円偏光フィルター『VF-CPAM』を使ってみました

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すかっと透き通った青い空。白い雲。緑の芝。たいした写真ではないかもしれませんが、これ、杉並区にある永福時の釣り堀に行ったときに見かけた風景です。あの日はすごく天気がよくて、気持ちよくビールが飲めた。。。あ、釣りができたんですが、都内でこんなに青い空って見えるモノなの!? って、思いません?

はい、これには種と仕掛けがあります。

それが「円偏光フィルター」というものです。カメラを長く使われている方にはおなじみ。最近デジタル一眼カメラ“α”の世界に足を踏み入れた方にはなんのこっちゃ?というアクセサリーなんですが、今回はこれをいろんなシーンで使って試してみました。

発売からかなり長く経っていますが、今更ながら円偏光フィルター「VF-CPAM」のレビューレポートです。

 

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さて、まずはこれが円偏光フィルターです。NEXに装着する場合はSEL18200などの特殊なレンズをのぞくとすべてフィルター径が49mmで統一されているので、NEXユーザーさんは49mm径のフィルターを1枚買っておくと、いろんなシーンで遊べます。

黒いフィルターに見えますが、これは単純に減光して暗くするだけではなく、イメージとしては細かいスリットが入っていると思ってください。

光というのは反射すると一定の方向の波にそろってしまう特性があるそうで、その一定の方向にそろっている反射光だけをカットするという作りになっています。

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そのため、よく見るとフィルターの枠が2層になっていて、フィルター面が回転するようになっているんです。これでスリットの向きを調整して入ってくる中でカットする光を自分で調整して使う、ということになっています。

なので、使い方としてはファインダーをのぞきながらフィルターをくるくると回して、一番色が濃く見えるところを探して、そこでフィルターの角度を決めてから撮影をする、ということをします。

反射光って何をカットするの?というところですが、一番影響があるのがこれです。

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空です。

空気中には細かい水蒸気が含まれていて、目には見えませんが太陽の光を反射して空を余計に明るくしているわけです。

それを円偏光フィルターで水蒸気の反射を抑えるとこんな透き通った空に見える、というわけなんです。本当にそんなに効果があるの?というところですが、比べてみましょう。

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これは当社ビルから見える日本テレビさんです。NEX-5Nを使って設定はまったく一緒で、ピクチャーエフェクトもなにも使わずに同じ時間、同じところで撮った2枚の写真なんですが、空の色が段違いですね。

これ、フィルターをくるくる回して一番明るく見えるところ(反射光を遮っていないところ)と、一番暗く見えるところ(反射光をもっとも効率よく遮っているところ)を比較撮影したところです。

すごいですよね。こうやって空が青いと海外のビルみたいに見えます。

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こちらも同様に今度はやや逆行気味で撮影しているところなんですが、違いがわかるでしょうか? 2枚目の写真が一番空が青いと思うんですが、先ほど差がありません。

実はこれも光の特性で順行、逆光など、太陽に向かうかまるっきり反対側だと偏光フィルターの効果がほとんどないんだそうです。効果があるのは太陽に対して90度の角度、斜光というか横から光を受けている状態でないと効果がないんだそうです。

ちなみに「アハ!体験」みたいな話になりますが、画面中央部分の窓なんですが、3枚目だけ透き通って見えているところがありますね。これは窓ガラスの反射光をたまたま抑えてしまっている状態で、こういう効果もある、という例で掲載してみました。

自分でフィルターをクルクル回しているとこういう違いがわかります。

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さて、難しい理屈はともかく、実際にあちこちで使ってみるといろんな違いが出ます。これはクルマに太陽の光が反射していますが、このシーンで試してみると。。。

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これは効果が高いですね。

窓ガラスの映り込みがほとんど全部無くなって太陽の反射も抑えられました。これはすごい例で反射を抑えられた例。

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こちらはどうでしょう? 上の写真と下の写真、違いはわかりますか?

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クルマのフロント側は1枚目の写真に反射があります。2枚目の写真ではフロントの反射が見えなくなりましたが、サイド面の反射が増えてしまいました。

理屈がわからないんですが、どうやらこうして角度の違う反射があると光の波の方向がそろわないみたいで、あっちを立てるとこっちが立たない、という状況になる様子。

単純に反射光を全部カットする、というものではないみたいです。

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でも、これのおかげで写真の印象は相当かわります。この1枚目の写真はよくある普通の写真なんですが。。。

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2枚目は感じが違いますよね。コントラストがあるというかクルマの色が良く出ていて、強い朝日を感じません。

カメラにはいろいろな調整項目があり、ピクチャーエフェクトなどを使ってコントラストを出したり彩度を上げたりして色を出しますが、こういう方法もあるんです。

多機能カメラにもうひとつ操作を加える感じで用意しておいても良いんじゃないでしょうか?

