浮遊動画に挑戦!『α7S』+スタビライザー『Nebula 4000 lite』試用レポート
またまたブラシレスモーターを使った3軸ジンバルスタビライザーの試用レポートです。
前回は4Kアクションカムで利用する小型のスタビライザーを使いましたが、今度はデジタル一眼”α”を利用すべくやや大きめのスタビライザー、FILMPOWER製の「Nebula 4000 lite」を使ってみました。
浮遊映像にまたまた挑戦です。
今回もまたeiji1783bgさんの作品をひとつ紹介させていただくのですが、私がやりたいのはこんなの。手ぶれ補正というレベルではなくスムーズに映像が飛んでいくような様はまさに「浮遊映像の悦楽」です。
綺麗な景色を動画で見せるとか、面白動画を撮るのとは違って、これはまた新しいジャンルの映像というか、爽快感を感じさせる動画作品だと思います。以前であれば、こういう映像はモーターパラグライダーを使ったり、今ならドローンを使って飛行映像を撮影するところですが、機材が高額になるのと危険を伴うケースもあり、とても一般の人が挑戦できる映像ではありませんでした。
ですが、こうしたジンバル機能を使った電子制御するスタビライザーなら10万円前後で入手可能。また特殊な飛行技術なども必要なく日常生活の景色を撮影することができるわけで、個人的にもすごく興味があります。
今回は社内の別部署で業務用に購入したスタビライザー、FILMPOWER製の「Nebula 4000 lite」を試用してみます。
amazonで検索してみると10万円ちょっとという価格になっていました。
【国内正規品】FILMPOWER製 Nebula4000 Lite ジャイロスコープ3軸スタビライザー
- 出版社/メーカー: FILMPOWER
- メディア: エレクトロニクス
ビデオ機器の専門店で購入すると6~7万円程度で購入できるところもあるようです。手ぶれ補正のためだけに購入するのはかなり高額に感じられるかもしれませんが、こういうアクセサリーはひとつ決まれば、あとはカメラを買い換えても使い続けることができますからね。
まずはケースを開けてみます。
例によって取扱説明書は英語だけで日本語の説明書はありません。相変わらず英語力は低いままの私ですが、こうした電子機器であればなんとか単語がわかるだけで半分くらいは理解ができます。あとの半分は運、ということで使ってみましょう。
「Nebula 4000 lite」ですが、見ての通りパーツはかなり頑丈そうなのと、カメラ本体の重量は1kgまで対応するとのことで、かなりパワフルなイメージがあるんですがこれがそうでもないんです。
搭載しているモーターはなんかアクションカムで使った時の「FY-G4」と大差がない感じで、アクションカムで使っていたときは強力なモーターでグイグイとアクションカムを動かしていたのに対して、「Nebula 4000 lite」は微妙なバランスを重たいカメラで取っている感じになります。
バランスをまず最初にしっかりと取らないと使い物にならないんです。まずは、そのバランス取りをしているところの様子を動画でご覧になってみてください。
3軸のバランスを順番に取っているのがおわかりいただけると思います。
底面の三脚穴を使ってのカメラの固定部分で前後バランスを取るのですが、それ以外は六角レンチを使ってのバランス取りになります。これがなかなか大変。一度セッティングが決まったらOKなんですが、カメラを取り替えるたびにこの作業は必要になります。
カメラの総重量は1kgまでとなっていますが”α7S”+SEL28F20+SEL075UWC=958gのフルサイズワイドコンバーターセットだと、こうしてフロントヘビーになってしまい、カメラを一番後ろに下げてもバランスは取れません。
また、カメラをあまり後ろに下げてしまうと、スタビライザーのアームと干渉してしまい可動域が狭まることもあります。なのであまり大きなレンズはつけられない、ということもわかりました。
やれるものであれば3軸ジンバルスタビライザー+空間光学手ぶれ補正ハンディカムの最強コンビでの4K動画撮影とかもしたかったんですが、奥行きの長いハンディカムでは搭載自体が不可能です。
そんなわけで今回は軽量&広角なSEL28F20と”α7S”の組み合わせでテストをします。バランスをしっかりと取って静止状態でカメラが正しい向きになるようにセッティング。
この状態でグリップにある電源ボタンを押せばスタビライザー機能が働きます。ここから本来はセッティングアプリを使ってスタビライザーの効きを調整するところなんですが、今回はセッティングアプリは使わずにそのまま利用。
どんな映像が撮れるのか、を今回は1日で試さないといけないもので。
スタビライザーのグリップの底面には三脚穴がありますので、こうして三脚に取り付けることもできます。どういうシチュエーションになるか、あまり数多いシーンではないと想いますがフェリーとかの船での三脚撮影の時にこういうのは威力を発揮しますかね?
