キャンペーン販売最終日になりますが、新発売の動画編集ソフト「VEGAS Pro 17」の超速攻レビューレポートです。

今度のVEGAS Proでは30項目以上の新機能搭載をしていますが、その中にHDR HLGのサポートが含まれています。実際にソニーの“α”やハンディカムで撮影したHDR HLGがブラビアで見られるHDRファイルで出力ができるようになりました。

その編集方法を超簡単に速攻でご案内したいと思います。（すでに当店でVEGAS Proの編集セミナーを受けた方で基本的な操作ができる方向けにお話をしています。やや難しい話も多いのですがご了承ください）

 

こんにちは、店員佐藤です。

ソニーの4Kブラビアで再生対応したHDRと、デジタル一眼“α”、サイバーショット、ハンディカムでも撮影が可能になったHDRなんですが、本格的な編集方法をしようとするとダ・ヴィンチ・レゾルブやアドビ・プレミアなどの本格的な編集ソフトが必要となり、なかなか手が出せませんでした。

単なるカット編集であればPlayMemories Homeでできるのですが、色や明るさ、コントラストの調整などはできません。

動作の軽い、操作の簡単なVEGAS ProがHDRでの書き出しができればなー、ということで、昨年まではVEGAS Proで編集だけしておいて、最後にソニーのビューワーソフト「Catalyst Browse」でHDR処理してもらう方法を店頭ではご案内していました。

ですが、ついにVEGAS Proが17になってソニーのHDR HLG及びS-Logに完全対応しました。HDR編集ができるようになっています。

先週、ソースネクストさんで主催していたアフィリエイター向けの「VEGAS Pro 17」のセミナーに参加させていただき、動画編集のレクチャームービーに登場する「山梨の飯田」さんから直接お話を伺うことができたのですが、その際にHDR編集の基本的な方法を教わってきました。

自分で実践してみて、書き出したファイルを4Kブラビアで再生し、ちゃんと4K HDRとして読み込んで再生ができたときの喜びはもう言葉にはできません。

これで一発で編集したHDR動画の書き出しができます。

実際にその方法を紹介したいと思います。

まずはHDRでの編集用の素材としてサイバーショット「DSC-RX100M7」でSDR、HDR HLG、S-Log3/S-Gamut.cine、S-Log2の4つの方法で撮影をしました。

サイバーショットでのHDR撮影の際は「ピクチャープロファイル」という設定を利用します。ここで「PP0」というのがピクチャープロファイルを操作していない従来のSDRでの撮影になります。PP6まではSDR設定になっていて、PP7がS-Log2、PP8がS-Log3/S-Gamut3.cine、PP9がS-Log3/S-Gamut3、pp10がHDR(HLG)となります。PP8とPP9の違いは色域の違いで最終的にHDRで仕上げるならPP8の方が向いている、SDRで仕上げるならPP9、という使い分けをします。

それぞれ、より大きな輝度差の記録をするので撮ってきた動画をPlayMermories Homeでサムネールを読むと、上記のようにうっすらとした色になってしまいます。（画面左上がSDRで右がHDR、下列はS-Logです。）

これをHDRファイルとして編集してHDRで書き出したものを4Kブラビアで再生するとちゃんとした色、明るさで見られるようになるのですが、これらのファイルを混在させて編集するというのをやってみます。

まずは、上記4つのファイルをVEGAS Pro 17で読み込みます。VEGAS Pro 17を開くとインターフェースは16のものとは違いがないように見えるのですが、これはHDRモードに入るとガラッと変わってきます。

HDRモードの入れ方ですが、簡単です。「ファイル」＞「プロパティ」を開いてプロジェクトのプロパティ画面を出すのですが、そこの上から4列目あたりに「HDRモード」というのが表示されます。ここで「HDR10」もしくは「HLG」を選択するとHDR編集モードになります。自動で各項目の設定が変更されますので、ここでは「HLG」への切り替えをしてあとはなにも自分ではいじらずに「OK」です。

続いてはタイムラインに並べた素材ですが、それぞれのカットごとに色空間を設定していきます。

素材ファイルを右クリックして「プロパティ」を呼び出し、「色空間」の変更をするのですが、ここにものすごい数の選択肢が出てきます。中に「Rec.2020 HLG(1000nit)」というのがあるので、これを選べばピクチャープロファイル10で撮ったものはHDR HLGとして設定できます。

同様にS-Log2やS-Log3で撮影したものも、それぞれのlog設定にして編集します。

これだけでHDR編集ができるようになります。

最下列にあるアイコンの中に「グレーディング」ボタンがあるので、それを使うとグレーディングパネルを表示させられます。ここで波形を見ながら輝度、コントラストの調整をカットごとに行うことができます。

