。
コメントありがとうございます。
いただいたアドバイスのとおり、レンズリア側の出っ張りには
気を遣いながら装着したおかげで安心して使えることに
なりました。
価格相場がわからなくて、中古カメラ屋さんよりもオークションの
方がお得な気がしていたんですが、今度はどれくらいの程度の
ものが揃っているのか、見学しに行ってきたいと思います。
35mmとか50mmのEマウントレンズが早くソニーさんから出て
欲しいんですが、それまではこうしたオールドレンズで代用を
十分できそうです。
そして、おっしゃるとおり、NEX-5の魅力はオールドレンズで
AVCHDのフルハイビジョン動画も撮れてしまうところ。
三脚に載せて、いろいろ試してきたいと思います。
あ、ちなみに動画編集は私は基本的にVAIO Movie Storyに
お任せです。(^_^;)
店員佐藤
2010年6月30日 @ AM 2:23
♪iguchanさん、こんばんわ。
いつも長文エントリーにおつきあいくださりありがとうございます。
ライカ エルマーですが、これ、非常に扱いやすいレンズでした。
ボディの下のところでロック機構を兼ねたつまみを回して
フォーカスを合わせていると、いかにもマニュアルでカメラを
使いこなしている!って感覚になれます。
ズミクロンは扱いがちょっと難しいなぁ、と思っていたんですが
エルマーならどなたにでも楽しんでいただけると思います。
四谷周辺にお越しになる際は、是非、当店までお立ち寄り
くださいませ。