【WF-1000XM6徹底解説】“原音再生”ではない?マスタリングエンジニアと共創した完成音の正体
WF-1000XM6の公式ページで最初に目に入るのが『サウンドエンジニアと共創』という言葉です。世界最高クラスノイズキャンセリングだけでなく、音質面でも“思想”を前面に出してきました。
WF-1000XM6で強く打ち出されているこの言葉は、単なる“監修”とはどうやら意味合いが違うようです。
完成した音を評価するだけではなく、開発段階の初期から音楽制作の最終工程を担うマスタリングエンジニアが参加し、チューニングの方向性そのものに関与する。これがソニーの言う“共創”です。
ここで重要なのは、ソニーが目指しているのが「録音された音をそのまま再現する」ことではない点。むしろ“作品としての完成形”──マスタリングで仕上げられた「最終的に届けたい音」を再現する、という考え方です。
「完成された音」をイヤホンに落とし込むにはどんな技術課題があるのか。そして「WF-1000XM6」は何をどう変えたのか。ここを技術視点で整理してみたいと思います。
単なる有名エンジニア監修モデルではないことがわかります。
☆ヘッドホン:WF-1000XM6『第6感、揺さぶる』-サウンドエンジニアとの共創-【ソニー公式】
こんにちは、店員佐藤です。
WF-1000XM6のプレスリリースがあったときに製品紹介の最初のところに「サウンドエンジニアと共創」がアピールされていました。この手法は昨年5月に発売されたオーバーヘッド型の「WH-1000XM6」でも行われていて、そのときも同様のコンテンツが用意されています。
☆ヘッドホン:サウンドエンジニアとの共創:WH-1000XM6【ソニー公式】
登場するエンジニアの方を見ると、同じ4人のマスタリングエンジニアさんが登場しています。
WH-1000XM6の時に製品イベントで、どんな形でマスタリングエンジニアの方と共創されたのかお話を聞くことができたのですが、最初は「いいんじゃない、これで」というそっけない感じだったものが、開発中の機材を持ち込んでチェックしてもらっていくたびに、たくさんのフィードバックがもらえるようになり、開発の初期段階から一緒に作り上げるという「共創」ができたとのことでした。
一般的なオーディオ製品で見かける「監修」は、完成した音を評価する立場で関わるケースが多いものです。しかしWF-1000XM6の“共創”は違います。
WF-1000XM6の音作りの方向性、チューニングの設計思想、バランスの最終調整に至るまで、制作現場のプロフェッショナルが開発段階から関わっています。
クリス・ゲーリンジャー氏はこう語っています。「スタジオ本来の音をイヤホンへと忠実に落とし込む、画期的なアプローチだ」さらに「スタジオで聴いていた音を外に持ち出せる」とも表現しています。これは単なる高音質という話ではありません。スタジオという“音の基準点”を、そのままポケットに入れて持ち歩くという思想です。
■モニターヘッドホンとWF-1000XM6の違い
モニターヘッドホンとは何が違うのかというと、モニターヘッドホンは音楽制作の現場で使われる“確認用ツール”です。目的は「ミスがないか」「ノイズが入っていないか」「帯域バランスが崩れていないか」「定位が正しいか」をチェックすることです。
そのため、基本思想は「色付けをしない」「誇張しない」「できるだけフラット」であえて言えば「良く聴こえなくてもいい」場合もあります。厳しく聴こえる方が、問題点が見つかるからです。

一方、WF-1000XM6は制作現場のツールではありません。目指しているのは、マスタリングで完成した“作品の姿”を、気持ちよく再現すること。ここが大きな違いです。
技術的な違いをもう少し分解するとこんな違いになります。
モニターヘッドホン
→ 極力フラット(測定上の正確性重視)
→ 圧縮や歪みを見つけるために、情報をそのまま出す
→ 静かなスタジオで使う前提
スタジオ基準 = “測定的な正しさ”
WF-1000XM6
→ フラットを基準にしつつ、 小音量や外環境でも“完成音”が崩れにくいバランスに調整
→ 小音量でもニュアンスが消えないように設計
→ 大音量でも刺さらないように設計
→ 電車、カフェ、屋外などノイズ環境前提
→ ノイズキャンセリング込みで“再生環境を整える”
XM6基準 = “完成音としての正しさ”
という違いになります。たとえるならモニターヘッドホンは「校正用の高精度ルーペ」。WF-1000XM6は
「完成した絵を最高の照明で鑑賞するための展示空間」という感じでしょうか? どちらも正しいんですが役割が違うことになります。
モニターヘッドホン的な発想ならエンジニアは“確認側”です。でもXM6の共創は違います。
マスタリングエンジニアは、
・完成音の基準を知っている
・外で崩れるポイントを知っている
・1dBで印象が変わることを知っている
つまり「完成音の守護者」。その人たちが初期段階から関わることで、“スタジオで完成した音が、外でどう聴こえるべきか”を前提に設計ができる。
