シングルモルトセミナーに行ってきました!その1

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男のコダワリ「Direction」のスペシャルブログとして再出発の当店blog「C-TECバックルーム3」なんですが、なにか男のコダワリっぽいテーマも欲しいなぁ。。。ということで、試験的に?(というか、今までは私の個人的な趣味の話でしたいた)ウイスキーのネタも今後、織り交ぜてきたいなぁ、なんて思っています。


で、そのウイスキーネタの第1回目のネタが、先日サントリーさんが主催した「シングルモルトセミナー」の話。




サントリーさんがA8ネットというところで、アフィリエイトプログラムをスタートしており、その立ち上げ企画ということで、ウイスキーセミナーを開催してくださったんです。


ウイスキーのセミナー!? 単に飲むだけじゃなくて!?



って、感じですが、いやいや、これがまたスゴイセミナーなんですよ。サントリーさんに7人しかいないという、ウイスキー・ブレンダー。その中でも一人だけ「チーフ・ブレンダー」の称号を得ている輿水さんを講師に迎えてのセミナー。


言うなれば、日本一ウイスキーの事が詳しい人からウイスキーの話が聞けるという、滅多にない機会です。喜んで行って参りました。


 


さて、一言でウイスキーと言っても「スコッチ」「バーボン」などいくつも種類があるわけですが、今回は日本のウイスキー、特に「シングルモルト」に焦点を当てたセミナーとなっています。


まぁ、ウイスキーの製造工程とかの説明を聞いても、理科の授業みたいになってしまうのかなぁ、って、感じでセミナーを受けていたんですが、いやいや、これがなかなか。どちらかというと社会科の授業がありつつ、最後に家庭科みたいな感じのセミナーです。



まずは「ウイスキー」ですが、お酒としてみた場合、ビールや焼酎などと、比べて味が違うのはもちろんですが、製造過程がかなり違ってきます。ウイスキーでは主な材料が大麦と、ビールと同じだったりします。それを発酵させただけのものがビール。ウイスキーはその後に蒸溜、熟成があります。


焼酎なども体によい!っていうイメージがついて、近年ブームになっています。材料こそ違うものの、焼酎も蒸溜を1度行っています。材料、蒸溜の回数こそ違うんですが、ウイスキーと似た製法になっているんですね。で、ウイスキーの場合はその後に樽で長期間熟成されると。。。


ちなみに蒸溜って何?って話ですが、これ、もともとは海水から水と塩を分離させるために行っていたものなんです。海水を沸かして、その水蒸気から水を取り出すと。。。それがある時、偶然なんでしょうけどアルコール蒸溜を発見して、それが蒸溜酒の始まりになっているんでしょうね。ウイスキーではこれを2回行います。


その後、樽で熟成をするわけですが、これによりポリフェノールの加わることになります。ポリフェノールというと、ワインが有名なんですが、こうやって話を聞いていると、いろんなお酒のいいとこ取りをしているのがウイスキーってことになるみたいです。


 



さて、そのウイスキーにもまたいろんな種類があります。まずは材料により味が大きく変わります。大麦を材料とした「モルト・ウイスキー」、とうもろこしなどの穀類を材料にした「グレーン・ウイスキー」。


この2種類のウイスキーを混ぜてブレンドしたものが「角瓶」とか「オールド」とか、よく、スーパーのお酒コーナーでよく見る、国産ウイスキーの銘柄で「ブレンデッド・ウイスキー」というものになります。


それに対し私が好きな「山崎」とか「白州」というものは「シングルモルトウイスキー」という種類のものになります。ひとつの蒸溜所で作られた原酒のみで作られたモルトウイスキー。


これと似たようなものでピュアモルトウイスキーというものがありますが、これは複数の蒸溜所のモルト原酒でブレンドされたウイスキーということになります。


ウイスキー発祥の地でもあるスコッチなどはほとんどの場合が、このシングルモルトウイスキーになるそうで、今までブレンデッドウイスキーが主流だった日本でもこのシングルモルトのファンが現在、増えてきていますよ、で、味にどんな違いがあるものなのかを今回はご案内しますよ、というセミナーなわけです。


