【レビュー】何でもDSDハイレゾ! ヘッドホンアンプ『TA-ZH1ES』展示レポート
こんにちは、店員佐藤です。
ソニーストア大阪へお邪魔させてもらって取材させていただいたSignatureシリーズのヘッドホンアンプ『TA-ZH1ES』の展示レポートをお届けします。
是非、最後までおつきあいください。
ご存じの通り、銀座にあるソニービルショールーム/ソニーストア銀座さんが移転リニューアルのため8月29日~9月22日までの期間はお休みしています。
4KブラビアのX9Dシリーズや、生まれ変わったウォークマン「NW-WM1」シリーズなど注目製品が目白押しで発表されていますので、まとめて一気にソニーストア大阪さんで取材をさせてもらってきてます。
今回は第2回と言うことで9月8日に発表されたSignatureシリーズからヘッドホンアンプ『TA-ZH1ES』の展示モデルの紹介をいたします。
さて、まずはソニー初の据え置き型ヘッドホンアンプになる『TA-ZH1ES』です。ソニーストア大阪での展示はご覧の様にウォークマン「NW-ZX2(110,880円)」をハイレゾ専用クレードル「BCR-NWH10(14,750円)」に載せて接続。
3.5mm×2端子のバランス接続ができるヘッドホンケーブル「MUC-B12BL1(21,880円)」を介して密閉型ヘッドホン「MDR-Z7(55,550円)」で出力されています。
ヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」がソニーストア価格で250,000円になりますので、トータルで約45万円の試聴システムになります。
さて、まずは「TA-ZH1ES」がどんなモデルなのかというと、これはソニー初の据え置き型ヘッドホンアンプになります。PHA-3までのポータブルタイプと違いコンセントからの電源供給がなくては使えないアンプで持ち歩きは不可。型番も「TA-」で始まるピュアオーディオアンプの型番になっています。
背面にあるUSB-B端子からの入力により最大でDSD 22.4MHz、PCM 768kHz/32bitのハイレゾ音源再生に対応。
ハイレゾ製品の出始めの時には「高音はどこまで人間の耳で聞こえるのか?」という話題で盛り上がりましたが、結局、人間の耳には聞こえない音も空気感、雰囲気を演出するのに利用できることがわかり、こうしたスペックはますます上がっていっています。
DSDも最初は2.8MHzだったものが昨年は5.6MHzでの配信がはじまり、今回のモデルでは22.4MHzまで対応するというスゴい世界になってきました。
PCM 768kHz/32bitというのも私には未知の世界。私の可聴域の限界が14.4kHz程度だった(当店でお調べできます)のですが、実に50倍以上の周波数になります。
フロントに並んだたくさんの端子類はソニーのオーディオ機器の出力ができる全端子が用意されています。ステレオミニ×2端子を使ったPHA-3方式のバランス出力や、新しい4.4mmバランス標準プラグ、さらにはアンバランスの6.3mmステレオプラグ、3.5mmステレオミニなど全ての端子が用意されています。
入力切替と出力切替のボタンがあり、出力を選んだ端子にはLEDの白いランプが灯り、どこから出力されているかはすぐにわかるようになっています。
左端にあるXLR4端子は業務機器で使われる端子です。他にもXLR3を2端子使うモノなどバランス接続の端子は乱立気味だったのですが、このヘッドホンアンプがあれば、とりあえずソニー関連のものは全部カバーできることにあります。
デザインも変わっており、通常は天板でアンプを密閉するところが、今回は壁がそのまま上まであがっていて、それをメッシュで天板とつなぐ形になっていて、ボディの外壁の厚さが見た目にわかることになっています。
アンプの天板を取ると開放的な音質に変わる、という事があるそうですが、このデザインにより天板を開放したのに近い音質を実現しているそうです。
通常のピュアオーディオのアンプというと430mm幅がスタンダードサイズになるため、TA-ZH1ESの306mm幅に詰め込むためには小型化するための工夫も必要だったとか。
基板が2階建てになっている部分がありますが、これは小型化するために仕方なく設計されたそうですが、逆にこれにより下にある基板との接続距離が短くなって結果、こういう部分も音質的には有利に働いている、ということもあるそうです。
