PS3でハイレゾミュージックに挑戦!無料で作れる『DSDディスク』の話

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先週は珍しく大勢のお客様がご来店になっていて、いろいろなお話をしております。ご来店になったお客様からいろいろなヒントをいただいて「これ、試してみてください」なんて言われると、嬉しくなってしまって、いろいろやってしまうんですが、今回も足かけ3日ほどかけて実験をしてみました。

VAIOファンの方には懐かしい!って言われそうですが「DSDディスク」の話です。お金をかけずに、簡単にハイレゾ高音質が楽しめる、というお話です。 

 

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さて「DSDディスク」と、言って話がすぐに分かる方は多くはないと思います。

昔、VAIOに「Sound Reality」チップというのが搭載されていて、超高音質に音楽を鳴らすことができるモデルがあったんです。「DSD Direct」というソフトウェアも搭載していて、これを使って音楽CDを変換すると、スーパーオーディオCDと同じフォーマットに書き換えて、より高音質に音が鳴らせる、というもの。

音楽CDはサンプリング周波数44.1kHzというのはご存じでしょうか? これは1秒間を44,100に分割して、その時間で音圧を量子化、ようするにデジタル化して記録したフォーマットになっているんです。1秒に4万回の区切りで音の量みたいなのを記録しているので、それを拡大するとギザギザになっている、デジタルの階段で音を表現している、という仕組み。

スーパーオーディオCDのサンプリング周波数は2.8MHz。。。2822.4kHzで分割しています。1秒間を282万に分割して、さらに音圧を量子化ではなくベクトルで記録。これにより音波が普通のCDに比べてかなり滑らかで正確な記録をすることができるようになっている、とのこと。

当時のVAIOに搭載している「DSD Direct」では、音楽CDの信号を、演奏時間の4~5倍の時間をかけて計算処理してSACDで採用しているDSD信号を生成。それをDVD-Rに書きだして「DSDディスク」として扱っていました。

単にフォーマット変換をしただけに思えるんですが、これが比較して聞いてみると全然違って聞こえるんです。普通の音楽CDが魔法をかけたみたいに「自然な音」になるというか、「すっきりした音」になるというか、「定位感が増した音」になるんです。

私の耳で聞いてもわかるくらいなので、これはかなりの違い。

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しかし、残念ながらWindows 7の到来とともに、VAIOには搭載されなくなってしまい、現在のVAIOには「Sound Reality」チップを搭載したモデルはありませんし、DSD関連のソフトウェアも搭載されていません。

VAIOのDSDディスク再生に対応したSACDプレーヤーもソニーさんから販売されていたんですが、それも2機種で対応が終わってしまっています。

しかし、忘れている再生対応機がありました。

当時、ちょうどPS3が発売になったときで、PS3がDSDディスク再生に対応しているんです。

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私も勘違いしていたんですが、初期モデルの60GB、20GBモデルだけがSACD対応になっていたため、初期モデルしかDSDディスク再生には対応していないものと思いこんでいたんですが、仕様をみると、すべてのPS3が上記フォーマットに対応。

DSDディスクの再生は最新のPS3モデルでも可能とのこと。

そうですか、まだ自宅にはSound Realityチップを搭載したVAIO type Lとかあるし、久しぶりにDSD Directを使ってDSDディスクを作ってみようかな!とか、思ったら、それも必要ないとのこと。

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こちらはつい最近のアスキーさんの記事になります。2013年3月6日の記事になっていますが、「プレステ3からはじめるDSD」なんて、まさに青天の霹靂というは、この時代に一体どうした!?jという話ですよね。

ですが、この記事を読んでみてびっくりでした。

昔はVAIOの付属ソフトでしか作れなかったDSDディスクなんですが、なんと、KORGさんがフリーソフトでDSDフォーマットの変換ソフトを提供してくださっているんです。それがこちら。「AudioGate」というアプリケーションです。

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☆(株)コルグ アプリケーション「AudioGate」の紹介はこちらから

すげー! こんなソフトがソニーさん以外のところから出てきて、しかもまだ生きているとは!!

