サイバーショットRX100M5とアクションカムで撮る富士山山頂『剣が峰』
テレビなどでよく見る富士山登山で、登山道を上りきったところにある「富士山山頂」の碑ですが、本当の山頂はそこではないのはご存じですか? 剣が峰という富士山のレーダードームがあった場所が実は富士山の本当の山頂なんです。
前回の夏休み前の富士登山では御来光を見るところまでで、そのまま下山してきましたが、今度は「お鉢巡り」という富士山山頂の火口を一周するところまでやってきました。
アクションカムとサイバーショットを使って山旅のレポートをお届けします。
こんにちは、店員佐藤です。
富士山に登頂されたことのない方は富士山にいくつもの登山ルートがあるというのはご存じないですよね? テレビでよく中継されている富士山の登山ルートは山梨県から上る「富士吉田ルート」というもので、一番メジャーなルートになります。
多くの登山者さんが利用するルートで山小屋も20軒近くあり、初めての方向け、初級者向け、ということになっているのですが実際にはそうでもないんです。
登り比べてみるとわかるのですが静岡県側にある「富士宮ルート」の方がスタート地点の標高が高く、距離も短く、時間もかからずに登ることができます。
富士吉田ルート | 富士宮ルート | |
五合目標高 | 2,305m | 2,390m |
コース距離(往復) | 16.41km | 11.3km |
登り標準タイム | 6h25m | 5h45m |
下り標準タイム | 3h50m | 3h50m |
スタート地点の五合目の標高を見ると100m近く富士宮ルートの方が高いので、その分登らなくて済むのと、コース距離がなんと往復で5kmも違っています。距離が長いということはその分、坂がなだらかになっているのですが、富士宮ルートなら2/3の距離で済んでしまうんです。
歩いてみると、その差は歴然で富士宮口からのルートだと精神的にもかなり楽に登山できる感じ。
富士吉田ルートだと朝から登って夕方までに下山してくる「日帰り登山」が体力のある人でないと難しいというのもあって山小屋が充実しているのかもしれません。
前回の8月6日の富士吉田ルートでは御来光を見るのと、山小屋泊まりをしてみたかったのでメジャーなルートを選択したのですが、山頂の天候が思わしくないのと体力的にも厳しかったので「お鉢巡り」をせずに帰ってきました。
「お鉢巡り」というのは富士山山頂の火口の周りをグルッと一周歩いてくることで、これが前回の富士吉田ルートで出来なかった事。今回は、より楽ちんなルート「富士宮ルート」から登って1時間30分かかるという「お鉢巡り」をする日帰り登山に挑戦してきたいと思います。
出発は朝の3時でした。2時間半かけて東名高速・御殿場ICから「水ヶ塚公園」というところにアクセス。
富士吉田ルート同様に、富士宮ルートも五合目までの有料道路はマイカー規制でシーズン中は入ることができないためシャトルバスの出発地点に車を止めて、ここからバスで五合目に向かいます。
日によってバスの始発時間は違います。8月20日(日)の始発は朝の6時です。予定通り始発のシャトルバスに乗って富士宮ルートの五合目に向かいます。バス代金は大人一人往復で1,800円です。
30分ほどで富士宮口の五合目駐車場へ到着。吉田口の五合目は大きなお土産屋さん街になってますが、ここはレストハウスが1軒あるだけの地味なスタート地点になります。
梅雨明けしてからずーっと天気の悪い関東地方。こんな真っ青な空を見るのはすごいひさしぶりです。天気予報によると富士宮口五合目はずーっと曇予報だったのですが、いざ来てみると雲の上に出ていました。
ふもとは曇っているんでしょうけど、高度のある山だとこういうことがあるんですね。ここから山頂まではすっかり晴れています。
高度順応のため五合目では最低30分過ごします。ここですでに高度は2400mあります。全然意識は違いませんが空気は薄くなっていて、ここからさらに登ったときに血中酸素濃度が下がらないよう、今から深呼吸をしていくようにします。
今回の旅の秘密兵器、血中酸素濃度測定器です。単4電池2本で動き指に挟むと光学センサーで血中の酸素濃度を測ってくれます。セーフティゾーンがどれくらいなのか知りませんが、以前見た番組ではこの数値が85を切ったままだと高山病の疑いが高くなる、という話をしていました。
平地で測定すると95~99くらいの値になります。五合目で測定すると94~97くらい。やや酸素濃度が薄くなっているのかな? 酸素濃度が93を切るとアラームが鳴るそうですので、平地での安静時に94を切ることはないんでしょうね。
6時30分到着で、7時10分出発。予定通りです。山頂には休憩込みで13時35分ごろ到着予定です。
7:31に六合目、雲海荘、御来光山荘に到着。
