『THIS IS Z』VAIO Z開発者トークショー

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当店のVAIO Zご紹介コンテンツもいよいよ、これが最後になります。

今日はソニースタイルさんの10周年記念イベント本社ご招待企画の中にあった「VAIO Z」の開発者トークショーの紹介です。

 

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時は2010年2月19日(金)の18時30分の話でした。退勤されるソニーの社員さんの流れに逆らって向かうのは品川駅にあるソニー本社。イベントに当選されたVirgoさんに同伴で連れて行ってもらいました。

イベントの詳細は「口外してはならぬ」という書類にサインをしており、撮影はおろか、文章での紹介もできないものになっているので、なにもここでは語れないんですが、一部、VAIO Zの担当者トークショーがあり、これは撮影もレポートも可能とのこと。

ソニースタイルさんの勉強会でもこういう機会って用意してくださるんですが、利用する資料が全て社外秘のものばかりなので、当店のblog等でも写真は利用することができません。今回は当店にとっては非常に珍しい機会。

その様子をレポートしたいと思います。

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今回、お話をしてくださるのはこちらの鈴木雅彦さん。VAIO Zの設計マネージャーさんだそうです。

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華麗なる経歴を披露されるんですが、ここでびっくり。最初はVAIOノート505の電気設計者として参加して、99年からはバイオノートSR、SRX、TRという505の後継になるB5ノートサイズVAIOの設計リーダーに昇格。

そしてVAIO type Tのモンスターモデル、VAIO 10周年記念モデルのTZシリーズからは設計マネージャーとして活躍されているので、まさに私が大好きだったモデルに端から関わってらっしゃるんです。そして昨年からは今回の新型Z1シリーズを担当されて現在にいたるとのこと。

なんか他人の様な気がしません。

ま、それもそのはずで、私が鈴木さんをお見かけするのはこれで何度目かわからないくらい。印象に残っているのは、やはりTZシリーズのソニースタイルさんでの勉強会のときで、登場するなり「すみません、全てtype T担当者さんが話してしまったので、私があまりしゃべることがないんです」という超控えめにお話がスタートしたときのこと。

実は鈴木さんが登場する前にtype Tの担当者さんがVAIOの歴史に残るようなすごいプレゼンテーションをしていて、全部しゃべっちゃっていたんです。(^_^;) 根こそぎ全部紹介されてしまって(なんせ、このときもSSDとHDDを搭載するという当時はとんでもなく画期的なTZノートを開発しちゃっていましたから)ネタが無い状態から、それでもいろいろなトピックスを披露してくださっていたのをよく覚えています。

あれ以来、ソニースタイルさんの勉強会は個人的にショーだと思っていますから。

で、今回はそんな前置きもなく、鈴木さんのお話からスタート。

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それまでB5サイズの505ノート、type Tの系譜でしか仕事をしていない上に、従来型VAIO type Zはダイナミック・ハイブリッドグラフィックスを搭載していたり、スタミナ性能もtype T並に伸びてしまっていたり、カーボン素材を採用していたり、ありとあらゆるものをすでに搭載してしまっているスーパーモデルでした。

そんなところで次はtype Tではなく、Zの開発を命じられ、かなり行き詰まった状況でのスタートだったそうです。

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ですが、目線を変えてみると、作る側からアプローチしたモバイルPCの枠ではあったことに気がつきます。作り手としては限界のモデルだと思っていたんですが、ユーザーさんからの声を拾ってみると。。。

・type A フォトエディションユーザーから「このスペックで持ち歩けたら写真撮影の編集に使えるのに」

・紙のノートの使い勝手を目指したXシリーズ。いっぽう、とにかく高性能なモバイルPCが欲しい人も多い

・カメラもビデオもモバイルなのにフルHD時代。モバイルPCは!?

