【実機レビュー】圏外の谷川岳でついにつながった! SIMフリーXperiaで『au Starlink Direct』を試してきた

ついに、SIMフリー版Xperiaで衛星通信に成功しました!
Android 17へのアップデートで「au Starlink Direct」に正式対応した「Xperia 1 VIII」と「Xperia 10 VIII」。本当に携帯電話の電波が届かない場所でも通信できるのか確かめるため、雨とあられが降る谷川岳・一ノ倉沢まで行ってきました。
実際に衛星とつながり、メッセージの送受信にも成功! しかし、対応アプリを試してみると、普段のスマートフォン通信とは違う使い勝手も見えてきました。今回の実機検証をレポートします。
■SIMフリーXperiaがついにau Starlink Directに対応

こんにちは、店員佐藤です。
衛星とスマートフォンが直接通信する日本初のサービス「au Starlink Direct」がスタートしたのが2025年4月10日でした。5月7日には他社回線利用者向けにもサービスを開始。対応機種はauで販売されているキャリア版モデルが中心でしたが、もしかしたらSIMフリーモデルのXperia 1 VIIでも衛星通信ができるんじゃないか?という勘違いのもと、昨年は尾瀬や八丈島、そして青森の青荷温泉・ランプの宿にまで行って実験をしてきました。
結果、やはり対応機種でないと衛星通信はできない、という結論にはなるんですが、Wi-Fiがなく、既存のモバイル通信の電波が届かないところでないと衛星通信ができない、というハードルの高さを思い知った1年でした。
auの通信エリアは本当に広い!でした。
今年の4月にはドコモとソフトバンクもStarlink Directのサービス開始を発表しています。
いずれも当初は各通信事業者が販売するキャリアモデルが中心で、SIMフリーモデルについては対応機種が限定されていました。
しかし、その状況が一変したのが、Xperia 1 VIIIとXperia 10 VIIIのAndroid 17のOSアップデートのときでした。
私が気づいたのはpovo 2.0をeSIMに設定した「Xperia 10 VIII」だったのですが、SIM設定の欄に「衛星接続」という表示がありました。
これは今までのSIMフリーモデルのXperiaではなかったこと。
ただ、項目を開いてみると「お客様のアカウントはメッセージ機能を利用できません。」となっています。それはそうです。povo 2.0は通常の通信サービスで衛星サービスに対応したアカウントではありません。
その後、SIMフリーモデルのアップデート情報を確認したところ、正式に「au Starlink Directに対応」という表示があります。なんと、今までは蚊帳の外だったSIMフリーモデルのXperiaに「au Starlink Direct」がやってきたようです。
ちなみにドコモ回線の「ahamo」のeSIMではこうした表示はありません。ソフトバンク回線は持っていないので試せていませんが、今のところ、アップデート内容などには表示はありません。
少なくとも今回のアップデートでは、SIMフリーモデルのXperia 1 VIIIとXperia 10 VIIIがau Starlink Directに正式対応したことが確認できます。
ただし、実際の利用には別途契約が必要です。ソニーのアップデート情報からはauのサービスページを参照するよう案内されていますが、当時、auの一般向け対応機種一覧ではSIMフリー版Xperiaの記載は見つけられませんでした。
ならば、私が検証しましょう!
■3カ月無料で使える「専用プラン+」を契約
ということで、すぐに「au Starlink Direct」に申し込みをしています。
au Starlink Directにはau以外の回線を使っている場合、「au Starlink Direct専用プラン+」を契約する方法が用意されています。povo 2.0もauのサービスですが、ここでは他社回線を使っている人扱いになります。
月額料金は1,650円ですが、申し込み当月から3カ月間は無料です。10月に申し込んだ私は、12月まで月額料金0円で利用できます。
契約事務手数料は通常4,950円、au Online Shopで申し込んだ場合は3,850円です。こちらは条件を満たすことで手数料相当額がau PAY残高として還元されるため、実質無料になります。なお、還元は1名義につき1回などの条件があるため、詳しくはau公式サイトで確認してください。