2015年放送のブラタモリ 富士山でタモさんが飲んでいたラムネは御来光山荘のものでした。これです。まだ出発してから20分しか経っていませんので、ここはスルーです。
9:03に七合目の山口山荘を通過。高度は3,010mに達します。距離が短い分、高度がどんどん上がります。
ここから八合目池田館の間は岩場があり富士宮ルートの中でも比較的距離があるのと急勾配になる区間になります。
上に見えるのは八合目であそこまで40分ほどかけて登ります。ストックをしまうならここがしまいどころです。
9:34 八合目池田館に到着。31分で登ってきました。かなり良いペースです。
ここ池田館には救護所があるのですが、到着したら白衣の看護師さんが酸素濃度計を持って登山者さん達の酸素濃度をチェックしてくれています。
私もチェックしてもらったのですが、このときの酸素濃度は83しかありませんでした。看護師さんに「ちょっとお兄さん、大丈夫!? しっかりと呼吸をしなくちゃ!」と、声をかけていただきます。
酸素濃度をあげる呼吸法をここで教わります。1m先のろうそくを口をすぼめてフーッと消すイメージで3秒間息を吐き続けます。
これが能率の良い息の吐き方になるみたいで、これで自然と空気を吸うことになって徐々に血中酸素が増えていきます。5回ほど、この教わった深呼吸をすると血中酸素濃度は92~94くらいまで上がります。
面白い! 深呼吸をすると見る見る酸素濃度が増えるのがわかります。これは一度体験しないとわかりません。
妻も測定するのですが、彼女の方が血中酸素濃度は高く、今回の山旅のあちこちで酸素濃度を測定しましたが私の方が血中酸素濃度が高かったことはありません。
どうやら私は血中酸素濃度が低い人みたいです。
いざとなったら持ってきた酸素缶を使うんだ、という話をしたら、それは辞めた方がよいとのこと。
山小屋の売店でも1本1,300円とかで販売されているのですが、こういうものを使うと使っている間は高濃度の酸素が得られるので一気に血中酸素があがるんですが、この缶は連続使用すると2分もちません。2分経ったら元の空気が薄い状態に戻ってしまいます。
せっかく空気の薄いところに対応しようと体が頑張っているところなのに、そこで濃度の高い酸素で呼吸を楽にしてしまうと高地での順応ができなくなってしまう。そんなわけで苦しくても酸素缶は使わずに深呼吸で乗り切ってください、と、アドバイスをいただきました。
こうして持ってきた酸素缶はどうすれば良いかというと。。。帰りの五合目到着時に「よく頑張った!自分!」ということで、ゴールで美味しい空気を堪能してください、という話でした。
そんなわけで、皆さん、富士山に酸素缶は必要ないですよ。
酸素濃度の知識と呼吸法を教わりつつ、八合目でやや長めの20分休憩をして9:54に出発します。
次の九合目 万年雪荘までは30分の距離です。たまに雲があがってきて煙ることがありますが、デッドヒートでなんとかあがってくる雲を置き去りにして登ります。
山頂まではあと1時間ちょっと。
植生保護と崩落防止のためストックはできるだけ使用しないようにガイドブックには書かれています。使う時はキャップを装着して、とのことでキャップをつけたストックを使用。
ストックがあった方が登りも下りもかなり楽になります。歩いているときのバランスが取りやすくなるんですよね。私は1本だけですが妻には2本使わせています。
前回は1本だったのですが2本あった方が楽とのこと。
10:29 九合目万年雪荘に到着。
小屋の前に珍しく野鳥がいました。高度は3,460mです。
イワヒバリに見えるんですが、全体にちょっと色が薄いような気がします。イワヒバリの幼鳥なのかな? ちょっと丸々してて可愛く見えます。
万年雪荘では絶賛ふとんの乾燥中です。
一体、何人の収容ができるんでしょうね。屋根までふとんでびっしり。
山頂まではあと1時間ほどです。
10:59 九合五勺 胸突山荘に到着しました。山小屋の前には望遠鏡が設置されていて山頂の様子を見ることができます。
今回の新兵器はこちらです。アクションカムのアクセサリーでチェストマウントハーネス「AKA-CMH1」です。
バックパックマウントだとザックを降ろすたびにアクションカムを外さないといけなかったのですが、チェストマウントだとザックとは別体になるので、ザックを降ろしても自分の胸のところにカメラが固定できます。
アクションカムの動作確認もしやすいし、これはなかなか。上下角の調整もダイヤルで簡単にできる上、常時両手があくので山登りの撮影にはピッタリです。FDR-X3000を使って4K動画で撮っているので、あとから静止画切り出しをして写真データとして使うこともできます。
今回のblogでもサイバーショットRX100M4の写真データにちょっとずつ混ぜ込んで使わせてもらっています。
間もなく山頂の九合五勺での血中酸素濃度がこちら。あわわ、90を切ってしまっています。急いで深呼吸!
