【レビュー】新型ミラーレス一眼“α6400” ショールーム展示実機レビューレポート
さて、今日は来年1月発売予定のEマウントの新型パワーズームレンズ「SEL1650」のレポートです。
NEX-5Rのズームレンズキットとして先行販売されており、来年になるとレンズ単品での販売がスタートする予定なんですが、こちらのレンズに注目していろいろ実験をしてみました。NEX-5R本体ではなく、レンズのレビューレポートをお届けします。
「SELP1650」は予定では1月発売でソニーストア価格が33,800円。フォーカスだけではなくズームも電動で動作する今までのデジタル一眼カメラでは考えられないようなスペックのレンズ。しかもSEL16F28とほぼ同じくらいの厚さしかない超コンパクトボディ。
こんなに都合の良いレンズがあって良いの!?という、ところなんですが、これをNEX-5Rに装着して使ってみると、使い勝手もこれまた良いんですよ。
まず、なにが良いって、レンズについているリングは一つだけなんですが、これがカメラ側にある設定をすることでズームリングにもフォーカスリングにもなる点です。
通常はズームレバーとズームリングになっていて、標準だとどちらもズーム操作をするためのものになっています。
ズームリングは2つに分かれている様に見えますが、溝があるだけでこれはひとつのリングになっています。
で、ここでNEX-5R側の操作で「フォーカス切替」を呼び出し「AF」→「DMF」に切り替えます。
DMFというのは通常はAFとして動作するんですが、シャッターを半押しするとその時点からマニュアルフォーカスとして利用ができるモード。
SELP1650を装着しているときにDMFに切り替えておく、とズームリングとして利用して画角を決めたところでシャッター半押しにしたとき、ズームリングが自動でフォーカスリングに切り替わってくれるんです。リングを持ちかえることなくそのままフォーカス合わせができるというのは新感覚。
新しいNEXシリーズの使い方を味わえます。
まだ先週の金曜日に届いたばかりで、あまり撮影もできていないんですが、こうして広角16mmで撮影しても変な歪みもなく綺麗に撮影出来ます。
50mmまでの光学ズームも使えて、思ったモノを切り取ることも可能。近接撮影も望遠側で約30cmまで寄ることができるので、小さな小物をクローズアップして撮影したいとかの、どう考えてもマクロレンズが必要でしょう?という状況以外はなんでも撮れる感じ。
NEX-5Rには超解像ズーム機能が搭載されており、パワーズームレンズと一緒に使うとシームレスにデジタル2倍で100mm(35mm判で150mm相当)までの望遠撮影もできます。しかも手ぶれ補正機能まで搭載しているので、ちょっとISO感度を上げておけば手持ち撮影でも夜景撮影がいけます。
まさに万能レンズ。
それがこんな小さなレンズで実現しているんですから、すごい進化だなぁ。。。と、思いつつ、このサイズで16mmという広角から50mmの3倍ズームまでいけてしまうんです。相当な無理をしているレンズなはず。
先代のNEX-5Nからレンズ補正機能が搭載される様になっていて、このSELP1650でもそれは利用されているはず。ってことはRAW撮影とかするとレンズ補正されていないし、動画撮影の時も確か補正が効かなくて歪みが多いのでは・・・なんて心配も出て来ます。
試してみましょう。
ただ、試す前にセットアップ画面を見るとわかるんですが、今回のNEX-5Rではレンズ補正の様子がちょっと違うんです。
設定項目の中にはレンズ補正として「周辺光量」「倍率色収差」「歪曲補正」の3つの項目があることはあるんですが、SELP1650をNEX-5Rにセットしたときだけ歪曲補正のところがグレーアウトして操作ができなくなるんです。(NEX-5NではSELP1650を付けても操作は可能。)