で、本当に無料なの!?というところですが、実際に使ってみたら確かに無料で全機能が使えました。

本来はコルグさんの製品でPCに接続して使うDACのためのソフトウェアで、厳密にいうと制限なしで使えるのはコルグさんのその製品のユーザーさんのみ。

コルグ DSDネイティブ再生対応USB DACシルバーKORG DS-DAC-10-SV

コルグ DSDネイティブ再生対応USB DACシルバーKORG DS-DAC-10-SV

  • 出版社/メーカー: コルグ
  • メディア: エレクトロニクス

しかし、その製品がなくてもtwitterアカウントを持っていて、このソフトウェアについてツイートをすることができるなら、無料で制限なしでの利用ができる、という仕組みになっています。対応フォーマットも幅広いし、これは確かにすごく便利でした。

 

では、その流れをご案内してみましょう。

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まずは音楽CDのリッピングです。「AudioGate」にもリッピング機能は搭載されていますが、アルバム、曲名、アーティスト名などを自動でつけてくれる機能がありません。なので、私はいつも使っている「Media Go」を使ってCDを取り込みます。

Media GoではリニアPCMやAtrac Losslessなどの可逆性のある圧縮方式が使えないんですが、最新バージョンではFLACが利用できるようになっており、これが無損失圧縮に対応しています。

これを使えば音源の劣化なしに取り込みが可能。「AudioGate」もフォーマット対応しているので、問題なし。

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まずは普通にオーディオCDをMedia GoでFLACにてリッピングするわけです。

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リッピングが終わったらAudioGateをダウンロード&インストールして使います。試しに1曲、EXPORT機能を使ってDSDファイルを作ってみると、その途中にTwitterアカウントの登録をするように言われるので設定をします。

フォローワーさんが多い私のメインのアカウントを登録してしまうと、みなさん、なんの話なのかわからなくなってしまいそうなので、すみません、私は別途、アカウントをひとつ作りました。お店のアカウントとして、これから、店内でのtwitterのサンプルツイートに使い続けます。

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ファイルを読み込むと、画面のプレイリストに曲が並んでいきます。曲ごとにテキスト情報をここで入力することもできますが、自動読み込みなどの便利な機能はついていません。ほかのリッピングソフトでデータを付けておき、AudioGateではそれらの編集をする程度にしておくのがおすすめです。

読み込めるフォーマットも幅広く、とりあえずは気にせずにじゃんじゃんリスト登録します。

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リストが完成したら、右下にある「EXPORT」でファイル書き出し。「BURN DISC」で音楽CDか、DVD-Rを使ってDSDディスクを書きだすことができるようになります。

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ここではオーディオCDを書きだします。フォーマットはFLACの44.1kHzになっていますが、ディスク書き込み時にリニアPCMに変換してCD-Rに、普通の音楽CDとして読み出せるように書いてくれます。

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書き込み作業の直前に、こうして「オート・ツイート」が表示されます。ここでツイートするのが無料利用者の義務です。ツイートしましょう。

これであとはCD-Rが書きだされます。

 

DSDディスクの場合は「BURN DISC」で開いたウインドウで「DSDディスク」の選択をするだけ。

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これでDVD-Rに書きだすとDSDにフォーマット変換したディスクが作成されます。FLACからの変換を行うんですが、これがすごく早いんです。2007年当時でやっと最高性能モデルでリアルタイム変換ができるくらいだったんですが、いまどきのフルスイングVAIO Lシリーズだと、もうあっという間。時間を正確にはかっていませんが、10倍速くらいで変換してくれます。

データ量が多いというのもあって、9曲の書き出しに音楽CDが約6分8秒。DSDディスクが13分13秒かかっています。DSDの方がデータ量も多いことで倍くらいの時間がかかります。

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写真、左がCD-Rに書きだしたオーディオCD、写真右がDVD-Rに書きだしたDSDディスクになります。

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これをまずはPS3に入れて再生します。特に難しい設定もなにもせずに、いつもの状態のPS3にディスクを入れるだけで再生できます。

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ちなみに再生環境は現在、すごく貧弱です。

PS3からブラビアにHDMI端子で接続されて、そこからブラビア経由でOlasonicのテレビ用スピーカーに接続しています。

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こんな音響環境でも音の違いがわかるから不思議。

PS3はDSDディスクの信号を外部にそのまま出力することはできず、PS3の中でPCM信号に変換をします。HDMIケーブルでデジタル接続されていても、信号の変換はPS3側で行われてしまい、せっかくDSDの高品位な信号データを入れても出てくる信号はPCM信号。

原理的には音楽CDをそのまま聞いているのと変わらないはずなんですが。。。それでも音が違うから不思議。

やってみたかったイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」をDSD変換して再生してみるんですが、音楽CDフォーマットとDSDディスクではイントロのギターの音色から違って聞こえます。

すごい不思議!