以前、NHKの田部井淳子さんの番組で測定したところ、田部井さんは山頂でも酸素濃度が90あって平地と変わらない、という話をされていました。一般人の私では、もう深呼吸をしても、その直後しか90以上の数値しか出ません。
空気の薄さが可視化されている感じで面白いですね。
ここから見上げれば山頂はすぐそこです。ここから山頂までは約30分の道のり。ラストスパートいきます。
ちょっと登るとそこには荷揚げ用のブルドーザー道があります。そういえばブラタモリの富士山ですが、タモリさんが山歩きしているシーンはちょっとしかなかったんですよねー。ここまでブルドーザーであがってきたのかなぁ、なんて思いつつ登ります。
九合五尺から山頂まではまた岩場が増えてきて、ちょっと苦労しながらの登りになります。大きく足を踏み出すと体力を使うのでなるべく歩幅を小さくしてチョロチョロ、チョロチョロと歩いて行きます。
息も吐くときは口をすぼめて長く「フーッ」とやります。周りの人達もみんな同じ様な呼吸法をしています。
ゆっくりとしたペースで歩いて11:59に山頂到着! すごい!予定よりも1時間半も早く到着しました。
山頂に到着したら、なにはともあれ山頂郵便局へ向かいます。
期間限定で開局している山頂郵便局なんですが、この日、8月20日は最終営業日なんです。14時で閉まってしまうので、ここに間に合うようにして登ってくるのが第一目的でした。
フレーム切手は2種類販売されています。赤い「富士登山(1,200円)」が、富士山頂郵便局だけの限定販売。青い「富士十景」はふもとの郵便局でも買えるそうです。ここは富士登山バージョンをゲットです。
2015年に来たときは営業時間に間に合わず(14:13到着でした)、8月6日に来たときはここまでたどり着くことができずにいたのですが、ようやく買えました。
切手を買ったら、安心してお昼休憩です。眺めの良いところを見つけて、お昼ご飯にしましょう。
今回の妻のサプライズプレゼントはこちらの豚汁でした。サーモスの水筒にお湯を入れて持ってきてくれていて、これとコンビニのおにぎりです。
こういう山の上で温かい物を口に出来るのってすごい贅沢感があります。重たい思いをしてもってきてくれて感謝。
※ちなみにその他の水分はほぼ全部私が担いできています。ザックの重さは12kgほどありました。
郵便局での買い物と、ランチを済ませて12:51にお鉢巡りに出発。富士宮山頂はルート上のゴールであって、富士山の最高地点ではないんです。まずは時計回りに回って「剣が峰」を目指します。
剣が峰には富士山レーダーの観測所がありました。今もその建物部分が残っていて、そこまで登っていきます。
その手前にあるのが馬の背という急坂。なにかの罰ゲームみたいな作りになっています。これを登らないとどうにもならないので、ここは最後の力を振り絞って登ります。
「日本最高峰 富士山剣が峰」の碑にて記念撮影です。
左奥にあるのが火口で右手前にあるのが2等三角点。全部まとめて撮れました。撮影はアクションカムで撮っています。
私の使っているストックですが、実はこれが一脚になっていてカメラを装着できるんです。
それほど使い勝手の良いものではないのですが、やや長めの自撮り棒として使えます。
山頂での記念写真はどうしても火口を背景に見下ろすような画角のものにしたかったので、広角撮影ができるアクションカムとの組み合わせで実現。
今回は”α”は涙をのんで持ってこなかったんです。
剣が峰を制覇したら、そのまま時計回りで火口を一周します。まるでスターウォーズの世界の様な、この世の物とは思えない絶景風景を中を散歩。
単なる火口ではありますがそれぞれの峰に山の名前がついていたり、小さな火口が別にあったりと、見どころはわりとたくさんあります。
来てみないとわからないんですよね。こういうのは。
雲がないと下界が一望できるところなんですけど、あいにく五合目よりも下は雲がかぶってます。遠く向こうには入道雲も見えます。
雲を見下ろすのって気持ち良い♪ ここで2~3日タイムラプス撮影をしながら過ごしたいところ。
2006年に来たときはこの火口の中に石文字といって、白い石を並べて文字が書かれている風景を見ていましたが、今はそういうのは禁止されているようです。
ガイドブックにも登頂記念の落書きはしないように呼びかけていました。
のんびりと1周してきて、ここは8月6日にやってきた富士吉田口山頂近くの富士山頂銀座です。
五合目から5時間もかけてやってきた秘境にこんな風景が広がっているのが滑稽。自販機までありますからね。
半袖、半ズボンの軽装スタイルで外人さんが登っている、というのにも驚くのですが、それが少なくないのも驚きます。