どうやらSELP1650については歪曲補正を前提としたレンズ設計になっていて、機能をはずせなくなっているのかも。
ということで、まずはJPEGとRAWの両方のモードで撮影をして、歪曲補正に違いがないかどうかチェックをしてみます。
昨年もそうでしたが、テストはうちのマンションの壁で行います。長方形のタイルが綺麗に壁にしきつめられているので、これを撮影します。
従来であればレンズ補正をしているJPEGとレンズ補正ができないRAWで微妙に映像が違って見えるんです。具体的にはこんな風になります。
NEX-5N+SELP1650 JPEGとRAW画像の比較(焦点距離16mm)
上記の写真にマウスを重ねてみてください。JPEGの写真がRAWの写真に切り替えられます。タイルのマス目の形が変わって見えますが、これがレンズ補正の歪曲収差の補正量になります。
JPEG撮影であれば良いけど、RAWで撮影するとこんな事になってしまうというのが従来のカメラ。
それが、NEX-5RとSELP1650で撮影したものを比較すると。。。
NEX-5R+SELP1650 JPEGとRAW画像の比較(焦点距離16mm)
インチキはしていません。RAWのデータもちゃんとImage Date ConverterでJPEGに現像してそれからリサイズしました。最初は同じ画像を間違えて貼り付けてしまったのかと思って、後から画像の左上にJPEGとRAWの文字を書いておいたんですが、どうやら今回は歪曲収差をRAWでも行っているみたいなんです。
NEX-5R+SELP1650 JPEGとRAW画像の比較(焦点距離50mm)
↑こちらは望遠側で同じ事をしたものになります。望遠側でもJPEGとRAW画像に違いはありません。
さらに、↑こちらは動画撮影をした動画ファイルを静止画で切り出したモノになります。こちらでも歪みらしい歪みはありません。(NEX-5Nも試してみたところ動画撮影時は歪曲収差を補正していました。)
歪曲収差をしていないときの歪みは最初のNEX-5Nの画像ですごい違いがあることがおわかりですよね!?
あの歪曲収差が、こうしてRAWでも動画でもしっかりと補正されているんです。SELP1650の性能と言うよりはNEX-5Rとのマッチングがすごく良いレンズということになります。
というか、これ、NEX-5Nだとどうなっちゃうんでしょう? 来年になったらレンズ単品で発売されることになっていますが、ファームウェアアップデートとかでNEX-5NもRAW対応できるんですかね? RAWで撮影することはあまりないという方なら問題はないんですが、こういうところで違いが出る可能性があります。
SELP1650をNEX-5NやNEX-5などで使おうと思ってらっしゃる方は要注意です。ファームウェアアップデートなどでの対応ができなければ、ここは思い切ってレンズの発売を待つのではなく、NEX-5RLに買い直しちゃった方が良いかもしれません。
そして、もうひとつ、個人的に気になっていたのがSELP1650のフィルター径です。40.5mmという今までのソニー“α”レンズにはないサイズのフィルター径になります。
【追記】
★ソニーストア MCプロテクター「VF-405MP」のご案内はこちらから
2013年3月8日発売でMCプロテクターに40.5mmの製品が登場しました。現在はMCプロテクターがソニーストアで購入可能です。
今まで、EマウントレンズのNEXシリーズだと49mm径のフィルターでほぼ統一されていたので、偏光フィルターとか、減光フィルターとか49mmのもので使い回しができていたのに、これで40.5mmのものを買い直さないといけないの?というところですが、いえいえ、ちょっと便利なものがあるんです。
それがこちらです。
フィルター径を変更するためのステップアップリングです。40.5mmフィルターに49mmフィルターを装着するモノが販売されているので、これを利用するわけです。
