VAIO SAシリーズで使う天体画像処理ソフト『Registax』
さて、今回のblogエントリーはVAIOカテゴリーにするか、デジタル一眼“α”カテゴリーにするか、ちょっと悩むネタなんですが、今回、一番活躍してくれたのがVAIO SAシリーズなので、VAIOカテゴリーで今回は紹介したいと思います。
まずは写真が3枚続くんですが、それぞれの写真を恐れ入りますが拡大して表示して違いをごらんになってみてください。
1枚目の写真をクリックして拡大表示したら「続きを読む」をどうぞ。
こちらが2枚目の写真になります。サムネールを見るだけでも画質がやや違っているのがわかりますが、拡大してごらんになってみてください。
最後に3枚目の写真がこちらです。
すべて同じカメラで同じレンズで撮影した写真です。
解像感がものすごく違っているのがおわかりいただけるでしょうか?
拡大表示をしてくださらなかった方のために一部を切り抜いた拡大写真も用意したんですが、↑こちらがオリジナルの写真です。
カメラはデジタル一眼のα550でレンズはαレンズでもっとも焦点距離が長いSAL500F80という反射型望遠鏡と同じ仕組みになっているレフレックスレンズで撮影しました。
トリミングするとこれくらいぼけた感じになってしまいます。フォーカスが甘いというのもあるかもしれませんが、首都圏の空です。空気の汚れや大気のゆらぎなどもあるのでシャープな画像はあまり期待できないんです。
それを今回紹介する「Registax」というソフトウェアを利用することでここまで画質をあげることができます。
単純にシャープネスをあげただけではこんなに情報量は増えません。Registaxというのはちょっと別の方法で画質を上げてくれるソフトウェアなんです。
撮影方法で特別なことはなにもしていません。普通に三脚を用意してマニュアルモード、絞りF8、シャッタースピード1/320秒、ホワイトバランス:太陽光にして撮影している普通の写真なんです。7月14日に満月の前夜に撮影をしました。
ただ、普通の写真と違うのは。。。
実はこれ、連写で230枚の撮影をしているんです。JPEG撮影ですがFINEモードにして大量の写真撮影をしました。
その230枚の写真をすべてVAIO SAに移して、ここで「Registax」というソフトウェアを利用。230枚の写真を自動で合成してもらってそれで解像度を上げる、ということをしています。
この「Registax」というソフトウェアはフリーソフトなので誰でも利用ができるんですが、英語版なんです。ソニーヨーロッパ、ソニーアメリカなどのホームページでVAIOやサイバーショットなどの電子機器についてはカタログ情報くらいは読めるようになってきたんですが、このソフトはこれまた専門用語だらけ。
日本語で紹介してくださっているサイトもあるんですが、その詳細までの解説はしてくれていないし、日本語でこのソフトを紹介している書籍なども見あたりません。
なので手探りでこのソフトをいじくって何とかほぼ全部オートモードでの利用ができるようにはなったんですが、どうやらこのソフト、本来はものすごく動作の重いソフトウェアみたいなんです。VAIO SAシリーズがあったから良かったモノの、たぶん、自宅のVAIOとかではいじりながら寝てしまっていたのでは!?という位動作に時間がかかるんです。
ま、その話はちょっと置いておいて、だいたいの使い方をご案内してみたいと思います。今回は私も自信がなくて、とりあえず使える方法をご案内するだけなので、正しいもっと最適な方法がありましたら、是非、教えてもらいたいところです。
私なりの、とりあえず使えた方法をご案内します。
まずは「Registax」というソフトウェアのダウンロードから。
このソフトは天文写真の世界では有名なソフトウェアの様です。私はCP+という写真イベントでその存在を知って、天文雑誌で大体の使い方というか、利用方法を理解した感じ。
現在、Ver.6までソフトウェアが用意されているんですが、Ver.6.1もVer.6.1.0.8も私の使っている環境では途中でエラーが出てしまい先に進みませんでした。今回、利用しているのはVer.5.1.9.2を利用しています。(不具合がある、とかではなく私のセッティング、使い方に問題がある可能性も大きいのですが。)
ダウンロードするファイルサイズは1.8MB程度なので全然重くはありません。ファイルをダブルクリックするとここからすべて英語での操作になります。
自分のメインマシンでこんなソフトを実験的にインストールするというのはできないんですが、様子がおかしくなったらすぐにリカバリーできるマシン、というのが手元にあると助かります。(^^;) このソフトウェアは以前より使ってみたんですが、利用できるマシンがなくてズルズルと先延ばししていたんです。
インストール途中で分岐点があるとしたらここの承認画面だけです。I agreeを選択すれば先に進めます。
あっという間にインストールが終わって、すぐにソフトウェアが起動します。
