サイバーショット『DSC-RX10』実機レビューレポート
発売からだいぶ経ってしまいましたが、昨年秋に発売されたサイバーショットのスーパーモデル「DSC-RX10」を週末にお借りすることができたので、持ち歩いて使わせてもらってきました。
実機レビューというか、いつもの感想文レポートなんですがどんな感じの写真が撮れるものなのか試してきましたのでご興味ある方はおつきあいくださいませ。
サイバーショット『DSC-RX10』は昨年10月16日に発表、11月15日に発売になったモデルです。
全域解放F値2.8で焦点距離24-200mmのレンズを装備。2012年に発売になって話題になったDSC-RX100の1.0型センサーを搭載したサイバーショットでデジタル一眼に迫る写りを実現するコンデジ、に、高倍率ズームレンズを搭載したらどうなっちゃうんだろう?を本当にやってしまったカメラです。
ソニーのデジタル一眼“α”のレンズで3本そろえると「大三元(麻雀の役のひとつ。そろえるのが難しく得点の高い難度の高い役)」と呼ばれるレンズがあり、それが上記の3本のズームレンズになります。カールツァイスのSAL1635Z、SAL2470Z、GレンズのSAL70200Gで、3本そろえると約80万円になる高額レンズの集まりになるんですが、共通点は解放絞り値がすべて通し(ワイド側からテレ側まで)F2.8の設定ができるレンズになっていること。
価格もすごいんですが重量もすごく、3本合わせるとレンズだけで860g+955g+1340gで、これにα99(812g)でも持って行こうものなら合計で約4kgになる超重量級セットになります。
サイバーショットDSC-RX10はこういう「大三元ユーザー」さんをターゲットにしたサイバーショットになり、ちょっとした散歩で使ってもらうサイバーショットという位置づけ。F2.8通しの大三元レンズ並みの性能を持ちあるいて、手軽な撮影ができるように開発をされているモデルになります。
重量4kgものカメラセットを1台にしてこの軽さ!(※DSC-RX10の本体重量は813g)ということなんですが、普通にデジタルカメラとして見ると結構な大きさ。
写真右は当店で使っている”α77″+SAL2470Zの組み合わせですが、大きさのイメージはこんな感じなんです。
レンズのフィルター径は62mmで同じなんですけどレンズ筒の太さはDSC-RX10の方が太いくらい。
レンズにリングは2本ありひとつはズームとフォーカスリングを兼ねたもので、もうひとつは絞り値専用のリングになっています。
見かけは完全にデジタル一眼カメラなんですが、レンズのズームは実はリングと完全連動しているわけではなく、電動ズームになっています。
操作メニューを見るとわかるんですがビデオカメラでよく見かけるゼブラ表示があったり、実はこのカメラ、動画撮影に向けた機能を織り込んでおり、この電動ズームもそのひとつの様です。
電源スイッチはシャッターボタンの手前に配置されるんですが、奥にはズームレバーがついていて、これでズーム操作が可能。
ビデオ撮影をしているときにズームリングを回すと普通の人には一定速度でのズーミングができませんが、これならスムーズな操作ができます。
またフォーカスリングも兼ねることができて、ボディには一眼カメラ”α”の如く、フォーカース切り替えのダイヤルが装備されていて、これで「DMF」「MF」にするとフォーカスリングとして操作することが可能。この場合はズーム操作は電源ボタンのところのズームレバーで行うことになります。
また絞りリングにも工夫があり、絞りリングは「CLICK ON」にするとカメラ独特の「カチカチ」した感触でリングを回せるんですが、これをオフにすると抵抗もなくスルスルと回るリングになります。
映像の揺れもそうですが、音が入りますからね。こういうところも動画に配慮していることになりますが、ふむふむ、こうして実機を手にしていろいろ操作をしてみるとイメージが変わります。
メニュー操作は”α”そのもので、画質選択では「RAW+JPEG」が選べるようになっています。”α7R”を使うようになってからRAW現像に目覚めてきてて、今回はRAWでの撮影にも挑戦してみます。
有機ELファインダーは”α6000″と同様に144万ドットのものになります。レンズは4枚使っているとのことなので、設計は”α6000″と同じなのかな?