このプランには、地上のau 5G/4G LTEエリアで利用できる毎月1GBのデータ容量が含まれています。衛星通信でのデータ通信については、当面の間、この1GBのデータ容量を消費しない扱いになっています。毎月1GBの通信プランというと、もっと安いサービスはありますが、山や洋上に出かける方で万一の通信手段として考えると、オトクなサービスかも。
☆KDDI公式 au Starlink Direct IOT完了製品
そして、私が実証実験に行ってきたタイミングで、KDDI側からもさらに一歩進んだ情報が公開されました。
KDDIが運営する開発者向けサイト「au OPEN DEVICE DEVELOPER SITE」の「au Starlink Direct IOT完了製品」に、SIMフリーモデルのXperia 1 VIIIとXperia 10 VIIIが掲載されています。
IOTとは相互接続性試験のことで、Starlink衛星との接続性を検証するものです。これで、ソニーの公式仕様だけでなく、KDDI側でもSIMフリー版Xperiaの衛星通信対応が確認できたことになります。
もっとも、接続性の確認と実際の山奥で快適に通信できるかどうかは別の話です。ということで、この発表を知らずに雨の中、谷川岳一ノ倉沢まで行ってきた私の実証実験の話も聞いてください。(笑)
ちなみに出発前にauショップへ行って、eSIMから物理SIMへの切り替えをしてもらってきました。eSIMで契約したau Starlink Directなんですが、そのままだと現地でのSIMの入れ替えができません。
時間があればeSIMの再発行手続きで端末を切り替える方法も考えられますが、現地で手続きできる通信環境があるとは限りません。
なので、Xperia 1 VIIIとXperia 10 VIIIの間で、SIMカードを物理的に差し替えられるようにしておく必要があるわけです。
ここで事務手数料4,950円がかかってしまいました。eSIMから物理SIMへの切り替えはオンラインではできなくて、auショップの店頭でお願いする必要があるそうです。(再発行分はau PAYでの還元はありません。)
なお、担当された方が気さくな方でStarlink DirectのeSIMから物理SIMへの切り替えをされる方は初めて、とのことで、よかったら理由を教えていただけないですか?と聞かれました。正直にソニーショップの人間で興味本位でやっています、という話をしてきましたが、昨年からチャレンジをし続けているので、これは一刻も早く、試してみたくて仕方がないんです。
■谷川岳・一ノ倉沢で衛星通信に挑戦
ということで10月28日の水曜日ですが、代休を使って谷川岳まで行ってきました。関東では木枯らし1号が吹いたとのことで晴天だったようですが、この日の谷川岳は強風が吹き荒れ気温も5度、あられも降っているというすごい状況でした。
天気予報は見ていましたが、悪い方へ悪い方へ予報が動いたようです。
ロープウェイ駅から歩くこと40分ほどで誰もいない一ノ倉沢へ到着。防水・防寒装備で来ましたが、この寒さには耐えられません。雨も強く、お手洗いの軒先で実験することに。
ここ、谷川岳一ノ倉沢は、日本百名山の一つ谷川岳の麓にある沢で谷川岳のロープウェイ駅から徒歩40分ほど、距離にして3.5kmほどのところにあります。谷川岳ロープウェイの近くに通信基地局があるのはアプリで確認できます。
山の稜線、山頂などの見晴らしの良いところでは電波が到達しますが2つの谷を超えた一ノ倉沢までは電波は届きにくいようで、夏に来たときは全く通信ができず、ロープウェイ駅近くまで戻らないと音信不通状態が続いていました。
一ノ倉沢から見上げる谷川岳も絶景ですし、これは、なにかあったら衛星通信のテストにもってこいのところだな、とは思っていました。
なお、今年は11月4日10時から冬季閉鎖となり、2027年5月21日10時まで、歩行者も含めて全面通行止めになります。電気ガイドバスは10月31日が今シーズンの最終運行日です。
■Xperia 10 VIIIで衛星メッセージの送受信に成功!
到着したところで、早速、au Starlink DirectのSIMカードを挿したXperia 1 VIIIでテストします。
クイック設定の画面を開くと「衛星に自動接続しました」の文字が表示されています。やりました。auのIOT完了製品の発表を知らない私は、もうこのとき有頂天です。
ついにSIMフリーのXperiaで衛星への接続を確認できました。
まずはGoogleメッセージアプリから、家族へショートメッセージ送信です。送信できているんだか、できていないんだかわからないのですが、なかなか返事が来ません。通信、できているんですかね?