これで今まで持っていたソニーのカールツァイスブランドのフィルター、プロテクター類が利用できます。
届いたパッケージはこんな感じのモノです。
手持ちの偏光フィルターを装着してみました。
こうするとますます、レンズがSEL16F28みたいになります。
偏光フィルターというのは反射光が一定の向きの波長になる特性を利用して、一方向だけの光を遮るフィルターになっています。シャッターを半押しにして露出を固定してから一番前のフィルターを回転させて効果が一番高いところを探して撮影します。
その効果を試してみたところがこちら。
NEX-5R+SELP1650 PLフィルターの効果
この写真もマウスオーバーしていただくと、効果が最大のところと最低のところが切り替わります。屋根瓦の反射光がわかりやすいんですが、画面右方向にも窓硝子の写り込みがあったのが消えているのを見つけられると思います。
ステップダウンではなく、ステップアップでより口径の大きなフィルターを使っているので画面四隅に影が出ることもありません。うん、これは良いかも。
★ソニーストア 円偏光フィルター「VF-CPAM」のご案内はこちらから
※円偏光フィルターはレンズにあったサイズのモノをお使いください。
☆当店blog 12.8.28「円偏光フィルター『VF-CPAM』を使ってみました」
偏光フィルターって使いどころが結構多いし、効果も大きいんですけど、価格もかなり高め。なるべく対応できるレンズを多くするために、ちょっと面倒ですがステップアップリングを使うというのは有効な手だと思います。
それと、もうひとつ買ってみました。こちらも本当は49mm径のものをステップアップリングで使い回しても良いんですが、なんせ価格が安かったモノで(^_^)
ケンコー・トキナー 40.5mm MCクローズアップレンズ NO.3 034203
- 出版社/メーカー: ケンコー
- メディア: エレクトロニクス
私が買ったときは964円(送料無料)でした。この値段だったらステップアップリングを使うよりはこのままで買ってしまった方が使い勝手も良さそうです。
さて、SELP1650はそのままでもかなり寄れます。メーカー公表値では0.25(ワイド端)~0.3m(テレ端)とのことでしたが、実際にはかってみたら望遠側でも約28cmくらいまで寄ることができました。
なお、近接撮影の距離のはかり方ですが、コンデジの場合はレンズから被写体までの距離で表現しますが、デジタル一眼カメラの場合はセンサーの位置から被写体までの距離を測るんだそうです。カメラの上部にセンサーの位置をマークしているので、そこからの距離で28cm。なので実際にはもっと近い感じになります。
50mm望遠にして一番近い距離で撮影した時計の写真がこんな感じです。装飾品でも十分近寄ることができます。
ここでクローズアップレンズを装着すると、ここからさらに寄ることが出来るようになります。
クローズアップレンズというのはレンズフィルターみたいにレンズの前面に装着するんですが、それによりさらに近寄った撮影をできるようにしてくれるというもの。No.1とかNo.2とか書かれていますが、これはマクロ効果の度合いを示していて数字が大きいモノほどクローズアップが可能、ということになります。
amazonさんではNo.3まで販売されていたので、今回は一番数字の大きかったNo.3を買ってみました。
一番近いところで撮影できる距離を測ってみたところ約20cmまで寄れます。センサー位置からレンズ先端までは7cmくらいなので、レンズ先端からだと13cmまで寄れます。一般的なコンデジのマクロ撮影に近いところまで寄れるようになりました。
それで撮影したのがこちらの写真です。望遠50mmで撮影しています。さらにNEX-5Rの場合は超解像ズームで2倍まで拡大ができるので、これよりももう一段階大きく寄ることができます。
もう、これならマクロレンズ並!