 



この後、ウイスキーの味には蒸溜所ごとの風土や作り手のこだわりがかなり個性をつけていく、という話をされます。日本のウイスキーはスコッチをベースにしているというのは、これらモルトウイスキーの製造工程からもわかるんですが、そのスコッチと日本のウイスキーの決定的な違いというのもここで紹介されました。


スコッチでは蒸溜所で同じ原酒を造り分けるのにたいし、日本ではいろいろな形の蒸溜釜を用意したり、木桶、ステンレスの2種類の発酵槽を使ったり、発酵のための酵母を変えたりして、1つの蒸溜所でたくさんの種類の原酒をつくり分けることができるんだそうです。サントリーさんだけでも100種類以上の原酒をつくりわけており、それをブレンドすることでモルトウイスキーを作る、ということができるんだそうです。


なるほど、そのブレンドの方法によって「山崎10年」とか「山崎12年」「山崎18年」などの味を作っているわけです。単に古い原酒を使っているから美味しいウイスキー、高いウイスキーになるってわけではないんですね。



実はこのあたりの考え方というのは、いろいろあるらしく、実はサントリーの創始者鳥井信次郎氏と、ニッカウヰスキーの創始者竹鶴政孝氏は、山崎蒸溜所で一緒にウイスキー作りを始めたそうですが、日本独自のウイスキー作りをしたい、という鳥井さんと、日本でスコッチウイスキーを作りたいという竹鶴さんで、考え方の根本が違っていたらしく、結果、こうして分かれてウイスキー会社を作ることになっているわけですね。


このセミナーの後に、輿水さんに、なんで日本独自の味が必要になったのか?と伺ったところ、これは個人的な考え方なんだけど、と、注釈つきだったんですが、お酒の飲み方が欧米の方と日本人では違うんだと。欧米では食後の酒としてウイスキーは定着しているんだけど、日本では食事中に楽しむお酒という位置づけがあり、それで、こういうブレンドによる、微細な味付けが必要なんだと思いますよ、とおっしゃっていました。


 



それと、ウイスキーの味作りのポイントが樽を使っての熟成があります。この樽熟成がウイスキーにまろやかさを与えるんですが、これもおもしろい話をいろいろしてくださいます。ウイスキーの熟成には伝統的にホワイトオーク(アメリカ産)の樽を使うことが主流なんだそうですが、北海道、東北のミズナラを使うことも行っているんだそうです。


この樽の木材による味の違いがわかるのかな?と、素人的には思えてしまうんですが、これを海外のブレンダーさんに飲ませてみたら「和風の味がする」と一発で違いを見分けるんだそうです。こういう味のウイスキーもブレンドされているんですね。



手元をみると試飲用のウイスキーが6つ並んでいるんですが、山崎12年シェリー樽原酒、とかミズナラ樽原酒、ホッグスヘッド樽原酒、なんて書いてあります。うーん、その和風のミズナラ樽原酒、日本だけのミズナラ樽の味を味わってみたいです。でも、まだ飲ませてもらえないんです。なんせ、私たちは素人、味見しはじめた瞬間によっぱらい始めますから、座学は最初に詰め込んでしまう必要があるんでしょう(^_^;)


 


座学、最後の話は2003年にイギリスISCで山崎12年が金賞を受賞。05年には山崎18年が米SWSC賞を受賞。06年にも英IWSCでトロフィーを受賞など、各国のコンペで一番の賞をシングルモルト山崎が立て続けに受賞します。


突然、そんな姿をみるとバブリー気分ではないんですが、なんか裏で大金が動いているんじゃないの?とか、いやらしい勘ぐりをしてしまうところなんですが、これら、突然、受賞を始めたのにはちゃんと仕掛けがありました。