と、まだまだ全ての要求には応えていない現状に気づかれたとのこと。そう、こういうところがブレイクスルーなのかもしれませが、まだまだモバイルPCの限界なんてないんだと、まだやれる、従来型Zを超える新型Zの開発余地があることに気づかれたそうです。

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いったん、そうやって解決しなければいけない問題があることに気づくと、いろいろなアイデアが出てくるモノで、ここからZ開発の話がスタートするわけです。

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まずはパフォーマンスの指標としては天体シミュレーションソフトの「Mitaka」がサクサク動く性能を目指そう、とのこと。

スピードというか、これがおそらく新型Zシリーズのブレークスルーポイントになるんでしょうけど、世界初のクアッドSSD、そして発売時期的に登場するはずだったインテルの新Core iプロセッサー、さらにグラフィックスもVAIOシリーズで唯一NVIDIA GeForce 330Mを搭載(他のモデルはクラス下の310M止まり)

この3つの新兵器を突っ込むことでパフォーマンスアップを狙うと。

で、その「Mitaka」ってソフトなんですが、私はここで初めて知りました。それなんですか?

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ということで、調べてみると国立天文台が公開している天体ソフトウェアでした。無料で誰にでもダウンロードができるので私も早速試してみます。

ファイルサイズはさほど大きくはないんですが、サーバーの回線速度が遅いようでダウンロードにはかなりの時間がかかります。

「Mitaka」のプログラム本体の他、地球と火星の地表データが別になっているので3つのデータをダウンロード。特にインストールする必要はないので、あとは解凍したファイルを実行するだけで利用ができます。

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で、使ってみて、なるほど、様子がやっとわかりました。特にデータは大きくないんですが、それなりに計算が必要なソフトなんですね。私が使っているVAIO ZのVGN-Z93FSフルスイング仕様でも、かなり軽く動いているんですが、最
小天文単位から最大天文単位へジャンプするときなどここでややカクカクした動きになるのかも。

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このソフト自体はコントローラーを使って宇宙空間を自由に移動したりするんですが、マウス操作で目的の天体まで飛ぶこととかも可能。

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拡大縮小の様子がダイナミックで、太陽系から、人類が今のところ確認できている宇宙の最大サイズまでいろんな姿で宇宙を見られます。

銀河系の姿はまだ実際には全体像が解明されていないので、現在の科学で予想ができる形になっているんだとか。

おっと、ソフトの様子を知りたいだけだったのに、すっかり遊んでしまいました。(^_^;)

それほど重いソフトウェアではないんですが、これをさらに快適スムーズに動くようにしてやろう!というのが狙いのようです。

☆国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクトのご案内はこちらから

☆「Mikata」ソフトウェアの紹介はこちらから

 

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前回のモンスターモバイル「TZノート」の際は、まだ当時高価で32GB程度の容量しかなかったSSDの弱点を補うべく、光学ドライブのスペースに2.5型HDDを搭載し、SSDのアクセススピードの速さと、HDDの大容量を両立してしまうモンスター仕様を確率しました。

現在は512GBまで容量が増えてきて、比較した場合にまだ価格が高いのですが、他にはもうデメリットがなくなったSSD。これをさらに高速に使うために開発したのがクアッドSSDになります。

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従来のSSDの基盤の片側に1基のSSDを搭載。両面を使うことでデュアルSSDにして、さらにそれを2枚使うことで4基、クアッドSSDにしてしまうというのはアイデアだけではできないことなんでしょうけど、こういう開発があって新型VAIOって出てくるんですね。

昨日、モータースポーツのF1雑誌を買って今シーズンのニュースを読ませてもらっているんですが、F1の世界でもダブルデュフューザーなど他チームに勝てる新技術をルールブックの解釈から新しいアイデアとして作り出し、レースでのアドバンテージにしていくんですが、もしもソニーがF1チームだったら、こういう新技術の開発にはめちゃくちゃ長けたチームになっているんでしょうね。

このクアッドSSDの搭載なんてリアクティブサスペンション並のアドバンテージを作ってくれそうです。

端子部分は通常の端子ではなく専用のものを使っているため、他からの載せ替えも、他のPCへの載せ替えもできないとのこと。まさにVAIO Zのためのパーツになっています。

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そして、ファンについてはまたまた新開発のものが登場。緯線はステンレスを使っていたそうですけど、今回は熱伝導性のことも考慮して銅になったとか。

サーモグラフィーの左の写真を見ると赤い棒状のものがVAIOに刺さっている様に見えますが、これは熱を持った端子を挿しているとかではなく、これが排気されている空気なんだとか。サーモグラフィーの右写真は底面からみたところだそうで、熱源から効率よく熱を奪っているようです。

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この空気のファンもまさにF1並の開発スピードでいろいろなものが試されています。前回のTZノートの時は根本に水かきみたいなものを装着して効率を高めつつ、静音化していましたが、今回はフィンを真ん中で分断して左右に分けることで効率化を図っているそうです。

実際に試していませんが、こういうことで効率ってあがるモノなんですね。VAIOの設計とかいうといかにも電気的に思えるんですが、こうなると空気力学とかですよね?

