“α7S”+4Kレコーダー『ATOMOS SHOGUN』試用レポート

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今週頭に行ってきた和歌山・赤ちゃんパンダツアーでしたが、主目的はこちらでした。

4K録画ができるモニター一体型レコーダー「ATOMOS SHOGUN」をメーカーさんからお借りすることができたので、これにソニー”α7S”を装着しての4Kパンダ撮影に行ってきたんです。

映像の業務用機器になるとまるっきり話がわからない素人同然の店員佐藤ですが、そんな知識で「ATOMOS SHOGUN」が使えるモノなのか、ありのままをレポートします。

 

■「ATOMOS SHOGUN」とは?

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さて「ATOMOS SHOGUN」って何だろう? という方も多いと思います。デジタル一眼”α”を使われていない方は、この製品名をおそらく聞いたこともないと思います。

私も昨年夏の”α7S”発表の時にその名前を初めて聞きました。

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ご存じの方はご存じの通り、デジタル一眼カメラ”α7S”は、現行のソニーのデジタル一眼カメラでは唯一、HDMI端子から4K映像の出力をすることが可能なカメラになっています。

ただ、4K出力ができてもそれを録画する機能は本体には搭載していないため、4K映像を録画する機器があれば4K動画の記録をすることができますよ、という案内でした。そういうソニー製品があるのかというと、現時点では存在していなくて、もしかして4Kハンディカムに映像入力すれば4K録画できるの?というと、そんなわけもなく、他社製レコーダーを使うことになります、というのがそのときの話だったと思います。

当時の話では8月頃に「SHOGUN」という名前の、いかにも海外メーカーがつけそうな製品名でポータブルのレコーダーが出るらしい、という噂でした。SHOGUN以外にレコーディングできる機器がないのか聞くと、あとはコンセントが必要になるレコーダーになる、という話で業務用の世界の話なんだなぁ、と、あまり当店としては関わりのない話になっていっています。

ところが昨年12月に「SHOGUN」がいよいよ出荷され、現時点では普通に流通しているそうなんです。で、たまたま、知っている方がATOMOSさんにいらして、そういう縁で今回は特別にATOMOS社の「SHOGUN」を試しに使わせてもらえることになった運びです。

今回は製品をお借りしたのではなく、機能説明のためにお借りしている機器になりますので付属品を含めて製品版とは仕様が違っていますので、あくまで「SHOGUN」を”α7S”で使う流れとどんな映像が撮れたのか、についてご覧ください。

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さて、まずはこちらがSHOGUNのパッケージになります。うわ、やっぱり業務用機器みたいになるのか。。。というか、ATOMOSさんと言う会社はプロ用の映像機器の製品開発をしている会社です。

ドキドキしながらフタを開けます。

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ケースの中身は二層になっていて、一層目のクッション材には本体の他にバッテリーやストレージがズラッと並んでいます。

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一層目のクッション材をめくるとその下にケーブルや充電器などが並びます。うわ、キャノンプラグとかあります。もうたじたじ。

ま、必要のないものには触らずに、今回は”α7S”で4K撮影をするために必要な最低の機材だけで試しましょう。余計なことはしません。

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さて、SHOGUN本体のサイズですが、割と大きいんです。正面から見ると20cm×11cmというサイズ。VAIO Pの横幅を3/4くらいにしたくらいのサイズでイメージがわくでしょうか?

それにバッテリーとメディアストレージを追加して利用します。

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そうそう、海外製というと英語の説明書だけしか入っていなくて、苦労しそう、というところですが、クイックスタートガイドなるものがはいっていて、これは全部日本語で説明されています。

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中身もたどたどしい感じはなく、デザインも変なところはなく、まるっきり日本のメーカー製と言ってもおかしくないレベル。

単純に4K映像の録画と再生をするだけだったらそれほど難しい機能操作は必要ないので、これだけあれば充分だったりします。

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SHOGUNの背面です。それぞれスロットが用意されているので、ここにメディアストレージ、バッテリーを装着します。

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メモリーストレージは実はPCに使う2.5型のSSDを使います。評価用製品には256GBのSSDが添付されてきていましたが、それ以外にマスターキャディが3つ入っていて、ここに1TB、512GBのSSDを入れて使ってください、ということになっています。

USBケーブルがついているのはマスターキャディのためのUSBアダプターでPCにデータを取り込むときにこのアダプターを利用します。

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バッテリは写真左の一群がATOMOSさんからお借りしたモノ、写真右のものは当社にあるソニー製のL型バッテリーです。バッテリーはソニーのNP-F570互換のものを使うそうで、ソニー製品の流用ができます。

