広角ズームレンズ『SEL1018』で最高の建築写真に挑戦!
メーカーさんの公式サイトとかだと、ここで専門家の方が出てきていろいろ解説をしてくれるところですが、当店の様な小さなソニーショップではそうはいきません。
自分で本を買ってきて勉強するしかないんですが、今回はこの本『最高の建築写真の撮り方・仕上げ方』の紹介をしつつ、昨年11月に発売された広角ズームレンズ「SEL1018」の紹介をしたいと思います。
さて、まず話の始まりは写真家の山本まりこ先生です。今年の1月に開催したカメラ・写真ショーの「CP+ 2013」でセミナーをされていた山本まりこ先生が一押しで勧めていたのがこの「SEL1018」でした。
山本まりこ先生はこういう写真セミナーでは「女子カメラ」の第一人者的なお話ばかりをされていますが、仕事の半分は建築写真の専門家なんだそうです。建築写真だときっちりはっきりとした撮影ばかりをしているはずで、その反動でゆるかわ女子カメラが撮れるのかなぁ、なんて思ってしまいました。
☆当店blog 13.2.4「山本まりこ氏セミナー 写真が楽しくなる旅フォトレッスン」
そのセミナーの中で、NEXに装着する「SEL1018」は建築写真を撮るのにも向いていて、歪みがなくまっすぐ撮れる!ということですごく褒めていました。
なるほど、建築写真ですか。。。
そういえば、私もデジタル一眼“α100”を手にしてからです。花を被写体にするようになって、花の名前を覚え始めて、それで登山するようになって高山植物の名前を覚え始めて。
さらに望遠ズームレンズを使うようになってから、被写体として野鳥を探し初めて、身の回りにいる鳥ってスズメと鳩とカラス以外にもたくさんの種類の鳥がいて、珍しい鳥と出会うとそれだけでうれしくなったり。。。
写真を撮るようになってから新しい扉を開いて知識を増やすことができると、その分、人生が豊かになっていくのを何度も味わっています。
そういう写真的な専門知識という話で行くと「建築写真」というのもひとつの分野としてありそう。建物を専門で撮る方の知識を身につけると、旅行先での建物の撮り方とかなんか変わってきそうじゃないですか?
「立派な建物だなぁ」で、写真を撮るのって別に有名な建築物ばかりではなく、普通に散歩していてすてきなお家を見つけてもシャッターを切るし。
ということで、探してきたのがこちらの本でした。
- 作者: 細矢仁
- 出版社/メーカー: エクスナレッジ
- 発売日: 2010/12/03
- メディア: ムック
2010年出版の本となっていますが、内容は全然古いモノではありません。主流は完全にデジタル一眼カメラでの撮影になっています。唯一、時代を感じさせるのがPhotoshop Elements 9が使われていることくらい(現在は11)なんですが、Photoshop Elementsなんて、ここ5~6年、基本的な機能は変わっていないので、安心といえば安心。
というか、Photoshop CSではなく、Elementsで解説をしてくれているところなんて素敵じゃないですか。
内容はプロの建築家がカメラをある程度使える初級者向けに建築写真の撮り方の概要を説明してくれているような内容です。
全体の流れとしてはカメラの初歩の初歩のところから説明していますが、そこはあまり長くはありません。絞りは建築写真ではF8くらいを多く使うとか、ISO感度はISO100とかの低感度が鉄則とか、ホワイトバランスの合わせ方、合わせる時間がなかったらRAWで撮ってしまう、そんな話から始まります。
そして1/3くらいが建築写真の撮影の仕方が解説されています。パースペクティブがかかっていなくて垂直は垂直で映っているのが基本。
室内撮影ではコントラストに弱いデジタルカメラならではの工夫で、曇りの日を狙うとか、そういう建築写真撮影ならではの考え方が載っています。
そして後半の2/3くらいはレタッチテクニックとRAW現像の解説について説明されています。撮り方というよりは仕上げの方がメインになっているんですが、ソフトウェアの使い方を丁寧に解説しているので、そういう文量になっているんだと思います。
