ケーブルだけで本当に音が変わるの? KIMBER KABLE『MUC-B20BL1』店員レビュー
この秋、ラインナップを一新したソニーのハイレゾ対応ヘッドホンシリーズですが、中でも最も異色を放っていたのがケーブル。
KIMBER KABLE社と協力して開発したという2万円もするヘッドホンケーブルが製品にラインナップされていますが、これで本当に音って変わるんでしょうか? 店頭展示用にオーダーしていたキンバーケーブルが入荷しましたので、開梱しつつ本当に音がケーブルで変わるの?を試してみました。
さて、今回の秋の新製品ラインナップでオーバーヘッドタイプのヘッドホンの頂点に君臨するのが「MDR-Z7」です。
70mm径の液晶ポリマーフィルム振動板を使い、さらに今年開発されたアルミコートまでしているプレミアムヘッドホン。
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従来のMDR-1Rが40mm径の振動板だったのに対して70mmという超大口径の振動板を採用し、聞こえ方がヘッドホンではないというか音の広がる空間演出までできてしまうようなモデル。
納得の55,500円というモデルで、発売から1ヶ月ほどはソニーストアでも品切れをしていました。
これを究極のウォークマン「NW-ZX1」に接続して使うのが、一番お手軽。。。と、言っても71,330円+55,500円=126,830円(税別)がかかるのですが。。。に、MDR-Z7をハイレゾで満足いく形で音を鳴らすための一歩。
ただし、MDR-Z7には付属ケーブルでバランス接続のためのケーブルも別途入っています。バランス接続をするためにはNW-ZX1だけでは不足で、バランス出力ができるヘッドホンアンプを用意する必要があります。
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現時点では、こちらのポータブルヘッドホンアンプ「PHA-3」を使うことが唯一のバランス出力をするための方法になります。
71,330円(NW-ZX1)+55,500円(MDR-Z7)+92,550円(PHA-3)=219,380円(税別)と、価格がグッとアップしてしまいますが、これでバランス接続ができるようになり、MDR-Z7の開発者が狙っていた音、開発中にターゲットしていた音が楽しめるようになります。
バランス接続というのは左右の音の伝送にマイナスとプラスをそれぞれ用意して4極の信号を伝送する方法。従来は左右のプラスだけ別々にしてマイナスは共用する3極で信号をやりとりしていて音質的にはやや不利になるものだったんです。
今回のモデルではプロの現場でも使われてるバランス接続ができるようにしており、出力側にLRでそれぞれ端子を用意するものが登場。それがPHA-3となっているわけです。
バランス入力対応ケーブルを用意しているMDR-Z7をちゃんと鳴らすならPHA-3も用意しないとね!というところなんですが、さらにこの上にパワーアップアイテムが用意されています。
それがヘッドホンケーブルの「MUC-B20BL1」です。
写真左がMDR-Z7付属のバランス入力対応ケーブル。写真右が別売りのMUC-B20BL1になります。価格はソニーストアで23,130円(税別)です。
ちなみにパーツとしてMDR-Z7のケーブルを取り寄せするとパーツ価格で7,800円(税別)します。付属のケーブルもなかなか良いものとなっているんですが、約3倍の価格のケーブルが別売りになっている感覚です。
パッケージを開梱していきます。中からは保護シートにくるまれたケーブルが入っていました。
プラグ類にはキズが付かないようにフィルムで保護されていて、ケーブルも単に留めてあるのではなく、キズが付かないように発泡素材を巻いた上から留めてあります。
プラグは金メッキされていて、グリップ部もアルミニウム合金を採用し不要な振動を抑えて音響特性的に優れた素材を使っているそうです。
ケーブルがこれまたすごい。ブレイド構造と言うそうですが8芯の編み込みケーブルになっています。この編み方が外部ノイズを遮断し、ワイヤー間の相互作用による音響劣化を最小限にする編み方なんだとか。
でも、単にケーブルなんて電力を伝えるだけでしょう。電気信号の流れがたった2mくらいのケーブルの長さで変化するとも思えないんですが。。。というのが、普通の考え方ですよね。
はい、私もそう思っています。
ですが、キンバーケーブルを購入されたお客様からお話を聞くと、確かに違いが出る、かなり違いが大きい、という声で私も半信半疑というか「え? 本当にそうなの!?」と、気になりまくり。
一度試してみたいなぁ、とは思っていたんですが、昨日、代休消化でお休みをいただき、自宅で一人で過ごす機会があったので、カメラバッグにヘッドホンやポタアン、ウォークマンを満載にして試してきました。
個人的には、今、ジャズに大ハマリしていて、moraでハイレゾ楽曲を買いまくり(と、言ってもアルバム4枚くらい)、レンタルでCDを借りまくり(と言ってもアルバム5枚くらい)をしていて、それをちゃんとした環境で聞きたかったんです。
ハイレゾ×ジャズの話はこれまたかなり長くなるので、また今度紹介させていただくとして、ハイレゾ試聴です。
ちょっと明るい時間からになりますが、午前中にジョギングしてきてヘトヘトになり帰ってきてお風呂に入ってさっぱりしてからお昼ご飯。
午後のまったりした時間に陽の当たるぽかぽかしたソファで、誰もいないウチの中でヘッドホンコードの違いを比較試聴してきました。
結果、5時間くらいずーっとソファの上で音楽を聴いていたことになるんですが、真っ暗になるまでずーっと音楽だけ聴いていました。
