『SEL50F18』開発者トークショーレポート

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昨日発売になったEマウントレの開発者トークショーが銀座ソニービルショールームの中にあるαコミュニティ銀座で開催されました。

こういうイベントは何度も参加させてもらっているんですが、これも目からウロコが落ちるような話がいくつも聞けるトークショーでした。今回は少し詳しく紹介したいと思います。

 

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今回のトークショーでお話してくださったのが大竹さんという方です。銀座では今回が初めてですが大阪、名古屋でもトークショーを行ったことがあるそうです。今日はSEL50F18の発売日翌日と言うことでタイミング的には一番よいときかも。

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まずはMTFグラフというレンズカタログによく掲載されているグラフの見方から解説。カンタンに言うとレンズのコントラストを数値で見せているものになります。レンズの中央部分と周辺部分での描写の違いなどがこれでわかるんだとか。

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で、今回のSEL50F18なんですが今回はEDガラスや非球面レンズなどの高額なパーツを入れずに設計してみようと言うところから始めたそうです。レンズ価格を安くしたいと言うのもあったんだと思いますが、それらのパーツを使うと画質をコントロールするのも難しくなる面もあるんだそうで、設計面で高画質なレンズを作る、という挑戦をしています。

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高画質化するための工夫としてはレンズの中での像のサイズを一方的に小さくするように設計。従来のレンズでは拡大したり縮小したりしながら像を作るんですが、光を徐々に捕捉するように設計されています。光が強く曲がるところで収差が発生するんですが(小学生の頃、理科の実験でプリズムを使った分光により7色の光を見たことがあると思いますがあれです。収差って)、それが少なくできるメリットがあります。

また、特殊な性能を発揮するパーツがないので性能のコントロールも難しくなく、それにより性能のばらつきが少なく調整にかかる手間も少ないんだそうです。逆に非球面レンズ、EDガラスなどを使うと調整をする必要があり、その分手間もかかるため価格が上がりやすくなるんですね。なるほど、それがあってカールツァイスレンズとかって価格が3倍もするのかも。

さらに2カ所の平行光を作っていて、そこで手ぶれ補正とフォーカスを行うことにより、画質に影響が少ない手ぶれ補正、フォーカスを実現。

低価格で画質の良いレンズの秘密はこういうところにあったわけです。

ちなみにF1.8という非常に明るいレンズになっていますが、これで手ぶれ補正機能がレンズに搭載されているのは世界初になるそうです。従来はF2というレンズがあったそうですが、それを販売価格29,400円という低額レンズで実現してしまったのにはこういう秘密があったわけです。

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MTF特性で今回新発売のSEL50F18と、初めてレンズとして2年ほど前に登場したSAL50F18との比較をするとレンズ中央の光コントラストが高いのは当たり前として、周辺域での特性がなだらかになり、レンズの光学性能も非常に高くなっています。

同じ50mmだし、開放F値も同じF1.8だし、Aマウントレンズの設計をそのままEマウントレンズにして製品化しているだけかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、中身は新設計ですし、それとやはり後発で出てきていますので、今はEマウントレンズの方が性能が良いものになっていると思いますとのこと。

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あとは、作例とはよべない技術者が撮影したレンズの性能をはかるための写真をいくつか用意してレンズの特性を教えてくださいました。ピントがあっているところのコントラストはしっかり取れていて、そして背景のボケ味は非常に綺麗。

あとで、質問コーナーがあって私がうかがったんですが、カールツァイスレンズとはどういう違いがあるのか?と、伺ったところ、カールツァイスはとにかくコントラスト命。カリカリにシャープな画質を求めているレンズで、ソニーレンズ、Gレンズなどはボケ味を重視しているとのことでした。

最初に登場した「SAL85F14Z」の時は、まだコニカミノルタとソニーとのレンズについての考え方のすりあわせをしていた時期で、SAL85F14Zについてはボケ味も考慮に入れたカールツァイスレンズになっているんですが、今はそういう方針がしっかりとしているとのこと。

なので、このSEL50F18も、もうちょっと外装に力を入れて作り込んでグレードをあげれば良かったと思ったという話をしているときも「カールツァイス」のブランドをつけるのではなくて「Gレンズ」にしたいというお話でした。

なるほど、今までそういう話は聞いたことがあったんですが、ここまでストレートにカールツァイスとGレンズの違いを説明してくださった方はいませんでした。さすがレンズ開発者さん。

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こちらはショーケース越しに撮影した時計の写真なんですが、店内でくらいところでの撮影になっていますが手ぶれ補正もしっかり効いているし、その奥にある時計のボケの綺麗なこと。。。

すごいな、これ。っていうレンズのお話でした。

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最後にいつもの大西さんがバトンを受けて、ひたすら話題にあがっていた「ボケ」についての話をさらにかみ砕いて案内してくださいました。ボケの話、ということで標準ズームレンズと、ゾナー(カールツァイスレンズ)、そしてSTFレンズによるボケの見え方の違いを紹介。

F値の違いによってボケる量が違うという話ではなく、ここではボケた映像の質の話です。↑この写真を見るとボケた部分の見え方がそれぞれ違っているのがわかるでしょうか?

