【レビュー】ポータブルデータトランスミッター『PDT-FP1』ショールーム実機レポート
Xperiaではなく”α”アクセサリーとして登場したポータブルデータトランスミッター「PDT-FP1」が本日よりソニーストア銀座他にて展示を開始しました。早速、お邪魔させていただき実機を見学させてもらってきましたのでレポートします。
こんにちは、店員佐藤です。
従来、デジタル一眼カメラ”α”から取り込んだ映像を送信したり外部モニターとして表示させるモデルとして「Xperia PRO」が発売されていました。
249,800円で発売され現在はプライスダウンされた229,000円になっているのですが、それと比較すると159,500円で発売されるポータブルデータトランスミッター「PDT-FP1」が、なんとも安いこと! 物価上級上昇中の昨今でこんなにプライスダウンされた同じコンセプトの製品が登場するなんて、ちょっと考えられません。
製品の内容としては爆裂激安セール製品になっていると思うんですが、さて、どこか落とし穴がないか? 実機の様子をお伝えしていきたいと思います。
ソニーストア銀座での展示は本日2月19日からで展示はスピードに特化したモデルで有線LAN端子を装備したデジタル一眼カメラ”α9 II”と並べて展示されています。
こちらは「PDT-FP1」をひっくり返して背面を見せているカットなんですが、防犯ケーブルなどもあるのでケーブルだらけに見えてしまうんですが、本来は短めの有線LANケーブル1本で接続されているはずの図です。
ショールームならではの給電しながらの展示にしないといけないのでゴチャっとなってしまうんですが、その点を加味してご覧いただければ幸いです。
さて、こちらはサイズ比較をするためにこれらのケーブルを一時的に外させてもらって撮影したカットです。実際の大きさのイメージをお伝えすべてく、当店からもちこんだXperiaと並べて撮らせてもらってきました。
PDT-FP1の画面サイズは6.1インチになり、ディスプレイ解像度もFHD相当になることから中身は「Xperia 5 V」相当のモデルになります。
PDT-FP1はXperiaブランドのスマートフォンではなく、あくまで”α”アクセサリーのポータブルデータトランスミッターになるというのは通話機能が搭載されていないから、という立ち位置だからです。ただし、スピーカーもマイクも内蔵はしているのでLINEアプリをインストールしてLINEの通話機能を利用することは可能。
またSMSは使えるので、SMS+データ通信のSIMまでは利用が可能になっています。限りなくスマートフォンに近いデータトランスミッターということになります。
なお、デフォルトでは真っ黒の背景になっていますが、このモデルにインストールされているOSは普通にAndroid OS 13が入っています。背景部分を長押しすると普通にホーム画面の設定メニューが表示されて、自由に壁紙の設定をすることが可能。
Google Playからアプリのインストールも出来るので、SIMカードの音声通話機能が搭載されていないだけのスマートフォンという見方ができます。
ボディの背面をみると特徴的な膨らみがあり、ここに各種端子類が用意されています。有線LAN端子と、USB Type C端子、そしてレギュラーサイズのHDMI端子を装備しています。
そしてのこのボックスの中には冷却ファンも内蔵されていて、本体が熱を持ったときに強制空冷で本体の発熱を抑えることができます。
この膨らみがあるため、ストレートボディスタイルのXperiaと比較すると、かなり厚ぼったいボディになるんですが、冷却に関しての考え方が全く違うボディなので仕方がありません。
なお、こちらはすでに生産完了になってしまっていますがXperia 1 IVと同時発売されたXperia用のボディ冷却アイテム「Xperia Stream」です。これと比較するとPDT-FP1の方がボディは薄く感じます。
Xperia StreamはXperiaの外付けパーツということでXperiaのボディの外側から風を吹き付けて冷却する仕組みになっていますがPDT-FP1の場合は最初から空冷ファンで冷やすことを念頭に設計されていてボディ上部には熱を排出するための放熱口も最初からついています。
今回の取材で、繰り返し転送スピードのテストをしたり、FTPサーバーへファイル転送を繰り返し行っているのですが、それくらいでは全然ファンは回りませんでした。対してXperia Streamはお使いの方でしたらご存じの通り、Xperiaの電源を入れて少し操作するだけでファンが回り始めるくらいで、うるさくはありませんが、割とファンが回っている音は聞こえ続けています。
PDT-FP1は外気温40度の中でも熱停止を避けて動作することを狙っていると聞いています。性能的にはXperia 5 VやXperia 1 Vと同等のボディなので、これをゲーム専用機として使いたい、という方にはかなり魅力的なモデルなのではないかと思います。
外からのぞいてみたところではXperia Streamのファンとほぼ同サイズくらいのファンが内蔵されている様に見えます。動作したときの音を聴きたかったんですが、最後までファンの回転は確認できませんでした。(一応、赤外線センサーの温度計も持ってきたのですが全然、発熱させることができず、使えませんでした)