ここがモニター設計との決定的な違いです。
【深掘り1:WF-1000XM6は“原音再生”ではない?完成音という思想】
「原音」という言葉は便利ですが、音楽制作の現場における“正解の音”は、必ずしも録音素材そのままではありません。マスタリング工程では、作品として成立させるために、
・帯域バランス(低域〜高域の配置)
・音圧・密度感(迫力と聴きやすさ)
・ダイナミクス(抑揚、息遣い、余韻)
・定位や奥行きの整理(ボーカルの立ち位置、楽器の分離)
などを、極めて微細に整えます。
マイク・ピアセンティーニ氏が語る「1dBの調整が大きな違いを生む」という言葉は、ここを象徴しています。そして重要なのは、こうして作られた“完成形”は「再生環境で崩れる」ことです。スマホ、イヤホン、車、カフェ、通勤電車。環境が変わると、低域が膨らんだり、ボーカルの輪郭が埋もれたり、きらびやかさだけが先に立ったりします。
つまり共創は、「スタジオで完成した音」そのものを評価するだけでなく、“外で聴いたときに何が崩れるか”まで想定し、狙うバランスを詰める作業でもあります。
【深掘り2:共創が効く技術ポイント(耳に入りやすい解説)】
ここからは「共創がどう効くか」を、技術要素に分解します。
ランディ・メリル氏のコメントにある「小さい音量でも細かなニュアンスが聴き取れる」という話。これは単に高域を上げることではなく、情報量の“出し方”と“整理の仕方”の問題です。
小音量では人は低域が聞こえにくく細部が埋もれます。そこでボーカルの芯、倍音、余韻の伸びを自然に感じさせる必要がある。このチューニングは、制作現場の基準(スタジオ音)を知っている人ほど判断が速い領域です。
大音量で疲れる音は、だいたい「刺さる帯域」が出ています。あるいは中域が詰まり、圧迫感が出る。“長く聴ける完成音”という目標を置くと、解像度だけを追いかけるチューニングにはなりにくい。ここが、共創の価値が出やすいポイントです。
そしてWF-1000XM6はノイズキャンセリングが強化されていますが、技術寄りに言えば、静寂は「微細な音を聴くための余白」です。環境ノイズがあると、脳は常にノイズを処理し続けます。結果として細部が聞こえにくくなる。疲労も増える。なので、共創で“完成音”を狙う場合、ノイズキャンセリング性能の向上は音質チューニングの土台になります。
クリス・ゲーリンジャー氏が言う「スタジオ体験に近い」も、音の質だけでなく「静寂設計」込みの話として読むと理解が早いです。
【深掘り3:クリス・ゲーリンジャーの言葉を“技術的に”噛み砕く】
クリス氏の「スタジオ本来の音をイヤホンへ落とし込むのは画期的」という趣旨の発言は、宣伝文句に見えて、実は技術課題を示しています。
スタジオ音を外に持ち出せない理由はだいたいこれです。
・再生環境のノイズ
・耳への装着差(フィットで低域が変わる)
・音量差(小音量で崩れる)
・音源の圧縮や配信環境の違い
この“外の不確定要素”を減らし、狙った完成音の再現性を上げる。そこに、プロセッサー、マイク制御、最適化、静寂設計が効いてくる。
こう整理すると、「こんな試みを行っているのは、ソニーだけだよ」という意味が技術として伝わります。
【深掘り4:4人のマスタリングエンジニア紹介】
さて「マスタリングエンジニア」と言っても、よほど音楽に精通している方でない限り、ほとんどの方はご存じない方ばかりだと思います。私も一人も知りませんでした。
ですが、経歴を聴くと、誰でも知っている曲を手掛けているスーパースターな方ばかりなんです。商品ページで紹介されている内容を簡単にまとめてみました。
| エンジニア | 代表作(例) | アーティスト例 | |
|---|---|---|---|
![]() |
Randy Merrill グラミー受賞歴を持つトップエンジニア Sterling Sound所属 |
Adele『25』、Lady Gaga「Shallow」など | 米津玄師『IRIS OUT』 宇多田ヒカル |
![]() |
Chris Gehringer ジャンルを横断するヒットメーカー Sterling Sound所属 |
Rihanna『Loud』、Lady Gaga『Born This Way』など | Mrs. GREEN APPLE、DREAMS COME TRUE ほか |
![]() |
Michael Romanowski 没入型オーディオの先駆者 Coast Mastering所属 |
The Grateful Dead、Tom Petty、Mr. Big ほか | スター・ウォーズ旧三部作サントラ等(EP4~6) |
![]() |
Mike Piacentini 「1dBの違いが感情を変える」と語る、微細チューニングのプロ Battery Studios所属 |
The Chainsmokers『Memories…Do Not Open』ほか | Bob Dylan、James Brown |
.