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ソニー製チャージャーを使ってATOMOSの互換バッテリーを充電することもできるのですが。。。充電器のインフォメーションはでたらめになってしまっていました。安定してSHOGUNを使いたいならソニー製バッテリーで固めたいところです。

ちなみに、このバッテリーなんですが消費量がすごい激しいんです。みるみるバッテリーが消費されていくので数本の予備は必要。

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その他、”α7S”での撮影に必要になるのがマイクロHDMIケーブルと、ATOMOS SHOGUNと連結させるためのパーツになります。SHOGUNの本体上下には三脚穴のネジが切られているのでこれを利用することができます。

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アクションカム用のアクセサリーなんですが、これが一番小さくて手軽に装着出来る方法になると思います。ただ、カメラの頭にバッテリー込みで790gもの重さのモノが載るので、かなりバランスは悪くなります。

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あとはマイクロHDMIケーブルです。手持ちの2mの長さのものを使うこともできますが、amazonで探すと専用の短いケーブルがみつかります。

 

この2つがあれば、あとは”α7S”の設定をするだけとなります。

“α7S”本体も4K録画用に、普段は操作しないような部分の設定を変更する必要があります。

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まずは撮影モードを「動画」モードに変更。その後、メニューキーから設定タブの「HDMI 4K映像出力」というのを「切」から「30P」もしくは「24P」に変更します。

これをしないと”α7S”の背面液晶の出力がそのままHDMIで出力されるだけになってしまうんです。

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なお、4K映像出力をすると、本体側でのHD録画はできなくなります。静止画の撮影もできません。写真を撮るときは動画モードからPモードなどの別の記録モードに切り替えれば瞬時に撮影が可能になります。

再び、4K撮影をするときは記録モードを動画に切り替えて使います。

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さらにHDMI設定を開いて「TC出力」というのを「入」にして、レックコントロールも「入」に切り替えます。

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これで”α7S”の動画録画ボタンと連携してATOMOS SHOGUNの録画も同時スタートするようになります。この設定をしなくてもATOMOS SHOGUN型の録画ボタンをタップすればレコーディングを始める事はできるんですが、せっかくなら設定をしておいた方が便利ですよね。

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そして、これがSHOGUN側のレコーディングフォーマットの画面です。搭載しているのは256GBのSSDなんですが、なんと、それに最高画質だと36分20秒しか録画ができないんです。

ものすごい速さでメモリーストレージも消費するんです。

レコーディングフォーマットには「Apple ProRes」と「AVID DNxHR」という2種類があるのですが「DNxHR」を使うためには何かしらのパスキー入力が必要になるそうで、今回は利用をすることができませんでした。

「Apple ProRes」を指定して録画します。

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まずは、試しに近所のイタリア街で10分ほどの録画をしてきました。

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「SHOGUN」はプレーヤーの機能も果たします。HDMI端子も入力と出力の2つがついているので、ここでは出力側を4Kブラビアに接続します。これだけで4Kブラビアに記録してきた4K映像を映し出すことができます。

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さすが圧縮率が低いだけあって、風の強い日のテスト撮影だったんですが、この状態で木がゆさゆさ揺れていてもどこも破綻することなく全部、普通に見えます。

さすがSHOGUN!

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“α7S”を使っての録画ができるので、こうしてフィッシュアイレンズの映像を4K記録することもできます。SEL057FECのレンズの写りの良さも余すことなく表現してくれています。

そんなわけで「SHOGUN」というネーミングにずいぶん身構えてしまっていましたが、使ってみると、非常に機能は単純で、録画して再生するだけだったらすぐに使えます。

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そうそう、ひとつだけ「SHOGUN」の扱いで注意しないといけないのが電源の話です。

あまりにも単純な操作ができるので、ボディ横の電源ボタンを押して電源を切りたくなってしまうんですが、これもコンピューターなんです。

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メニューから「Power Off」を選んで3秒長押しでシャットダウンするように言われています。

ここだけは注意して使ってました。

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録画したデータは256GBのSSDに記録されてます。最高画質で10分ほど録画してきていますが、それだけで100GBくらい消費した計算になります。

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パソコンへの取り込みは付属のUSBアダプターを使って、SSDメディアをPCから直接読み込みます。

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たった10分の録画だけでこんなことになります。そうか、記録したデータの逃げ場所をPCにするならPC側のストレージも相当余裕を持たせておかないと大変なことになりますね。

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その他、波形モニターの表示など、プロ向けの機能も搭載されてます。

“α7S”側でピクチャープロファイルを利用してのカラーグレーディングを行う場合も、プロファイルの読み込みをさせてモニター表示を合わせる、などの機能もあるらしいんですが、後処理をする方法が私にはわからないので、ピクチャープロファイルは使わずに素の映像データをそのまま記録して使っています。

