【レビュー】新規格『LE Audio』をLinkBuds SとXperia 1 IVでブロードキャスト共有接続に挑戦 低遅延伝送もテスト
昨年の7月に規格が策定され今後数ヶ月で製品が登場すると言われていた「LE Audio」なんですが、やっと、ようやく、5月30日になってソニー製品で「LE Audio」を実際に試すことができるようになりました。
まだベータ版機能としての提供で、新規格全面開放という感じではないのですが、その理由も実際に触ってみて分かった気がします。
現時点で「LE Audio」を試すことができるのはワイヤレスイヤホン「LinkBuds S」をお持ちで、LE Audio対応のスマートフォン「Xperia 1 IV」「Xperia 5 IV」のいずれかをお持ちの方のみということになります。実際にどんなものなのか、実機で試してみましたのでレポートします。
新しい次世代のBluetooth規格である「LE Audio」なんですが、これ、過渡期は割と長いかもしれません。
こんにちは、店員佐藤です。
昨日「LinkBuds S」の本体ソフトウェアアップデートが発表になり、Google Playからアプリのアップデートを待っていたのですが、夜になっても全然アップデートが我が家には降りてこなくて、当日中の記事化は断念。夜になってからアプリがアップデートされたので、そこからいろいろ試しています。
さて「LE Audio」ってなんぞや?というところですが、これはBluetooth規格の新世代のものになります。今後、スマートフォンやイヤホンなどに搭載されるBluetoothはすべて「LE Audio」に切り替わっていくかと思います。
従来のBluetoothは「Classic Audio」となり新世代のものは「LE Audio」として区分けされていきます。Classic Audioではあくまでも電話での「通話」をするための通信規格として立ち上がっており、その狭い帯域の中に音楽データを流して、各社工夫して高音質に聞こえる様な技を投入して使っていたのですが「LE Audio」では大きな世代交代として音楽データを伝送することも前提に高音質、低遅延の伝送ができるようにしていることと、複数イヤホンに同時接続して音声データを流す「ブロードキャスト」機能などを実現。
従来は左右完全ワイヤレスのイヤホンは各社独自方式での伝送方式を作って実現していたのですが「LE Audio」では元から左右完全独立した伝送ができるように規格されています。
高音質通話、ステレオ通話などの機能も規格としては用意されているのですが、今回のLinkBuds Sの本体ソフトウェアアップデートではベータ版として、機能を提供。低遅延の伝送をLinkBuds Sの機能アップとして紹介されているのと、スマートフォンのXperia 5 IVのヘルプガイドではブロードキャスト伝送という複数イヤホンへの同時伝送の方法が説明されています。
今回はこの2つの機能を試してみます。
まずはアプリ「Headphones Connect」のアップデートから。Android OSをお使いの方でアプリを起動するとお知らせが表示され、ヘッドホンのソフトウェア更新が案内されるかと思います。
ソフトウェアのダウンロードに約30分、データのインストールに約3分かかってLinkBuds Sのソフトウェア更新を行います。これで準備が終了。
そのままだと、従来のClASSIC Audioでの接続のままになるので、ここで図のようにLinkBuds SのBluetooth設定の削除を行い、新たにLE Audioでの接続を行う様にします。
接続し直すとご覧の様に「LE Audio」優先という項目があるので、こちらにするとLE Audioでの使用ができるようになります。
繰り返しになりますが、これができるスマートフォンは現時点では「Xperia 1 IV」と「Xperia 5 IV」の2機種のみです。後日、新型モデルの「Xperia 1 V」も対応することがアナウンスされていますが、ショールームで展示されているデモ機ではそれができないのか、後日ご案内ということになっていますのでショールームでハンズオン体験をお考えの方はご注意を。
LE Audioは今のところ無敵の規格ではなく、これを使うことで利用できなくなる機能もあります。マルチポイント接続という2台のスマートフォンと同時接続したり、スマホとPCに同時接続する機能が使えなくなります。オーケーグーグル!という音声アシスタントも利用不可、自分で機能を設定するクイックアクセスも使えなくなり、各種サービス機能もオフになります。