HDRで撮影してきたものはほぼ、なにも調整なしでそのまま使えそう。S-Logはちょっと手を加えないと全体に暗い絵になるのですが、あくまでも白飛びしないように高輝度のところにゆとりを持たせて撮影しているので、こういうものなんでしょうね。

グレーディングの調整方法は私も全然理解していないので見た目と輝度差のグラフを見ながら操作しています。

こちらがS-Log3/S-Gamut.cineのグラフです。だいぶ暗めになっているので、HDR HLGのグラフに近い形になるように調整してみました。

編集ができたところで書き出しをします。HDRモードに入っている状態で「ファイル」＞「名前を付けてレンダリング」を呼び出すとご覧の画面が表示されます。

HDRモードに入っているときは「MAGIX AVC/AAC MP4」と「MAGIX HEVC/AAC MP4」の２つしか出てきません。どちらも4Kブラビアでの再生が可能です。より高圧縮ができるHEVCをここでは選びたいところです。

HEVCを選んで右のテンプレートから「HLG UHD 2160p 59.94fps」を選びテンプレートのカスタマイズからフレームレート29.97fpsに変更するとよいと思います。（素材が30pなら）

なお、テンプレートを開くとHLG 8Kなどの設定もできるようになっています。今回のVEGAS Pro 17はHDR対応だけではなく8Kにも対応しているようです。

まだソニーの民生用のカメラで8K対応になっているものはありませんが、6100万画素センサー搭載のα7R4で写真をピクチャープロファイル10で撮影して、それをスライドショー表示させると8K HDRの動画出力とかもできるようになります。うわー、やってみたいですねー。（って、まだ8K再生できる環境がどこにもありませんが）

なお、今回のテスト編集では1分30ほどの動画をレンダリングしているのですがHEVC/HDRのファイル書き出しに30分ほどかかりました。実に書き出しに20倍の時間がかかるようです。

利用しているマシンは2016年モデルのVAIO S15です。Core i7のHプロセッサーを使ってもレンダリングにはかなりの負荷がかかります。搭載している16GBメモリーも使い果たしています。4K編集には32GBメモリー搭載を推奨となっていますが、確かにメモリーを大量に消費するようです。

ちなみにプレビュー再生は以前のものよりもスムーズに動作している様に思えます。

さらに、機能としてYouTubeへのHDRアップロードもできるようになっています。以前、調べた時にYouTubeへのアップロードは10bit階調でないとダメ、というのを読んだ記憶があるんですが、それも変換してくれています。

ちなみにこちらのレンダリングですが1分半のデモ映像のレンダリングに60分ほどかかりました。40倍のレンダリング時間がかかります。

ということで、HDRモードを使ってSDR～HDR～S-Logの混在編集をして、YouTubeに4K HDRでアップロードしたファイルがこちらです。

カラーバランスの調整方法がわからなくて色味はバラバラなんですが、輝度差については素材ほどの見た目のばらつきはなく使える動画になっていると思います。

PCなどのSDRディスプレイではSDRで出力されます。4Kブラビアでご覧いただくとHDR出力されているのが確認できるかと思います。

 

これで一気に4K HDRが身近になったというか、やっと“α”とブラビアがつながった感じです。こうしてHDR出力とグレーディングがVEGAS Proでできるようになるのがわかっていたら、先日のピカチュウ大量発生チュウなどもHDR撮影してくるべきでしたねー。

モモどんさんに撮っていただいた4K S-Log花火や、ディズニーランドのプロジェクションマッピングなどもテストでHDR書き出ししてみましたが、今までのような苦労もなく一発でHDR出力をすることができます。

VEGAS Proの12～16まではインターフェイスがちょっと変わるくらいのアップデートでしたが今回は大幅な機能アップをしています。

キャンペーン販売は本日までとなっていますが、これは購入しておいて損はないと思います。編集素材が集まったところで店頭でもHDR編集セミナーを当店のお客様向けに開催しますので、この機会に是非、購入をどうぞ。

一番安価な「VEGAS Pro 17 Edit」でもOKです。一つ上の「VEGAS Pro 17」にはレンズフレアを再現するエフェクトが付いてくるのですが、これは使いどころがあるエフェクトだと思います。+2,000円でついてきますので、こちらもおすすめです。

ちなみに私は個人的に「Suite」を購入してみました。3Dを使ったピクチャーロゴが作れるらしいので試してみようと思います。

 

★ソニースネクスト『VEGAS Pro 17』キャンペーンのご案内はこちらから

 

なお、セミナー講師である「山梨の飯田」さんもご自身のblogで今回のセミナーについてのお知らせをされています。

今回もHDR編集について丁寧なご説明をいただきありがとうございました。

 

 

 

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