たくさんのテクニックが掲載されているのですが、私が一番気になったのがあおり補正の話。
あおり補正の基本的な考え方はこうです。
これは私が小学生3年生くらいの時まで書いていたおうちの絵です。子供の時ってみんなこういうおうちの絵を描いてましたよね。本当は2枚目の絵みたいに見えるのに、頭の中で正方形にしているというか「パース」をなくした絵を作って、それを書いているんです。
実際にはこうして地面にしゃがんで絵を描いていれば、こういう立体感のある絵になるはずで、家やビルが斜めになって見えるはずで、これが「パース」になります。
建築写真ではこのパースをのぞいて頭の中で描くような絵に近づけるというのが技なんだそうです。おお、なんか、これは新しいですよ。(完全にまだ理解しているわけではないですし、こんな単純な説明でもないんですが、私の今のところの理解はこんな感じです。)
知らないテクニックが満載です。
巻末近くになると、作者さんの提案で、こうした地面にカメラを置いたような写真を撮って、見え方の違いというか建築写真からちょっと離れた趣味の写真の話もあったりします。
最後はいろいろな建築写真の作例を並べて、どういう意図でどういう写真が撮られているのか、説明があります。
2,100円と、ちょっと価格がはりますが、この本は価値があります。私みたいな初級者向けにも建築写真の撮影の楽しさが伝わってきます。
おお、これは建物写真を撮ってみたいぞ!
というところに、先週土曜日の話ですが副都心線と東横線の相互乗り入れが始まったわけです。
横浜まで行けるなら、是非、異国情緒あふれる洋館を見に行って、この覚えたての建物写真テクニックを試してみたい! そんな気持ちで実は元町・中華街へ向かっていたわけです。
☆当店blog 13.3.16「副都心線・東急東横線相互乗り入れ記念 元町中華街『NEX-5R』の旅」
で、撮ってきた写真がこちら。
これは山手111番館の室内撮影です。本当はこんな晴天ではなく、もうちょっと曇っていると窓の明かりなどがこんなに強くなく柔らかくなり、良い感じになるところですが、ま、テストですから。
撮影時には平行線だけ気をつけて一番ワイドにしてSEL1018で撮っています。
で、これを持ち帰ってPhotoshop Elementsであおり補正したのがこちら。
NEX-5R+SEL1018 F4.0 1/60秒 ISO320 フォトショップ加工あり
おお、なるほど。なにか、マンションのパンフレットに載っているような写真に見えなくもありません。
先生がいないので、これで良いのかどうかが不安なんですが「あおり補正」ってこういうことなのかな?
こちらは山手111番館の入り口です。太陽を背にして撮影しているので青い空が素敵です。
なので、もうちょっと空の面積を増やしつつ、あと庭のところがやや雑多な感じになっているので、これも整理したいなぁ。。。
かなりパースがついてしまいましたが、しゃがんでみると空も増えて、庭もローアングルになって整理されました。
NEX-5R+SEL1018 F8.0 1/320秒 ISO100 フォトショップ加工あり
これをPhotoshop Elementsの加工であおり補正をしてみると、こんな感じです。本当はパースを取るために補正をするとそれだけ画質が落ちるのでやらない方が良いし、これは本来の使い方とはちょっと違うみたいなんですが、あくまで見本というか練習です。
大佛次郎記念館です。離れたところからやや望遠気味のレンズで撮影をするとパースはこうして出ないのですが、周りにある木や植え込みなどが邪魔になってしまい、建物がすっきり見えません。
なので、こうして広角レンズを使ってまずは建物を綺麗に撮る必要があります。これは逆光になっているし、あまり良い例ではないんですが、Dレンジオプティマイザーを使ってなるべく影が暗くならないように撮影。
本当だったら時間を見て、建物の正面に陽が当たるときや、曇りの日で影がでない時を狙うらしいんですが、旅行中で時間がないときは、そのときにやれるだけのことをやる、ということです。