これらの機能を従来通り使えないと困る、という方は「Classic Audio」で接続する事で再び利用するコトができるので設定を変更してお使いください。
さて、そんなわけで「LE Audio」で接続されたLinkBuds Sですが、アプリ上の表示では上記の様に「LE Audio LC3」という表示になります。LC3というのはコーデックを表していて従来の標準コーデックだったSBCの倍くらいの圧縮効率があるそうです。
音楽伝送の際に最大でどれくらいのビットレートでの伝送が可能なのかは不明ですが、実際に試聴してみると、確かに高音質な感じには聞こえます。LDACの990kbpsほどの高ビットレートが使えるかどうかはわかりませんが、LDACも990kbpsの最大伝送ができるのは周りに電波発信源がなにもないようなクリーンな環境のときだけですからね。
こちらはもうちょっとちゃんと試聴して聴き比べてみます。
さて、低遅延の威力を試すべく、本来ならなにか機器を利用して遅延時間の測定とかしたいところなんですが、あいにくそういう測定機器が当店にはありませんので、おなじみのゲームアプリ「デレステ」を使って遅延測定をしてみます。
デレステは上から落ちてくるマーキングをタイミング良くタップして高得点を狙う「音ゲー」なんですが、以前から当店でBluetoothの遅延測定をするときに利用しています。
LIVEに入る前に「LIVE設定」という機能があり、画面上のアイコンを音に合わせてタップすることで、映像と音声のタイミング合わせをしてくれる機能になります。
実際にテストしてみるとわかるのですが従来のBluetoothでは測定するたびに遅延数値が変化してしまいスマートフォンがそのときの環境に合わせて音声の遅延時間を変更してしまうようなんです。なので調整値が計測するたびに変わってしまい、いつまで経っても調整が終わりません。そのためこうした音ゲーをする場合はスピーカーを使うか有線ヘッドホンを使うかの二択で、Bluetooth伝送では音ゲーはできない、という結論になっていました。
ですが「低遅延」を前面に推しだしたLE Audioではどうでしょうか? リズム音痴の私が試しているので参考程度にしかならないと思いますが、デレステでのタイミング調整の結果はこちらです。(数値が大きいほど遅延が大きいことになります)
デレステ 調整スコア | |
Xperia 1 IV 内蔵スピーカー | 15~16 |
有線ヘッドホン | 14~17 |
LinkBuds S LE Audio LC3 | 20~21 |
LinkBuds S LDAC | 37~40 |
LinkBuds S AAC | 38~44 |
WF-1000XM3 SBC | 37~38 |
.
ものすごいアナログな測定方式なのであくまで参考程度にしていただきたいのですが手加減やなにかしらの気持ちの調整などはしていません。それぞれ数回測定した結果が上記の通りなんですが、かなり遅延が少ないのがわかるかと思います。
このタイミング調整をしたあとに「テストLIVE」という、実際に落ちてくるマークに合わせてタップするテストがあるんですが、このときに自分がタップした音も聞こえます。遅延が大きいと正しいタイミングと自分のタップしたタイミングがずれて2重に聞こえるんですが、LE AudioのLC3では有線ヘッドホンなどと同じで音が重なって聞こえます。
これだったら「音ゲー」の評価に厳しい?店員よねっちもOKを出してくれるかも!?(後日、出勤が重なった時に試してみてもらおうと思います。)
スコアはこんな感じですが、割と良い感じで遊べるかも。
感覚が研ぎ澄まされた方には遅延を感じる可能性がありますが、私には有線ヘッドホンやスピーカーでプレイしているのと違いを感じられません。どうしても無線伝送しているので遅延しているんじゃないか疑惑を持って見てしまうんですが、いや、これ普通にプレイ出来ているような。。。
さて、続いてはブロードキャスト伝送を試してみます。こちらはXperia 5 IVのヘルプガイドを見ながら設定しました。
正直言って、全然簡単には接続できません。わかりにくすぎて、たぶん、これだけ手間がかかるからベータ版なんだろうな、と思えるレベルです。実際に試してみましたので一部始終を紹介します。
ここでは何をするのかというと、1台のXperia 1 IVにLinkBuds Sを2セット同時に接続して、同じ音楽を聴く、というコトをしてみます。他のヘッドホンも試したいんですが接続できるのは全部LE Audio対応になっている必要があるので、現時点ではこの組み合わせでしか試せません。
しかし、これが規模の大きな話になってくると数十台、数百台をまとめて接続できるようになることでコンサートとか映画とかをPAシステム無しでイヤホンだけでイベントを成立させることができる可能性があるんですよね。すごい世界への第一歩です。