1924年からウイスキーの蒸溜を開始した山崎蒸溜所なんですが、1987、88年に2年間、完全に新たな原酒造りをストップさせて大改修を行っているんだそうです。で、翌89年から原酒を造り始めたわけですが。。。そう、2003年に山崎12年が金賞を受賞したというのは、この大改修工事の後から作り始めた原酒で得た評価なんです。


ちなみに白州蒸溜所も今年「白州18年」が英ISCで金賞を受賞したそうですが、白州も1981年に新設備の導入を行っており、その後に作り始めた原酒で作ったウイスキーが高い評価を得ているんですね。


そう、今、市場で販売している「山崎12年」も「白州18年」もその、金賞の味で売っているんですよ!! うーん、早く飲ませてください!!


 



というところで、いよいよ試飲です。


まずはシングルウイスキー山崎12年についての味の説明です。実は私もウイスキーを好きになったきっかけって「山崎」を飲んだことがあって、これが異常に美味しく感じられて、それ以来ウイスキーファンになった経緯があります。


それまで飲んだウイスキーと「山崎」で味がどう違うのかと言えば、うーんと一言で言うと味の複雑さがあるんですよ。他のウイスキーが比較的単調な味なのに対し、山崎だけは口当たり、香り、アフターテイストでいろんな味がいっぺんに楽しめる感じで、それでいてとてもまろやさがあります。フルーツの味まで感じられるウイスキーって、私は山崎が初めてでした。


その味の複雑さの裏にはいろいろな原酒のブレンドがあるわけです。ベースに山崎パンチョン古樽があり、そこにブレンダーさんが選んだキーになる原酒としてシェリー酒を貯蔵し使い終わった樽でウイスキーを熟成させた山崎シェリー樽、それと先ほどの和風の味わいがあるという日本の樹木を使ったミズナラ樽で熟成されたウイスキーをブレンドしていると。


こうして一つの樽の原酒を飲む機会なんてほとんどないんですが、今回は山崎12年を構成する基本の味ということで、樽から出してきた原酒を用意してあるわけです。


まずはシェリー樽の原酒を味わってみるんですが、テイスティングの方法もいろいろ説明してくださいます。



まずはテイスティンググラスに入っている原酒を、揺すって色を見たり、グラスの壁につく筋を見ます。これで、どんなことがわかるかというと、どんな樽に寝かされてきたのかがわかるんだそうです。濃い琥珀色、それとしっかり筋(専門用語ではアシというそうです)が残るところから、この原酒はシェリー樽で寝かされていたことを物語っていると。


次に味と香りをみるんですが、樽から出てきた原酒はアルコール度数が60度ほどあり、強烈すぎるので水で薄めます。アルコール度数20%くらいが一番味、香りがわかりやすくなるそうで、サントリーのブレンダーさんもイギリスのブレンダーさんもこうして加水してテイスティングするんだそうです。



かなり甘い香りがするんですが、干しぶどう、レーズンの味を連想させる濃厚な味がします。味の表現が私には難しいんですが、そうそう、これ、この味!山崎12年の中にあるひとつの味ですよ!!ブレンドされても変わらない味がこうして残っているものなんですね!



続いては、日本だけのミズナラ樽の原酒です。戦後の外貨制限があって、ホワイトオークを思うように輸入できなかった時期に代用としてミズナラを使い始めたのが最初で、その後、独特の味があることがわかり、使い続けられているんだそうです。


使い続けるにあたり、サントリーさんでは日本のミズナラ資源を調べ、樽に使えるようになるまで200年かかることが判明。そこで200年計画として、資源が枯渇しないように伐採計画を立てて、樽を作っているんだそうです。マグロ資源みたいに獲るだけ獲るというのとは違うんですねぇ。