ここ最近、なかったですよね。映像のついていない、音だけを楽しむという世界。学生時代にレコードやCDを聞いているときは当たり前だった環境なんですが、今はミュージックPVなどの普及もあり映像と音楽を一緒に楽しむのって当たり前みたいな感じじゃないですか。
久しぶりです。こうして映像がない音だけの楽しみって。
目を閉じて音だけに集中して、自分だけの世界に浸るわけですが、ケーブルによる音の違い、私にもわかりました。
「ケーブルだけで音が全然違う!」と、まではいきませんが、音のリアルさがキンバーケーブルでかなり変わってきます。
こういう聞き比べの時のコツですが、最初に一番良い音を聞いてしまう、というのが手でキンバーケーブルのバランス接続で一番気に入った音を鳴らしてしまうんです。それで耳が慣れてしまうと、それよりも劣る音というのは比較的簡単にわかります。
一度、キンバーケーブルの音を聞き慣れてしまうとだめですね。もう、それ以外のものを使っても「もっと良い音がある」って頭の中で思ってしまうので、なんか悔しいんです。
ちなみに、今回聞きまくっていたのはこちらのアルバムでした。
ジャズアルバムで最も有名で最もセールスの多いマイルス・デイビスの「Kind of Blue」です。ジャズアルバムの定番中の定番のアルバムなんですが、このアルバムはソニーのハイレゾコンポ「HAP-S1」のサンプル曲としてDSD音源が収録されていたり、ウチのお店で最初にハイレゾアルバムを買いそろえた中にもFLACの96kHz/24bitの楽曲があるのと、比較試聴用にCD音源があったり、さらには比較用に作ったMP3ファイルの音源までもあるんですが、これらのフォーマットの違いが私でも全部聞き比べることができました。
DSDと96kHzのFLAC音源は今まで聞きわけることが出来なかったんですが、キンバーケーブルのバランス入力だとそこもわかる感じ。あと、音楽CDとMP3の違いも実は私にはあまり聞き分けがしにくい感じだったんですが、それも一目瞭然。
すごいですね、この原音の忠実さ。ここまで鳴らし分けてくれるんだ!という感じ。
ウォークマンのNW-ZX1の音も実に素晴らしく、最初聞いたときはハイレゾ音源で音が良いのか、ウォークマンZX1の音質が良いのかわからないくらいだったんですが、その上の音質がこんなにも感じられるとは。。。
MP3や音楽CDが映像でいうところのハイビジョンだとすると、ハイレゾ音源って4Kくらいの解像感のある「音」じゃないですか。ウォークマンZX1で鳴らすハイレゾの音は27型くらいのPCディスプレイの4K映像で、ポータブルアンプPHA-3を通すと49型とか55型くらいになり、キンバーケーブルを使うと65型、85型の超大画面で4K映像を楽しむ感覚。音を大きく拡大して楽しんでいる感じがしました。
MDR-Z7とPHA-3の組み合わせだけで充分解像感の高い音が楽しめますが、キンバーケーブルを使うと、もっと楽器が近くに寄ってくる感覚。目の前のカーテンがまた1枚はがれていく気がしました。
こういう世界があるんですね。
こうした、ハイレゾ対応の音響製品はいわば食器みたいなもので、主役の料理はやはり音楽だと思います。
どんな料理でも、よりおいしさを引き立てる器があると、それに合わせてもっとたくさんの料理、音楽を楽しみたくなります。
なるほど、これがソニーのハイレゾヘッドホンの世界だったんですね。ケーブルだけで確かに音は変わります。ケーブルで23,130円もするのって高くない?という話もわかるんですが、このケーブルだけ買ってもハイレゾは楽しめないじゃないですか?
このケーブルを買える人というのは少なくともMDR-Z7+PHA-3を持っている人になるわけで55,500円(MDR-Z7)+92,550円(PHA-3)=148,050円の製品を購入している方になります。そこに23,130円。。。購入製品の15%分のケーブルを購入して音質がパワーアップするとなれば、これは決して高くない価格じゃないですかね?
お店の店頭展示品での試聴のため、自分でお金を払っているわけではないんですが、仮にMDR-Z7+PHA-3を持っているんだったらケーブルも買いたくなりますよ。これは。
ということで、キンバーケーブル「MUC-B20BL1」も当店店頭で展示開始です。NW-ZX1+MDR-Z7+PHA-3という最強環境でのケーブル比較試聴が可能。
ご自身で聞き慣れたハイレゾ楽曲が入っているハイレゾ対応ウォークマンをお持ちいただいて試聴していただくこともできますし、今回、私が感動しまくっていたマイルス・デイビスの「So What」でのDSD、Flac、CD、MP3試聴も可能です。
ついでながら松田聖子の「赤いスイートピー」も聴き所です。
ご興味ある方は是非、ご来店の上、当店のハイレゾハンズオンコーナーにてお楽しみください。
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☆当店blog 14.10.17「プレミアムヘッドホン『MDR-Z7』開梱レポート」
☆当店blog 14.9.26「
新型プレミアムヘッドホン ショールーム展示レポート」
☆当店blog 14.9.25「ハイエンドヘッドホン『MDR-Z7』先行予約販売開始」
なかぽん
2014年12月18日 @ PM 4:58
やはり、ケーブルを変えると音が変わるのですね。
後は、MUC-B20BL1を買ってしまえばコンプリートです^_^;
店員佐藤
2014年12月19日 @ PM 12:43
♪なかぽんさん、こんにちは。
いつもお世話になります。
かわりますね!ケーブルで!
PHA-3とMDR-Z7まで来たら買わなきゃ損です。
ただ、鳴らす音楽によるところもあって、ジャズなどの
素材がそのままガツンとくる音楽でないと違いは
出にくいかもしれません。
ハイレゾのおかげでジャズにはまりはじめました。