っていうか、Eマウントの30mmマクロレンズがあるけど、あれで撮影するとどこまで寄れるの?って気になりますよね? そのレンズも手元にあるので試してみましょう。
こちらが30mmマクロレンズで一番寄って撮影したところです。レンズ前面から1~2cmくらいのところまで寄れるんですが、まぁ、見ての通りで写りが違います。
クローズアップレンズだと解像感も甘くなるしコントラストもなんか低くなるし、真剣に接写撮影を仕様とするなら、やはりマクロレンズを買った方が幸せなんですが、価格がなんせお手軽なので、ちょっと小物を撮影する、とかいうときにはクローズアップレンズという選択肢もある、程度に。
“α”写真路としてマクロ撮影に取り組むならやっぱりマクロレンズ購入です。
★ソニーストア Eマウントマクロレンズ「SEL30M35」のご案内はこちらから
☆当店blog 12.4.29「デジタル一眼“α”でお花見『GWの高尾山』」
☆当店blog 12.3.25「サイバーショットTX300Vと春のサイクリング」
☆当店blog 11.9.29「Eマウント マクロレンズ『SEL30M35』開梱レポート」
ということで、ざっくりとSELP1650レンズについて、NEXユーザーさんがご興味ありそうな点を調べてみました。
今のところは、私の個人的な思いだけですが、NEX-6やNEX-5Rとセットで買われた方が良さそうな気がします。(^^)/
で、もうひとつ、NEX-5Rとセットで購入するときのメリットみたいなものがあります。
1月発売予定の「SELP1650」ですが発売されるレンズってブラックのみなんです。
NEX-5Rを見ていただくと、レンズって2色ありますね。実はNEX-5Rのボディでシルバーとホワイトを選択したときしかSELP1650のシルバーレンズはでないという、実はとても稀少な?レンズカラーだったりするんです。
好みもあるので、ブラックレンズの方が良い!という方には、単品販売でも問題はないんですが、NEX-5N、NEX-5でシルバーボディをお使いの方は、NEX-5RLを購入された方が良くないですか!?
ということで、なにげにSELP1650のレビューレポートと言いつつ、NEX-5Rを強くオススメする当店なのでした。非常にお気に入りのカメラなので、この冬はまだまだNEX-5RとSELP1650ネタが当店blogで続くと思います。
是非、一緒に楽しんでみませんか? NEX-5RとSELP1650!
★ソニーストア パワーズームレンズ「SELP1650」のご案内はこちらから
※2013年1月発売予定。ソニーストアではまだ受注は開始していません。
★ソニーストア デジタル一眼カメラ「NEX」シリーズのご注文はこちらから
☆当店blog 12.12.10「NEX-5Rと行く、初冬の『横川 アプトの道』」
☆当店blog 12.12.8「NEX-5Rの試運転中~」
☆当店blog 12.12.7「新型デジタル一眼『NEX-5R』開梱&セッティングレポート」
☆当店blog 12.11.26「デジタル一眼カメラ『NEX-5R』のTVCMが公開に」
☆当店blog 12.11.26「今度はNEX-6&5Rのスーパーブックが登場!」
☆当店blog 12.11.3「NEX-5R、NEX-6 特別体験会レポート」
☆当店blog 12.11.2「デジタル一眼『NEX-5R』ショールーム実機レポート 店員の声」
☆当店blog 12.11.2「デジタル一眼『NEX-6』ショールーム実機レポート 店員の声」
☆当店blog 12.10.30「デジタル一眼カメラ『NEX-5R』『NEX-6』が発表になりました」
☆ソニー「ARTISAN & ARTIST オリジナルレンズケースプレゼントキャンペーン」
☆ソニー「Camera App アプリプレゼントキャンペーン」
☆α cafe「第2回スペシャルフォトコンテスト」はこちらから
最後に蛇足になってしまうかもしれませんが、こちら、たまにまだお問い合わせをいただくことがあるのでお知らせです。
NEX-5発売時にはレンズがNEXのボディに装着された状態で出荷されていて、NEX本体のボディキャップ、レンズのリアキャップが発売されていなくて、部品取りをするしかありませんでした。現在はアクセサリーパーツとして販売されていますので、普通にソニーストアで購入することができます。
今でもレンズキットで購入するとNEX-5RにSELP1650が装着された状態で出荷されます。カメラの収納時にレンズとボディを分けたい、という方は下記のアクセサリーをお買い求めください。
★ソニーストア レンズリヤキャップ「ALC-R1EM」のご案内はこちら
★ソニーストア ボディキャップ「ALC-B1EM」のご案内はこちら
パワーズームレンズ『SELP1650』が販売終了へ
2013年2月22日発売のAPS-C専用パワーズームレンズ「SELP1650」に販売終了のアナウンスがありました。ソニーストアではすでに販売を終了しており購入はできない状態になっています。
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