ミズナラ樽原酒も加水してからテイスティングします。同じモルトウイスキーになりますが、樽が違うだけで全く別物のウイスキーの味がします。透明感のあるすーっとした味。ブレンダーさんにかかると神社仏閣の味、白檀の香りまで感じられるそうです。



この2つの原酒を味わった後に、最後に山崎12年の製品としての完成版を味わうと。。。うーん、なるほど、今味わった2つの味の他にもたくさんの味がいっぺんにやってくるんですが、確かにシェリー樽、ミズナラ樽の味がしますよ。



なんていうんですかね。オーケストラの味っていうんでしょうか。先ほど試飲した原酒というのはひとつの楽器だけのパートを聞かせてもらっていて、これがホルンの音色だよ、これがフルートの音色だよ、と教わり、最後にオーケストラ全体で音を出して、その音の成分からあれがフルートだ!って言い当てているのに近い感覚。


こうやって説明されると、さっきまでブレンダーさんってどんな舌、どんな味覚をしている人なんだろうなぁ、とか思っていたのが、ちょっと近づけたような感覚になります。



続いては白州12年の試飲です。ベースになるホッグスヘッド古樽と、キーモルトとしてスモーキー原酒の2つを用意してあります。


ホッグスヘッド樽というのは豚1頭と同じくらいの重さからそう呼ばれるんだそうですが、白州の場合はこのやや小さめの樽を主に利用しているそうです。白州は高度の高いところにあることから1年を通じて気温もやや低めになります。温度が低いと熟成が遅くなるそうで、それを早めるために小さめの樽を使うという技があるんだそうです。


で、そのホッグスヘッド樽の原酒の味ですが。。。木の香りが強いというか、バニラやココナッツの様な香りもするそうです。私はやや酔っぱらってきているので、もう細かい香りがわからなくなってきてるんですけど。。。(^_^;)


そしてもうひとつのスモーキー原酒。白州12年の特徴がこの「スモーキー」な味ということになっているんですが、これは一口飲んでみてすぐにわかります。香りがすでに煙っぽいというか、薫製の香りがするんです。味は消毒液に近い感じがするんですが、これ、飲んだことがあります。アイラモルトの「ボウモア」というウイスキーにかなり味が近い!!


アイラモルトというのは、スコットランドのアイラ島で作られるウイスキーなんですが、麦芽を乾燥させるときにピート(泥炭)で醸す、独特の作り方をするウイスキー。なるほど、これが「スモーキーな味」というものなんですね!
これはわかりやすい!!


で、二つの原酒を味わったあとで製品版のブレンドされた「白州12年」を飲んでみると、ああ、ここがバニラ香だ、ここがスモーキーフレーバーだ、なんて感じで先ほどの山崎オーケストラを、再び味わっている感じ。


ウイスキーの味わいの楽しさをこれで一気に学習してしまった感じでした。



最初の説明にあったとおり、スコッチは同じ樽、同じ蒸溜釜で同じ原酒を造っているのでストレートな味わいになるんですが、日本のウイスキーはブレンドによって、こうした複雑な味わいになってくるんですよ。


で、こういう体験って、ウイスキーセミナーとかに出てみないとできないじゃないの!っていうのは確かに一理あるんですが、これは疑似体験ができます。


ボウモアと白州12年を買ってくれば、似たような体験ができます。



「白州12年」(7,035円)はこちらから



「ボウモア12年」(6,300円)はこちらから


ボウモアの強烈なピートの香り、スモーキーな味わいを試した後に、白州12年を試してみると、同じ味の要素が白州12年で感じられると思います。こういう発見をしながらウイスキーって飲み比べをするものなのかなぁ!?


ウイスキーの楽しみ方をまたまた新たに教わった夜でした。


なお、この後も懇談会ということで、赤坂にあるウイスキーバー「DEN」というところに場所を移して、今度は輿水さんと直接、語りあう機会も作っていただきました。


その時のお話はまた次の機会にしたいと思います。


 




 

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