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ちなみにPS3もしっかりとDSDディスクは認識してくれていて、DSDディスクを入れるとこうしてDSDディスクとして認識されます。

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曲の詳細をチェックするとちゃんとコーデックもDSDになっているし、サンプリング周波数も2.8MHzという桁違いの数字になっているのがわかります。

 

ちなみに再生音の違いですが、私が聞いているだけだと、思いこみで違って聞こえているだけかもしれませんが、ご来店のお客様や、当社スタッフで音楽が好きな人間を連れてきて聞かせても違いが歴然、という結果になっています。

この環境。。。つまりDSDディスクを44.1kHzのPCM出力しかできない環境で聞き比べても違いが出るって、すごくないですか!?

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ちなみに、PS3の出力フォーマットですが、確認をしてみます。HDMI出力を選んで、出力フォーマットを手動にすると。。。

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ズラッとリニアPCMの出力フォーマットが並ぶんですが、あるんですよ、ちゃんと。192kHzとかのハイレゾ音源対応フォーマットが。

受け側のブラビアが44.1kHzにしか対応していないので、ここではさらに高い周波数は選べません。選んだとしても。。。

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リニアPCMの192kHz出力をしてもブラビアからは音は出ませんでした。ですが、これって、アンプ側がハイレゾ音源対応になっていれば、ちゃんと鳴る、ということなわけです。

 

そこで思いついたのがこちら!

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そうなんです、5月10日に発表された新型AVマルチアンプなんですが、下位機種のSTR-DH740は44.1kHzまでの対応になりますが、上位機種2モデル「STR-DN1040」と「STR-DN840」はハイレゾ音源対応。

リニアPCMの192kHz信号入力にも対応できるです。

 

さぁ、これですごいことができますね。

普通に持っている音楽CDですが、これをVAIOにインストールした「AudioGate」を使ってDSD化。書きだしたDSDディスクをPS3で再生してSTR-DN1040、STR-DN840で鳴らせば、DVD-R代だけの出費で今までと違ったハイレゾミュージックが楽しめる、というわけです。

PS3をテレビのアンプで鳴らしただけでも違いが出るんです。これをちゃんとしたアンプ、スピーカーで鳴らしたらどんなことになるでしょうね!?

 

ちなみに、先日、ソニーさんの販売店向け新製品内覧会でSTR-DN1040のデモ演奏を聞かせてくれていたときに接続されていたスピーカーはこちらでした。

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なんか、いやになっちゃうんですが、たった18,800円(これで高さ1mくらいあります)のスピーカーでハイレゾ音源と音楽CDの違いを思いきり聞き分けられてしまうんです。

この時は違いを聞き比べるとかいうレベルではなく、ハイレゾ音源の「ホテルカリフォルニア」(そこで再生していたのはe-onkyoさんで販売されている本物のハイレゾ音源でした)を聞いただけで、あ、これCDの音ではない、というのが分かるレベルでした。

これにSTR-DN840をセットにして、AV商品10%オフクーポンを使って52,740円ですよ。

マルチチャンネルアンプというと、ホームシアター用に用意するでっかいアンプというイメージですが、まずは2chのピュアオーディオ風に使うところから楽しんでみるというのもありかも。

 

スマートフォン、タブレットとの連携もできるし、これが1台あるとリビングの増設計画がかなりフレキシブルになりそう。

インシュレーター、フレームまで手を入れているSTR-DN1040がおすすめなんですが、機能面を重視してライトに使うSTR-DN840も良いですよね。

これは当店店頭でもお客様にデモをしたいので、どっちか用意しなくては! さて、どっちを買ってみようかな!

 

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なお、今回、DSDディスク作成に利用したVAIOはデスクトップのLシリーズです。PS3をお持ちの方でDVD-Rが手元にあれば、すぐにDSDディスクを試すことができます。

本当にそんなに音が違うの? という方は「AudioGate」をダウンロードして、まずはPS3での再生をお試しになってみてください。

きっと音の違いに気づかれると思います。(テレビのスピーカーでわかりにくいようでしたら、ヘッドホンを使ってみる、というのもわかりやすくする方法のひとつです。)

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