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そして盛り込む機能の話などもあったのですが、ベンチマークが初代505ノートというのも興味深いです。今回の新型VAIO Zも従来型VAIO Zも最軽量仕様だと1.35kgになるんですが、その目標値が初代505ノートだったとは驚きです。

VAIOとしてというか、開発マネージャー鈴木さんの意地ですね。私も505ノート(初代ではなく3世代目の505Gですが)からVAIO歴が始まっているので、こういう話が聞けるとすごく嬉しいです。(^_^)v

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そして、今回の開発者トークショーで一番興味深かったのがこちらのクダリです。アルミパームレスト採用、削りだしのアルミを使っている、これが背骨になって強度が上がっているとか聞いてもそれってなんで!?としか思えなかったんですが。。。

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その実物を見て、さわらせてもらって納得しました。すごいんです。このアルミ素材が。

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実際に持たせていただいたんですが、これが原材料になるアルミ板。この形で横方向にどんどん板が生成されてきて、ここから削りだしてVAIO Zのアルミパネルにするんだそうです。

持ってみると予想以上の重さ。アルミって聞くとアルミホイルとかすごく軽いモノを想像すると思うんですが、これは鉄板です。鉄の厚い固まりみたいなもので、鉄ほどではないにしてもずっしりした重さがあり、しかもまったくたわみません。曲がりません。

これ、先端をとがらせておけば、うどんとか麺を切るときの包丁に使えそう。自重だけでストンストンと麺を切り落とすことができそうなくらの重さと堅さがありました。

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で、それを引き延ばして板にするとかではなく、全部削りだしてこの形にしていくそうです。最初の板からはおそらく90%以上のアルミを削ることになると思うですが、削ったアルミはちゃんとまた再生できるそうです。

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なるほど、そういう意味だったのか。。。このアルミパネルの横の部分がVAIO Zのもっともイメージを強めるサイドラインになるわけで、そこは折り曲げ成型とかではなく、この原材料の板の厚みがほぼそのままなんです。裏から全部くりぬいて板を薄くしているそうで、それは強度が上がるわけです。

なるほど、アルミってこんなに硬いモノだったのか。

 

他にも開発中のイメージモックとかも見させてもらったんですが、あいにくそちらは撮影禁止。デザイナーと技術者でボディサイズを決めていくときにそのモックアップを見ながら「ここが出っ張るとこんなにボディが厚く見えるでしょ!?」と、デザイナーにやり込められて技術者は小型化、スペース削減などをやっていくというのを繰り返していくというイメージなんでしょう。

最初のモデルなどは全然新型VAIO Zらしさがなく、私が見させてもらった中では3世代目から急にスリムになっているように見えました。

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505ノート時代の電気設計、そしてSR、SRX、TRシリーズのツルンとしたデザイン、さらにTZ、TTというモンスターぶりの血をひく新型Zシリーズ。まさに持ち歩くVAIO type A。最高性能になったXシリーズ。VAIOのもてるネタをすべてつぎ込んだモンスターノートになっていることを感じさせてくれる開発者トークショーでした。

まさか次の夏モデルでZ505エディションとか出てきませんよね!?と、念を押してきましたが、それはないそうです。(^_^)v あるとしたらVAIOの20周年記念モデルかな?

【関係各位の皆様へ】
いろいろ今回もアドバイスありがとうございました。他に私が書き忘れていることがありましたら、是非ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。このあと、Premiere ElementsとVAIO Edit Compornentsのメルマガを配信予定ですので、その際に追記したいと思います。m(_ _)m

 

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