書籍『ビューティフル アウトフォーカス』
新発売の書籍の紹介です。玄光社さんの「ビューティフル アウトフォーカス」というMOOK本で8月21日に発売されたばかりのもの。
「アウトフォーカス」ってなんのことだ?という方もいらっしゃるかと思いますが「ボケ」のことです。写真撮影での「ボケ」に特化した解説をする本ということで、そんなの聞いたことないぞ、ということで買ってみたんですが、これがなかなかの読み応えなんです。
ページ数は112ページ。最初に「ボケの基本」としてボケの仕組みなどの解説があり、そのあとは有名なプロカメラマンさんがボケにこだわった作例を用意しつつ、ボケについて個人個人のこだわりというかお話が読める作りになっています。
「ボケの基本」についてはソニーのαコンテンツでもおなじみの桃井一至先生が解説してくださっています。最初に登場するこの青いコップの写真ですが忘れもしません、これって春に大阪まで行ってうかがってきたサイバーショットDSC-RX1トークショーの時の作例じゃないですか。
数少ない絞り開放で撮った作例でコップの表面にフォーカスが合ってしまうとガラス表面の傷が見えてしまうところをわざとずらして氷にフォーカスすることできれいな写真になる、という作例だったと思います。
こういうカメラの技術的な本だとなかなかソニー製のカメラって出番がないんですが、こういうところでちょこっと出てきてくれるのが嬉しい。(全体を見ると、やはりソニー製のカメラの出番は少ないんですが。)ボケ描写にこだわったレンズとして「SAL135F28」STFレンズの紹介などがあるのもポイントです。
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Q&A形式でボケを使った撮影についての解説も文字多めでしっかりと語ってくれています。
カメラ歴だけは長くなってきている私の場合、なんとなくわかっているんだけどうまく言えないというかちゃんと私が理解していない部分を明文化してくれている感じで、例えば。。。
ボケをつくる4要素とかってこれ完璧。セミナーなどでいろいろ聞いているとこのうちの2つとか3つをもって話をされる方が多いんですが、そうそう、4つですよね。絞り値の大小はもちろん、焦点距離が長い方がボケを作りやすいし、被写体が近い方がボケを作りやすいし、背景は遠い方がボケを作りやすいし。
この4つをちゃんと解説してくれている話を今までセミナーとかで聞いたことがなかったかも。
イメージセンサーのサイズの違いによってボケが大きくできる理屈も解説してくれているし、ボケを作るのに最適なレンズは何ミリ?なんて話もあって、それも納得のいく答えがありました。
海外ではボケ描写にこだわる傾向が弱かったところに、日本発信で?ボケ描写が見直されていきつつあり(諸説あるとのことですが)海外でも「bokeh」という言葉が通じるようになってきているという様な裏話も紹介されているところに感心してしまったりして。
他のプロカメラマンさんの作例も多数掲載されています。萩原俊哉さんと言えば、CP+の時にα99についてトークショーをされていた萩原史朗さんの弟さんみたいですね。
作例を見ていたらCP+で拝見したときの作品と同じところで撮られた風景写真などがあり、こちらはニコンさんのカメラで撮られていて、なるほど、とか思って拝見させていただきました。そういえばトークショーの中でも弟さんと一緒に撮影に行かれているということをおっしゃっていました。
テレビでもよくお見かけする鉄道写真家、中井精也氏の鉄道写真もあります。都電荒川線とか望遠レンズを持って撮影しに行きたくなっちゃいました。
プロカメラマンさんの誌面もイメージ写真が並ぶだけではなく、文章がびっしりと書かれているページが多いので、読み物として、これはかなり時間をかけて目を通すことができます。
まだ私は冒頭の記事を中心に30分くらいしか目を通していないんですけど、これはこの秋の私のバイブルになりそう。この秋はこの本を持ち歩いて「ボケ」にこだわった写真を撮って歩いてみようかな。
なお、巻末には「スローシャッターバイブル」というスローシャッターにこだわった撮影技法についてのムック本の宣伝もありました。なるほど、そういう本もあるのか。
肉眼では見えない、写真でしか見られない世界ってボケ描写もそうですけど興味ありまくりです。こっちの本も買ってみなくちゃ。