そうこうするうちに、クイック設定へのタイルの追加というメッセージが届きました。Android 17になってタイルのサイズを変更できるようになったクイック設定ですが、そこに、なんと、衛星通信というタイルが登場。
嬉しくなって、早速、上の方の目立つところにタイルを並べます。
ここでは「衛星ON」という表示になっています。これはWi-Fi接続がなく、通常のモバイル通信もできないときにONになるようで、下山したあとは「衛星 利用不可」という表示にしかなりません。この表示があるときが衛星通信のチャンス、みたいです。
Xperia 1 VIIIではなかなか返信が確認できないので、SIMをXperia 10 VIIIに差し替えて、再度メッセージを送ってみます。しばらく待つと、ようやく返事が返ってきました。
やりました。メッセージアプリでの衛星通信にまずは成功です。画面上部のアンテナ部をみるとなぜか衛星マークが2個並んでいます。衛星通信でメッセージのやり取りができました。
ちなみに、返事が遅かったのは、家族がベランダで洗濯物を取り込んでいたからだということが帰宅後に判明しました。(笑)
■LINEの画像が届いたと思ったら、実は4G通信だった
このメッセージのやり取りだけであれば、昨年のPixel 7でも体験できました。今回は機能面で進化があります。
一部の機種では「スマートフォンでサポートされたアプリ」の利用ができるようになっています。スマートフォンのSIM設定から開いた衛星通信サービスですが、そこに自分のスマートフォンにインストールされたアプリで、衛星通信で利用できるアプリの一覧が見られるようになっています。
これが私のXperia 1 VIIIにインストールされているアプリで衛星通信に対応したアプリとなっています。かなりの数のアプリが表示されました。
d払いやPayPay、au PAYまで一覧に表示されているのは驚きです。電波の届かないところで買い物ができるのか? 山小屋などで決済できたら便利そうですが、今回は実際の決済までは試していません。
YAMAPという登山アプリやウェザーニュースなどが使えたり、XとかLINEも利用できるってすごいですね。ただ、利用には制限があり全機能が利用できるわけではありません。衛星通信専用モードでの利用だったりします。また、音声通話にも対応はしていません。
試しにLINEを送ってみるのですが、メッセンジャーでそれを知らせたところ、今度はすぐに返答がありました。
また、Googleマップで私がいる位置が見られたという報告もあります。
LINEでの通信を始めたところ、続々とメッセージもやってくるし、なんとスクリーンショットやスタンプも届きます。もうこれは普通のLINEの動作じゃないですか。衛星通信、すごいぞ!と、思いきや、よく見ると4Gのマークがあります。
どうやら風向きなのかどうなのか、通常の4G回線での接続ができているみたいです。
その後、衛星モードの表示があり、これでLINEアプリが衛星モードに切り替わった様子。その後はメッセージはリアルタイムではなくしばらく待つと表示される感じで、送られた画像やスタンプも見られなくなりました。
こちらから送ったスタンプも送られず、なるほど、衛星モードになるとテキストのみの送信になるようです。
■YAMAPなど対応アプリはどこまで使える?
ちなみに、こちらは家族から送られた私の居場所のスクリーンショットです。Googleマップもau Starlink Directの対応アプリに含まれていますが、今回は途中で4G通信にもつながっていたため、位置情報が衛星経由で送られたのかどうかまでは確認できませんでした。
そしてYAMAPの衛星通信機能ですけど、こちらはもともと山の中でオフラインで使えるように地図データなどは事前にダウンロードして使うアプリとなっています。
「みまもり機能」という、指定した連絡先へ自分の位置情報などを送る機能があるのですが、これが衛星通信でも利用できるとなっていました。私が試したところでは「インターネット接続ありません」という表示しか出なくて、なにもできませんでした。
ただ、これはYAMAP自体に問題があるということではなく、今回の通信環境では衛星経由のデータ通信が成立しなかった、という結果です。
au Starlink Directは空が見える場所で利用することが前提となっていて、山や建物などに遮られると通信できない場合があります。今回の一ノ倉沢のような谷に囲まれた場所では、衛星通信でも安定した接続は難しいのかもしれません。
※ウェザーニュースやau PAY、Yahoo!マップなどのアプリも試しましたが、今回は衛星通信による情報取得を確認できませんでした。もっと時間をかけてじっくり検証してみたいですね。
■SIMフリーXperiaで衛星通信を使ってわかったこと
衛星通信でのアプリの使い方ですが、メッセージアプリなどは入力して返事がくるのを画面を見ながら待つ、というのではなく、メッセージ送信をしたら、そのまま空が見えるところにスマートフォンを置いておき、数分経ったら画面をみて返信がきているかどうかを確認する、という使い方になるんじゃないですかね。
キャンプのときなどもメッセージを入れておいたり、必要な情報をリクエストしておいて、しばらくテーブルに置きっぱなしにしておいて必要なデータを受信できたら内容を確認する、とか、そういう使い方になるんじゃないかと思います。
今回は雨とあられ、強風に見舞われた一ノ倉沢で1時間半ほどしか滞在できませんでしたが、もう少し時間が取れる場所でじっくり試してみたいですね。
なお、最後に、こちらが今回の谷川岳一ノ倉沢からの景色です。霧が出ていて写真には写っていませんが、雪のついた岸壁はすごい迫力でした。そこに見頃を迎えた紅葉があり、これ、晴れてたらかなりの絶景だったんでしょうね。
天気は大変でしたが、自分の目でとても良いものを見させてもらってきました。
SIMフリーモデルのXperia 1 VIIIと、Xperia 10 VIIIで利用できるようになった衛星通信「au Starlink Direct」ですが、電波の悪いところへ行かれるケースが多い、という方はご利用になってみてはいかがでしょうか?
なお、Xperia 1 VIIIはデュアルeSIMに対応しているので、eSIM契約で別のキャリア通信のプランを入れておき、切り替えて使うことができますが、Xperia 10 VIIIはデュアルeSIMには対応していません。物理SIMとeSIMでのデュアルSIM利用になりますので、au Starlink Directの契約の際はどちらのSIMにするのか考えてお申込みください。
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