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STFレンズというのは現在はAマウントレンズのマニュアルレンズしかないんですが「SAL135F28」というちょっと特殊なレンズで、綺麗なボケを作るためにわざと周辺光量が落ちるようなレンズを入れたもの。カメラマン馬場先生曰く世界一綺麗なボケの出るレンズとなっていて、そのSTFレンズでのボケ方というのは点光源がじわりとにじんだ感じになります。

カールツァイス・ゾナーレンズではこれが一般的に綺麗なボケと言える素直な丸いボケに。

そして標準ズームレンズなどのボケがあまり得意ではないレンズでは二線ボケといって、ボケの輪郭にラインが見えるような癖のあるボケになるという説明をしているんです。

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被写体の背景にそれらのボケがやってきたときにどれが一番被写体を引き立てるのかといえば、やはりSTFレンズがナンバーワン。そしてゾナー、標準ズームレンズのボケ方になりますね。というボケについての説明を追加してくださって、これでSEL50F18についての質問コーナーに。

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いろいろな話が飛び出してSEL50F18についての話ではない事もいろいろ出てきたんですが、個人的にそうだったんだ!と、思えたのがレンズ補正機能についての話。

NEX-5N、NEX-7に搭載が始まったレンズの収差補正、周辺光量補正についてなんですが、Aマウントαの場合はファームウェアアップデートで対応レンズが追加されていきますよね。Eマウントレンズは全部対応になっているのって何でなのかな?と、思っていたらEマウントレンズの場合、レンズ側に補正値を持たせているんだそうです。

そうか、だからEマウントレンズは今度登場するレンズもファームウェアアップデートなしに全部レンズ補正ができるものが登場してくるのか。。。いやぁ、それも知りませんでした。

F1.8ではなく、もっと明るいF1.4とかのレンズにできなかったんですか?という質問にも、開放F値がもっと明るいレンズにするとフォーカスをあわせるのに駆動するレンズがさらに大きくなってしまうんだそうです。この場合は体積比になるのでF1.8をF1.4にするだけで約1.3倍の直径のレンズを使わなくてはいけないんですが、動かすレンズはその差が3乗になるため体積では2倍以上のものになるとのこと。そうするとスッと動いてサッとフォーカスが合う、という感覚を出すのが難しくなるそうで、そういうことの兼ね合いもあるんだとか。そうか、単に明るいレンズを手にするよりは、まずはNEXの場合、使いやすさも重視されているということですね。 

他の方々の質問もとても参考になります。

今日のレンズ開発者トークショーは本当に来て良かったです。席は10名様分くらいの用意のところが、今回は20名くらいで囲んでいたんですが、もうちょっと会場を広くした方が良くないですか!?

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NEX-7+SEL50F18 F1.8 1/800秒 ISO100 絞り優先

そんな話をうかがった後で、手持ちのNEX-7とSEL50F18を絞り開放でぱちり。

うわ、このボケ最高。すんごい綺麗。。。とか、思いながら帰ってきました。SEL50F18が出たばかりですし、そのセールスを狙ってのレンズ開発者トークショーだとは思っていても、それらのひいき目な話を全部差し引いても、今回の「SEL50F18」って良いレンズですね。

このトークショーで、改めて「SEL50F18」のレンズの素性を知り、惚れてしまいました。

当店のオーダーを見ても、当店史上最高数のオーダーを記録し続けているんですが、これ、買われた方々は、このレンズの話とかご存じなくてオーダーされているんですよね? うちのお客様は皆さん、いい目を持っていますねぇ。

ご存じなかった方はラッキーでしたね。これ、バッジのついていないGレンズみたいですから。(^_^)v 29,400円で買えて良かったですね。

今後は「NEXシリーズを買ってボケを楽しみたい」というお客様がいらっしゃったら、当店は全力で「SEL50F18」をオススメしたいと思います。

 

APS-C用 50mm単焦点レンズ
SEL50F18
ソニーストア価格:
30,800税込
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発売日 2012年3月9日 メーカー商品情報ページこちら
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5年ワイド:3,143円(税込)
3年ワイド/5年ベーシック:2,200円(税込)
3年ベーシック:無償
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