さぁ、いきなりこの画面が出てきて、どうすれば良いのかわからないところだったんですが、まず最初にやるのはファイルの取り込みです。写真ファイルだけではなくAVIの動画ファイルの取り込みもできるそうですが、今回、テストで用意しているのは230枚のJPEG写真です。
左上にある「Select」というボタンからファイルの読み込みを行います。
ファイルの種類が最
初はAVI、MPEGとなっていて動画ファイルしか認識しなくなっていますので、ここで「jpg」ファイルの読み込みができるようにファイルの種類を変更。そしてまとめて取り込んである月の写真ファイルをまとめて読み込みます。
写真を1枚選択してから「Ctrl」+「A」で全選択になります。その後「開く」ボタンで読み込みます。
最初にこういうウインドウが開きますが、Yesを選択します。モノクロ画像で処理をするかカラー画像で処理をするか聞いてきているようですので、Yesでカラー画像を選択します。
続いて「Alignbox size」というところで、この場合は512を選択します。これでボックスが最大サイズになるのですが、この後、重ね合わせ処理などをするときに画質をサンプルで見られる範囲を指定することになるみたいなんです。
今回は月ということでサイズが大きくはみ出してしまいます。一番大きなボックスにして月の一部を選択します。画像の上でクリックをすれば、それでボックスをおけます。
木星、土星などのもっと小さな天体の場合は128とか64の小さなボックスで範囲選択をすることになります。
範囲選択が決まったら画面左上にある「Align」をクリック。
ここが一番時間のかかるところなんですが、230枚の写真に先ほどの枠をすべてオートでつけて行きます。
VAIO SA(最強バージョン)で行うと1分21秒で済むんですが、今回、説明用の画像を取り込むのに、ワークマシンにしているVAIO Fシリーズで同じコトをやっていたんですが、処理に2分52秒もかかってびっくりしました。
というのも、仕事に使っているVAIO Fシリーズも最強仕様のもので、プロセッサーはクアッドコアのCore i7-Q820(1.73GHz)を使っているんです。それがVAIO SA搭載のデュアルコアCore i7-2620M(2.70GHz)にダブルスコアで負けてしまうんです。
今回、このソフトウェアの使用は本当に試行錯誤で失敗しては再起動というのを繰り返して作業していたんですが、あれが全部倍以上の時間がかかっていたとしたら、とても使い方を研究するどころではありませんでした。
VAIO SAノート様々です。
で、全写真にマーキングができたら、ここで隣にある「Limit」ボタンをクリック。
本当は各項目の微調整などをするところなんだと思いますが、まだ使い方がわかりません。とりあえずデフォルトで先に進めていきます。
ここで画像の品質などが表示されるそうなんですが、ここも使い方がわかりません。そのままの数値で「Create」ボタンをクリックします。
ここでようやくその230枚合成をした写真が見られます。最初に決めたエリアのところだけがぐっと解像感があがっています。
で、ウインドウ左に6つの数値ボックスが並んでいます。
スライダーを動かすと数値が変わるんですが、これがどうやらこのソフトのキモらしく、周波数毎のシャープネスというか解像度をいじるモノなんだそうです。数値を上げるとびっくりするほどいろいろなモノが見えてくるんですが、数値を上げすぎるとドーナツ現象というか、宇宙と星の輪郭が際だってしまい、ドーナツの様な星になってしまうようです。
詳しいいじり方はわからないんですが、ノイズが目立たないところを探してそれで数値を上げていくようです。
今回の場合は数値を8以上にするとドーナツが出てきてしまうようなので、7点台にして操作しています。
最初の写真3点がありましたが、最初の写真はデジタル一眼“α”で撮影したオリジナルの画像ファイルです。2枚目の写真がこうして数値を7点台に補正して作ったモノ。3枚目の写真は明らかにやりすぎなんですが、試しにノイズも出るしドーナツ輪郭も出てしまうんですが15点くらいにして出力した画像となっています。
数値が7点台でも若干輪郭に白い線が浮いてきてしまっていますね。これくらいが限界です。
そしてここで「Do All」ボタンをクリックします。
そうすると今までは選択エリア内だけの解像感があがっていましたが、それが全体に適用されるようにレンダリングを始めます。
最強VAIO SAノートで作業をするとあっという間にこれも終わるんですが、クアッドコアのVAIO Fでも処理に倍の時間がかかります。とても普通のPCで利用する気にはなれません。(^^;)
処理が終わりました。そしたら隣になる「Save image」ボタンで、できあがった画像を保存して終わりです。
右側にはコントラスト、ブライトネスの補正ボタンもあります。後でフォトショップなどで調整することもできますが、ここで調整をしておけば色階調などもレンダリングして調整をしてくれるようです。ここではコントラストを120にして、ブライトネスを20にあげてみました。