お店から持って行ったウォークマン「NW-ZX2」をクレードルに差し替えて、自分で持ってきた楽曲を再生するんですが「TA-ZH1ES」の何がスゴいって「DSDリマスタリングエンジン」の搭載です。
これは入力された信号をすべて11.2MHz相当のDSD信号に変換するシステムです。
以前、ソニー製VAIOに搭載された「Sonic Stage Mastering Studio」というソフトウェアで、音楽CDをDSD信号に変換してDSDネイティブで鳴らす、というすごいシステムが10年ほど前までありました。その当時は音楽データの実時間の4~5倍の時間をかけてDSD変換していましたが、あれを「TA-ZH1ES」はリアルタイムに、しかも11.2MHzという当時の4倍のデータにしてしまうんです。計算能力を単純比較すると20倍もあがっているんですね。当時のVAIO Zから比較して。
で、そのソニーVAIOの「Sonic Stage Mastering Studio」を使ったDSD信号ですが、当時はまだハイレゾ対応機器などもなく、普通のコンポで鳴らしていたんですが、それでも音の違いは、はっきりとわかるレベルでした。
元が音楽CDですので今のハイレゾ音源と比べて情報量が足りない部分はあるんですが、それでも当時のSACDの6割くらいまでのところまではDSD変換するだけで持ち上げられるイメージでいました。
さらにソニーVAIOには搭載されていなかった「DSEE HX」というアップスケーリング技術もあり、これで足りなかった情報量も補ってくれます。「DSEE HX」はウォークマンA20シリーズなどにも搭載されていて、利用されている方も多いはず。
アップスケーリングの効果がわかるようになると、いろいろなシーンで音の違いを感じられるようになります。私もなかなか違いがわからなかったんですがソニーさんで効果のわかりやすい曲を教えてもらったら一発でした。その話をここでするとまた長くなるので詳細は下記のblogエントリーでご覧ください。
☆当店blog 14.5.22「『SRS-X9』でDSEE HXの音の違いを聞き分けてみよう」
そんなわけでDAC内蔵のヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」なんですが、単に出力される音声が高品位なだけではなく、入ってきた音声信号をなんでもかんでもハイレゾにして、さらにDSD変換して鳴らしてくれるマジックボックスなんです。
音楽CDのデータはもとより、Google musicとか、amazon musicとかのストリーミング配信されている音楽も全部ハイレゾ化してDSD変換して再生してくれるんです。
ここにお金をかければ音源にお金をかけなくても良いのかも!という夢のヘッドホンアンプなんです。
ということで、最初に再生するのはMP3の256kbpsでわざわざ圧縮して持ってきたAKB48の「ポニーテールとシュシュ」だったりします。
USB-B端子からの入力になり、ウォークマンNW-ZX2からはPCM 44.1kHzで出力されていることがわかりました。
DSDリマスタリングはメニュー操作からオンとオフが可能。これでDSD変換の効果を切り替えてチェックできます。切り替えると一瞬無音部分ができるので、音が切り替わる瞬間みたいなのはわからないんですが、ふむふむ、これがリマスタリングされた音なんですね。
さらに「DSEE HX」は5タイプのものから選べます。ウォークマンWM1シリーズ同様にスタンダード以外に男性ボーカル、女性ボーカル、ストリングス、パーカションなどのモードが変更可能。
これらの高音質化の機能は表示窓を見なくても外装パネルのところのLEDランプで見ることができます。
256kbpsのMP3のファイルがハイレゾ音声とまったく遜色ない音になっている!と言いたいところですが、曲が曲だけに効果のほどがちょっとわかりません。選曲に失敗しました。もうちょっとアコースティックな音をMP3で持ってくるべきでした。
クラシック音楽を普段は聴かないんですが、聞き分けをするために来るときの新幹線の中でずーっと聴いていたスターウォーズ・エピソード1~7までのメインテーマ。NW-ZX2ではどれを聴いてもほぼ100%、イントロでどのエピソードのものなのか当てられる様になっています。
録音している年代が違うので、NW-ZX2で聴いていたときはその音質だけでイントロドンができる曲もあって、例えばエピソードIIだけは録音レベルがやや低めなので音圧が低いのはエピソードII。それと明らかに会場が狭いというか録音状態が悪いのがエピソードIVとか、音質だけで区別できるものもあるのですが、それを「TA-ZH1ES」でDSDリマスターされた音で聴くと、わかりにくくなります。