そして今回、パースを取って補正するために加工する元の写真がこちらです。これをPhotoshop Elementsに取り込んであおり補正をしてみます。
フォトショップに取り込んだら「フィルター」>「レンズ補正」を選択します。
ここで「変形」にある垂直方向の遠近法などを使って建物のパースを取っていきます。水平方向の補正もできるんですが、それは取り切れなかったので、若干の補正。
さらにスタンプツールを使って、電灯を消してみました。
さらに焼き込みツールを使って空の色をやや濃くしてみたのがこちら。
NEX-5R+SEL1018 F9.0 1/100秒 ISO100 フォトショップ加工あり
と、こんな感じでしょうか? 基本はなるべく補正をかけないで済むようにパースがあまりでないようできるだけ望遠側で撮影できる場所を探すことが基本らしいんですが、そういう知識を得られただけでもためになりました。
まだ、本を中途半端にしか理解していないし、説明されているのは「あおり補正」のことだけではないんです。全部しっかり理解して、他の撮影テクニックを身につけてから、また改めて洋館巡りに行きたいと思います。
NEX-5R+SEL1018 F9.0 1/250秒 ISO100 フォトショップ加工あり
ちなみに、使っているレンズ「SEL1018」ですが、これは確かにまっすぐ映ります。どこをどう見ても直線がゆがまずにまっすぐしています。
こういうレンズ、以前一度だけ使ったことがあって、それがカールツァイスのSAL1635Zとい
うレンズでした。α900と一緒に使わせてもらったことがあったんですが、そのときも広角レンズで撮った建物がなんでもかんでもまっすぐ映ることに感動したことがあります。
このレンズ、それと一緒。こんなに値段が違ってて良いの!?というところですが、SEL1018は電子的なレンズ補正を行っています。RAW撮影して、レンズ補正をかけたもの、かけていないものを重ねて表示したのがこちらです。(アニメーションGIFで1秒ごとに交互に表示されます。)
カールツァイスレンズ「SAL1635Z」とは違って、こうした電子的な補正が入ってはいるんですが、それでもこのコンパクトさにはかえられません。ちなみに最新のNEX-5Rでなくても2011年発売のNEX-5Nでもこの補正は利用ができます。RAW現像の際にも、レンズ補正は使えますので、RAWで撮影するとレンズ補正が使えない、ということもありません。
ただ、初代NEX-5などのレンズ補正機能を搭載していないボディだと、若干歪みのある写真で記録することになるので、あとでフォトショップなどで補正する必要が出てきます。
レンズの素性はよく、周辺解像度も高く色にじみも目立ちません。
Aマウントレンズの時もそうでしたが、やっぱり、超広角レンズは1本持っておきたいところ。
あと、撮影の時に威力を発揮してくれたのが手ぶれ補正機能です。SEL1018はこれだけの広角レンズにも関わらず手ぶれ補正機能を内蔵。
で、これが効くんです。
建築写真のムック本にも書いてあるんですが、建築写真の基本は三脚撮影。しっかりと平行を出して撮影しなくてはいけないんですが、さすがに旅行中にそんな本気撮影はできず、手持ちでチャチャッと写真を撮るじゃないですか。
でも、平行と垂直だけはしっかりと合わせて写真を撮りたいので、シャッター半押しにしてフォーカスを合わせてからもじっくりと平行が出るようにファインダーをにらむんです。しっかりと平行が出ているとわかってからシャッターを切るんですが、そのシャッター半押し状態の時にずーっと手ぶれ補正が効いてくれているので、ファインダー像がすごく安定しているのがわかります。
もちろん室内などの暗い場所での撮影でも効果があるわけで、使い場所をよく考えられて搭載されている気がします。
なるほど、これはいいですね。
あとは、これもまねしてきました。地面置き撮影。
画面下半分に地面、上半分にその先が映り込んでいるインパクトのある写真です。これをシリーズで撮影するとおもしろい作品集ができそう。
道に道しるべ、マンホールなどがあったらそれはもう格好の被写体になります。ここは港の見える丘公園の展望台ですが、ちょっと変わった風景が広がります。
