高音質ヘッドホンに採用の『液晶ポリマー』の話
ソニーハイビジョンフェアレポート外伝です。ご来場いただいた当店のお客様を案内してソニーさんの商品担当の方からいろんな話を一緒にきかせていただくんですが、それが当店のガソリンになっているというか、フェア直後はとくダネをいっぱい持っているんです。
この「液晶ポリマー」の話もそうです。MDR-Z1000、MDR-EX1000というソニー最高級のモニターヘッドホンにだけ今回初めて使われた素材なんですが、その「液晶ポリマー」って何?という話を聞いてきました。
今年はソニー高級オーディオヘッドホンの当たり年というか、ラインナップがフルチェンジしてそれでまたラインナップが増えて、そして最高級モデルはさらに高額になるというすごいことになっています。
当店でもインナーイヤーヘッドホンの「MDR-EX1000」「MDR-EX800ST」「MDR-EX600」などを揃えて聞き比べ試聴体験会を店舗にて実施しています。
☆当店blog 10.10.20「『MDR-EX1000』『MDR-EX600』開梱レポート」
☆当店blog 10.10.22「業務用イヤホン『MDR-EX800ST』試聴レポート」
百聞は一見にしかず、というか、聞いてみると最上位モデルのMDR-EX1000だけは別格で、その音質が段違い。ドライバーの形状とかコードの質の差とかももちろんあるんでしょうけど、EX1000だけは別次元の音質になってしまっていて、価格も別次元なんですが、試聴体験をするとEX1000しか選択ができなくなってしまうほどの圧倒的な差があります。なにかのブレイクスルーがあったに違いない、と誰しもが思うはず。
MDR-EX1000と他のモデルとの一番の差というと、振動板に「液晶ポリマーフィルム」が使われていること。
「液晶ポリマーフィルム」はインナーイヤーのMDR-EX1000、そしてオーバーヘッドタイプのMDR-Z1000にだけ使われている特殊素材。
ソニーハイビジョンフェアにはMDR-Z1000の展示もあり、ここで試聴してその圧倒的な差を、また感じられたら間違いなく「液晶ポリマーフィルム」のせいなんだろうなぁ。とは思いつつ、こんなやかましいところで知らない曲をちょっと聴いただけでは私のバカな耳では違いが聞き取れません。
いつか機会があったら、MDR-Z1000も聞き比べをさせてもらおう。。。と、思いつつ、そもそも、その液晶ポリマーフィルムって何なんですか? という話を聞いてきました。
MDR-EX1000には「プロダクトインフォメーション」という取扱説明書とか別に、製品に使われている技術の説明書がついているんです。
これにも詳しく書かれていて、要は昔から知られている音響特性のすばらしい素材なんですが、成形の自由度が狭く、振動板としては今まで使うことができない素材だったと。それをフィルム状に加工することができるようになり、今回は理想的な振動板材料として利用している、ということが書かれています。
と、するならば。。。これ、今回は最高級モデルにしか採用されていないんですけど、来年とか再来年とかになると、この素材をより下位のモデルとかにも搭載して、1~2年待てばこの音質がスタンダードになっちゃうんじゃないの?とかも思ってしまうわけですよ。私は。
で、そんな話をぶつけてみたわけですが。。。
まず、液晶ポリマーってどんなものかというと、たとえて言うなら粘土のようなものなんだそうです。木でも金属でも固体だとたたくと固有の周波数で響いてしまうものなんですが、それがないものになるそうで、共鳴する周波数がないとクセのない音が鳴らせるとのこと。
実際に液晶ポリマーって見ることはできませんか?と、聞いたら、MDR-Z1000のカバーを開いて、目の前に見せてくれたのが上記の写真になります。このオレンジっぽいフィルム状のものが液晶ポリマーを使った振動板になります。
で、その液晶ポリマーという材料ですがこれは一般製品向けに大量生産されている材料ではなくて、研究室用に少量しか作られていない物質なんだそうです。そのため材料自体の価格もかなり高価なものなんだとか。
なので、今後の話ですが、低価格製品に使うのは相当難しいみたいで、それどころか、今ですら需要に供給が全然追いついていない様子。
ずーっと先の話はさすがにわかりませんが、直近のところで、この液晶ポリマーを使った製品が低価格で出てくることは考えにくいようです。価格はかなり高価ですが安心してお買い求めください、とのこと。
