よくわかる最新レンズの基本と仕組み
またまた本の話になりますが、ここ10日ほどかかって読んでいた本がようやく今朝の通勤で読み終わりました。目からウロコまでいきませんが、非常に私にはためになる本でした。
秀和システムさんの「よくわかる最新レンズの基本と仕組み」という本です。
普段、あまり本を読まないモノで目を通すとなんにでも感動、感化されてしまうんですが、今回もまさにそう。でも、説明がうまいとか書き方がうまいとかではなく、今回は内容そのものが非常に面白かったです。
当初はソニーショップの店員としてカメラのレンズの知識をもうちょっと増やさないとなぁ、というつもりで買ってみました。期待していたのは絞りを使うと写真はどうなるとか、レンズのクセ、レンズの収差って何?みたいな感じで、カメラレンズの話をしてもらえるのかと思いきや、そうではなく、話の半分以上は光とガラスの話でした。
でも、そういう話が必要というか、これは最低知っておかないとレンズを買うときの価値がわからないんじゃないか?という話のオンパレードでした。そういう意味では目から鱗が落ちるような感覚も味わえたかも。
最初にふむふむ!と、思えたのが屈折の話。光の屈折については小学4年生くらいのときに理科の授業で勉強した覚えがあるんですが、現象はわかってもその理屈はわかっていませんでした。素材が違うモノ、たとえば水と空気という二つの物質を光が通るときに屈折が起こって光の通り道が変わります。
なぜ、直線的に進まないのかと言えば、これは光が「最短距離」で通るのではなくて「最短時間」で通るからという説明。これを人間に例えると砂浜から海の中にあるB地点に行くとき、まっすぐB地点にはいかず、極力砂浜を移動して海の中を泳ぐ距離を短くしようとします。それは最短距離ではなく、最短時間で目的地に着こうとするため。
それと同じ事が光の性質にもあるんです。
なぁんて言われると、理由はわからなくても仕組みは理解できます。そうかそうか、そうやって屈折って起こるのか! で、透過率の違うガラス素材を組み合わせることでレンズの屈折も制御ができる、という話に最後の1/3くらいのページでつながっていく、という様な本になっています。
途中、こういう数式だらけのページなどもあり、これはさすがに私も全然ついていけないし、読み飛ばしています。こういうところをしっかり理解しないといけないのはレンズを作る人たち。私のようなレンズを利用するだけの人はこのあたりはなんとなく理解していればよい、ということにして読み進みました。
それにしても全体に難解でした。最低限の理解をしながら読み進んで1週間ほどかかった感じです。
レンズの収差についてもなんと7種類もあるそうで、それを理屈で説明してくれています。原因と対策みたいなことも書かれていて、なるほど、こういう仕組みでレンズって設計されているのか、単にバッジ代でカールツァイスレンズとか高額になっているわけではないことがわかりました。
ただ、これらの説明が全部数式と簡単な図式での案内になっていて、実際に収差が起こるとどういう風に見えるのかまでは案内がありません。なので、カメラのレンズについての参考書的に読もうとするとちょっと違うかも。それよりは基礎の基礎を勉強するような本になっています。
車の免許を取ろう、と、勉強している人が教則本を読むのではなくて、エンジンの仕組みについて勉強するような感じでしょうか?
たまたま、昨日ですが昔撮った写真を数枚プリントする必要があって、α100を使っていた頃(つまり、デジタル一眼レフカメラを買ったばかりでなんでもかんでも絞り開放で写真を撮っていた頃)の写真を見ていると、こんな色収差がある写真がよく出てくるんです。
大口径のレンズで絞りを開くとこういう収差は起こりやすい、という仕組みはこれで理解ができました。カメラレンズだけではなく、メガネのレンズなどについても説明が簡単にあり、これでようやく「レンズ」のカタログを見るための基礎知識がつけられた感じです。(真ん中の気の枝だけ輪郭が紫色になっています。)
こういう本、読まなくても写真は撮れますが、その仕組みを知るには必要な知識が得られます。カールツァイスレンズ、Gレンズを買う前に一読されると良いかも。
図解入門 よくわかる最新レンズの基本と仕組み―身近な現象と機器に学ぶ (How‐nual図解入門―Visual guide book)
- 作者: 桑嶋 幹
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2005/03
- メディア: 単行本
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