米津玄師さんや宇多田ヒカルさんの名前を聞くと、おっ!とくる方も多いと思います。ミセスやドリカムなども手掛けられているし、スターウォーズとか、ボブ・デュラン、ジェームス・ブラウンとか伝説級です。
Mike Piacentini氏は2024年に発売されたソニーのモニターヘッドホン「MDR-M1」開発にも携わられていることがソニー広報 | noteで紹介されています。
なぜ、スタジオの違うエンジニアを4人も集めたのかというと、おそらく音楽ジャンルの偏りをなくして、より幅広い楽曲の音を作りたかったんでしょうね。
「所属スタジオ」というのも、調べてみました。
・Sterling Sound(米NY)
世界的なヒット曲のマスタリングを数多く手がける名門。ポップス〜R&Bなど現代音楽の中心にいるスタジオ。
・Battery Studios(米NY)
ソニーミュージック傘下のスタジオ。幅広いジャンルを扱い、現代の配信環境も前提にした仕上げを担う。
・Coast Mastering(米CA)
カリフォルニア拠点。音楽だけでなく没入型オーディオや幅広い作品を扱い、自然さ・没入感の作り込みに強い。映画音楽や没入型オーディオで知られるスタジオ。

以上、「サウンドエンジニアと共創」についての深堀りでした。
WF-1000XM6の共創は、単なる“監修”ではなく、制作現場が持つ「完成音の基準」を、製品の音作りへ持ち込む取り組みです。
そしてそれは、ドライバーユニットの音だけを磨く話ではありません。小音量でも崩れないニュアンス、聴き疲れしないバランス、静寂設計としてのノイズキャンセリング。“外で聴く”という不確定要素の中で、完成音の再現性を上げるための総合設計だと読むと、理解が一段深くなります。
スペック表では見えない“音の設計思想”こそが、今回のWF-1000XM6最大の進化かもしれません。
発売日以降は、実際に「完成音がどこまで持ち出せるのか」を当店でも実機で検証していきたいと思います。いやー、しかし、どんな音がするのか楽しみですね!
■ソニーストアで予約販売開始しています
ソニーストアではヘッドホンケアプランワイド(年払い3,300円/初年度1,650円)に加入することができます。これはソニーの対象ヘッドホン/イヤホン向けに用意されている延長保証・物損対応付きの有償保証サービスで、高価格帯モデル(例:『WF-1000XM6』『WH-1000XM6』など)を安心して使いたい方に向けたプランです。
通常のメーカー保証ではカバーされない落下・水濡れ・破損などの偶発的な事故もサポート対象に含まれ、1年に1回までなら無償修理が受けられる“ワイド”な保証内容が特長です。
さらに片方のイヤホンを紛失しても定額料金(『WF-1000XM6』の場合7,150円)で修理してもらえます。保証を利用しない場合の修理料金目安は20,900円ですのでかなりメリットも大きいと思います。ぜひソニーストアでの購入もご検討ください。
My Sony IDをお持ちの方には初年度半額のクーポンもプレゼントされていますので、クーポンをお持ちの方は、最初の1年だけでも加入しておくのがお勧めです。なんせ4万円を超えるヘッドホンですので、購入直後に壊したり、なくしたらショックが大きいですからね。
★ソニー ニュースリリース「サウンドエンジニアと共創した高音質と世界最高クラスのノイズキャンセリング性能を実現する完全ワイヤレスヘッドホン『WF-1000XM6』発売」
2月27日発売 先行予約開始
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| ワイヤレスノイズキャンセリング ステレオヘッドホン WF-1000XM6 |
ソニーストア価格: 44,550 円税込 |
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| 発売日 | 2026年2月27日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
| 延長保証 | ヘッドホンケアプランワイド:初年度1,650円 ヘッドホンケアプランベーシック:無償 |
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| ソニーストア 購入特典 |
ソニー提携カード決済で3%オフ 24回払いまで分割払手数料【0%】 |
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| テックスタッフ 店頭入特典 |
テックスタッフ店頭ご利用特典のご案内 |
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