そうすると指定範囲だけにその効果がでます。よければ再度「Do All」ボタンでレンダリングさせます。
これはレンダリング途中のところです。ウインドウの左下にバーがあって、ここに進捗状況が出ます。なかなか処理のかかるソフトで、とにかく待たされることが多いんですが、これ、もっとたくさんの写真を用意して、さらにファイルもBMPファイルとかにするとさらに処理に時間がかかるはず。
まさにVAIO SAシリーズ。。。それと3週間後に受注開始になるVAIO Zシリーズのためにあるようなソフトウェアです。
ちなみにこうした連写写真ですが、いくつか手元にあるので天体以外のものでも実験をしてみます。これは先週撮影したうちのビルの屋上から撮影した東京スカイツリーです。
SAL70300Gで撮影をしました。手持ち撮影で連写ではないんですがいろんなアングルで撮影をしているので、それをあらかじめトリミングして7枚の写真として用意。
これを範囲指定して処理してみたんですが。。。うーん、若干解像度はあがるんですが、月面ほどのインパクトはありません。やっぱり7枚程度では効果が薄いみたいです。
もっと連写しまくって大量の写真を用意しないと。(^^;) でも、天体以外の写真でも利用ができそうなことがわかったので、これも収穫です。
さらに、こちらは週末に撮影した自宅ベランダから撮った夜の富士山です。これも連写ではないんですが何枚か撮影していますので、トリミングしてRegistaxで処理ができるようにしてみました。
↑これが処理前です。
↑こちらが処理後です。おそらくこの明かりは8合目付近の山小屋の明かりなんだと思うんですが、これは結構良い線行っているんです。30秒露光でやっと見える明かりなんですが、こちらは星と違って時間で動いていくモノではないので、撮影枚数をもっと増やして、合成枚数を思い切り増やすことで、もっとすごい写真になりそうです。
ということで、ここ2週間、毎日VAIO SAノートを持ってかえっていたんですが、こんなコトをして遊んでいました。
Registaxの処理時間の早さですが、実はこれはプロセッサーの処理能力の問題だけではないみたいなんです。というのも、合成処理を始めたときにVAIO SAシリーズではプロセッサーメーター、ターボブーストがほぼ全開に近い状態で動作するんですが、クアッドコアの旧型VAIO Fシリーズではプロセッサーメーターが25%くらいまでしか動かないんです。
大量の静止画ファイルをデータとして扱うのでファイル転送の速度がモノを言っているのかも。
月面写真のファイルですが全部合わせると250MBくらいのデータになるんですが、手動計測でVAIO Fがコピーをすると約4.26秒、SAノートでは2秒以下。
あまりにも早すぎて計測ができないので別途1.1GBのファイルを用意してCドライブの中でコピーをしてみたんですが、VAIO Fで12.30秒。SAノートで2.79秒という超驚異的な早さでコピーをしてくれます。
ちなみにVAIO Fですけど、512GBのSSDを搭載しているんです。
VAIO SAに搭載されている第2世代SSDのクアッド搭載がいかに威力があるか、です。
「PCの性能があがった!」と言っても、15年くらい前みたいにプロセッサーの周波数が2倍になったとか、そういうことってないじゃないですか。すぐに体感できるほどの性能向上ってここ数年なかったと思うんですが、このVAIO SAは誰がどう見ても超高速化されています。
「Registax」の最低限の使い方もやっと昨日わかったので、これでこの夏は天体写真をバンバン連写して、VAIO SAでじゃんじゃん合成してみたいと思います。VAIO Zでもほぼこれに準じた使い方ができるはずで、本当だったら私もZを使ってこういう遊びをしたかったんですけどねぇ。
デジタル一眼“α”をお使いの方で望遠レンズをお持ちでしたら、天気の良い夜にこういう遊びもできます。夏休みに挑戦してみてください。私も夏の旅行の時には望遠レンズとαと三脚を持って、大量の天体写真を撮ってきます。
ちなみに「Registax」の使い方について質問されても私はここに書いてある以上のコトはわかりません。ご質問はご遠慮くださいませ。m(_ _)m 逆に使い方のこつなどを教えていただけると助かります。
★ソニーストア「VAIO SAシリーズ」のご案内はこちらから
☆当店blog 11.7.13「VAIO SAシリーズが最大38,000円お得!」
☆当店blog 11.6.27「キーボードウェア『VGP-KBL7』開梱レポート」
☆当店blog 11.6.20「VAIO SAシリーズ ほぼフルスペックバージョンの開梱レポート」
☆当店blog 11.6.7「新型VAIO SAシリーズ ニューモデル速報」
★ソニーストア 望遠ズームレンズ「SAL70300G」のご注文はこちらから