Xperia Streamの冷却ファンの設定は「Game Enhancer」アプリの中で設定していましたがPDT-FP1のファン設定はAndroidの「設定」>「システム」>「冷却ファン」にあります。ここで静音性優先、冷却性優先などの設定変更ができます。
さて、そんなわけで冷却性能の高いPDT-FP1を外部モニターとして使ってみます。本体にHDMI入力があるので”α”とは普通にHDMIケーブルで接続ができます。ちなみにHDMI入力端子を装備しているXperiaは「Xperia PRO」のみです。
他のXperiaではUVCコンバーターを使ってUSB Type C端子から映像信号を入力します。HDMI出力がそのまま入れられるのは「Xperia PRO」と「PDT-FP1」の2モデルだけになります。
当店からもちこんだスマートフォンフォルダーに挟み込んで”α”の外部モニターにしてみました。
ディスプレイ輝度もかなりありますが、Xperia 5 Vと同じディスプレイを使っているのであれば、最大輝度が1.5倍とかになっているんじゃないかと思います。(Xperia PRO比)
なお、PDT-FP1のボディ幅がかなり大きく、一般的なスマートフォンホルダーでは挟み込むことができないそうです。私がもちこんだManfrottoのスマートフォンフォルダーは割と伸び率が高く、これでギリギリ挟めるくらいでした。
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amazonで973円です。
でも、これがなくても大丈夫。
PDT-FP1本体に三脚ネジ穴が装備されているため、アクセサリーシューに三脚ネジ穴が使えるアダプターを装着すれば、これでPDT-FP1を固定することができます。
☆amazon「SmallRig マジックアーム コールドシュー付きダブルボールヘッド 1/4インチネジ付き コールドシューアーム 角度調整可能」
ある程度長さのあるダブルボールヘッドのマジックアームなどを使うとスマートフォンフォルダーがなくてもガッチリ固定できそうです。
その他、外観の特徴としては小さなカメラを装備。ソニーとしてはあくまでQRコードなどの読み取り用という説明になっていますが、別途、カメラアプリを用意してインストールすれば、普通にカメラとして使うことはできるそうです。
USB Type C端子は2つ装備。あまりこういうシチュエーションはないかもしれませんが、USB給電しながら”α7C II”からのUSBストリーミング信号を入力して、YouTubeでの長時間動画配信を行う、ということもできます。
これをXperia 1 VやXperia 5 Vで同じことをしようとすると、映像信号の入力にUSB端子を使ってしまうため電力給電ができず、Xperiaの内蔵バッテリーが尽きるまでしか映像配信できなくなってしまうんですが、これなら相当な長時間の利用ができそうです。
続いては通信系の機能、性能をみていきたいと思います。
モバイル通信はnanoSIMとeSIMのデュアル仕様になっています。SIMカードはボディ脇のここにあるトレーを引き出して交換します。
このトレーの片面がSIMカード、反対側がmicroSDカードになっていて、あとはダウンロード型のeSIMが設定できるようになっているので、このあたりの仕様もXperia 1 VやXperia 5 Vと同じになります。
SIMのデータ通信機能については「通話」という項目がないだけで、それ以外の機能はXperiaと同等です。
デュアルSIM仕様になっていて、ショールームでの展示はSIMカードもeSIMもKDDIのサービスが設定されていますが、ドコモとKDDI、ソフトバンクとドコモなどの組み合わせでも利用可能です。
2種類のキャリアサービスと契約している場合は、圏外時もしくは通信速度低下時に自動でデータ通信を切り替えるという機能が使えます。これはXperia 1 Vから搭載された機能です。同時に2キャリアの通信をすることこそできませんが、通信環境があまり良くないシーンや移動しながらの通信の際には助けになるかと思います。
そしてPDT-FP1ならではのアプリとして「Network Visualizer」の搭載があります。
データのアップロードやダウンロード中にデータ通信が途切れていないかどうかをずっとモニターすることができるようになっています。
5G通信についてはsub6と、超高速通信が可能なミリ波に対応していて、ミリ波での通信をしているときはボディのどのアンテナを使っているのかモニターして接続しているミリ波の基地局、電波強度がモニターされて見える様になっています。
またピクチャーインピクチャー設定が使えるので、他のアプリを使用中でもアンテナ状況を小さなウインドウでモニターすることが可能。
YouTubeの生配信をしているときは録画画面ばかり気にしてしまいますが、これを使えば通信されている電波状況までモニターすることが可能です。
6.1インチディスプレイを大きなベゼルで囲んでいるボディですが、そのベゼル部分には通信の最適化を狙ってアンテナが配置されていて、これを利用して精度の高い通信をしている、というわけです。
ということで、通常のXperia 1 Vと比較してどうなのか、即席で通信速度のテストをしてみました。