ま、この日は気温もある程度あったし風がほとんどありませんでしたからね。
お鉢巡りが終わって、下山前の最後の休憩です。酸素濃度を測定してみると78まで下がっていました。深呼吸をすれば90近くまで復活するのですが、そうそう、ここは実験で酸素缶を使うとどうなるのかやってみましょう。
酸素缶の威力すごい。3回くらいの呼吸で一気に酸素濃度があがって96まで記録しました。高濃度の酸素があるとこんなに血中酸素ってあがるんですね。気休めではないこともよくわかりました。
瞬間的に酸素濃度が低くなっても、ちゃんと深呼吸をして自分で酸素濃度を上げる努力をすれば、高山病は防げるということですね。85以下の数値がずーっと続くと頭痛や吐き気を催してしまうので、そうならないように意識して深呼吸をして酸素濃度をあげることで高山病は防げるわけです。
と、血中酸素濃度についての悟りが開けたところで下山開始です。15:16に出発。
富士吉田ルートでは登りと下山ではルートが分けられていましたが、富士宮ルートでは登りも下りも同じ道を利用します。砂走りとかブル道での下山はなく、まったく同じルートを下ります。
なので岩場がある山頂直下と8合目~7合目区間はちょっとした難所です。ゆっくりと下って行きます。
16:07 九合目万年雪荘を通過。下りがめっぽう遅い二人で、予定ペースよりやや遅れ気味です。
16:48 八合目池田到着。登りの時にお世話になった看護師さん達の姿は見えません。教わった呼吸法にずいぶん助けられたのでお礼を言いたかったところです。
富士山山頂が見られるのは、ここ八合目までです。さらば、また来る日まで。
陽が傾いてきました。日の出前に出発して、山陰に隠れて見えなくなるまで今日は遊ばせてもらいました。なんか充実感あるなー。
とか、言っている場合ではありません。日没になると視界も急激に落ちてきます。休まずにせっせと下山します。
18:30 新七合目 御来光山荘を通過。ここからはヘッドライトを使います。むむむ、気持ち的には日没前に五合目に戻っている予定だったのですが、どうにも時間がかかります。
というか、終バスは20時なんですが、それまであと1時間半しかありません。今、まだ七合目なんですが、間に合うのか!?
19:10 六合目雲海荘に到着。なんとか終バスには間に合いそうです。すっかり陽も落ちてしまい真っ暗な上に濃霧も出てきました。
ヘッドライトを頭に装着したままだと霧で光が拡散してしまいます。が、手に持って腰の辺りから前を照らすと、霧の下で光が届くので見通しがよくなります。
なるほど、こういう使い方もあるんですね。
六合目から五合目まではあと20分ほどです。もうこれで大丈夫そうです。
19:29 五合目到着。すんでのところで19:30出発のバスは出て行ってしまいましたが、まだ20:00発の最終便があります。
始発のシャトルバスでやってきて、最終バスで帰ることになってしまいました。
ちなみに最終バスを乗り逃してもタクシーが待っていてくれています。バスの往復チケットが無駄になってしまいますが、帰れないわけではありません。
この最終シャトルバスに乗車したのは私たちを含めて4組でした。ギリギリセーフ。
この後、水ヶ塚駐車場へ戻って、30分ほどかけて御殿場のホテルに倒れ込みます。長い一日がやっと終了。
五合目に降りたら血中酸素は苦も無く96とかに戻っていました。
翌日は富士吉田にある「ふじさんミュージアム」という博物館に立ち寄って帰ってきました。
富士山レーダードーム館と道路を隔てて反対側にある施設なんですが、ここもすごく良い施設です。
2016年放送のブラタモリで富士吉田の事を解説している回があったと思うのですが、そのときにガイドをされていた方が、ここ「ふじさんミュージアム」の学芸員さんで、中をのぞいてみてよくわかりました。
ここのふじさんミュージアムがブラタモリ富士山麓のときのネタ元だったんですね。展示物のひとつひとつがブラタモリみたいで楽しめました。
敷地内からすごい立派なところで、ここが大人一人400円って激安です。
なお、ここの展示物は全部撮影OKです。断り無く撮影はできるのですがWEB掲載については申請許可が必要となっています。
このblogでは公開しませんが、貴重な資料を撮影させてもらって帰ってきました。富士登山をした翌日に、これは素晴らしいお土産になりました。
こちらは館内撮影が可能な「富士塚」です。記念撮影用に衣装の貸し出しもあったので、富士講の出で立ちでパチリ。
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