☆当店blog 10.11.23「野鳥のいなかった北本自然公園の話」
☆当店blog 10.11.19「Gレンズ『SAL70300G』店員の声」
☆当店blog 10.11.14「Gレンズ『SAL70300G』で撮る東京スカイツリー」
☆当店blog 10.11.10「Gレンズ『SAL70300G』開梱レポート」
みつぎ
2011年7月20日 @ PM 9:41
うあ(^^;)
どういうことをなされてるのかと思いきや。
こう言うと身も蓋も無い話ですが、よくサイバーショットで言ってる画像内部処理をハイパーパソコン(ソレも今のトップグレード)でフルワークさせるような、そういう感じですね。
正直HD動画とゲーム以外にそんなパソコンの使い道なぞあったんかいと思ってました(^_^;)。
ただ230枚のJPEGとフルスペックパソコンのフルロードと・・・・相当のやる気が無いと作業自体取りかかれませんね。
(その上紹介ソフトが日本語非対応(^^ゞ)
いっぽうでコレが可搬PCで出来る作業というのは光明が持てます。
実は、先日質屋で無理繰り(ボーナス残空にして(T^T)SAL500F80同等のミノルタブランドレンズが入手できまして、
・・・・・・・・・・・・・・・・・
使ってるαはNEX5だけなんですよね(T_T)。
フォーカスも手ぶれも自前処理。
形の上ではコンパクトで手持ちもイケそうだったんですが如何せん手ぶれを吸収できずまともな三脚の入手待ち(-_-;)。
ただこれと75-300mm(コレはジャンク)レンズを含めてNEX5だと一式がカメラマンベストにみんな収まってしまうんですよ。
店員佐藤
2011年7月20日 @ PM 11:19
♪みつぎさん、こんにちは。
おっしゃるとおりでサイバーショットの手持ち夜景モードの
ハイパーバージョンになります。
> 相当のやる気が無いと作業自体取りかかれませんね。
そんなにやる気はなかったんですが結果的にVAIO SAが
なかったらへこたれていました。試行錯誤がかなりあったので。
やり方がわかれば自宅VAIOでの作業もできそうです。
juny
2011年7月21日 @ AM 8:21
230 ファイルの画像の読み込みと合成画像データの
書き込みが主な処理なので、ディスク I/O 速度が
所要時間に大きく貢献するのですね。
参考になります。
Photoshop、Premiere Pro、Illustrator などディスク I/O が
頻繁に行われるアプリケーションの場合、
Quad Core CPU で非 RAID 0 構成よりも
Dual Core CPU で RAID 0 構成の方が使用時のストレスが
少ないような気がして、VGN-Z90US、VGN-Z92YS、
VPCZ11ZHJ を使用しています。
毎回 F も一応検討した上で Z を選びました。
VGN-Z90US からの移行機種を検討中で VPCZ21AJ と
VPCSA2AJ のどちらにするか迷っていますが、
VPCSA2AJ の Quad SSD RAID 0 (VPCZ11ZHJ の
Quad SSD 512 GB の約 2 倍) の方が、VPCZ21AJ の
Dual SSD RAID 0 (約 1.6 倍) よりも高速なので
悩みます。
店員佐藤
2011年7月21日 @ AM 10:36
♪junyさん、こんにちは。
メーカーのカタログ数値では直接SAシリーズとZシリーズの
SSD性能比較をすることができないんですが、速度比較を
するとそういう数値になるのでしょうか?
ベンチマークテストなどで数値比較をしてもなかなか体感できる
速度差を感じることはないんですが、このソフトを使うともろに
それがわかります。
JPEGでこれですのでRAWデータで撮影した写真をBMPに一度
変換、その後にRegistaxで画像処理というのが本来の流れに
なると思うのですが、それをやるともっと差が出てきそうです。
天気の良い夜に次は木星で試してみようと思います。
(あと、富士山も。)
kenken
2014年12月9日 @ PM 1:05
SAのSSDはクアッドSSDではありませんか。あとFはGPU非搭載では?
SAはオーナーメードなのでGPU+VRAM 1GBでしょう。ソフトがGPU対応だとこちらがきいていると思います。SAとFの640M(GPU)+256SSDありますが、コア数で負ける分クアッドSSD500GBで稼いでほぼ同等です
店員佐藤
2014年12月9日 @ PM 2:49
♪kenlenさん、こんにちは。
懐かしい記事にコメントありがとうございます。
VAIO SAはクアッドSSDモデル、
VAIO type FはNVIDIA GeForce GT 330M GPUを
搭載しているモデルだったかと記憶しています。
こんなこともやってたんだなぁ、と、懐かしい思いで
自分の記事を読んでいました。BIONZ Xを搭載した
今時の”α”で月面を撮ったら、もっと綺麗になるかも
しれません。
また挑戦してみます。