まずは展示されているショールームの展示台なんですが、こちらではアンテナ表示は5Gとなっているものの、通信詳細を確認すると4Gから5Gへの転用ネットワークとつながっているようで、接続性の良さは5G並みではあるんですが、バックボーンの通信速度自体は4Gとのこと。
比較して見ました。画面左がXperia 1 Vで、画面右がPDT-FP1です。
こういう通信速度のテストをしてみた方はわかると思うんですが、通信速度って本当に一定のスピードが出なくて、タイミングやちょっとした位置の違いだけで大きく値が変わります。ダウロード速度をみるとXperia 1 Vの方が1.5倍も速いことになっていますが、相当なばらつきがあります。ただし、アップロード速度の方はさほどばらつきは出なくて、Xperia 1 Vの大体倍以上のスピードを出しているのがPDT-FP1です。見てると、なるほど、アップロード速度についてはかなり差が出てそうです。
こちらはお断りをしてエレベーターホールの方で計測したものです。こちらは5G sub6での通信ができました。これも場所によって違いが出るんですが、ダウンロード速度は500Mbps前後でさほど差はないものの、アップロード速度は2倍~3倍程度の速度が出るようです。
しかし、さすがソニーストア銀座さんですね。私の生活環境でSub-6の常時接続ができるところなんてなくて、こんなものすごいスピードでの速度テストなんてしたことがありません。
ちなみにテストはすべてKDDIの回線を使っています。PDT-FP1のSIMはau契約のもの。私の持ち込みのXperiaはpovo 2.0の1日だけのデータ使い放題契約なんですが、念のためSIMカードを入れ替えてテストしても同様の結果になっていたので、数値は参考程度になりますが、大体、こんな感じになるかと思います。(時間がなくて、ちゃんと数値をメモしていなくて、スクリーンショットのデータしか残っていないモノで)
こちらはPDT-FP1に初期インストールされているアプリです。
SIMフリーモデルのXperiaもプレインストールアプリは少ないんですが、PDT-FP1はさらに激減しています。見れば、我々一般的な”α”ユーザーが使っている「Creators’ App」すらインストールされていません。
その代わり「Creators’ App Entertprise」や「XDCAM pocket」などの業務用カメラ向けアプリが入っているところがすごい。
これらのアプリはクローズドなものではないので、一般の方もご自身のXperiaにインストールしてお使いいただくことはできそうです。(対応カメラが業務用カメラだけみたいなので、何の役にも立たないんですが)
PDT-FP1ならではのアプリとしてはこちらの「カメラ有線接続」というアプリもあります。
これはあらかじめ設定をしておくことで、有線接続でカメラをつないだときに自動でアプリが起動してFTP転送を始めてくれるものになるとのこと。
これ、すごくないですか!? 出来る事は「Transfer & Tagging」でも出来る事ではあるんですが、「Transfer & Tagging」の場合はカメラの設定をして、「Transfer & Tagging」を起動してFTP転送の設定までしてから自動転送、という風に前準備をその場で行う必要があるんですが、この「カメラ有線接続」を使うと、イーサネット、もしくはUSB接続をすると、それだけでFTPサーバーへ転送を始める様にセッティング出来るそうです。
毎回設定する必要がないのってすごい! まさにこれこそ「通信ツール」という使い方ができそうです。
※本日時点では対応アプリ、対応カメラの登録がないようで実際に動作を試すことはできませんでした。今後、順次対応カメラなどが公開されるそうです。
私もこのPDT-FP1の発表きっかけで「Transfer & Tagging」を使い始めたんですが、今までの「Creators’ App」を使っての撮影する度にスマホ転送と違って、撮影したものをかたっぱしからスマホ転送というのは手間いらずというか、なにもしなくても高速転送ができるので楽ちんすぎ。
「Transfer & Tagging」もPDT-FP1に最初から入っています。Wi-FiでもBluetoothでも使えるので、まずはこちらをお持ちのXperiaにインストールして設定して使うと世界が変わるかも。これを使いこなせるようになるとPDT-FP1の必要性が理解できるかと思います。
以上、PDT-FP1の実機レポートでした。
時間があれば、これに「原神」とかインストールしてプレイして発熱具合やファンの動作を確認したかったんですが、インストールに猛烈に時間がかかりますからね。(^^;)
また機会が作れたらゲーミングギアとしての使い勝手を試しに行ってみたいと思います。
ポータブルデータトランスミッター PDT-FP1 |
希望小売価格価格: 159,500 円税込 |
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発売日 | 2024年3月22日 | メーカー商品情報ページこちら | ||
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