さて、こちらはBluetoothの接続設定を除いたところなんですが、LE Audioで左右独立完全ワイヤレスを接続するとものすごい数のヘッドホンとつながっていることになっていてビックリすると思います。ひとつずつケースに入れて通信をオフにしたところ、なるほど、これは2組のLinkBuds Sが接続されているんですが、それぞれがグループに分けられていて、左右のヘッドホンひとつひとつが見えているということになるようです。(わかりやすいように自分でネームを書き換えました)
すでにこれでBluetoothの機器接続をしていてブラックとエクリュのLinkBuds Sが接続されているのですが、音楽再生をしてもブラックのLinkBuds Sしか鳴りません。エクリュは無音のまま。
ブロードキャストになっていないみたいなので、これを同時に聴けるように設定します。
まずはBluetoothの接続設定の画面から一番下にある「接続の設定」に移ります。続いて「Bluetooth」を選択し、次の画面で「オーディオ共有」という項目のスイッチをオンにします。おそらく、この項目がLE Audio対応のスマートフォンでないと出てこない項目になるんだと思います。
そして「機器接続」の最初の画面に戻り、グループ1のオプションを開きます。「グループにオーディオ共有元を追加」という項目があるので、ここを選択。そしてそこに使用可能なデバイスとしてスマートフォンが出てくるはずなので、これをタップしてグループにオーディオ共有元を紐付けます。グループ2でも同様にすると、これで同時に音が出てくるかもしれません。
ここでまだ音が出てこなかったら、今度はグループ内のイヤホン単体のオプションを設定します。
グループのオプションに戻り、そこで片方の単体イヤホンのオプションを開き、追加済みのオーディオ共有元のオプションを開き、その中にある「オーディオ同期」のスイッチをオンにします。これできっと2台のLinkBuds Sから音が同時に出るはず。
ちなみに共有した音楽ですが音量が小さいな?というときはアクティブなデバイスのオプションの中にボリュームがある(青い矢印です)ので、ここで調整ができます。最大にしておいて、あとは全体ボリュームで調整なんですが、人によって「音が大きすぎる」とか個別にボリューム調整したいときはここを操作することになります。
さて、いかがでしょう? 超面倒というか、これはいざ使ってみようと思ってすぐに使える機能ではありません。なので、これが「ベータ版」ということの理由になるのかなー、と。(^^;) とてもではありませんが面倒でやってられないので、このあたりの操作をもっと簡単にできるようなアプリなり機能が今後は開発されるんでしょうね。
ひとまず、LE Audioでできることはこんなことになるかと思います。
今後は爆発的に普及するであろう「LE Audio」でこの機能がついているイヤホンやスマートフォンでないと買う意味がない!くらいに思っていたのですが、これは案外、普及するのに時間がかかりCLASSIC AudioからLE Audioへの過渡期は長くかかるかもしれません。
「LE Audio」がついていないと! 「LE Audio」が搭載されていないと損!みたいなのはなく、もしかするとUSB Type Cくらい時間がかかる規格変化になる様な気がしてきました。
現時点でLE Audioの対応ができている製品は「LinkBuds S」と「Xperia 1 IV」「Xperia 5 IV」の3製品だけになります。同じチップで動いている「WF-1000XM4」もLE Audio対応にアップデートするのでは?という話をされている方もいますが販売店では情報なしです。そういえば最近発売になったばかり「WF-C700N」もLE Audioについてはノーアナウンスでした。
対応製品が少ないのと、操作できるアプリの登場があるまでは、こんな感じで知る人ぞ知る規格のままなのかも!?
なお、LinkBuds Sの対応機種についてですがヘッドホン側のソフトウェアで対応機種が決まります。個別機種対応が必要になるため、他社製スマートフォンなどでの対応はまだ時間がかかるかもしれません。Xperia 1 Vの対応もLinkBuds S側のソフトウェアアップデートでの対応になるそうです。
まずは「LinkBuds S」と「Xperia 1 IV」もしくは「Xperia 5 IV」をお持ちの方、ゲームアプリでの低遅延から試してみてはいかがでしょうか?
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