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で、出発の2日前にVAIO Cafe クリエイターズミーティングに参加させていただき、その際に映像作家の鹿野さんから、カメラーシューにSHOGUNを載せると不安定になるという話を聞かされて、ここで急遽改造。

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こうしてカメラと横並びにできるようにしてみたんですが、これはこれで左右のバランスが悪く、平行が取りにくくなってしまい、失敗でした。

これは、どうするのが正解だったのかなぁ。。。というと。。。

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こちらはATOMOSさん本社で行われたイベントの時に拝見したスタイル。フレームは5,000円くらいで売っているらしくて、こうやってシステムを組んでしまうのが一番安定するそうです。

なるほど、経験を積んでいかないと、こういうのもわかりませんでした。勉強になります。

 

■赤ちゃんパンダ撮影に挑戦

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和歌山では2日間にわたって、この機材を使って赤ちゃんパンダを撮らせてもらってきました。

レポートしたとおりですが、赤ちゃんパンダは朝の30分しかお庭遊びをしてくれないので、そこが一番良いシーンになるんですが、そこを”α7S”+SHOGUNで撮りまくってきています。4Kハンディカムよりもこっちが優先。

一番、良い画がSHOGUNの中に入っているんです。

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2日間とも、SSD256GBが満杯になるところまで撮ってきています。

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こちらは”α7S”で撮影した静止画ですが、12Mサイズのセンサーが16:9撮影をすると8Mサイズになります。”α7S”で4K映像出力した場合はドットパーピクセルになり画素の足し引きのない動画になっているんだとか。

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4K映像をみて「写真が動いているみたい」という感じが合ったと思いますが、これは本当に写真が動画になった瞬間です。

私の撮影技術の未熟さは思い切り差し引いていただくとして(三脚も使えませんでしたし)、4Kハンディカム「FDR-AXP35」とは違って被写界深度が浅く、またGレンズのより高い解像感が楽しめる4Kパンダが撮れました。

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帰りのバスですが消灯まで2時間ほどあったので、その間にちょっとだけSHOGUNのファイルをVAIO Z Canvasに移して、見ながら帰ってきました。

PCにコピーしたファイルですが、そのままダブルクリックしても再生ができないものの、Vegas Pro 13で読み込むと動画再生ができるので、これをプレーヤー代わりにして見てました。調べれば、ちゃんと再生する方法はあるんだろうな。

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なお、この「SHOGUN」なんですが、発売したばかりの時は自分で録画した映像を再生することができなかったんだとか。

発売後のアップデートでそれが可能になり、今は4Kブラビアに映像は出力できるんだけど音声が出ない、という不具合もあるんですけど、それも原因がわかっているので後日アップデートで対応するそうです。

他にもパンフレットにこれだけの新機能の対応予定などが記載されています。まさに映像記録に特化したPCです。

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蛇足ながら、こんなこと出来るの?というご質問で4Kハンディカムの映像を記録できるかどうか実験したんですが、4Kハンディカムからの4K映像をそのまま記録することはできました。4Kハンディカムに限らず、著作権保護信号で出力されていないモノに関してはPS4の画面などの録画もできるとのこと。

4K出力ができるカメラがこれから増えてくると、SHOGUNが4Kレコーダーとしての定番的な位置を占めてしまうかもしれませんね。

 

ということで、SHOGUNで撮影した動画データなんですが、編集してビットレートを落としてしまうとせっかくの高画質データが。。。というところなんですが、仕方がありません。

“α7s”で記録した4K映像ということでYouTubeで短縮編集版を用意したのでご覧になってみてください。

オリジナルデータについては明日だけですが当店店頭でご覧いただけます。明日いっぱいでメーカーさんにSHOGUNを返却しますので、ご了承ください。

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ということで、明日、6月6日(土)ですが「ATOMOS SHOGUN」のミニ体験会を当店で開催しています。ご興味ある方は是非!

なお、当店からソニーフェア in osakiへご参加になる方は、金曜日の菅原安氏のトークショーでも”α7S”+SHOGUNについて語ってもらえます。またトークショーにはATOMOSさんからも担当の方がお見えになります。SHOGUNについてご質問がある方はソニーフェアにてどうぞ。

当店でも間もなく「SHOGUN」の取り扱いを始めます。当店窓口でATOMOSさんのメーカーサポートを正式に受けられます。取り扱いがはじまりましたら、またお知らせいたします。< /p>

 

ATOMOS アトモス SHOGUN モニター一体型ポータブルレコーダー ATOMSHG001

ATOMOS アトモス SHOGUN モニター一体型ポータブルレコーダー ATOMSHG001

  • 出版社/メーカー: ATOMOS
  • メディア: エレクトロニクス

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