普段使っている”α7R”やNEX-5Rの有機ELファインダーは235万ドットのものになり、言われてみると解像感がやや違っている気もするんですが、言われてみないと気がつかないレベルとも言えます。
バッテリーはNEXシリーズと共通のWシリーズバッテリー。これでファインダー撮影で約340枚、液晶モニター撮影で約420枚となります。
レンズキャップは”α”とは違う初めてみるもの。デザインはフルサイズカメラ「DSC-RX1」と同じものに見えますが、こちらはメタル製ではなく樹脂製。
レンズキャップの裏はご覧の通りフラットデザインになっています。”α”レンズのキャップの裏はこうしたフラットデザインにはなっていないので凹凸のところにホコリがつきやすいのですが、こういう配慮は”α”レンズでもやってくれないかなぁ。
なお、62mm径のフィルターなので、そのままSAL1680Zのレンズキャップが流用できます。”α”ロゴが入ってしまっていますが、レンズキャップにカールツァイスロゴがあるとなんか良い感じです。
お借りしている機材なのでレンズキャップをなくさないよう、ここでは自前のレンズキャップをつけて使ってき
ました。
DSC-RX10 F2.8 1/160秒 ISO125 焦点距離42mm(35mm判換算)
行ってきたのは伊豆半島にある河津です。あいにくこの日は天気が悪く楽しみにしていた河津桜の綺麗な写真はだめそうですが。。。ま、当店のblogにそういう美しい作例はどなたも期待していないと思いますので、使い勝手中心でレポートさせていただきます。
こうして”α”を持たずにサイバーショットだけで旅に出るのは久しぶり。でも、このボディ形状のおかげで気分はすっかり”α”使いの気分。
DSC-RX10 F2.8 1/250秒 ISO640 焦点距離200mm(35mm判換算)
望遠ズームはここまで使えます。
最初は違和感を感じるパワーズーム。それとデジタル一眼カメラと違って「ガシャッ」というシャッター音がなく、小さく「プチッ」とシャッターが切れるのが変な感じだったんですが、こういうのは完全に慣れです。
旅が終わる頃には、それが当たり前みたいになります。
DSC-RX10 F2.8 1/200秒 ISO500 焦点距離200mm(35mm判換算)
河津桜です。すでにサイバーショットDSC-RX10をお使いのお客様に「どんな撮り方をするのが楽しいですか?」と聞いてみたんですが、とにかく「テレマクロ」が楽しい!とのこと。
テレマクロというのは望遠ズームいっぱいにして近くのものを撮影することを言うんですが、このカメラはテレ側いっぱいの時でも30cmまで被写体に寄れるんです。私も試してきましたが、確かにこれはすごい威力です。
DSC-RX10 F2.8 1/200秒 ISO800 焦点距離200mm(35mm判換算)
確かにこれは面白くて、そればっかりやっていました。桜を見ながら良い個体が見つかったら、すかさずテレ側いっぱいにして被写体を追います。
サイバーショットでこういうことをするとフォーカスが奥の方にいってしまって、手前のものにフォーカスがなかなか合わないことがありますが、このカメラは最短撮影距離がテレ側いっぱいでも30cmとすごく短いんです。
遠くにフォーカスが行ってしまったらすかさず左手をレンズの前に出して手にフォーカスを合わせてしまえばすぐにテレマクロモードになる感じ。
この方法でざくざくとテレマクロ撮影。
DSC-RX10 F2.8 1/160秒 ISO400 焦点距離150mm(35mm判換算)
点光源になるところを見つけてシャッターを切ってみました。
さすが全域F2.8です。RX100ではワイド端でなければ開放絞りF1.8が使えず、ボケの演出をしようとすると単焦点カメラみたいな使い方になっていましたが、RX10はそのままズームが使えるカメラになっています。
RX100でもっと高倍率ズームが使えたら良いのに、とか、ぼけ味がもっと欲しい、というのが味わえます。
電子ビューファインダーのおかげで撮影前にこういう映像が見られるというもサイバーショットならでは。なるほど、テレマクロ楽しー!