うーん、なるほど、納得してしまいました。ソニーストアでもこの液晶ポリマーを採用した製品は2モデルとも入荷待ち・予約可ステータスのままです。予約を入れて気長に待つのが一番ですね。
私もMDR-EX1000の音を知ってしまったので、モニターヘッドホン「MDR-Z1000」の音も試してみたいなぁ。。。インナーイヤーヘッドホンであれだけナチュラルな音を鳴らしているので、オーバーヘッドタイプのものであれば、もっとすごい事になっているんでしょうねぇ。
★ソニーストア ステレオヘッドホン「MDR-Z1000」のご案内はこちらから
★ソニーストア インナーイヤーレシーバー「MDR-EX1000」のご案内はこちらから
そうそう、蛇足なから当店のMDR-EX1000をこんな風にして使って通勤途中に遊んでみました。
グランツーリスモ・ポータブルの排気音がよりリアルになるかと思いきや。。。エキゾーストノイズはまぁ、そのままで音楽だけが高音質になった印象です。エンジン音とか元はサンプリングをしていても所詮、ソフトウェア上で作り出している音ってなると、あまりリアルな感じにはならないんですね。(^_^;)
★ソニーストア PSPソフト「グランツーリスモ」のご案内はこちらから
Riever
2010年11月9日 @ PM 3:13
当分下位機種に流れてこないというのでちょっと嬉しいなと思っているRieverです(爆)
MLダイヤフラムはMLダイヤフラムでいいところがありますし、全部液晶ポリマーになってもらっても困るなということで(^^;;
EX510がいたく気に入ってしまったので、もったいないと思うんですよね、なくなるのは。
あ、あとEX510とEX310は予約受付当日に佐藤さん経由で買わせていただきました(EX1000は別で買いましたが)。
ピンキィモモ
2010年11月9日 @ PM 6:13
なるほど~。
価値があるものなんですね。
で、あの価格になるというわけですか。
店員佐藤
2010年11月9日 @ PM 6:50
♪Rieverさん、こんにちは。
聞くところによるとEX510もEX1000に近い性格とのことで
私も興味があります。しばらくの間、αレンズ野郎になって
しまうんですが、落ち着いたらZ1000も含めてじっくりと
試聴してみたいです。
ヘッドホンのお買い上げ、ありがとうございました。
店員佐藤
2010年11月9日 @ PM 6:53
♪ピンキィモモさん、こんにちは。
他にはCDのピックアップに使われていたこともあったそうです。
いずれにせよ現在は原材料自体が研究所レベルのものだとのこと
なので、大量生産する体制は原材料からという話になりそう。
EX1000のずば抜けた音質の良さの秘密にちょっとだけ迫れた
気がしました。
かつぽん
2010年11月10日 @ PM 5:05
なるほど、いつぞやのコンニャクだかとは違うんですねw
店員佐藤
2010年11月10日 @ PM 8:17
♪かつぽんさん、こんにちは。
こんにゃくってなんでしたっけ?(^_^;)
ま、物質固有の共鳴音を抑えるというとわかりやすい
ですよね。これがブレイクスルーみたいなので、今後も
液晶ポリマーフィルムに注目です。
かつぽん
2010年11月11日 @ AM 11:44
失礼、バイオセルロースでした(爆)
MDR-E888SP/LPの振動板でっす♪♪
アレを超えるインイヤーのオープン型は
出て来ませんねぇ、なかなか・・・
gest1
2010年11月11日 @ PM 4:33
コンニャクとは、mdr-ex888のバイオセルロースのことでじゃないでしょうか?
店員佐藤
2010年11月11日 @ PM 6:58
♪かつぽんさん、こんにちは。
1997年製のヘッドホンですか? 私はソニーショップの店員に
なる前に発売されたモデルみたいです。今でも現行モデルなんですね。
すごい息の長さです。
日本→フィリピン→中国→タイと、3回も生産地が変更されている
みたいです。生産国によって音質に違いとかないんですかね。
店員佐藤
2010年11月11日 @ PM 7:00
♪gest1さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
バイオセルロースを検索してみたらこんなものが見つかりました。
http://www.dhc.co.jp/goods/goodsdetail.jsp?gCode=22122
いろいろなものに使われているんですね。