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ガラスなどへの写り込みもカットをすることができます。これは自動販売機ですが。。。

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どうでしょう、映り込みがかなり目立たなくなっています。

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こちらもショーケース。ガラス全体に映り込みがあってコントラストがないんですが。。。

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こちらは上手くコントラストを出すことができました。

ただ、これはフィルターをクルクル回しただけではなく、いろいろ撮影する角度も調整をしています。というのも、円偏光フィルターを使ってもほとんど効果のない角度というのが
あって、それがおそらく順光だったり逆光だったりするケースなんだと思います。

単純にガラスの映り込みを全部消せる、と思って円偏光フィルターを使うと「あれ?おかしいな?」という事になる可能性があるのでご注意を。

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ガラスや青空以外でも、こういう反射があります。単純にこれは葉っぱを撮っているんですが。。。

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こちらは円偏光フィルターだけいじった写真です。だいぶ印象が変わりますね。

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円偏光フィルターを使うと光を遮ることにもなるので、露出も変わります。1枚目のこちらは効果が一番無いところで撮った写真。

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2枚目は偏光効果が一番高いところで撮った写真なんですが、無駄な光がなくなって露出を上げてくれたのでこんなに明るい写真になりました。葉っぱの状態もまるで日向と日陰くらいの差になります。

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さて、こちらは違いがわかるでしょうか?

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これが2枚目。アハ体験です。

答えはこちらの動画でご確認ください。1分ほどのムービーにしているんですが、これまでの撮影シーンで円偏光フィルターの調整をしているシーンを動画で撮影しておきました。フィルターをクルクル回しているところで、どこに影響が出ているのかがわかります。

撮影しているときはすべてシャッターボタンを半押しにしています。

電子ビューファインダーの場合、都度、カメラが露出を変えてしまうのでそのままEVFをのぞいていたり、液晶モニターを見ていても、実は効果がわかりにくいんです。シャッターを半押しにすることでAEロック(露出ロック)がかかり、その状態でフィルターを回すと動画の様に違いがでます。

あとは実際にシャッターを切る前に一度シャッターボタンから指を離して、改めて露出を正しく取り直してから撮影すると綺麗に撮れると思います。

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あとは効果の無いシーンなんですが、こういう夜景とかだと効果はほとんどなし。東京タワーが反射しているのがわかりますか? まったく違いがわかりませんでした。

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こちらは唯一違いがわかったシーンです。特殊なガラスを使っているのか、偏光フィルターを使うとビルの中の蛍光灯の明るさが変わります。

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はい、こうして明るさが変わりましたが、特に何のメリットもないので夜景で使う意味はまったくありません。

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とはいえ、なにかしら影響はするので、使ってみると、なにかの理科の実験みたいな気分でおもしろいんです。この看板も。。。

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ほら、反射光があったみたいで、なんかシックな感じに見えるようになりました。

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こういう夏らしい風景でも。。

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こんなに思い切り青い空になります。

これだったら常用しても良いんじゃないか?というところですが、仕組みは一種の減光フィルターなんです。いたずらに暗くしているということもあり、常用するフィルターではありません。風景などの撮影で、ここぞ!というときに空を青くする、とか言うときに使うのが良いかも。

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それと、この偏光フィルターなんですが劣化します。寿命があるらしくて、長く使ったモノは効果が薄れるそうです。

長くと言うのがどれくらいなのかわかりませんが、駄目になると変色して色が青っぽくなったり黄色っぽくなったり、あとはムラが出てきて効果が濃いところと薄いところと出てきてしまったり、あとはフィルターを回転しても効果が得られなくなるみたいです。

駄目になった偏光フィルターを実際に見たことがないので、何ともいえないんですが、寿命についてもどれくらいなのかさっぱり。WEBで検索してみると風景写真を撮ることが多い方で2年くらい、普通に使っている方で5年使っても大丈夫という方もいらっしゃいました。

私の円偏光フィルターはNEXが登場した時なので2010年の5月頃に買ったんだと思います。すでに丸2年持っていますが、ご覧の通り変な色にはなっていませんし、効果もばっちりあります。

ほとんど使っていないし、暗所に保管しているので日光自体にあまり当たっていないんですが、経年変化で2年くらい経つくらいは影響なしのようです。

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設定項目が増えるので、これは運動会で空を青く撮ってみよう!とかいうものでは全然なくて、どちらかというと風景を撮影するときにより印象的にする、というグッズになります。

しかも光の角度によっては効果が得られないこともあるし、減光してしまうので常用するフィルターでもありません。

ですが、これを持っておくと、印象的な青い空の写真を撮るときに絶大な威力を発揮するはず。カメラバッグのポケットにちょこんと隠すように入れておくことができます。お持ちのレンズで一番常用するレンズの径で1枚持ってみてはいかがでしょう?

使えるシーンを理解しないと、いざ本番で使えないので、手に入れたらこうして近所を1周、散歩しながら試し使いをしてみてく
ださい。

今年はまだまだ天気の良い日が続くみたいなので、素敵な青空を撮影できると思います!

 

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※円偏光フィルターはレンズにあったサイズのモノをお使いください。

 

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