DSC-RX10 F2.8 1/125秒 ISO1600 焦点距離107mm(35mm判換算)
雨も降って天気も悪いので、河津名物のわさび丼をいただきにお店に入ります。ちょっとしたブツ撮りにも思い切り寄って撮影できます。自由度が高いというか、このカメラ、何でも撮れます。
DSC-RX10 F2.8 1/100秒 ISO2000 焦点距離94mm(35mm判換算)
かどやさんのわさび丼。自分ですったわさびを鰹節ののったご飯に載せて、醤油をぐるっとかけてから混ぜていただきます。
つーんとしたわさびの香りが伝わってきそう。
その後、河津七滝を見学。滝と言えば、試してみたい機能が一つありました。
これです。NDフィルター。DSC-RX10は光量を落とすNDフィルターを内蔵しており3ステップ分、1/8の光量にすることができます。設定をオートにしておいてシャッタースピードを落としていくと。。。
DSC-RX10 F7.1 1/20秒 ISO125 焦点距離107mm(35mm判換算)
これが普通に撮影したときの写真です。シャッタースピードは1/20秒とやや遅めですがそれでもまだ水の動きがわかる範囲。これはNDフィルダーがまだかかっていない状態です。
シャッター速度優先モードでシャッタースピードを遅くしていくと。。。
DSC-RX10 F5.0 1/5秒 ISO125 焦点距離107mm(35mm判換算)
これがNDフィルターが入った状態です。シャッタースピードが遅くなって水の流れがだいぶなめらかに見えるようになりました。
シャッター速度が遅くなる=たくさんの光がセンサーに入ってくる、わけで明るいところではシャッター速度を遅くするとある程度限界のところで明るくなりすぎて白飛びしてしまうことがあるんですが、そうなる前に光量を光学的に落としてくれます。
手ぶれ補正もよく効いてて、これは手持ちで撮影しているんですがちょっと見ではぶれがわからないほど。
DSC-RX10 F6.3 1/2秒 ISO125 焦点距離166mm(35mm判換算)
こちらも手持ち撮影なんですが、ここまで撮れました。
いやぁ、すごいサイバーショットです。
DSC-RX10 F2.8 1/250秒 ISO125 焦点距離193mm(35mm判換算)
こちらはまた日をあらためて撮影した梅の写真です。この日も天気が悪かったんですが、明るく撮れます。
DSC-RX10 F2.8 1/400秒 ISO125 焦点距離200mm(35mm判換算)
このボケ方はサイバーショットのものとは思えません。これを使うときは気分は”α”そのもの。テレマクロ最高!
DSC-RX10 F4 1/200秒 ISO125 焦点距離28mm(35mm判換算)
ということで4日間ほどお借りしたサイバーショットDSC-RX10でした。
天気が悪かったせいもあって光量が足りず、ISO感度が高め高めになってしまうんですが、天気が良ければこういうことはなかったでしょうし、あとは自分でもISO感度の許容範囲をもうちょっと狭くしても良かったかも。
ただ、200mmまでの望遠ズームを多用してしまうので、高感度ノイズよりもこうして手ぶれが押さえられる方が、私の様な初級者カメラマンにはありがたいですね。
動画撮影は試すことができませんでしたが、これでやっと夢だったRX10がどんな感じのカメラなのか体験できました。
“α7″シリーズと同時発表だったもので、なんか話題にあまりならなかった印象もあるんですが、このカメラも長く愛用していただけそうですね。また天気の良い時に使ってみたいです。
★ソニーストア サイバーショット「DSC-RX10」のご案内はこちらから
☆当店blog 13.10.17「サイバーショット『DSC-RX10』ショールーム展示レポート」
☆当店blog 13.10.16「大三元レンズ搭載のサイバーショット『DSC-RX10』発表&発売」
☆ソニー商品情報サイト サイバーショット「DSC-RX10」商品ページはこちらから
☆ソニープレスリリース「広角から望遠までを全域開放F値2.8の明るさで撮影できる『RX10』を発売」
☆ソニー銀行『Sony Bank WALLET』のご案内はこちらから
iTaLiA
2014年3月14日 @ AM 10:41
いつもながら、わかりやすく楽しいリポートでした。
タイミングを合わせたのではないでしょうが、米SONYが分解モデルで中のメカを見せる動画を公開しました(英語での紹介ですが)
店員佐藤
2014年3月17日 @ AM 12:31
♪iTaLiAさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
これまたかっこいいムービーですね!
こういうのを見るたびに自分でも
撮りたくなってしまいます。
ジョージ
2014年3月21日 @ AM 3:08
高価なRX10が岩の上に直接置かれていたのでビックリしました。
ご自身の物ならどんな扱いでも自由ですが、借り物ならもっと大事に扱うべきではないですか?
店員佐藤
2014年3月22日 @ PM 1:48
♪ジョージさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
メーカーさんからお借りした機材はカメラバッグに
しまう際もカメラップを使うなど、気をつけるように
しています。
この撮影の際も細心の注意を払い、カメラに汚れや
傷がつかないように取り扱っています。
高級機だからというわけではなく、当店では
普及型モデルでもお借りしている機材は
同様に大事にしています。また、今後も
アドバイスをよろしくお願いします。