なるほど、これはハイレゾ楽曲でも効果があります。音質だけでは区別がつけられない楽曲は楽器の位置(スネアの位置がエピソードIIでは左、エピソードIIIではセンター付近、エピソードVIIでは右方向など)で聞きわけるのですが、それは逆にわかりやすく感じます。
なるほど、これは慣れてくると空気感みたいな部分でも、聞き分けができるようになってきそう。
ディスプレイ表示部は「ノーマル」と「フォーマット」の2種類から選択できます。通常は入力フォーマットと出力レベルの表示になっているのですが「フォーマット」を選択すると、入力フォーマットと出力フォーマットの表示になります。
これは入力されている信号がPCMでCD音源相当の音質で入ってきて、それをDSDリマスタリングでDSD 11.2MHzで出力されていることになります。
DSDリマスターをオフにした場合も、こうしてDSEE HXによるアップスケーリングで352.8kHz/32bit相当で出力されていることがわかります。
本体の側面にはウォークマン用の端子も用意されています。PHA-3ではなく、PHA-1Aの専用USBケーブルと同じ端子になっています。「TA-ZH1ES」の2つ隣にPHA-1Aが展示されているので、そちらからケーブルを拝借。
Xperia Z4 Tabletを接続してみました。タブレット側からUSB機器接続の設定をタップすれば、特に変わったアプリやドライバーのインストールの必要もなくすぐに「TA-ZH1ES」が認識してくれてタブレットをプレーヤーにすることができます。
スマートフォンでテザリングして、amazon musicのストリーミングサービスを利用してます。やってみて初めて知ったんですがXperia Z4 Tabletから出力されるPCM信号は192kHz/24bitにアップスケーリングされているようです。
それをDSDリマスタリングでDSD変換して再生してくれます。うーん、すごいな。これ。とても携帯電話を通して再生しているストリーミングの音とは思えません。
ソニーストアにて購入したスヌーピー仕様の「Xperia J1 Compact」でも再生可能。こちらはPCM48kHz/16bitで出力されています。
ストリーミングサービスの音楽をDSDリマスタリングして聴くのありだと思います。
DSDファイルをネイティブで鳴らしてみたいところなんですが、展示されているセットがNW-ZX2となっています。NW-ZX2だとDSDファイルを自分の中でPCM変換してからの出力になってしまい、DSDネイティブでの再生はできません。
PCとの接続でないとPHA-3もDSD再生ができなかったのですが、ここでも同様です。
ということで、スタイリストの方にお願いして、一時的に新型ウォークマン「NW-WM1A」を「TA-ZH1ES」のところに移動していただきました。これをクレードルでつなぐとDSDファイルをネイティブで再生出来ます。
持って行ったmicroSDXCカードにはファイルコピーで同じ曲のFLACファイルとDSDファイルを入れてあります。
DSDファイルの方を再生してみると。。。
なるほど、DSD形式で入力があるとDSDリマスタリング機能はキャンセルされて、そのままの形式で出力されるようです。
ついでなので、ここで新発売の「MDR-Z1R(199,880円)」もバランス出力で試させていただきました。ソニーストアの販売価格で合計591,640円になるドリームセットの完成です。
これで再生するDSDの音は。。。もう、これはヘッドホンの音ではないですね。スピーカーの音でもなく原音ですよ。こんなに透明感のあるというか空間を感じられる音があるんですね。
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ソニーストアでは10月1日以降に全国で体験会を開催する予定です。応募期間は9月19日の月曜日15時まで。まずは、こちらの展示会でこの音を体験してみてはいかがでしょうか?
当店でも10月1日よりオータムフェアを開催します。店頭購入特典を用意してお待ちしてます。
DAC内蔵ヘッドホンアンプ TA-ZH1ES |
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ストア価格:250,000 円+税 | |
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