こちらは噴水で水面ギリギリのところに持ちながら撮影した水面置き写真。ちょっとスリルがありましたが、普段とは違った風景が撮れます。
これをやるときは本当に地面に置かなくてはならないんですが、丁寧に置いてもそれをやるとカメラの底面やレンズに傷がついてしまいそう。なにかしら座布団みたいなものを用意しないといけないなぁ、と気づきました。
こういう写真が撮れるのも超ワイドズームレンズならでは。魚眼レンズではゆがみすぎるし、しっかりとまっすぐ映るSEL1018で撮影をすると楽しそう。
HAKUBA カメラ ざ・ぶとん M 桜紺(さくらのこん) KZB-M-CNV
- 出版社/メーカー: ハクバ
- メディア: エレクトロニクス
探してみたらこんな、そのものずばりなものが見つかりました。買い合わせプログラムを使うと345円で買えるそうです。よし、次の注文がなにかあるときにオーダーしよっと。
撮影技法だけ勉強しても、それって野鳥の撮影方法、コツを知るだけで、野鳥の生態や種類をしるわけではありません。建築写真も同じで、こうして撮影テクニックだけ知っても建物への知識が増えるわけではありません。別途、建築に関する知識を深めないと、結局、建物撮影を極めることにはならないんですが、その入り口まではこの本でたどり着けたかな?
広角レンズの使いどころってどこなのかなぁ。。。とか、思っていたんですが、こうして建物巡りとかするときには強い味方になりそう。
これ持って京都とかの寺院を巡ったりしたら楽しい写真遠足ができそうです。もうちょっと建物写真の勉強をしてから挑戦してみたいと思います。
SEL1018は2012年11月16日発売のレンズです。ソニーストア価格で79,800円とやや高めのレンズになっていますが、ソニーのαレンズでは35mm判換算で15mmというもっとも広角な画角での撮影が可能なレンズ。全画角をF4で使えるF4通しの絞りも魅力。
購入するなら落下、水没時にも補償が得られる3年ワイド付きでのオーダーが可能なソニーストアがおすすめです!
★ソニーストア 広角ズームレンズ「SEL1018」のご案内はこちらから
☆当店blog 12.11.2「Eマウントレンズ『SEL1018』展示レポート」
CB-7
2013年3月19日 @ PM 12:28
12月の帰国時にSonyStore銀座で実物を試させていただきました。レンズ構成からいってもとてもコスパの高いレンズですね。 当時はNEX-6購入直後だったこともあって、このレンズと55210、30Macroの二本とを検討した結果、まずは55210と30Macroにしました。 でも次は超広角が一本欲しいですね。 値段は違いますが1635Zと迷うところです。
Noir
2013年3月20日 @ AM 7:14
ソニーさんにもシフトレンズを出してほしい、という布石でしょうか?!
考えすぎ?スカイツリーをまっすぐ撮りたいです~
解像感では1635Zですよ > CB-7 さん
総重量が軽く済むのでSEL1018でぶらっとすることも多いですけど(^^ゞ
店員佐藤
2013年3月20日 @ PM 7:10
♪CB-7さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
私のような初級者でも使い込むうちにこのレンズの良さが
わかってきます。広角レンズの使いどころがこれでわかった
気がしますので、常時持ち歩いて広角レンズならではの
写真を撮ってみたいです。
店員佐藤
2013年3月20日 @ PM 7:14
♪Noirさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
シフトレンズが出てくるのも楽しいですが、ソニーさんだと
これらの煽り補正機能をカメラに搭載してきたりして。。。
Camera Appsがあるので、なんかすぐに実現してくれ
ないかと思ったりしました。
SAL1635Zは“α900”で一度だけ使わせてもらいましたが
あれは鳥肌が立つくらいの画質でした。レンズ補正を
必要としないであれだけの写りになるとやはり価格が
ああなるんですね。(^^)/