カメラ側のセッティングですがカメラのすぐ背面にアームが来るのでファインダーとモニターのオート切替機能はオフにします。モニターのみに出力した方が見やすいと思います。
あと、アームとぶつかる可能性があるのでアイカップは外してカメラの軽量化もします。これで試し撮りの旅に出発。
途中でAPS-Cレンズの「SEL1018」に取り替えました。レンズ交換をしたらまたバランスを取り直すのと、ズームレンズの場合は撮影する画角で固定しておかないとレンズのちょっとした移動でバランスが狂ってしまうんです。フォーカシングしただけでもバランスが崩れることがあるので、結構微妙なんです。
試し撮りしてきた動画がこちらです。
前半で”α7S”とジンバルの様子を撮影してるのはアクションカムです。ヘッドバンドを装着して同時撮影しました。アクションカムはHD撮影をして手ぶれ補正を効かせています。写りの違いが比較できると思います。
それとSEL1018なんですが、設定を忘れていてAPS-Cレンズなのにフルサイズで撮影してしまい超広角10mmレンズになっていて画面の隅がけられてしまっています。ですが、これが怪我の功名というか、eiji1783bgさんの爽快な浮遊動画映像もこうした超広角レンズを使っているようですね。
なんか一気に私も浮遊動画撮影の道が開けてきた感じです。これはイケますね!!
そうか、広角レンズがスタビライザー撮影には向いているのか。ということで、手持ちの広角レンズを装着してスタビライザーのバランスが取れるかどうかを調査です。
“α7S”にAPS-C用の広角ズームレンズ「SEL1018」を装着。ワイドズームいっぱいにしていますが、これでバランスが取れています。フルサイズで撮影しておき、あとでほんのちょっとだけクロップして編集すると言う手も使えます。
これはなかなか良い組み合わせかもしれません。
フルサイズ用ワイドズーム「SEL1635Z」はレンズ重量が重く、カメラ総重量が1kgを超えます。さらにフロントヘビーでカメラをめいっぱい後ろに下げてもこの状態になります。
「Nebula 4000 lite」では利用はできません。これくらいの微妙なバランスだったら、モーターの力でなんとか支えてもらいたいところですが、そんなにパワーがないんです。
SEL16F28にフィッシュアイコンバーターという組み合わせです。これもOKです。APS-Cサイズになってしまい、”α7S”はたったの500万画素カメラになってしまうんですが、それでもフルハイビジョンで必要な200万画素には足りています。
スタビライザーとフィッシュアイでどんな映像が撮れるでしょう!?
なお、フィッシュアイコンバーターレンズをはずすとこんな風にずっこけます。それくらい微妙なバランスで使うんです。
広角レンズではありませんが55mm単焦点の「SEL55F18Z」も装着が可能です。FEレンズで使えるのはここまでかな。
ズームレンズ「SEL2870」も装着はできるんですが、カメラをめいっぱい下げてギリギリバランスを取っている感じです。フォーカスレンズが移動すると、それだけでバランスが崩れて前のめりになってしまうので、これはギリギリ使えないレンズになりそうです。
“α7II”のボディも装着してみました。こちらも使えます。おそらくレンズも”α7S”と同等になるはず。
ちなみに”α7II”はボディがやや大きくなるため、カメラの装着ネジを一段右にずらして装着しないとつけられません。結果、左右バランスを思い切り移動しないと使えないので”α7S”ととっかえひっかえで使うというのはできません。
5軸手ぶれ補正を搭載した”α7II”+スタビライザーの効果については今回は試していないのですが、また機会があったら挑戦してみます。
サイバーショットの「DSC-RX100M3」も載せてみました。なんとかギリギリバランスは取れているのですが、カメラ本体が軽すぎて微振動が起こります。セッティングアプリを使って微調整すればどうにかなるかもしれませんが、うーん、どうかなぁ。これは△ということで。
“α6000″はばっちり、問題なく装着ができます。標準ズームレンズの「SELP1650」でもOK。
ワイドズームレンズ「SEL1018」もバランスを取ることができました。暗所の撮影とかでなければ、”α7S”ではなく、この方が取り回しも軽いかもしれません。
「SEL18200」はフロントヘビーで利用不可でした。
ということで突然始まった当店の『浮遊動画』特集なんですが、いかがだったでしょう? いろいろな可能性のある新しい動画撮影のジャンルになるじゃないですか。できれば、これが4Kで撮影できれば良いのですが、まだソニーのデジタル一眼”α”、サイバーショットには4K撮影機能はついてないですからね。ま、4Kはこれから、これから。
今回はセッティングアプリを使わずに使っていますが、ちゃんとスタビライザーの設定をすれば、もうちょっとスムーズな動画撮影ができるはず。デフォルトのままだとやや反応が敏感すぎるので、もうちょっと鈍感な動きになってくれると助かりますし。
また、折を見て浮遊動画撮影に挑戦してきます。
【追記】
帰り道に新橋から有楽町までガード下の撮影をして帰ってみました。後半はだいぶスムーズに撮れるようになってきています。コツがわかってきました。(この動画もα7S+SEL1018で撮りました)
【国内正規品】FILMPOWER製 Nebula4000 Lite ジャイロスコープ3軸スタビライザー
- 出版社/メーカー: FILMPOWER
- メディア: エレクトロニクス
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